今回は平成20年度 理論科目 A問題2を解説します。平行板コンデンサに蓄えられるエネルギーW〔J〕を、誘電率ε・誘電体の体積V・電界の大きさEで表したとき、それぞれ何乗に比例(反比例)するかを答える空欄補充問題です。
線形誘電体中の静電エネルギー密度はu=½εE2です。一様電界をもつ平行板コンデンサでは、全エネルギーはW=uV=½εE2Vとなります。この式を他の二つの変数を一定として読むと、εの1乗、体積Vの1乗、電界Eの2乗に比例します。
平成20年度 理論科目 A問題2:問題文と選択肢
エネルギーを ε・体積・電界で表す問題です。「エネルギー密度 × 体積」と考えれば、あとは指数を読むだけです。まずは問題文を確認しましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成20年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題2
電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成20年度 A問題2
極板間に誘電率ε〔F/m〕の誘電体をはさんだ平行板コンデンサがある。このコンデンサに電圧を加えたとき、蓄えられるエネルギーW〔J〕を誘電率ε〔F/m〕、極板間の誘電体の体積V〔m3〕、極板間の電界の大きさE〔V/m〕で表現すると、W〔J〕は、誘電率ε〔F/m〕の(ア)に比例し、体積V〔m3〕に(イ)し、電界の大きさE〔V/m〕の(ウ)に比例する。
W〔J〕は誘電率εの(ア)に比例し、体積Vに(イ)し、電界の大きさEの(ウ)に比例する。当てはまる組合せを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (1) 1乗 反比例 1乗 (2) 1乗 比例 1乗 (3) 2乗 反比例 1乗 (4) 1乗 比例 2乗 (5) 2乗 比例 2乗
出題のポイント:エネルギー密度に体積を掛けるだけ
エネルギーを \(\varepsilon\)・体積 \(V\)・電界 \(E\) で表す問題です。「単位体積あたりのエネルギー×体積」と考えると一直線に進みます。
この式さえ書ければ、あとは指数を読むだけです。
| 量 | 式のどこにあるか | 他を一定にしてk倍すると | 答え |
| 誘電率 \(\varepsilon\) | 1乗 | \(W\) は \(k\) 倍 | 1乗に比例 |
| 体積 \(V\) | 1乗 | \(W\) は \(k\) 倍 | 比例 |
| 電界 \(E\) | 2乗 | \(W\) は \(k^2\) 倍 | 2乗に比例 |

エネルギー密度の式はどこから来るのか
\(u=\frac12\varepsilon E^2\) を丸暗記する必要はありません。おなじみの \(W=\frac12CV^2\) から導けます。
S=極板面積、d=間隔
\(Sd\) が体積になる
\(d\) がきれいに整理されて \(Sd\)(体積)に化けます。だから「コンデンサのエネルギー」と「電界のエネルギー密度」は同じことを別の見方で言っているだけ——2つの公式は独立ではありません。
エネルギー密度で考える利点は、コンデンサ以外にも使えることです。電界がある空間なら、形状によらず \(\frac12\varepsilon E^2\) のエネルギーが詰まっています。「エネルギーは電界そのものが持っている」という見方につながります。
問題の解説:指数を読み取る
STEP1 式を書く
\(\varepsilon^1\)、\(V^1\)、\(E^2\)
STEP2 各変数の指数を読む
「他の2つを一定として」という前提で読みます。
| 空欄 | 問い | 答え |
| (ア) | \(\varepsilon\) の何乗に比例するか | 1乗 |
| (イ) | 体積 \(V\) に比例か反比例か | 比例 |
| (ウ) | \(E\) の何乗に比例するか | 2乗 |


誤答の正体:反比例の選択肢は物理的にありえない
| 選択肢 | (ア) | (イ) | (ウ) | 問題点 | 判定 |
| (1) | 1乗 | 反比例 × | 1乗 × | 体積が増えてエネルギーが減るはずがない | × |
| (2) | 1乗 ○ | 比例 ○ | 1乗 × | Eは2乗で効く | × |
| (3) | 2乗 × | 反比例 × | 1乗 × | 3つとも誤り | × |
| (4) | 1乗 | 比例 | 2乗 | 正解 | ○ |
| (5) | 2乗 × | 比例 ○ | 2乗 ○ | \(\varepsilon\) は1乗 | × |
(イ)で「反比例」とする(1)(3)は、考えるまでもなく消せます。体積が大きくなればエネルギーも増える——同じ電界を広い空間に作るには、それだけエネルギーが要ります。物理的な常識で2つ落とせるのは大きいです。
(5)は \(\varepsilon\) を2乗にしています。\(u=\frac12\varepsilon E^2\) で2乗が付いているのはEだけ——\(\varepsilon\) は1乗です。「2乗が2か所ある」形と混同しないでください。
(2)はEを1乗にしています。\(W=\frac12CV^2\) の \(V^2\) を思い出せば、電圧(=電界×距離)が2乗で効くことは自然に出てきます。
誘電率を変えると電界も変わる点に注意
本問は「他の2つを一定として」指数を読む問題ですが、実際に誘電体を入れ替える場合は話が変わります。
| 条件 | \(\varepsilon\) を2倍にすると | \(W=\frac12\varepsilon E^2V\) は |
| 本問(Eを一定と仮定) | Eは変わらない | 2倍 |
| 電圧一定 | \(E=V/d\) は不変 | 2倍(本問と同じ) |
| 電荷一定 | \(E=Q/(\varepsilon S)\) が半分 | 半分(逆になる) |
電荷一定なら結論が逆転します。\(\varepsilon\) が2倍でも \(E\) が半分になるので、\(\varepsilon E^2\) は \(2\times(1/2)^2=1/2\) 倍——エネルギーは減ります。
本問は「式の指数を読む」問題なので、この区別は問われていません。しかし「誘電体を入れるとエネルギーはどうなるか」と聞かれたら、条件の確認が必須です。混同しないよう整理しておきましょう。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① \(u=\frac12\varepsilon E^2\) を覚える。全エネルギーは密度×体積
② 忘れたら\(W=\frac12Cv^2\) から導ける(\(C=\varepsilon S/d\)、\(v=Ed\))
③ 2乗が付くのはEだけ。\(\varepsilon\) と体積は1乗
④ 「体積に反比例」の選択肢は即消去(物理的にありえない)
⑤ 「実際に誘電体を替える」問題なら電圧一定か電荷一定かを確認
💡 覚え方
「密度は½εE²、全部は掛ける体積」。\(W=\frac12Cv^2\) と同じ内容を、空間の視点で書き直したものです。2乗が付くのは電界だけ——\(\varepsilon\) は1乗です。
⚠️ よくある間違い
\(\varepsilon\) を2乗にするのが選択肢(3)(5)の狙いです。\(\frac12\varepsilon E^2\) で2乗なのはEのみ。また「体積に反比例」という選択肢は、体積が増えればエネルギーも増えるという常識で即座に消せます。
まとめ
| 量 | Wの依存 | 空欄 |
| 誘電率ε | W∝ε1 | (ア)1乗 |
| 誘電体の体積V | W∝V1 | (イ)比例 |
| 電界の大きさE | W∝E2 | (ウ)2乗 |
| 答え | (4) | |
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