静電界36【電験3種 理論】電気力線の性質で誤りはどれ?正電荷から出て負電荷へ入る!平成29年 A問題1 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(静電界) 平成29年度 A問題1 電気力線は正から負へ!性質の誤りを見抜けるか?

今回は平成29年度 理論科目 A問題1を解説します。電界を仮想的な線で表した電気力線の性質について、(1)〜(5)の記述のうち誤っているものを1つ選ぶ論述問題です。

電気力線は電界を表す仮想的な線で、矢印は正電荷から出て負電荷へ入る向きです。選択肢(2)はこれが逆なので誤りです。線は交差・分岐せず、疎密は電界の強弱を表し、各点の矢印方向の接線が電界の向きになります。

目次

平成29年度 理論科目 A問題1:問題文と選択肢

争点は向きだけです。「その場所に正の試験電荷を置いたらどちらへ動くか」——この定義に戻れば、誤りは一目で分かります。まずは問題文を確認しましょう。

電験3種 理論科目 静電界 平成29年度 A問題1 問題文
平成29年度 理論科目 A問題1 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成29年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題1

電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成29年度 A問題1

 電界の状態を仮想的な線で表したものを電気力線という。この電気力線に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1) 同じ向きの電気力線同士は反発し合う。
(2) 電気力線は負の電荷から出て、正の電荷へ入る。
(3) 電気力線は途中で分岐したり、他の電気力線と交差したりしない。
(4) 任意の点における電気力線の密度は、その点の電界の強さを表す。
(5) 任意の点における電界の向きは、電気力線の接線の向きと一致する。

出題のポイント:電気力線の向きは「正の試験電荷が受ける力」

5つの記述から誤りを1つ選ぶ問題です。争点は向き——記述(2)だけが逆を述べています。

電気力線の向きは、「その場所に正の試験電荷を置いたら、どちらへ動くか」で決まります。

$$\vec{F}=q\vec{E}\quad(q>0)$$
❶ 正電荷が受ける力
力の向き=電界の向き

正の試験電荷は、正電荷からは遠ざかり、負電荷には引き寄せられます。したがって電気力線は正電荷から出て、負電荷へ入る——これが唯一の正しい向きです。

記述(2)は「負の電荷から出て、正の電荷へ入る」と述べており、完全に逆です。

正電荷から負電荷へ向かう電気力線と接線方向を示す図
電気力線の矢印は正電荷から出て負電荷へ入ります。

残る4つの記述はなぜ正しいのか

誤りを1つ選ぶ問題では、他の4つが正しいことの理由も押さえておくと、類題に対応できます。

記述内容なぜ正しいか
(1)同じ向きの電気力線同士は反発し合う同符号電荷の電界を描くと、力線が互いに離れる形になるという作図上の性質。線そのものが物理的に押し合うわけではない
(3)途中で分岐・交差しない交点では電界の向きが2つになってしまい矛盾する。電界は各点で一意に決まる
(4)密度は電界の強さを表すそう定義してある(単位面積を貫く本数=電界の大きさ)
(5)電界の向きは接線の向きと一致そう定義してある(電界の向きを連ねた線が電気力線)

(1)は表現に注意が必要です。「反発し合う」というのは比喩であって、電気力線という実体が力を及ぼしているわけではありません。同符号の電荷が反発する様子を、力線の描かれ方で表現していると理解してください。

(3)の根拠は背理法です。もし2本の力線が交差したら、その交点では電界が2つの向きを同時に持つことになります。電界はベクトル場なので各点で1つの向きしか持てません——だから交差しません。

(4)と(5)は定義そのものなので、正誤を問われれば必ず「正しい」です。定義を述べた記述は誤りになりようがない——この視点は選択肢を絞るときに役立ちます。

問題の解説:定義に立ち返って判定する

電気力線の定義と性質
$$\text{向き:正電荷}\to\text{負電荷},\qquad \text{本数}=\frac{Q}{\varepsilon},\qquad \text{密度}=|\vec{E}|$$

