静電界38【電験3種 理論】2つの点電荷(2Q・−Q)がつくる電位0Vの等電位線を選ぶ!平成28年 A問題1 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(静電界) 平成28年度 A問題1 2Qと−Qがつくる電界!電位0Vの線はどの形?

今回は平成28年度 理論科目 A問題1を解説します。x軸上の点A(2d,0)に2Q、点B(−d,0)に−Qの点電荷を置いたとき、xy平面上で電位が0Vとなる等電位線を表す図を(1)〜(5)から選ぶ問題です。

2点電荷の電位の和が0になる点を求めます。V=0より各点電荷からの距離の比が一定(rA=2rB)となり、その軌跡は円(アポロニウスの円)になります。小さい電荷−Q側(点B)を囲む円になる点がポイントです。

目次

平成28年度 理論科目 A問題1:問題文と選択肢

「電位0といえば垂直二等分線」と覚えていると間違えます。それは電荷の絶対値が等しいときだけ——本問は2Qと−Qなのでになります。まずは問題文を確認しましょう。

電験3種 理論科目 静電界 平成28年度 A問題1 問題文
平成28年度 理論科目 A問題1 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成28年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題1

電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成28年度 A問題1

 真空中において、図のようにx軸上で距離3d〔m〕隔てた点A(2d,0)、点B(−d,0)にそれぞれ2Q〔C〕、−Q〔C〕の点電荷が置かれている。xy平面上で電位が0Vとなる等電位線を表す図として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

xy平面上で電位が0Vとなる等電位線を表す図として、最も近いものを図中の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

図 x軸上の点電荷 2Q(点A)と −Q(点B)の配置(問題図)
図 x軸上の点電荷 2Q(点A)と −Q(点B)の配置(問題図)
(選択肢)電位が0Vとなる等電位線を表す図(1)〜(5)
(選択肢)電位が0Vとなる等電位線を表す図(1)〜(5)

出題のポイント:電位0の条件は「距離の比が一定」に化ける

電位が0になる点を探す問題です。電位はスカラー量なので、2つの電荷がつくる電位を単純に足すだけ——ベクトルの合成は不要です。

$$V=\frac{1}{4\pi\varepsilon_0}\left(\frac{2Q}{r_A}-\frac{Q}{r_B}\right)=0$$
❶ 電位の和がゼロ
負電荷なのでマイナス
$$\frac{2}{r_A}=\frac{1}{r_B}\;\Rightarrow\;r_A=2r_B$$
❷ 距離の比が確定
Qも \(\varepsilon_0\) も消える

「2点からの距離の比が一定」という条件の軌跡——これは数学でアポロニウスの円と呼ばれる図形です。比が1でなければ円、比が1なら直線(垂直二等分線)になります。

電荷の組合せ距離の比V=0の軌跡
\(+Q\) と \(-Q\)(絶対値が等しい)\(r_A=r_B\)(比が1)直線(垂直二等分線)
\(+2Q\) と \(-Q\)(本問)\(r_A=2r_B\)(アポロニウスの円)
同符号どうしV=0の点は存在しない(両方とも同じ符号の電位)

「V=0といえば垂直二等分線」と覚えていると間違えます。それは電荷の絶対値が等しいときだけ——本問は2Qと−Qで異なるので、円になります

点電荷2Qと−Qから観測点Pまでの距離rAとrB及びVイコール0の条件を示す図
V=0では正負の電位が打ち消し合い、rA=2rBになります。

問題の解説:座標で円の式を導く

STEP1 距離の比を座標で表す

観測点を \((x,y)\)、A\((2d,0)\)、B\((-d,0)\) として、\(r_A=2r_B\) を二乗します。

$$(x-2d)^2+y^2=4\left[(x+d)^2+y^2\right]$$
❸ 両辺を二乗
ルートが消える
$$x^2-4dx+4d^2+y^2=4x^2+8dx+4d^2+4y^2$$
❹ 展開
\(4d^2\) が両辺で消える
$$-3x^2-12dx-3y^2=0\;\Rightarrow\;x^2+4dx+y^2=0$$
❺ \(-3\) で割る

