静電界43【電験3種 理論】誘電体中に挿入した導体の電位を求める!平成26年 A問題1 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(静電界) 平成26年度 A問題1 誘電体の中に導体を挿入!その電位は何V?

今回は平成26年度 理論科目 A問題1を解説します。比誘電率εr=2の誘電体で満たされ、電圧V0を加えた平行板コンデンサ(極板間距離d)に、厚さd/4の帯電していない導体を極板と平行に挿入したとき、その導体の電位を求める問題です。

静電平衡では導体内部の電界は0で、導体に電圧降下は生じません。また、挿入した導体は帯電していないため、上下の誘電体に現れる電束密度Dの大きさは等しくなります。両側は同じ誘電体なので電界Eも共通です。誘電体の合計厚さ3d/4にV0がかかり、接地極板Bから厚さd/4だけ上がった導体の電位を求めます。

目次

平成26年度 理論科目 A問題1:問題文と選択肢

導体を挿入するとその厚さぶんだけ「電圧のかかる距離」が減ります。導体内部は電界0——電圧を消費しないからです。まずは問題文を確認しましょう。

電験3種 理論科目 静電界 平成26年度 A問題1 問題文
平成26年度 理論科目 A問題1 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成26年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題1

電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成26年度 A問題1

 極板A−B間が比誘電率εr=2の誘電体で満たされた平行平板コンデンサがある。極板間の距離はd〔m〕、極板間の直流電圧はV0〔V〕である。極板と同じ形状と大きさをもち、厚さがd/4〔m〕の帯電していない導体を図に示す位置P−Q間に極板と平行に挿入したとき、導体の電位の値〔V〕として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、コンデンサの端効果は無視できるものとする。

(1)V0/8 (2)V0/6 (3)V0/4 (4)V0/3 (5)V0/2

図 誘電体(εr=2)中に厚さd/4の導体を挿入した平行平板コンデンサ(問題図)
図 誘電体(εr=2)中に厚さd/4の導体を挿入した平行平板コンデンサ(問題図)

出題のポイント:導体を挟むと「電圧のかかる厚さ」が減る

平行板コンデンサに厚さ \(d/4\) の導体を挿入します。この導体が何をするのかを押さえれば、あとは比例配分だけです。

$$E_{\text{導体内}}=0\;\Rightarrow\;(\text{導体内の電圧降下})=0$$
❶ 静電平衡
導体は電圧を消費しない

電圧 \(V_0\) がかかるのは誘電体の部分だけです。導体の厚さ \(d/4\) は「電気的に存在しない」のと同じ——だから実質的な厚さは \(d-d/4=3d/4\) になります。

部分厚さ電圧降下があるか
上側の誘電体\(d/2\)ある
挿入した導体\(d/4\)ない(E=0)
下側の誘電体\(d/4\)ある
電圧がかかる合計\(3d/4\)
平行板コンデンサに厚さd/4の無帯電導体を挿入したときの距離と電界を示す断面図
導体内部はE=0。上下の誘電体では電界が共通で、電圧降下は厚さd/2とd/4に比例します。

なぜ上下の誘電体で電界が同じになるのか

上側は \(d/2\)、下側は \(d/4\) と厚さが違います。それでも電界の強さは同じです。理由は「導体が帯電していない」ことにあります。

$$(\text{導体上面の誘導電荷})+(\text{導体下面の誘導電荷})=0$$
❷ 無帯電の条件
静電誘導で現れる電荷は等量・異符号
$$|D_{\text{上}}|=|D_{\text{下}}|$$
❸ 電束密度の大きさが等しい
上下の誘電体を貫く電束が同じ
$$E=\frac{D}{\varepsilon}\;\Rightarrow\;E_{\text{上}}=E_{\text{下}}$$
❹ 同じ誘電体なので
\(\varepsilon\) が同じだからEも同じ

上下の誘電体は「導体を共通電極とする直列コンデンサ」と見なせます。直列なら電束密度が共通——それが上下で電界が等しい理由です。

比誘電率 \(\varepsilon_r=2\) は答えに影響しません。上下が同じ誘電体なので、比を取ると相殺されるからです。問題文に与えられていても使わない値がある——これも一つの見どころです。

問題の解説:電界を求めて厚さを掛ける

使う関係
$$V_0=E\times(\text{誘電体の合計厚さ}),\qquad V_{\text{導体}}=E\times(\text{接地側からの誘電体の厚さ})$$

導体の厚さは足さない。電圧降下がないからです。

STEP1 誘電体内の電界を求める

$$V_0=E\left(\frac{d}{2}+\frac{d}{4}\right)=E\cdot\frac{3d}{4}$$
❺ 電圧は誘電体だけにかかる
$$E=\frac{4V_0}{3d}$$
❻ 電界が確定
導体がない場合(\(V_0/d\))より4/3倍強い

