静電界26【電験3種 理論】誘電体を積層・並置したコンデンサの電界とエネルギー比!令和3年 B問題17 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(静電界) 令和3年度 B問題17 積層と並置で結果が変わる!誘電体コンデンサの電界比は?

今回は令和3年度 理論科目 B問題17を解説します。3種類の誘電体を縦に積層したコンデンサA(直列)横に並置したコンデンサB(並列)について、(a)コンデンサA内部の電界の大小関係と最大値、(b)両コンデンサの蓄積エネルギーの比を求める問題です(令和5年度上期B問題17と同一)。

自由電荷のない界面をもつ1次元近似の直列(A)では電束密度D=εEが一定で、誘電率が小さい層ほど電界Eが大きくなります。(b)は同じ電圧なので静電容量の比=エネルギーの比で、コンデンサAのエネルギーがBの何倍かを求めます。

🔁 この問題は繰り返し出題されています
ほぼ同じ問題が 【理論】令和7年度下期B問題17【理論】令和5年度上期B問題17 でも出題されています。出題パターンが固定なので、セットで解けば確実な得点源になります。
目次

令和3年度 理論科目 B問題17:問題文と選択肢

まずは、令和3年度に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

電験3種 理論科目 静電界 令和3年度 B問題17 問題文
令和3年度 理論科目 B問題17 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和3年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 B問題17

電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 令和3年度 B問題17

 図のように、極板間の厚さd〔m〕、表面積S〔m2〕の平行板コンデンサAとBがある。コンデンサAの内部は、比誘電率と厚さが異なる3種類の誘電体で構成され、極板と各誘電体の水平方向の断面積は同一である。コンデンサBの内部は、比誘電率と水平方向の断面積が異なる3種類の誘電体で構成されている。コンデンサAの各誘電体内部の電界の強さをそれぞれEA1、EA2、EA3、コンデンサBの各誘電体内部の電界の強さをそれぞれEB1、EB2、EB3とし、端効果、初期電荷及び漏れ電流は無視できるものとする。また、真空の誘電率をε0〔F/m〕とする。両コンデンサの上側の極板に電圧V〔V〕の直流電源を接続し、下側の極板を接地した。次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a)コンデンサAにおける各誘電体内部の電界の強さの大小関係とその中の最大値の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

電界の大小関係最大値〔V/m〕
(1)EA1>EA2>EA33V/5d
(2)EA1<EA2<EA33V/5d
(3)EA1=EA2=EA3V/d
(4)EA1>EA2>EA39V/5d
(5)EA1<EA2<EA39V/5d

(b)コンデンサA全体の蓄積エネルギーは、コンデンサB全体の蓄積エネルギーの何倍か。最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)0.72 (2)0.83 (3)1.00 (4)1.20 (5)1.38倍

図 コンデンサA(誘電体を縦に積層=直列)とコンデンサB(誘電体を横に並置=並列)(問題図)
図 コンデンサA(誘電体を縦に積層=直列)とコンデンサB(誘電体を横に並置=並列)(問題図)

出題のポイント:「縦に積む=直列」「横に並べる=並列」を見抜く

誘電体を縦に積層したコンデンサAは、電束の通り道が一直線なので直列横に並置したコンデンサBは、経路が枝分かれするので並列です。この読み替えができれば、あとは合成容量の計算だけです。

直列と並列で「共通になるもの」が違う
$$\text{直列(A):}\;D=\varepsilon E\;\text{が共通}\quad\Longrightarrow\quad E=\frac{D}{\varepsilon_0\varepsilon_r}\;\propto\;\frac{1}{\varepsilon_r}$$$$\text{並列(B):}\;E=\frac{V}{d}\;\text{が共通}\quad\Longrightarrow\quad E_{B1}=E_{B2}=E_{B3}$$

直列は電界がバラバラ、並列は電界が全部同じ。(a)がAについてだけ聞いているのは、Bだと全部同じで問題にならないからです。

誘電体を厚さ方向に積層した構成Aと面積方向に並置した構成Bを比較する図
積層Aは直列でDが共通、並置Bは並列でVが共通です。

(a) の解説:比誘電率が小さい層ほど電界が強い

層の境界に自由電荷がないので、電束密度 \(D\) は3層すべてで同じ値になります。すると各層の電界は \(E=D/(\varepsilon_0\varepsilon_r)\) で、\(\varepsilon_r\) に反比例します。

