静電界62【電験3種 理論】平行板コンデンサに蓄えられるエネルギーは誘電率・体積・電界の何乗に比例?平成20年 A問題2 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(静電界) 平成20年度 A問題2 エネルギーは電界の何乗?誘電率と体積で決まる式を導く

今回は平成20年度 理論科目 A問題2を解説します。平行板コンデンサに蓄えられるエネルギーW〔J〕を、誘電率ε・誘電体の体積V・電界の大きさEで表したとき、それぞれ何乗に比例(反比例)するかを答える空欄補充問題です。

線形誘電体中の静電エネルギー密度はu=½εE2です。一様電界をもつ平行板コンデンサでは、全エネルギーはW=uV=½εE2Vとなります。この式を他の二つの変数を一定として読むと、εの1乗、体積Vの1乗、電界Eの2乗に比例します。

目次

平成20年度 理論科目 A問題2:問題文と選択肢

エネルギーを ε・体積・電界で表す問題です。「エネルギー密度 × 体積」と考えれば、あとは指数を読むだけです。まずは問題文を確認しましょう。

電験3種 理論科目 静電界 平成20年度 A問題2 問題文
平成20年度 理論科目 A問題2 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成20年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題2

電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成20年度 A問題2

 極板間に誘電率ε〔F/m〕の誘電体をはさんだ平行板コンデンサがある。このコンデンサに電圧を加えたとき、蓄えられるエネルギーW〔J〕を誘電率ε〔F/m〕、極板間の誘電体の体積V〔m3〕、極板間の電界の大きさE〔V/m〕で表現すると、W〔J〕は、誘電率ε〔F/m〕の(ア)に比例し、体積V〔m3〕に(イ)し、電界の大きさE〔V/m〕の(ウ)に比例する。

W〔J〕は誘電率εの(ア)に比例し、体積Vに(イ)し、電界の大きさEの(ウ)に比例する。当てはまる組合せを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)
(1)1乗反比例1乗
(2)1乗比例1乗
(3)2乗反比例1乗
(4)1乗比例2乗
(5)2乗比例2乗

出題のポイント:エネルギー密度に体積を掛けるだけ

エネルギーを \(\varepsilon\)・体積 \(V\)・電界 \(E\) で表す問題です。「単位体積あたりのエネルギー×体積」と考えると一直線に進みます。

静電エネルギー密度と全エネルギー
$$u=\frac12\vec{E}\cdot\vec{D}=\frac12\varepsilon E^2\;[\mathrm{J/m^3}],\qquad W=uV=\frac12\varepsilon E^2V\;[\mathrm{J}]$$

一様電界なら「密度×体積」でよい。平行板コンデンサの内部は一様電界です。

この式さえ書ければ、あとは指数を読むだけです。

式のどこにあるか他を一定にしてk倍すると答え
誘電率 \(\varepsilon\)1乗\(W\) は \(k\) 倍1乗に比例
体積 \(V\)1乗\(W\) は \(k\) 倍比例
電界 \(E\)2乗\(W\) は \(k^2\) 倍2乗に比例
一様な電界をもつ平行板コンデンサでエネルギー密度と誘電体体積から全エネルギーを求める断面図
一様電界ではu=½εE²で、誘電体の体積Vを掛けるとW=½εE²Vです。

エネルギー密度の式はどこから来るのか

\(u=\frac12\varepsilon E^2\) を丸暗記する必要はありません。おなじみの \(W=\frac12CV^2\) から導けます

$$C=\frac{\varepsilon S}{d},\qquad v=Ed,\qquad V_{\text{体積}}=Sd$$
❶ 平行板の各量
S=極板面積、d=間隔
$$W=\frac12Cv^2=\frac12\cdot\frac{\varepsilon S}{d}\cdot(Ed)^2$$
❷ 代入
$$=\frac12\varepsilon SE^2d=\frac12\varepsilon E^2(Sd)=\frac12\varepsilon E^2V_{\text{体積}}$$
❸ 整理
\(Sd\) が体積になる

\(d\) がきれいに整理されて \(Sd\)(体積)に化けます。だから「コンデンサのエネルギー」と「電界のエネルギー密度」は同じことを別の見方で言っているだけ——2つの公式は独立ではありません

エネルギー密度で考える利点は、コンデンサ以外にも使えることです。電界がある空間なら、形状によらず \(\frac12\varepsilon E^2\) のエネルギーが詰まっています。「エネルギーは電界そのものが持っている」という見方につながります。