向き・本数・密度の3点セット。本問は向きだけを問うています。

選択肢記述判定
(1)同じ向きの電気力線同士は反発し合う正しい
(2)負の電荷から出て、正の電荷へ入る★誤り(向きが逆)
(3)途中で分岐したり交差したりしない正しい
(4)密度はその点の電界の強さを表す正しい
(5)電界の向きは接線の向きと一致する正しい
電気力線の向き、非交差と非分岐、疎密、接線方向の4性質を示す図
電気力線は電界を可視化する仮想線で、向き・疎密・接線に意味があります。
答え誤っているのは選択肢(2)(正しくは「正の電荷から出て、負の電荷へ入る」)
電気力線に関する5つの記述を判定して誤りの選択肢2を示す図
負電荷から正電荷へ向かうという記述は逆なので、正答は(2)です。

向きを絶対に忘れないための考え方

「正から出て負へ入る」は暗記でも構いませんが、導けるようにしておくと確実です。

問い答えそこから分かること
正の試験電荷を正電荷のそばに置くと?反発して遠ざかる力線は正電荷から外向き
正の試験電荷を負電荷のそばに置くと?引かれて近づく力線は負電荷へ内向き

試験電荷は「正」と決まっている——ここが出発点です。もし負の試験電荷で考えたら向きが逆になってしまうので、約束として正の電荷を使うと決められています。

水の流れに例えるのも有効です。正電荷は湧き出し口(源泉)、負電荷は吸い込み口(排水口)。水が湧き出し口から出て排水口へ流れるように、電気力線も正から負へ向かいます。

この「湧き出しと吸い込み」のイメージは、ガウスの法則の理解にも直結します。閉曲面から出る正味の本数は、内部に湧き出し口がどれだけあるか——つまり内部の電荷量で決まります。

誤答が仕込まれる典型パターン

電気力線の論述問題では、誤りの作り方がほぼ決まっています。パターンを知っておくと、探す場所が絞れます。

パターン誤りの例見破り方
向きの反転「負から出て正へ入る」(本問)正の試験電荷で考える
交差・分岐を認める「電気力線は交差することがある」交点で電界の向きが定まらなくなる
密度と本数の混同「密度は電荷の大きさを表す」密度は電界の強さ、総数が電荷に対応
電束線との混同「本数はQ本である」電気力線は\(Q/\varepsilon\) 本
導体内部との混同「導体内部にも電気力線がある」静電平衡では内部の電界は0

最も多いのは向きの反転です。本問もこのパターン。選択肢を読むときは、まず「向き」に言及しているものを探すと効率的です。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
「正から出て負へ入る」——向きに言及した記述を最初にチェック
② 迷ったら正の試験電荷を置いてどちらへ動くかを考える
定義を述べた記述(密度・接線)は正しいことが多い
交差・分岐を認める記述は必ず誤り
⑤ 本数を問う記述は電気力線(\(Q/\varepsilon\))か電束線(\(Q\))かを確認

💡 覚え方
「正は湧き出し、負は吸い込み」。水が源泉から出て排水口へ流れるのと同じです。試験電荷は必ず正と約束されているので、正電荷から遠ざかり負電荷へ引かれる向き——それが電気力線の向きです。

⚠️ よくある間違い
向きを逆に覚えるのが唯一にして最大のミスです(選択肢(2))。「正の試験電荷が受ける力の向き」という定義に戻れば必ず正しく判定できます。また記述(1)の「反発し合う」を力線が実体だと誤解して「誤り」と判定してしまう人もいますが、これは作図上の性質を述べたもので正しい記述です。

まとめ

正しい向き正電荷→負電荷
(2)の記述負→正(逆)で誤り
その他(1)(3)(4)(5)すべて正しい
答え(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・電気力線の性質の関連問題:【理論】令和5年度上期A問題2

📚 次に解くべき関連問題
【理論】平成28年度A問題1(静電界38)
【理論】令和元年度B問題15(静電界32)
【理論】平成30年度A問題2(静電界34)
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