静電界37【電験3種 理論】面積・距離が異なる3コンデンサを並列接続!静電エネルギーの総和は何倍?平成29年 A問題2 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(静電界) 平成29年度 A問題2 形の違う3つのコンデンサを並列!エネルギーは何倍?

今回は平成29年度 理論科目 A問題2を解説します。極板面積・極板間距離が異なる3つの平行板コンデンサA・B・Cを、電界が同じになるように充電してから電源を切り離し、同じ極性で並列接続したとき、静電エネルギーの総和が接続前の何倍になるかを求める計算問題です。

ポイントは同極性側の総電荷の保存です。各コンデンサの容量C=εS/dと、電界一定の条件から電圧V=Edを求めます。同じ極性どうしを接続した後は、正極板側と負極板側の各導体群で総電荷が保存されます。正極板側の総電荷Qと合成容量Cから共通電圧V’=Q/C、静電エネルギーW=Q2/(2C)を求めます。

目次

平成29年度 理論科目 A問題2:問題文と選択肢

まずは、平成29年度に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

電験3種 理論科目 静電界 平成29年度 A問題2 問題文
平成29年度 理論科目 A問題2 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成29年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題2

電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成29年度 A問題2

 極板の面積S〔m2〕、極板間の距離d〔m〕の平行板コンデンサA、極板の面積2S〔m2〕、極板間の距離d〔m〕の平行板コンデンサB及び極板の面積S〔m2〕、極板間の距離2d〔m〕の平行板コンデンサCがある。各コンデンサは、極板間の電界の強さが同じ値となるようにそれぞれ直流電源で充電されている。各コンデンサをそれぞれの直流電源から切り離した後、全コンデンサを同じ極性で並列に接続し、十分時間が経ったとき、各コンデンサに蓄えられる静電エネルギーの総和〔J〕は、並列に接続する前の総和〔J〕の何倍になるか。その倍率として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、各コンデンサの極板間の誘電率は同一であり、端効果は無視できるものとする。

(1)0.77 (2)0.91 (3)1.00 (4)1.09 (5)1.31

図 平行板コンデンサA(S・d)、B(2S・d)、C(S・2d)(問題図)
図 平行板コンデンサA(S・d)、B(2S・d)、C(S・2d)(問題図)

出題のポイント:「電界が同じ」=「電圧は厚さに比例」

この問題の入口は「極板間の電界の強さが同じ値となるように充電されている」という一文です。\(E=V/d\) なので、\(V=Ed\)——つまり極板間隔が2倍のCだけ、電圧が2倍になります。

⚠️ よくある間違い
3つとも同じ電圧だと勘違いすると、答えは1.00倍(選択肢(3))になります。電圧が全部同じなら並列につないでも電荷は動かず、エネルギーは変化しません。(3)が用意されているのは、この誤読を拾うためです。

この問題で使う3つの式
$$C=\frac{\varepsilon S}{d},\qquad V=Ed,\qquad W=\frac{Q^2}{2C}$$

※電源を切り離した後は電荷が保存されるので、接続後は \(W=\frac12CV^2\) より\(W=Q^2/2C\) の形が便利です。

同じ電界で充電した3個の平行板コンデンサの容量比、電圧比、電荷比を整理した図
電界が同じでも、極板間距離が2dのコンデンサCだけ電圧が2倍になります。

接続前:3つのコンデンサを表で整理する

基準として \(C_0=\varepsilon S/d\)\(u=Ed\) と置くと、すべてが整数と分数で書けます。

極板面積極板間隔容量電圧 \(V=Ed\)電荷 \(Q=CV\)エネルギー \(\frac12CV^2\)
A\(S\)\(d\)\(C_0\)\(u\)\(C_0u\)\(\frac12 C_0u^2\)
B\(2S\)\(d\)\(2C_0\)\(u\)\(2C_0u\)\(C_0u^2\)
C\(S\)\(2d\)\(\frac12 C_0\)\(2u\)\(C_0u\)\(C_0u^2\)
合計\(\frac72 C_0\)\(4C_0u\)\(\frac52 C_0u^2\)

Cは「容量が半分・電圧が2倍」なので、電荷は \(\frac12C_0\times2u=C_0u\) でAと同じ。しかしエネルギーは \(\frac12\cdot\frac12C_0\cdot(2u)^2=C_0u^2\) でAの2倍になります。

