静電界41【電験3種 理論】平行板コンデンサでd(極板間距離)を変えたときの誤りはどれ?平成27年 A問題1 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(静電界) 平成27年度 A問題1 極板間隔dを変えると何が変わる?誤りの記述を暴け!

今回は平成27年度 理論科目 A問題1を解説します。平行板コンデンサで極板間距離dを変えたとき、静電容量C・電圧V・電界E・電荷Qがどう変化するかの記述(1)〜(5)から、誤っているものを1つ選ぶ問題です。

ポイントは、極板面積Aと誘電率εが一定で端効果を無視できる本問では、電荷Q一定なら電界E=Q/(εA)が極板間距離dにかかわらず一定になることです。E=V/dも成立しますが、Q一定ではVそのものがdに比例して変化します。

目次

平成27年度 理論科目 A問題1:問題文と選択肢

5つの記述はすべて「dを大きくすると〜」ですが、「Q一定」と「V一定」の2種類が混在しています。条件を見分けないと1つも判定できません。まずは問題文を確認しましょう。

電験3種 理論科目 静電界 平成27年度 A問題1 問題文
平成27年度 理論科目 A問題1 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成27年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題1

電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成27年度 A問題1

 平行平板コンデンサにおいて、極板間の距離、静電容量、電圧、電界をそれぞれd〔m〕、C〔F〕、V〔V〕、E〔V/m〕、極板上の電荷をQ〔C〕とするとき、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、極板の面積及び極板間の誘電率は一定であり、コンデンサの端効果は無視できるものとする。

(1) Qを一定としてdを大きくすると、Cは減少する。
(2) Qを一定としてdを大きくすると、Eは上昇する。
(3) Qを一定としてdを大きくすると、Vは上昇する。
(4) Vを一定としてdを大きくすると、Eは減少する。
(5) Vを一定としてdを大きくすると、Qは減少する。

出題のポイント:「Q一定」か「V一定」かで結論が変わる

5つの記述はすべて「dを大きくすると〜」という形ですが、前提条件が2種類に分かれています

記述前提何が変化するか
(1)(2)(3)Qを一定C、V、E
(4)(5)Vを一定E、Q

この区別を最初に押さえないと、どの記述も判定できません。同じ「dを大きくする」でも、電荷を固定するか電圧を固定するかで各量の振る舞いが変わります。

使う式は3つだけです。

平行平板コンデンサの基本3式
$$C=\frac{\varepsilon A}{d},\qquad Q=CV,\qquad E=\frac{V}{d}$$

面積Aと誘電率εは一定という条件が問題文にあります。変わるのはdだけです。

平行板コンデンサの極板間距離を広げたときのQ一定条件とV一定条件の違いを示す比較図
Q一定ではEは変化せず、V一定ではEとQが減少します。

Q一定のとき、なぜ電界が変わらないのか

本問の答えはここに集約されます。電荷を固定したままdを変えても、電界は一切変わりません

$$V=\frac{Q}{C}=\frac{Qd}{\varepsilon A}$$
❶ 電圧はdに比例して上がる
Cが減るぶんVが増える
$$E=\frac{V}{d}=\frac{Qd}{\varepsilon A d}=\frac{Q}{\varepsilon A}$$
❷ dが約分で消える
電界はdに無関係

❷でdが消えるのが決定的です。分子と分母の両方にdが現れて打ち消し合います。

物理的にはこう理解できます。電界を作るのは極板上の電荷密度 \(Q/A\) です。極板を引き離しても電荷は逃げないので、電荷密度は変わりません——だから電界も変わらないのです。

$$E=\frac{\sigma}{\varepsilon}=\frac{Q/A}{\varepsilon}=\frac{Q}{\varepsilon A}$$
❸ 面電荷密度から見る
距離が式に入らない

「\(E=V/d\) だからdを大きくすればEは減るはず」と考えるのも自然ですが、それはVが一定の場合の話です。Q一定ではVもdに比例して増えるので、比であるEは変わりません。