STEP2 平方完成して円の形にする

$$(x+2d)^2-4d^2+y^2=0$$
❻ 平方完成
$$(x+2d)^2+y^2=(2d)^2$$
❼ 円の方程式
中心 \((-2d,0)\)、半径 \(2d\)

STEP3 円の位置関係を確認して図を選ぶ

中心 \((-2d,0)\) からの距離半径 \(2d\) との比較位置
点B \((-d,0)\)\(d\)\(d<2d\)円の内部
原点 \((0,0)\)\(2d\)\(2d=2d\)円周上
点A \((2d,0)\)\(4d\)\(4d>2d\)円の外部

x軸との交点は \(x=-4d\) と \(x=0\)です。この2点を通り、点Bを内側に含み、点Aを外側に置く円——それが答えの図です。

中心マイナス2d、半径2dで点Bを囲むアポロニウスの円を示す座標図
円は原点とx=−4dを通り、点Bを内部に含み、点Aを外部に置きます。
答え中心 \((-2d,0)\)、半径 \(2d\) の円(点Bを囲む) → 選択肢(4)
電位0の条件から円の方程式を導き選択肢4を選ぶ解答手順図
中心(−2d,0)、半径2dの円になるため、正解は(4)です。

円周上の点で本当に電位0になるか確かめる

導いた円が正しいことを、実際に何点か代入して確認しました(\(d=1\) として計算)。

円周上の点\(r_A\)\(r_B\)\(r_A/r_B\)\(2/r_A-1/r_B\)
\((0,0)\)2.0001.0002.0000 ◎
\((-4d,0)\)6.0003.0002.0000 ◎
\((-2d,2d)\)4.4722.2362.0000 ◎
\((-2d,-2d)\)4.4722.2362.0000 ◎

どの点でも \(r_A/r_B\) がぴったり2.000になり、電位が正確に0になります ✓ x軸上の点だけでなく、y方向に離れた点でも成立することが確認できました。

この確認方法は本番でも使えます。選択肢の図から円のx軸との交点を読み取り、その点で \(r_A=2r_B\) が成り立つかを暗算すれば、正しい図が判別できます。

なぜ「小さいほうの電荷」を囲むのか

円が点B(\(-Q\)、絶対値が小さいほう)を囲むことには、直感的な理由があります。

$$r_A=2r_B\;\Rightarrow\;r_B=\frac{r_A}{2}<r_A$$
❽ Bのほうが常に近い
V=0の点はBの近くに集まる

電位を打ち消し合うには、弱い電荷の近くにいる必要があります。2Qの電位は強いので、それを−Qで打ち消すには−Qにぐっと近づかなければならない——だから軌跡は−Q側に寄り、Bを取り囲む円になります。

電荷の比が大きくなるほど円は小さくなります。たとえば10Qと−Qなら \(r_A=10r_B\) となり、Bのすぐ周りの小さな円になります。逆に比が1に近づくと円は大きく広がり、比がちょうど1で直線(半径無限大の円)になります——連続的につながっているのです。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
電位はスカラー——ベクトル合成は不要、単純に足すだけ
V=0 → 距離の比が一定(\(r_A/r_B=|q_A|/|q_B|\))
絶対値が等しければ直線、違えば円(アポロニウスの円)
④ 円は絶対値の小さい電荷を囲む
⑤ 図の判別はx軸との交点で \(r_A/r_B\) を暗算して確認

💡 覚え方
「V=0は距離の比、比が1でなければ円」。しかも小さいほうの電荷を囲みます。強い電荷を打ち消すには、弱いほうに近づくしかないからです。

⚠️ よくある間違い
「V=0といえば垂直二等分線」と反射的に考えるのが最大の落とし穴です。それは電荷の絶対値が等しいときだけ。本問は2Qと−Qなのでになります。また大きいほうの電荷を囲む円を選ぶのも誤りです。

まとめ

V=0条件2/rA=1/rB → rA=2rB
軌跡(x+2d)2+y2=(2d)2
中心(−2d,0)・半径2d、点Bを囲む
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・点電荷の電位の関連問題:【理論】令和元年度A問題1

📚 次に解くべき関連問題
【理論】平成29年度A問題1(静電界36)
【理論】令和元年度B問題15(静電界32)
【理論】平成28年度A問題2(静電界39)
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