静電界39【電験3種 理論】平行板コンデンサの電位・電界・等電位線・電気力線の正誤!平成28年 A問題2 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(静電界) 平成28年度 A問題2 電気力線と等電位線は直交する?平行板の正誤を判定!

今回は平成28年度 理論科目 A問題2を解説します。極板Bを接地した平行板コンデンサについて、内部の電位・電界・等電位線・電気力線に関する記述a〜dの正誤を判定し、正しい組合せを選ぶ問題です。

端効果を無視した平行板コンデンサ内部では、電界の大きさは一様です。極板AをV0、接地極板Bを0 Vとすると、電位はAからBへ一次関数として直線的に変化します。等電位線は極板に平行、電気力線は極板に垂直です。

目次

平成28年度 理論科目 A問題2:問題文と選択肢

端効果を無視した平行板の内部は一様電界——この一言から4つの記述すべてが判定できます。争点は「電位は反比例か直線か」の1点です。まずは問題文を確認しましょう。

電験3種 理論科目 静電界 平成28年度 A問題2 問題文
平成28年度 理論科目 A問題2 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成28年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題2

電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成28年度 A問題2

 極板Aと極板Bとの間に一定の直流電圧を加え、極板Bを接地した平行板コンデンサに関する記述a〜dとして、正しいものの組合せを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、コンデンサの端効果は無視できるものとする。

極板Aと極板Bとの間に一定の直流電圧を加え、極板Bを接地した平行板コンデンサに関する記述a〜dのうち、正しいものの組合せを選べ(端効果は無視)。
a 極板間の電位は、極板Aからの距離に対して反比例の関係で変化する。
b 極板間の電界の強さは、極板Aからの距離に対して一定である。
c 極板間の等電位線は、極板に対して平行である。
d 極板間の電気力線は、極板に対して垂直である。

(1)a (2)b (3)a, c, d (4)b, c, d (5)a, b, c, d

出題のポイント:一様電界では「電界が一定、電位は直線」

端効果を無視した平行板コンデンサの内部は一様電界です。この一言から、4つの記述すべてが判定できます。

極板からの距離xに対してグラフの形
電界の強さ Eどこでも同じ \(V_0/d\)水平な直線
電位 φ(x)\(V_0(1-x/d)\)——一次関数右下がりの直線
等電位線極板に平行
電気力線極板に垂直

電界が一定なら電位は直線——この関係が本問の骨格です。電位は電界を距離で積み上げたものなので、電界が一定なら積み上がり方も一定、つまり直線になります。

接地極板Bまで電位が直線的に変化し電界が一定となる平行平板コンデンサの図
電位はAからBへ直線的に変化し、その傾きから求まる電界の大きさは一定です。

記述aの「反比例」はなぜ誤りなのか

最も判断に迷うのが記述a「電位は距離に反比例して変化する」です。2通りの見方で否定できます。

① 式で見る

$$E=\frac{V_0}{d}\;(\text{一定})$$
❶ 一様電界
端効果を無視した平行板の性質
$$\phi(x)=V_0-\int_0^x E\,dx’=V_0-\frac{V_0}{d}x=V_0\left(1-\frac{x}{d}\right)$$
❷ 電位は電界の積分
xの一次関数——反比例ではない

反比例なら \(\phi\propto1/x\) の形になるはずですが、実際は \(1-x/d\) という一次式です。まったく別の関数です。

② 背理法で見る

もし反比例だったら何が起きるかを考えると、一瞬で否定できます。

$$\phi\propto\frac{1}{x}\;\Rightarrow\;\lim_{x\to0}\phi=\infty$$
❸ x=0で発散する
極板Aの電位が無限大になってしまう

極板Aの電位は有限の値 \(V_0\) です。反比例では極板そのものの電位が定義できません——だから反比例ではありえないのです。

点電荷の電位 \(V=kQ/r\) が反比例なので、その印象に引きずられると記述aを正しいと思ってしまいます。点電荷は反比例、平行板は一次関数——配置が違えば電位の形も違います。

問題の解説:4つの記述を順に判定する

平行板コンデンサ内部(端効果を無視)
$$E=\frac{V_0}{d}\;(\text{一定}),\qquad \phi(x)=V_0\left(1-\frac{x}{d}\right)$$