問題の解説:数値表で一気に確認する

\(\varepsilon A=1\) と規格化し、dを1→2→4と変えたときの各量を計算しました。

dQ一定:CVEV一定:CQE
11.0001.0001.0001.0001.0001.000
20.5002.0001.0000.5000.5000.500
40.2504.0001.0000.2500.2500.250

Q一定のE列だけが1.000のまま動きません。これが記述(2)「Eは上昇する」が誤りである決定的な証拠です。

記述内容判定
(1)Q一定でdを大きくするとCは減少\(C=\varepsilon A/d\)正しい
(2)Q一定でdを大きくするとEは上昇\(E=Q/(\varepsilon A)\):dを含まない★誤り(一定)
(3)Q一定でdを大きくするとVは上昇\(V=Qd/(\varepsilon A)\)正しい
(4)V一定でdを大きくするとEは減少\(E=V/d\)正しい
(5)V一定でdを大きくするとQは減少\(Q=\varepsilon AV/d\)正しい
静電容量C、電荷Q、電圧V、電界Eを結ぶ三つの基本式と変化を示す図
C=εA/d、Q=CV、E=V/dを条件に応じて組み合わせます。
答え誤っているのは選択肢(2)(Q一定では \(E=Q/(\varepsilon A)\) でdに無関係)
平行板コンデンサに関する五つの選択肢をQ一定とV一定に分けて判定する解答図
Q一定でdを増やしてもEは一定なので、誤っている記述は(2)です。

極板を引き離す仕事はどこへ行くのか

Q一定で極板を引き離すと、静電エネルギーが増えます。電界は変わらないのに、なぜでしょうか。

$$W=\frac{Q^2}{2C}=\frac{Q^2d}{2\varepsilon A}$$
❹ dに比例して増える
Cが減るのでWは増える

増えた分は、極板を引き離すために外部がした仕事です。極板は互いに引き合っている(正と負なので)ので、引き離すには力が要ります。その仕事がそのまま静電エネルギーとして蓄えられます

「電界は同じなのにエネルギーが増える」のは、電界が存在する空間の体積が増えたからです。エネルギー密度 \(\frac12\varepsilon E^2\) は一定でも、体積 \(Ad\) が増えるので総量が増えます。

$$W=\frac12\varepsilon E^2\times(Ad)$$
❺ エネルギー密度×体積
密度一定・体積増加

一方V一定(電源につないだまま)で引き離すと、エネルギーは減ります。\(W=\frac12CV^2\) でCが減るからです。減った分は電荷が電源へ戻る形で回収されます。同じ操作でも条件次第で増減が逆——ここでも条件確認が効いてきます。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① 記述ごとに「Q一定」か「V一定」かを丸で囲んでから読む
Q一定 → \(E=Q/(\varepsilon A)\) でdに無関係(最重要)
V一定 → \(E=V/d\) でdに反比例
④ Cはどちらの条件でも \(\varepsilon A/d\)——形状だけで決まる
⑤ 迷ったらd=1と2で数値を入れて比べる。変化しない量が一目で分かる

💡 覚え方
「Q一定なら電界は動かない」。電界を決めるのは極板の電荷密度であって、距離ではありません。極板を引き離しても電荷は逃げないので、電界もそのまま——\(E=Q/(\varepsilon A)\) にdが入らないのがその証拠です。

⚠️ よくある間違い
\(E=V/d\) だけを見て「dが増えればEは減る」と判断するのが最大の落とし穴です。この式自体は正しいのですが、Q一定ではVもdに比例して増えるため、比であるEは変わりません。条件を確認してから式を選ぶのが鉄則です。

まとめ

(1)Q一定d↑C↓(正)
(2)Q一定d↑E一定(「上昇」は誤り)
(3)Q一定d↑V↑(正)
(4)(5)V一定d↑/答E↓・Q↓(正)、答(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・平行平板コンデンサの関連問題:【理論】令和4年度上期A問題1

📚 次に解くべき関連問題
【理論】平成28年度B問題17(静電界40)
【理論】平成28年度A問題2(静電界39)
【理論】平成26年度A問題1(静電界43)
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