今回は平成28年度 理論科目 A問題1を解説します。x軸上の点A(2d,0)に2Q、点B(−d,0)に−Qの点電荷を置いたとき、xy平面上で電位が0Vとなる等電位線を表す図を(1)〜(5)から選ぶ問題です。
2点電荷の電位の和が0になる点を求めます。V=0より各点電荷からの距離の比が一定(rA=2rB)となり、その軌跡は円(アポロニウスの円)になります。小さい電荷−Q側(点B)を囲む円になる点がポイントです。
平成28年度 理論科目 A問題1:問題文と選択肢
「電位0といえば垂直二等分線」と覚えていると間違えます。それは電荷の絶対値が等しいときだけ——本問は2Qと−Qなので円になります。まずは問題文を確認しましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成28年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題1
電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成28年度 A問題1
真空中において、図のようにx軸上で距離3d〔m〕隔てた点A(2d,0)、点B(−d,0)にそれぞれ2Q〔C〕、−Q〔C〕の点電荷が置かれている。xy平面上で電位が0Vとなる等電位線を表す図として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
xy平面上で電位が0Vとなる等電位線を表す図として、最も近いものを図中の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。


出題のポイント:電位0の条件は「距離の比が一定」に化ける
電位が0になる点を探す問題です。電位はスカラー量なので、2つの電荷がつくる電位を単純に足すだけ——ベクトルの合成は不要です。
負電荷なのでマイナス
Qも \(\varepsilon_0\) も消える
「2点からの距離の比が一定」という条件の軌跡——これは数学でアポロニウスの円と呼ばれる図形です。比が1でなければ円、比が1なら直線(垂直二等分線)になります。
| 電荷の組合せ | 距離の比 | V=0の軌跡 |
| \(+Q\) と \(-Q\)(絶対値が等しい) | \(r_A=r_B\)(比が1) | 直線(垂直二等分線) |
| \(+2Q\) と \(-Q\)(本問) | \(r_A=2r_B\) | 円(アポロニウスの円) |
| 同符号どうし | — | V=0の点は存在しない(両方とも同じ符号の電位) |
「V=0といえば垂直二等分線」と覚えていると間違えます。それは電荷の絶対値が等しいときだけ——本問は2Qと−Qで異なるので、円になります。

問題の解説:座標で円の式を導く
STEP1 距離の比を座標で表す
観測点を \((x,y)\)、A\((2d,0)\)、B\((-d,0)\) として、\(r_A=2r_B\) を二乗します。
ルートが消える
\(4d^2\) が両辺で消える
STEP2 平方完成して円の形にする
中心 \((-2d,0)\)、半径 \(2d\)
STEP3 円の位置関係を確認して図を選ぶ
| 点 | 中心 \((-2d,0)\) からの距離 | 半径 \(2d\) との比較 | 位置 |
| 点B \((-d,0)\) | \(d\) | \(d<2d\) | 円の内部 |
| 原点 \((0,0)\) | \(2d\) | \(2d=2d\) | 円周上 |
| 点A \((2d,0)\) | \(4d\) | \(4d>2d\) | 円の外部 |
x軸との交点は \(x=-4d\) と \(x=0\)です。この2点を通り、点Bを内側に含み、点Aを外側に置く円——それが答えの図です。


円周上の点で本当に電位0になるか確かめる
導いた円が正しいことを、実際に何点か代入して確認しました(\(d=1\) として計算)。
| 円周上の点 | \(r_A\) | \(r_B\) | \(r_A/r_B\) | \(2/r_A-1/r_B\) |
| \((0,0)\) | 2.000 | 1.000 | 2.000 | 0 ◎ |
| \((-4d,0)\) | 6.000 | 3.000 | 2.000 | 0 ◎ |
| \((-2d,2d)\) | 4.472 | 2.236 | 2.000 | 0 ◎ |
| \((-2d,-2d)\) | 4.472 | 2.236 | 2.000 | 0 ◎ |
どの点でも \(r_A/r_B\) がぴったり2.000になり、電位が正確に0になります ✓ x軸上の点だけでなく、y方向に離れた点でも成立することが確認できました。
この確認方法は本番でも使えます。選択肢の図から円のx軸との交点を読み取り、その点で \(r_A=2r_B\) が成り立つかを暗算すれば、正しい図が判別できます。
なぜ「小さいほうの電荷」を囲むのか
円が点B(\(-Q\)、絶対値が小さいほう)を囲むことには、直感的な理由があります。
V=0の点はBの近くに集まる
電位を打ち消し合うには、弱い電荷の近くにいる必要があります。2Qの電位は強いので、それを−Qで打ち消すには−Qにぐっと近づかなければならない——だから軌跡は−Q側に寄り、Bを取り囲む円になります。
電荷の比が大きくなるほど円は小さくなります。たとえば10Qと−Qなら \(r_A=10r_B\) となり、Bのすぐ周りの小さな円になります。逆に比が1に近づくと円は大きく広がり、比がちょうど1で直線(半径無限大の円)になります——連続的につながっているのです。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 電位はスカラー——ベクトル合成は不要、単純に足すだけ
② V=0 → 距離の比が一定(\(r_A/r_B=|q_A|/|q_B|\))
③ 絶対値が等しければ直線、違えば円(アポロニウスの円)
④ 円は絶対値の小さい電荷を囲む
⑤ 図の判別はx軸との交点で \(r_A/r_B\) を暗算して確認
💡 覚え方
「V=0は距離の比、比が1でなければ円」。しかも小さいほうの電荷を囲みます。強い電荷を打ち消すには、弱いほうに近づくしかないからです。
⚠️ よくある間違い
「V=0といえば垂直二等分線」と反射的に考えるのが最大の落とし穴です。それは電荷の絶対値が等しいときだけ。本問は2Qと−Qなので円になります。また大きいほうの電荷を囲む円を選ぶのも誤りです。
まとめ
| V=0条件 | 2/rA=1/rB → rA=2rB |
| 軌跡 | (x+2d)2+y2=(2d)2 |
| 円 | 中心(−2d,0)・半径2d、点Bを囲む |
| 答え | (4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・点電荷の電位の関連問題:【理論】令和元年度A問題1

コメント