静電界50【電験3種 理論】空気コンデンサに固体誘電体・導体を挿入したときの電位と容量の誤りは?平成24年 A問題2 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(静電界) 平成24年度 A問題2 誘電体か導体か!挿入したときの記述で誤りはどれ?

今回は平成24年度 理論科目 A問題2を解説します。電圧V0を一定に保った空気コンデンサのP-Q間に固体誘電体(ε1>ε0)を挿入したときの電位や静電容量の変化について、記述(1)〜(5)から誤っているものを選ぶ問題です。

固体誘電体を入れた場合は、自由界面電荷がないため各層の電束密度Dが共通となり、空気部の電界が挿入前より強くなります。一方、導体に変えた場合は導体内部の電界が0となり、P-Q間は等電位です。いずれの場合も位置Pの電位は挿入前より低下するため、「上昇する」とした(4)が誤りです。

目次

平成24年度 理論科目 A問題2:問題文と選択肢

まずは、平成24年度に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

電験3種 理論科目 静電界 平成24年度 A問題2 問題文
平成24年度 理論科目 A問題2 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成24年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題2

電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成24年度 A問題2

 極板A-B間が誘電率ε0〔F/m〕の空気で満たされている平行平板コンデンサの空気ギャップ長をd〔m〕、静電容量をC0〔F〕とし、極板間の直流電圧をV0〔V〕とする。極板と同じ形状と面積を持ち、厚さがd/4〔m〕、誘電率ε1〔F/m〕の固体誘電体(ε1>ε0)を図に示す位置P-Q間に極板と平行に挿入すると、コンデンサ内の電位分布は変化し、静電容量はC1〔F〕に変化した。このとき、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、空気の誘電率をε0、コンデンサの端効果は無視できるものとし、直流電圧V0〔V〕は一定とする。

(1) 位置Pの電位は、固体誘電体を挿入する前の値よりも低下する。
(2) 位置Qの電位は、固体誘電体を挿入する前の値よりも上昇する。
(3) 静電容量C1〔F〕は、C0〔F〕よりも大きくなる。
(4) 固体誘電体を導体に変えた場合、位置Pの電位は固体誘電体又は導体を挿入する前の値よりも上昇する。
(5) 固体誘電体を導体に変えた場合の静電容量C2〔F〕は、C0〔F〕よりも大きくなる。

図 空気コンデンサのP-Q間に固体誘電体を挿入した構成(問題図)
図 空気コンデンサのP-Q間に固体誘電体を挿入した構成(問題図)

出題のポイント:電圧一定のまま誘電体を入れると、空気側の電界が強くなる

電源をつないだまま(\(V_0\) 一定)誘電体を入れる問題です。電荷一定の問題と混同しないのが第一関門です。

挿入後に何が起きるか
$$V_0=E_{\text{air}}\cdot\frac{3d}{4}+E_{\text{diel}}\cdot\frac{d}{4},\qquad E_{\text{diel}}=\frac{\varepsilon_0}{\varepsilon_1}E_{\text{air}}$$$$\Longrightarrow\quad E_{\text{air}}=\frac{4V_0}{d\left(3+\dfrac{\varepsilon_0}{\varepsilon_1}\right)}\;>\;\frac{V_0}{d}=E_0$$

誘電体が電圧を分担しなくなった分を、空気層が背負い込みます。全体の電圧 \(V_0\) は変わらないので、空気側の電界は必ず強くなります。

左極板AがV0、右極板Bが0Vの平行板コンデンサでPとQの位置および挿入前後の電位分布を示す図
挿入前はP=3V₀/4、Q=V₀/2です。誘電体では傾きが変わり、導体ではP-Q間が等電位になります。

数値で見る:誘電率が大きいほど空気側にしわ寄せが来る

\(\varepsilon_1/\varepsilon_0\)空気部の電界静電容量 \(C_1/C_0\)
2\(1.14\,E_0\)1.14
4\(1.23\,E_0\)1.23
10\(1.29\,E_0\)1.29
∞(=導体)\(1.33\,E_0\)1.33(=4/3)

容量は必ず増え、その上限は \(4/3\) 倍です。厚さ \(d/4\) の層が実質的に消える(=ギャップが \(3d/4\) になる)のが限界だからです。導体を入れたときがちょうどこの上限にあたります。

