静電界33【電験3種 理論】糸で吊るした帯電導体球A・Bのつり合いと接触後の距離変化!平成30年 A問題1 完全解説

静電界33【電験3種 理論】糸で吊るした帯電導体球A・Bのつり合いと接触後の距離変化!平成30年 A問題1 完全解説

今回は平成30年度 理論科目 A問題1を解説します。固定点Oから糸で吊るした2つの導体球A・Bにそれぞれ電荷Q・3Qを与えると、静電力で反発してd離れた位置で釣り合います。空欄(ア)〜(エ)に当てはまる語句・式の組合せを求める問題です。

ポイントは、クーロン力F=Q・3Q/(4πε0d2)と、静電力・重力・張力の三力のつり合いです。接触させると電荷は等分されて各2Qになり、電荷の積が3Q2→4Q2に増えるので距離dは増加します。

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ほぼ同じ問題が 【理論】令和5年度下期A問題2 でも出題されています。出題パターンが固定なので、セットで解けば確実な得点源になります。
目次

平成30年度 理論科目 A問題1:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 理論科目 静電界 平成30年度 A問題1 問題文
平成30年度 理論科目 A問題1 問題文

電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成30年度 A問題1

 真空中で導体球A及びBが軽い絶縁体の糸で固定点Oからつり下げられている。真空の誘電率をε0〔F/m〕、重力加速度をg〔m/s2〕とする。A及びBは同じ大きさと質量m〔kg〕をもつ。糸の長さは各導体球の中心点が点Oから距離l〔m〕となる長さである。まず、導体球A及びBにそれぞれ電荷Q〔C〕、3Q〔C〕を与えて帯電させたところ、静電力による(ア)が生じ、図のようにA及びBの中心点間がd〔m〕離れた状態で釣り合った。ただし、導体球の直径はdに比べて十分に小さいとする。このとき、個々の導体球において、静電力F=(イ)〔N〕、重力mg〔N〕、糸の張力T〔N〕の三つの力が釣り合っている。三平方の定理よりF2+(mg)2=T2が成り立ち、張力の方向を考えるとF/T=d/(2l)に等しい。これらよりTを消去し整理すると、dが満たす式として、k(d/2l)3=√(1−(d/2l)2)が導かれる。ただし、係数k=(ウ)である。次に、AとBとを一旦接触させたところAB間で電荷が移動し、同電位となった。そしてAとBとが力の釣合いの位置に戻った。接触前に比べ、距離dは(エ)した。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)反発力3Q2/(4πε0d2)16πε0l2mg/(3Q2)増加
(2)吸引力Q2/(4πε0d2)4πε0l2mg/Q2増加
(3)反発力3Q2/(4πε0d2)4πε0l2mg/Q2増加
(4)反発力Q2/(4πε0d2)16πε0l2mg/(3Q2)減少
(5)吸引力Q2/(4πε0d2)4πε0l2mg/Q2減少
図 固定点Oから糸で吊るされた帯電導体球A・B(問題図)
図 固定点Oから糸で吊るされた帯電導体球A・B(問題図)

出題のポイント:クーロン力・三力のつり合い・接触後の電荷

同じ固定点からつるした電荷Qと3Qの導体球に働く反発力、重力、張力を示す図
各球には静電力F、重力mg、張力Tの三力が働き、左右対称に釣り合います。

同符号の電荷Qと3Qには反発力F=3Q²/(4πε₀d²)が働きます。各球では、水平な静電力F、鉛直下向きの重力mg、糸に沿う張力Tがつり合います。x=d/(2l)と置くとF/T=x、mg/T=√(1−x²)となり、係数kを整理できます。

ポイント解説:x=d/(2l)で三力のつり合いを整理する

導体球Aの自由体図と糸の長さl、半間隔d割る2から三力の比を導く図
x=d/(2l)と置けば、F/T=x、mg/T=√(1−x²)です。

導体球A・Bは同符号(Q・3Q>0)なので互いに反発(斥力)します。クーロン力はF=(1/4πε0)・Q・3Q/d2で求まります。

各球には静電力F・重力mg・糸の張力Tの三力が働き、つり合っています。接触させると電荷は等分されて各2Qになり、電荷の積が3Q2→4Q2に増えるので反発力が強まり、距離dは増加します。

問題の解説:係数kを導き、接触後の距離増加を判定する

接触前後の電荷積と係数kを比較して導体球間の距離が増加すると判定する図
接触後は各2Qとなって電荷積が4Q²へ増え、kが3/4倍になるため平衡距離dは増加します。

STEP1 (ア)力の向きと(イ)静電力Fを求める

AとBは同符号の電荷なので、互いに反発力が働きます(=(ア))。クーロンの法則より、F=(1/4πε0)×(Q×3Q)/d2=3Q2/(4πε0d2) Nしたがって(イ)は3Q2/(4πε0d2)です。

STEP2 (ウ)係数kを求める

三力のつり合いからF/T=d/(2l)、mg/T=√(1−(d/2l)2)なので、√{1−(d/2l)2}=(mg/F)(d/2l)=[4πε0d2mg/(3Q2)](d/2l)

d2=4l2(d/2l)2を代入して整理すると、√{1−(d/2l)2}=[16πε0l2mg/(3Q2)](d/2l)3与式k(d/2l)3=√(1−(d/2l)2)と比較して、(ウ)k=16πε0l2mg/(3Q2)です。

STEP3 (エ)接触後の距離変化を求める

接触させると電荷は等分され、各球は(Q+3Q)/2=2Qになります。電荷の積は接触前の Q×3Q=3Q2 から 2Q×2Q=4Q2増加します。

接触後の電荷積は4Q2なので、平衡式の係数は接触前の3/4倍になります。x=d/(2l)とすると、kが小さくなった分だけ平衡を満たすxは大きくなるため、距離dは増加します(=(エ))。したがって組合せは(1)です。

答え:(1)((ア)反発力、(イ)3Q2/(4πε0d2)、(ウ)16πε0l2mg/(3Q2)、(エ)増加)

💡 覚え方
同符号は反発力、クーロン力F=(1/4πε0)Q1Q2/d2。接触で電荷は等分され、積が3Q2→4Q2に増えて距離は増加

⚠️ よくある間違い
接触後の電荷を「そのまま」と考えないこと。等分されて各2Qになり、電荷の積が増える(力が強まる)ので距離は広がります。

まとめ

(ア)力の向き同符号→反発力
(イ)静電力F3Q2/(4πε0d2)
(ウ)係数k16πε0l2mg/(3Q2)
(エ)接触後の距離増加(積3Q2→4Q2
答え(1)

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