問題の解説:指数を読み取る

STEP1 式を書く

$$W=\frac12\varepsilon E^2V$$
❹ これが全て
\(\varepsilon^1\)、\(V^1\)、\(E^2\)

STEP2 各変数の指数を読む

「他の2つを一定として」という前提で読みます。

空欄問い答え
(ア)\(\varepsilon\) の何乗に比例するか1乗
(イ)体積 \(V\) に比例か反比例か比例
(ウ)\(E\) の何乗に比例するか2乗
エネルギー密度による方法と静電容量による方法の二通りからWイコール2分の1εE二乗Vを導く関係図
uVからも、C=εS/d・v=Ed・V=Sdからも、W=½εE²Vが得られます。
答え(ア)1乗、(イ)比例、(ウ)2乗 → 選択肢(4)
静電エネルギーWの誘電率・体積・電界に対する比例関係を示す三つのグラフと正答表
他の量を一定にすると、Wはεと体積Vの1乗、電界Eの2乗に比例するため答えは(4)です。

誤答の正体:反比例の選択肢は物理的にありえない

選択肢(ア)(イ)(ウ)問題点判定
(1)1乗反比例 ×1乗 ×体積が増えてエネルギーが減るはずがない×
(2)1乗 ○比例 ○1乗 ×Eは2乗で効く×
(3)2乗 ×反比例 ×1乗 ×3つとも誤り×
(4)1乗比例2乗正解
(5)2乗 ×比例 ○2乗 ○\(\varepsilon\) は1乗×

(イ)で「反比例」とする(1)(3)は、考えるまでもなく消せます体積が大きくなればエネルギーも増える——同じ電界を広い空間に作るには、それだけエネルギーが要ります。物理的な常識で2つ落とせるのは大きいです。

(5)は \(\varepsilon\) を2乗にしています。\(u=\frac12\varepsilon E^2\) で2乗が付いているのはEだけ——\(\varepsilon\) は1乗です。「2乗が2か所ある」形と混同しないでください。

(2)はEを1乗にしています。\(W=\frac12CV^2\) の \(V^2\) を思い出せば、電圧(=電界×距離)が2乗で効くことは自然に出てきます。

誘電率を変えると電界も変わる点に注意

本問は「他の2つを一定として」指数を読む問題ですが、実際に誘電体を入れ替える場合は話が変わります

条件\(\varepsilon\) を2倍にすると\(W=\frac12\varepsilon E^2V\) は
本問(Eを一定と仮定)Eは変わらない2倍
電圧一定\(E=V/d\) は不変2倍(本問と同じ)
電荷一定\(E=Q/(\varepsilon S)\) が半分半分(逆になる)

電荷一定なら結論が逆転します。\(\varepsilon\) が2倍でも \(E\) が半分になるので、\(\varepsilon E^2\) は \(2\times(1/2)^2=1/2\) 倍——エネルギーは減ります

本問は「式の指数を読む」問題なので、この区別は問われていません。しかし「誘電体を入れるとエネルギーはどうなるか」と聞かれたら、条件の確認が必須です。混同しないよう整理しておきましょう。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
\(u=\frac12\varepsilon E^2\) を覚える。全エネルギーは密度×体積
② 忘れたら\(W=\frac12Cv^2\) から導ける(\(C=\varepsilon S/d\)、\(v=Ed\))
2乗が付くのはEだけ。\(\varepsilon\) と体積は1乗
「体積に反比例」の選択肢は即消去(物理的にありえない)
⑤ 「実際に誘電体を替える」問題なら電圧一定か電荷一定かを確認

💡 覚え方
「密度は½εE²、全部は掛ける体積」。\(W=\frac12Cv^2\) と同じ内容を、空間の視点で書き直したものです。2乗が付くのは電界だけ——\(\varepsilon\) は1乗です。

⚠️ よくある間違い
\(\varepsilon\) を2乗にするのが選択肢(3)(5)の狙いです。\(\frac12\varepsilon E^2\) で2乗なのはEのみ。また「体積に反比例」という選択肢は、体積が増えればエネルギーも増えるという常識で即座に消せます。

まとめ

Wの依存空欄
誘電率εW∝ε1(ア)1乗
誘電体の体積VW∝V1(イ)比例
電界の大きさEW∝E2(ウ)2乗
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・静電エネルギーの関連問題:【理論】平成27年度A問題2

📚 次に解くべき関連問題
【理論】平成21年度A問題5(静電界59)
【理論】平成19年度A問題4(静電界65)
【理論】平成18年度A問題1(静電界66)
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次