問題図のコンデンサAは、上から\(\varepsilon_{r1}=2\)(厚さ \(d/6\))、\(\varepsilon_{r2}=3\)(厚さ \(d/3\))、\(\varepsilon_{r3}=6\)(厚さ \(d/2\))です。

$$V=\sum E_i t_i=\frac{D}{\varepsilon_0}\sum\frac{t_i}{\varepsilon_{ri}}$$
❶ 全電圧は各層の電圧降下の和
\(E_i=D/(\varepsilon_0\varepsilon_{ri})\) を代入
$$\sum\frac{t_i}{\varepsilon_{ri}}=\frac{d/6}{2}+\frac{d/3}{3}+\frac{d/2}{6}=\frac{d}{12}+\frac{d}{9}+\frac{d}{12}=\frac{5d}{18}$$
❷ 通分して合計
分母を36にそろえると \(\frac{3d+4d+3d}{36}\)
$$\frac{D}{\varepsilon_0}=\frac{V}{5d/18}=\frac{18V}{5d}$$
❸ \(D\) を求める
これが全層に共通の値
$$E_i=\frac{18V}{5d\,\varepsilon_{ri}}$$
❹ 各層の電界
あとは \(\varepsilon_{ri}\) で割るだけ
比誘電率厚さ電界 \(E\)〔V/m〕電圧降下
第1層\(\varepsilon_{r1}=2\)\(d/6\)\(\dfrac{9V}{5d}\)(最大)\(0.3V\)
第2層\(\varepsilon_{r2}=3\)\(d/3\)\(\dfrac{6V}{5d}\)\(0.4V\)
第3層\(\varepsilon_{r3}=6\)\(d/2\)\(\dfrac{3V}{5d}\)\(0.3V\)

電圧降下の合計は \(0.3V+0.4V+0.3V=V\) ✓ となり、計算が正しいことが確認できます。大小関係は \(E_{A1}>E_{A2}>E_{A3}\)、最大値は \(9V/5d\) です。

構成Aの電界比3対2対1と最大電界9V毎5dを求める計算図
Dが共通なのでEは比誘電率に反比例し、最大電界は誘電体1の9V/5dです。
答え(a) \(E_{A1}>E_{A2}>E_{A3}\)、最大値 \(\dfrac{9V}{5d}\) → 選択肢(4)

⚠️ よくある間違い
「誘電率が大きいほど電界も強い」と思い込むと大小関係を逆に選びます。逆です。誘電体は電界を弱める働きをするので、\(\varepsilon_r\) が大きい層ほど電界は小さくなります。だから絶縁破壊は誘電率の小さい層(空気ギャップなど)から起きるのです。

(b) の解説:電圧が同じなら、エネルギーの比=容量の比

AとBには同じ電圧 \(V\) がかかっています。\(W=\frac12CV^2\) なので、\(V^2\) が共通なら比はそのまま容量比になります。

エネルギー比=容量比
$$\frac{W_A}{W_B}=\frac{\frac12 C_A V^2}{\frac12 C_B V^2}=\frac{C_A}{C_B}$$

