今回は平成28年度 理論科目 A問題2を解説します。極板Bを接地した平行板コンデンサについて、内部の電位・電界・等電位線・電気力線に関する記述a〜dの正誤を判定し、正しい組合せを選ぶ問題です。
端効果を無視した平行板コンデンサ内部では、電界の大きさは一様です。極板AをV0、接地極板Bを0 Vとすると、電位はAからBへ一次関数として直線的に変化します。等電位線は極板に平行、電気力線は極板に垂直です。
平成28年度 理論科目 A問題2:問題文と選択肢
端効果を無視した平行板の内部は一様電界——この一言から4つの記述すべてが判定できます。争点は「電位は反比例か直線か」の1点です。まずは問題文を確認しましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成28年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題2
電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成28年度 A問題2
極板Aと極板Bとの間に一定の直流電圧を加え、極板Bを接地した平行板コンデンサに関する記述a〜dとして、正しいものの組合せを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、コンデンサの端効果は無視できるものとする。
極板Aと極板Bとの間に一定の直流電圧を加え、極板Bを接地した平行板コンデンサに関する記述a〜dのうち、正しいものの組合せを選べ(端効果は無視)。
a 極板間の電位は、極板Aからの距離に対して反比例の関係で変化する。
b 極板間の電界の強さは、極板Aからの距離に対して一定である。
c 極板間の等電位線は、極板に対して平行である。
d 極板間の電気力線は、極板に対して垂直である。(1)a (2)b (3)a, c, d (4)b, c, d (5)a, b, c, d
出題のポイント:一様電界では「電界が一定、電位は直線」
端効果を無視した平行板コンデンサの内部は一様電界です。この一言から、4つの記述すべてが判定できます。
| 量 | 極板からの距離xに対して | グラフの形 |
| 電界の強さ E | どこでも同じ \(V_0/d\) | 水平な直線 |
| 電位 φ(x) | \(V_0(1-x/d)\)——一次関数 | 右下がりの直線 |
| 等電位線 | 極板に平行 | — |
| 電気力線 | 極板に垂直 | — |
電界が一定なら電位は直線——この関係が本問の骨格です。電位は電界を距離で積み上げたものなので、電界が一定なら積み上がり方も一定、つまり直線になります。

記述aの「反比例」はなぜ誤りなのか
最も判断に迷うのが記述a「電位は距離に反比例して変化する」です。2通りの見方で否定できます。
① 式で見る
端効果を無視した平行板の性質
xの一次関数——反比例ではない
反比例なら \(\phi\propto1/x\) の形になるはずですが、実際は \(1-x/d\) という一次式です。まったく別の関数です。
② 背理法で見る
もし反比例だったら何が起きるかを考えると、一瞬で否定できます。
極板Aの電位が無限大になってしまう
極板Aの電位は有限の値 \(V_0\) です。反比例では極板そのものの電位が定義できません——だから反比例ではありえないのです。
点電荷の電位 \(V=kQ/r\) が反比例なので、その印象に引きずられると記述aを正しいと思ってしまいます。点電荷は反比例、平行板は一次関数——配置が違えば電位の形も違います。
問題の解説:4つの記述を順に判定する
V₀=100 V、d=0.02 m として電位の変化を計算しました。
| 極板Aからの距離 x | 電位 φ(x) | 反比例だったら |
| 0(極板A) | 100 V | 無限大(矛盾) |
| 0.005 m | 75 V | — |
| 0.010 m(中央) | 50 V | — |
| 0.015 m | 25 V | — |
| 0.020 m(極板B) | 0 V(接地) | — |
等間隔で25 Vずつ下がっています。これが「直線的に変化する」ということです。反比例なら間隔が広がるほど変化が緩やかになりますが、そうなっていません。
| 記述 | 内容 | 判定 | 根拠 |
| a | 電位は距離に反比例 | ★誤り | 一次関数(直線)。反比例ならx=0で発散する |
| b | 電界の強さは距離に対して一定 | 正しい | 一様電界なので \(E=V_0/d\) |
| c | 等電位線は極板に平行 | 正しい | 電位が同じ点は極板からの距離が同じ点 |
| d | 電気力線は極板に垂直 | 正しい | 力線は等電位面に直交する |


誤答の正体:aを含むか、数が足りないか
| 選択肢 | 組合せ | 問題点 | 判定 |
| (1) | a | 唯一の誤りであるaだけを選んでいる——正誤が完全に逆 | × |
| (2) | b | bは正しいが、cとdも正しいので不足 | × |
| (3) | a, c, d | c・dは正しいが、誤りのaを含む | × |
| (4) | b, c, d | 正しいものを過不足なく列挙 | ○ |
| (5) | a, b, c, d | 誤りのaを含む(全部正しいわけではない) | × |
選択肢の構造を見ると、実質的な争点はaだけです。b・c・dはいずれも正しいので、「aが正しいか誤りか」を判定できれば決着します。
(3)と(5)がaを含み、(1)はaだけ——つまりaを誤りと判定できれば(1)(3)(5)が一度に消え、残る(2)と(4)は「cとdも正しいか」で決まります。1つの判断で3つ消せる構造です。
(5)は「全部正しい」という選択肢で、迷ったときに選びたくなります。しかし4つ並べて全部正しいなら、問題として成立しにくい——出題者はどこかに誤りを混ぜるものです。
等電位線と電気力線の関係をもう一歩
記述cとdは同じことを別の角度から言っています。
等電位面に必ず垂直
等電位面に沿った方向には電位差がないので、その向きの電界成分は0です。したがって電界(=電気力線)は等電位面に垂直にしかなりえません。
平行板の場合、等電位面は極板に平行——だから電気力線は極板に垂直になります。「cが正しいならdも正しい」という連動関係があるので、片方を確認すればもう片方も決まります。
| 配置 | 等電位面の形 | 電気力線の形 |
| 平行板コンデンサ | 極板に平行な平面 | 極板に垂直な直線 |
| 点電荷 | 同心球面 | 中心から放射状 |
| 直線電荷 | 同軸円筒面 | 軸から放射状 |
どの配置でも「等電位面と電気力線は直交」——この普遍的な関係を押さえておけば、初見の配置でも力線が描けます。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 「端効果を無視」=一様電界と読み替える。ここから全部決まる
② 電界が一定 → 電位は直線(一次関数)。反比例ではない
③ 迷ったら極端な位置(x=0)を代入。発散するなら間違い
④ 等電位面と電気力線は必ず直交——c・dは連動する
⑤ 組合せ問題は争点になっている記述を見つけて、そこだけ判定する
💡 覚え方
「点電荷は反比例、平行板は直線」。電位の形は配置で決まります。平行板は電界が一定なので、電位はまっすぐ下がる坂道——一定の傾きで \(V_0\) から0へ向かいます。
⚠️ よくある間違い
点電荷の \(V=kQ/r\) の印象で「電位は反比例」と答えるのが本問の狙いです。平行板では一次関数。反比例ならx=0で無限大になり、極板の電位が決まらなくなる——この矛盾に気づけば確実に消せます。
まとめ
| a 電位 | 一次関数で変化(反比例ではない)→誤 |
| b 電界 | E=V/d一定→正 |
| c 等電位線 | 極板に平行→正 |
| d 電気力線/答え | 極板に垂直→正、答(4) |
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