今回は平成23年度 理論科目 A問題2を解説します。1000Vで充電した8μFの平行板コンデンサを電源から外し、電荷を保持したまま極板間距離を1/2に縮めたときの、静電容量とエネルギーの組合せを求める問題です。
電源から外した後は電荷Q=8mCが一定です。極板面積と誘電率が変わらず端効果を無視すると、極板間距離を1/2にしたときC=εA/dより静電容量は2倍の16μFになります。Q=CVより電圧は1000Vから500Vへ半分になり、W=Q2/(2C)より静電エネルギーも4Jから2Jへ半分になります。
平成23年度 理論科目 A問題2:問題文と選択肢
「電源から外した後」=電荷一定——この一文が問題全体を決めます。電圧一定の場合とはエネルギーの増減が正反対になります。まずは問題文を確認しましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成23年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題2
電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成23年度 A問題2
直流電圧1000〔V〕の電源で充電された静電容量8〔μF〕の平行平板コンデンサがある。コンデンサを電源から外した後に電荷を保持したままコンデンサの電極間距離を最初の距離の1/2に縮めたとき、静電容量〔μF〕と静電エネルギー〔J〕の値の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
静電容量 静電エネルギー (1) 16 4 (2) 16 2 (3) 16 8 (4) 4 4 (5) 4 2
出題のポイント:電源を外したら「電荷が一定」
「電源から外した後に電荷を保持したまま」——この一文が問題全体を決めます。
| 条件 | 固定される量 | 極板間隔を半分にすると |
| 電荷一定(本問) | Q | \(C\) 2倍、\(V\) 半分、\(W\) 半分 |
| 電圧一定(電源につないだまま) | V | \(C\) 2倍、\(Q\) 2倍、\(W\) 2倍 |
同じ「間隔を半分にする」操作でも、エネルギーの増減が正反対になります。条件を取り違えると答えが逆になるので、まずここを確定させてください。

問題の解説:Qを求めてから追いかける
STEP1 初期状態を確定する
STEP2 間隔を半分にする
\(C\propto1/d\)
Qが同じでCが2倍だから
STEP3 エネルギーを求める
別ルートでも確認:\(W’=\frac12C’V’^2=\frac12\times16\times10^{-6}\times500^2=2\;\mathrm{J}\)——一致します ✓


電界は変わらないことに注目する
興味深いのは電界です。電圧が半分、距離も半分——だから電界は変わりません。
不変
そもそも \(d\) を含まない
電荷一定なら電界は距離によらない——極板上の電荷密度が電界を決めており、電荷も面積も変わっていないからです。この視点なら計算せずに「電界は不変」と即答できます。
減った2 Jはどこへ行ったのか
エネルギーが 4 J → 2 J と半減しました。消えたわけではありません。
極板は互いに引き合っています(正と負なので)。だから近づけるときは、引力に引かれて勝手に近づこうとします——外部が押す必要はなく、むしろ外部が仕事を受け取る形になります。
| 操作 | 極板間力との関係 | エネルギーの変化 | 外部との仕事のやりとり |
| 近づける(本問) | 引力の向きに動く | 減る(4→2 J) | 外部が仕事を受け取る |
| 引き離す | 引力に逆らう | 増える | 外部が仕事をする |
エネルギー保存は成り立っています。減った2 Jは、極板を支える機構が受け取った機械的な仕事です。「エネルギーが減った=おかしい」ではありません。
誤答の正体:どこで手を止めるか
| 選択肢 | 容量 | エネルギー | 何を間違えたか | 判定 |
| (1) | 16 μF ○ | 4 J × | 容量は正しいがエネルギーが不変と考えた | × |
| (2) | 16 μF | 2 J | 正解 | ○ |
| (3) | 16 μF ○ | 8 J × | \(W=\frac12C’V^2\) でVを1000Vのままにした | × |
| (4) | 4 μF × | 4 J × | \(C\propto d\) と誤解(正しくは反比例) | × |
| (5) | 4 μF × | 2 J | 容量を半分と誤解 | × |
(3)の8 Jが最も惜しい誤りです。容量が2倍になったことは正しく反映できているのに、電圧も変わることを忘れて1000 Vのまま代入してしまう——\(\frac12\times16\times10^{-6}\times1000^2=8\;\mathrm{J}\) となります。
電荷一定なら \(W=Q^2/(2C)\) を使うのが安全です。この式なら電圧を経由しないので、変わった量を入れ忘れる心配がありません。
(4)は \(C=\varepsilon A/d\) の \(d\) が分母にあることを見落としたケースです。距離を縮めれば容量は増える——極板が近いほど多くの電荷を蓄えられるからです。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 「電源を外した」=電荷一定。まずここを確定させる
② \(C\propto1/d\)——間隔を半分にすれば容量は2倍
③ 電荷一定なら\(W=Q^2/(2C)\) を使う(電圧を経由しない)
④ 電荷一定では電界が \(d\) によらない(\(E=Q/(\varepsilon A)\))
⑤ 近づけるとエネルギーは減る(引力の向きに動くから)
💡 覚え方
「電荷一定なら、近づけて楽になる」。極板は引き合っているので、近づけるのに力は要りません。エネルギーは減る——容量が増えたぶん \(Q^2/(2C)\) が小さくなります。
⚠️ よくある間違い
電圧が変わることを忘れるのが最頻出です。\(W=\frac12CV^2\) を使うなら\(V’=500\;\mathrm{V}\) を入れる必要があります。1000 Vのままだと8 J(選択肢(3))になります。電荷一定なら \(Q^2/(2C)\) のほうが安全です。
まとめ
| 電荷 | Q=8×10−3C=8mC(一定) |
| 容量 | d′=d/2 → C′=2C=16μF |
| 電圧・電界 | V′=500V、E′=E |
| エネルギー | W0=4J → W′=2J |
| 答え | (2) 静電容量16μF・静電エネルギー2J |
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