導体を入れると電界が強くなります。同じ電圧を狭い範囲で受け持つことになるからです——平成30年度A問題2で扱った「有効電気厚さ」の考え方と同じ現象です。

STEP2 導体の電位を求める

極板Bが接地(0 V)なので、Bから導体までの電圧降下がそのまま導体の電位になります。

$$V_c=E\times\frac{d}{4}=\frac{4V_0}{3d}\times\frac{d}{4}=\frac{V_0}{3}\;[\mathrm{V}]$$
❼ 下側の誘電体を通る
\(d\) が約分で消える

上側から検算:\(V_0-E\times d/2=V_0-\frac{2V_0}{3}=\frac{V_0}{3}\)——一致します

二つの誘電体ギャップを直列コンデンサとして表した等価回路と電圧分担図
上側と下側の電圧降下は2:1で、接地側から見た導体電位はV₀/3です。
答え\(V_c=\dfrac{V_0}{3}\;[\mathrm{V}]\) → 選択肢(4)
接地極板から導体までの電位上昇と選択肢4を示す電位分布グラフ
Bを0 Vとすると、下側誘電体d/4の電圧降下がV₀/3なので導体電位はV₀/3です。

誤答の正体:導体の厚さをどう扱うか

典型的な誤りを実際に計算し、選択肢と照合しました。

誤り方計算得られる電位選択肢との対応
導体の厚さを無視し \(E=V_0/d\) とする\(V_0/d\times d/4\)\(V_0/4\)(3) に一致
有効厚さを \(d\)、下側を \(d/2\) とする\(V_0/d\times d/2\)\(V_0/2\)(5) に一致
導体の厚さを下側に含める\(E\times d/2\)\(2V_0/3\)選択肢になし
正しい計算\(E\times d/4\)\(V_0/3\)(4) に一致

(3)の \(V_0/4\) が最も引っかかりやすい誤りです。「Bから \(d/4\) の位置だから \(V_0\) の1/4」——比例配分としては自然な考え方ですが、導体が \(d/4\) を占めているぶん電界が強くなっていることを見落としています。

導体を入れた効果は「電界が4/3倍になる」——だから \(V_0/4\times4/3=V_0/3\) です。(3)を選んだ人は、導体の存在を電位計算に反映できていないということになります。

導体でなく誘電体を入れたらどうなるか

比較すると導体の特殊性がはっきりします。厚さ \(d/4\) の別の材料を入れた場合を並べてみます。

挿入するものその部分の電界有効な電気的厚さ電界が強くなる度合い
何も入れない\(E_0=V_0/d\)\(d\)1倍(基準)
導体(本問)0\(3d/4\)4/3倍
比誘電率2倍の誘電体元の半分\(3d/4+d/8=7d/8\)8/7倍
同じ誘電体(変化なし)元と同じ\(d\)1倍

導体は「誘電率が無限大の誘電体」の極限と考えられます。誘電率が大きいほどその部分の電界が弱まり、極限では0——厚さがまるごと消えたのと同じになります。

実務では、絶縁物の中に金属片が混入すると危険です。その部分の電圧降下が0になるぶん、残りの絶縁層に電界が集中します。製造時の異物混入検査が重視されるのはこのためです。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
導体の内部は E=0 → 電圧降下0。厚さを「引き算」する
② 電圧がかかるのは誘電体の合計厚さだけ(本問なら \(3d/4\))
無帯電導体の上下では電束密度が等しい——同じ誘電体なら電界も等しい
④ 電位は接地側からの誘電体の厚さ × 電界
⑤ 検算は反対側からも計算して一致するか見る

💡 覚え方
「導体は厚さを食べる」。導体を挟むと、その厚さぶんだけ電圧のかかる距離が減ります。残りの誘電体が同じ電圧を分担するので、電界はそのぶん強くなります。

⚠️ よくある間違い
導体の厚さを電圧配分に含めてしまうのが最頻出のミスです。「Bから \(d/4\) だから \(V_0/4\)」(選択肢(3))と考えがちですが、導体があるぶん電界が4/3倍になっているので \(V_0/3\) が正解です。

まとめ

有効厚さ誘電体 d/2+d/4=3d/4
誘電体内の電界E=4V0/(3d)
導体の電位E×d/4=V0/3
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・誘電体コンデンサの電界の関連問題:【理論】令和5年度下期A問題1

📚 次に解くべき関連問題
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【理論】平成30年度B問題17(静電界35)
【理論】平成27年度A問題2(静電界42)
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