3個のコンデンサを同じ極性で並列接続し正極板側と負極板側の総電荷がそれぞれ保存されることを示す図
同極性側の総電荷4C₀uと合成容量7C₀/2から、共通電圧は8u/7です。

接続後:電荷の総和は変わらず、電圧はならされる

電源から切り離してから同じ極性で並列につなぐので、正極板側の導体群に集まった電荷の合計 \(4C_0u\) は保存されます。並列なので合成容量は単純な足し算です。

$$C_{\text{合成}}=C_0+2C_0+\tfrac12 C_0=\tfrac72 C_0$$
❶ 並列合成
容量は足すだけ
$$V’=\frac{Q_{\text{全}}}{C_{\text{合成}}}=\frac{4C_0u}{\frac72 C_0}=\frac{8}{7}u$$
❷ 共通電圧
\(u\) と \(2u\) の中間に落ち着く
$$W_2=\frac{Q^2}{2C}=\frac{(4C_0u)^2}{2\cdot\frac72 C_0}=\frac{16C_0^2u^2}{7C_0}=\frac{16}{7}C_0u^2$$
❸ 接続後のエネルギー
$$\frac{W_2}{W_1}=\frac{16/7}{5/2}=\frac{32}{35}=0.914$$
❹ 倍率
1より小さい=エネルギーが減る
接続前後の静電エネルギーを比較して比32毎35を求める計算手順図
接続後と接続前のエネルギー比は32/35≒0.914となり、正答は(2)です。
答え\(\dfrac{W_2}{W_1}=\dfrac{32}{35}\approx0.91\) 倍 → 選択肢(2)

なぜエネルギーが減るのか:電圧の違うコンデンサをつないだから

接続前、AとBは \(u\)、Cは \(2u\) と電圧が違います。これをつなぐとCから A・B へ電荷が流れ込みます。このとき導線の抵抗で必ず熱が発生し、その分エネルギーが失われます

減った分は \(\frac52-\frac{16}{7}=\frac{35-32}{14}=\frac{3}{14}C_0u^2\)。全体の約9%が熱になって消えたという計算です。

💡 覚え方
「電圧の違うコンデンサを並列につなぐと、必ずエネルギーは減る」——これは電験3種で繰り返し問われる原理です。逆に、元から電圧が同じなら電荷は動かず、エネルギーは変わりません(1.00倍)。つまり答えが1.00になるのは「電圧が全部同じ」場合だけです。

誤答の正体:電圧を全部同じにしてしまう

誤り方Cの電圧の扱い計算結果選択肢との対応
3つとも電圧 \(u\) と考える\(u\)(誤り)1.00(3) に一致
比を逆に取る(\(W_1/W_2\))\(2u\)1.09(4) に一致
正しい計算(\(W_2/W_1\))\(2u\)0.914(2) に一致

(3)1.00 と (4)1.09 は、この2つの誤りをそのまま拾う位置に置かれています。「接続後は必ずエネルギーが減る(1未満)」と知っていれば、(3)(4)(5)は最初から除外できます。

⏱️ 本番での進め方
❶ \(C_0=\varepsilon S/d\)、\(u=Ed\) と置いて表を作る。3つのコンデンサを1行ずつ書くだけで、あとは足し算になる。
❷ 「電界が同じ」→「電圧は \(d\) に比例」を必ず声に出して確認する。ここを落とすと(3)に着地する。
❸ 答えは必ず1未満。電圧の違うコンデンサをつないだ以上、損失が出る。この判断だけで(1)0.77か(2)0.91の二択。
❹ 接続後は \(W=Q^2/2C\) を使う。電荷が保存量なので、こちらの形のほうが代入が楽。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

容量C_A:C_B:C_C=1:2:0.5(×C0
電圧V_A=V_B=u、V_C=2u
接続前W12.5 C0u2
接続後W216/7 C0u2≒2.29
倍率≒0.91 …(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・コンデンサ接続とエネルギーの関連問題:【理論】令和4年度上期A問題10

📚 次に解くべき関連問題
【理論】平成27年度A問題2(静電界42)
【理論】令和4年度上期A問題10(静電界22)
【理論】平成30年度A問題1(静電界33)
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