電界が一定 → 電位は直線。この対応を押さえれば記述a・bは同時に判定できます。

V₀=100 V、d=0.02 m として電位の変化を計算しました。

極板Aからの距離 x電位 φ(x)反比例だったら
0(極板A)100 V無限大(矛盾)
0.005 m75 V
0.010 m(中央)50 V
0.015 m25 V
0.020 m(極板B)0 V(接地)

等間隔で25 Vずつ下がっています。これが「直線的に変化する」ということです。反比例なら間隔が広がるほど変化が緩やかになりますが、そうなっていません。

記述内容判定根拠
a電位は距離に反比例★誤り一次関数(直線)。反比例ならx=0で発散する
b電界の強さは距離に対して一定正しい一様電界なので \(E=V_0/d\)
c等電位線は極板に平行正しい電位が同じ点は極板からの距離が同じ点
d電気力線は極板に垂直正しい力線は等電位面に直交する
平行平板間の電位分布と一定電界および等電位線と電気力線の向きを示す図
等電位線は極板に平行、電気力線は極板に垂直です。
答え正しいのはb、c、d → 選択肢(4)
記述aからdを電位と電界の性質から判定し選択肢4を導く解説図
aは誤り、b・c・dは正しいため、正答は(4)です。

誤答の正体:aを含むか、数が足りないか

選択肢組合せ問題点判定
(1)a唯一の誤りであるaだけを選んでいる——正誤が完全に逆×
(2)bbは正しいが、cとdも正しいので不足×
(3)a, c, dc・dは正しいが、誤りのaを含む×
(4)b, c, d正しいものを過不足なく列挙
(5)a, b, c, d誤りのaを含む(全部正しいわけではない)×

選択肢の構造を見ると、実質的な争点はaだけです。b・c・dはいずれも正しいので、「aが正しいか誤りか」を判定できれば決着します。

(3)と(5)がaを含み、(1)はaだけ——つまりaを誤りと判定できれば(1)(3)(5)が一度に消え、残る(2)と(4)は「cとdも正しいか」で決まります。1つの判断で3つ消せる構造です。

(5)は「全部正しい」という選択肢で、迷ったときに選びたくなります。しかし4つ並べて全部正しいなら、問題として成立しにくい——出題者はどこかに誤りを混ぜるものです。

等電位線と電気力線の関係をもう一歩

記述cとdは同じことを別の角度から言っています

$$\vec{E}=-\mathrm{grad}\,\phi$$
❹ 電界は電位の最急降下方向
等電位面に必ず垂直

等電位面に沿った方向には電位差がないので、その向きの電界成分は0です。したがって電界(=電気力線)は等電位面に垂直にしかなりえません。

平行板の場合、等電位面は極板に平行——だから電気力線は極板に垂直になります。「cが正しいならdも正しい」という連動関係があるので、片方を確認すればもう片方も決まります。

配置等電位面の形電気力線の形
平行板コンデンサ極板に平行な平面極板に垂直な直線
点電荷同心球面中心から放射状
直線電荷同軸円筒面軸から放射状

どの配置でも「等電位面と電気力線は直交」——この普遍的な関係を押さえておけば、初見の配置でも力線が描けます。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
「端効果を無視」=一様電界と読み替える。ここから全部決まる
電界が一定 → 電位は直線(一次関数)。反比例ではない
③ 迷ったら極端な位置(x=0)を代入。発散するなら間違い
等電位面と電気力線は必ず直交——c・dは連動する
⑤ 組合せ問題は争点になっている記述を見つけて、そこだけ判定する

💡 覚え方
「点電荷は反比例、平行板は直線」。電位の形は配置で決まります。平行板は電界が一定なので、電位はまっすぐ下がる坂道——一定の傾きで \(V_0\) から0へ向かいます。

⚠️ よくある間違い
点電荷の \(V=kQ/r\) の印象で「電位は反比例」と答えるのが本問の狙いです。平行板では一次関数。反比例ならx=0で無限大になり、極板の電位が決まらなくなる——この矛盾に気づけば確実に消せます。

まとめ

a 電位一次関数で変化(反比例ではない)→誤
b 電界E=V/d一定→正
c 等電位線極板に平行→正
d 電気力線/答え極板に垂直→正、答(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・平行平板コンデンサの電界の関連問題:【理論】令和4年度上期A問題1

📚 次に解くべき関連問題
【理論】平成28年度B問題17(静電界40)
【理論】平成27年度A問題1(静電界41)
【理論】平成30年度B問題17(静電界35)
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