電圧が同じときだけ使える関係です。電荷が同じ(直列)なら \(W=Q^2/2C\) なので容量の逆比になります。

$$C_A=\frac{\varepsilon_0 S}{\sum t_i/\varepsilon_{ri}}=\frac{\varepsilon_0 S}{5d/18}=\frac{18\,\varepsilon_0 S}{5d}$$
❺ Aの容量(直列)
❷で求めた \(5d/18\) をそのまま使う
$$C_B=\frac{\varepsilon_0}{d}\sum \varepsilon_{ri}S_i=\frac{\varepsilon_0}{d}\left(2\cdot\frac{S}{6}+3\cdot\frac{S}{3}+6\cdot\frac{S}{2}\right)=\frac{13\,\varepsilon_0 S}{3d}$$
❻ Bの容量(並列)
\(\frac{S}{3}+S+3S=\frac{13S}{3}\)
$$\frac{W_A}{W_B}=\frac{C_A}{C_B}=\frac{18/5}{13/3}=\frac{18\times3}{5\times13}=\frac{54}{65}=0.83$$
❼ 比を取る(Aが分子)
\(\varepsilon_0\)、\(S\)、\(d\) がすべて約分される
構成AとBの静電容量からエネルギー比54対65を求める図
同じ電圧ではエネルギー比は容量比となり、WA/WB=54/65≒0.83です。
答え(b) \(\dfrac{W_A}{W_B}=\dfrac{54}{65}\approx0.83\) 倍 → 選択肢(2)

誤答の正体:「どちらを分子にするか」ですべてが決まる

計算選択肢この年度での判定
\(W_A/W_B=54/65\)0.83(2)◎正解
\(W_B/W_A=65/54\)1.20(4)×(逆比)
直列と並列を取り違える\(C_A\) と \(C_B\) が入れ替わり、上の2つが逆になる
容量が等しいと考える1.00(3)×

💡 覚え方
直列は容量が小さくなる、並列は大きくなる——この直感だけでも \(C_A\) は \(C_B\) より小さいと分かります。したがって「Aが分子なら1未満、Bが分子なら1より大きい」。この判断で選択肢は一気に2つまで絞れます。

⏱️ 本番での進め方
❶ 図を見たら即「縦=直列/横=並列」とメモする。これを書いておかないと(b)で取り違える。
❷ (a)は \(E\propto1/\varepsilon_r\) だけで大小関係が決まる。最大値の計算まで進む前に、選択肢を大小関係で半分に絞れる。
❸ (b)は【どちらが分子か】を問題文で指差し確認する。この一手間が、この問題では合否を分ける。
❹ 割り算は掛け算に直す。\(\frac{18}{5}\div\frac{13}{3}=\frac{18}{5}\times\frac{3}{13}=\frac{54}{65}\)。

★重要:この問題は3回出題され、うち1回は「問い方が逆」になっている

本問とまったく同じ問題が令和3年度・令和5年度上期・令和7年度下期の3回、B問題17として出題されています。誘電体の値も図もそのままです。ところが令和7年度下期だけ、(b)の問い方がひっくり返っています

令和3年度 B17令和5年度上期 B17令和7年度下期 B17
問題文・図・誘電体の値完全に同一完全に同一完全に同一
(a) の答えの中身\(E_{A1}>E_{A2}>E_{A3}\)、\(9V/5d\)同左同左
(a) の選択肢番号(4)(4)(5) ←並び替え
(b) の問い方AはBの何倍AはBの何倍BはAの何倍(逆)
(b) の答えの値\(54/65=0.83\)\(54/65=0.83\)\(65/54=1.20\)
(b) の選択肢番号(2)(2)(4)

⚠️ よくある間違い
令和7年度下期は「コンデンサB全体の蓄積エネルギーは、コンデンサAの何倍か」と聞いています。他の2回は「AはBの何倍か」です。過去問で0.83を覚えていた人は、そのまま(2)を選んで不正解になります。正しくは逆数の1.20=(4)です。

「どちらが分子か」を必ず問題文で確認する——それだけで防げるミスですが、本試験では「見たことがある問題だ」と思った瞬間に読み飛ばしがちです。選択肢に0.83と1.20が両方置いてあるのは、まさにこの読み飛ばしを狙っているからです。

あわせて解いておきたい記事:【理論】令和5年度上期B問題17【理論】令和7年度下期B問題17

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

(a)電界EA1>EA2>EA3、最大9V/5d …(4)
CA(直列)(18/5)ε0S/d
CB(並列)(13/3)ε0S/d
(b)A/Bエネルギー比54/65≒0.83 …(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・同一問題(令和5年度上期):【理論】令和5年度上期B問題17

📚 次に解くべき関連問題
【理論】令和4年度上期B問題17(静電界23)
【理論】平成30年度B問題17(静電界35)
【理論】令和4年度上期A問題10(静電界22)
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