各記述の判定

下側の極板を0 V、上側の極板を \(V_0\) とし、Pは誘電体の上面(上の極板に近い側)、Qは下面とします。

(1) 位置Pの電位は低下する → 正しい

Pの電位は \(V_0\) から「Pより上の空気層での電圧降下」を引いた値です。空気部の電界が強くなったのでこの電圧降下が増え、Pの電位は下がります

(2) 位置Qの電位は上昇する → 正しい

Qの電位は「Qより下の空気層での電圧降下」そのもの(下の極板が0 V なので)。空気部の電界が強くなった分この値が増え、Qの電位は上がります

Pが下がり、Qが上がる——つまりP-Q間の電位差が縮まっています。これが「誘電体が電圧を分担しなくなった」ことの直接的な現れです。

(3) \(C_1\) は \(C_0\) より大きくなる → 正しい

誘電体を入れれば容量は必ず増えます。同じ電圧でより多くの電荷を蓄えられるようになるのが誘電体の役割です。

(4) 導体に変えるとPの電位は上昇する → ★これが誤り

導体に変えると導体内部の電界はゼロになり、P-Q間は完全に等電位になります。電圧 \(V_0\) はすべて厚さ \(3d/4\) の空気層にかかるので、電界は \(\dfrac{4V_0}{3d}=1.33\,E_0\) です。

$$V_P=V_0-E\times(\text{Pより上の空気の厚さ})$$
Pの電位
上の極板から電圧降下を引く
$$E\;\text{が}\;1.33\,\text{倍}\;\Rightarrow\;\text{電圧降下も}\;1.33\,\text{倍}$$
電界が強くなった
$$\Rightarrow\;V_P\;\text{は挿入前より}\;\textbf{低下}$$
結論
「上昇する」は誤り

誘電体のときと同じ向きに変化します。導体は「\(\varepsilon_1\to\infty\) の極限」なので、当然といえば当然です。「導体に変えたら逆になるのでは」と考えさせるのが、この選択肢の狙いです。

(5) 導体の場合の \(C_2\) は \(C_0\) より大きくなる → 正しい

\(C_2=\dfrac{\varepsilon_0 A}{3d/4}=\dfrac43 C_0\)。導体を挟むと、その厚さのぶんギャップが縮んだのと同じになるので容量は増えます。

固体誘電体挿入時と導体挿入時を分けて電界・電位・静電容量を計算する比較図
誘電体ではDを共通として計算し、導体では内部E=0として空気ギャップ3d/4を使います。
答え誤っているのは 選択肢(4)
平成24年度理論A問題2の五つの記述を判定し誤りが選択肢4であることを示す解答図
導体挿入後のPは2V₀/3で、挿入前の3V₀/4より低下するため、誤りは(4)です。

まとめ表:誘電体と導体で何が同じで何が違うか

挿入前誘電体 \(\varepsilon_1\) を挿入導体を挿入
空気部の電界\(E_0\)\(E_0\) より強い\(1.33E_0\)(最強)
挿入物の内部の電界\(\dfrac{\varepsilon_0}{\varepsilon_1}E_{\text{air}}\)(弱い)0
Pの電位基準低下低下
Qの電位基準上昇上昇
P-Q間の電位差\(V_0/4\)縮む0(等電位)
静電容量\(C_0\)\(C_0<C_1<\dfrac43C_0\)\(\dfrac43C_0\)

誘電体も導体も、変化の「向き」はすべて同じです。導体は誘電体の極端な場合(\(\varepsilon_1\to\infty\))にすぎません。この見方ができれば(4)の誤りは一瞬で分かります。

⚠️ よくある間違い
「電圧一定」と「電荷一定」を取り違えるのが最大の落とし穴です。電源をつないだままなら電圧一定で、電荷と容量が増えます。電源を外してからなら電荷一定で、電圧が下がります。問題文に「直流電圧 \(V_0\) は一定とする」と明記されているので、本問は前者です。

⏱️ 本番での進め方
❶ まず「電圧一定か電荷一定か」を確認する。本問は電圧一定。
❷ 空気部の電界は必ず強くなると押さえる。ここから(1)(2)は自動的に決まる。
❸ 導体=\(\varepsilon_1\to\infty\) と読み替える。変化の向きは誘電体と同じ、大きさが最大になるだけ。
❹ 「誤っているもの」を選ぶ問題。正しい記述に印をつけながら消去法で進める。4つ正しいと確認できれば残り1つが答え。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

(1) 誘電体後のP3V0/4より低下:正しい
(2) 誘電体後のQV0/2より上昇:正しい
(3) C1C1/C0=4ε1/(3ε1+ε0)>1:正しい
(4) 導体後のP2V0/3へ低下:「上昇」は誤り
(5) C2C2=4C0/3:正しい
答え(4)

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