静電界59【電験3種 理論】電源とコンデンサの5回路で蓄えるエネルギーが最小なのはどれ?平成21年 A問題5 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(静電界) 平成21年度 A問題5 5つの回路を見比べる!エネルギーが最小なのはどれ?

今回は平成21年度 理論科目 A問題5を解説します。直流電源E〔V〕とコンデンサC〔F〕の個数・組み合わせを変えた5種類の回路のうち、コンデンサ全体に蓄えられるエネルギーが最も小さい回路を選ぶ問題です。

各回路について、コンデンサ群の端子電圧Vと合成静電容量Ceqを求め、全エネルギーW=½CeqV2を計算します。同一電源を並列接続してV=E、同じコンデンサ2個を直列接続してCeq=C/2とした回路(4)が、最小のCE2/4となります。

目次

平成21年度 理論科目 A問題5:問題文と選択肢

5つの回路が並びますが、各回路を「端子電圧V」と「合成容量」の2つに還元すれば一気に比較できます。まずは問題文を確認しましょう。

電験3種 理論科目 静電界 平成21年度 A問題5 問題文
平成21年度 理論科目 A問題5 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成21年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題5

電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成21年度 A問題5

 図に示す5種類の回路は、直流電圧E〔V〕の電源と静電容量C〔F〕のコンデンサの個数と組み合わせを異にしたものである。これらの回路のうち、コンデンサ全体に蓄えられている電界のエネルギーが最も小さい回路を示す図として、正しいのは次のうちどれか。

これらの回路のうち、コンデンサ全体に蓄えられている電界のエネルギーが最も小さい回路を示す図として、正しいものを図中の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(選択肢)直流電源Eとコンデンサからなる回路(1)〜(5)
(選択肢)直流電源Eとコンデンサからなる回路(1)〜(5)

出題のポイント:5回路を「V」と「Ceq」の2つだけに還元する

回路が5つ並ぶと圧倒されますが、各回路について2つの数字を出すだけで比較できます。

コンデンサ全体のエネルギー
$$W=\frac12C_{\text{eq}}V^2$$

V=コンデンサ群にかかる端子電圧\(C_{\text{eq}}\)=合成静電容量。この2つが分かれば終わりです。

接続電源コンデンサ
直列\(V=2E\)(同じ向きなら足す)\(C_{\text{eq}}=C/2\)
並列\(V=E\)(増えない)\(C_{\text{eq}}=2C\)

電源とコンデンサで直列・並列の効果が正反対です。電源は直列で電圧が増え、コンデンサは並列で容量が増える——ここを取り違えないことが第一です。

そして電圧は2乗で効きます。電源を直列にして \(V=2E\) にすると、エネルギーは4倍のインパクトを受けます。「エネルギーを小さくしたいなら、まず電圧を上げないこと」という見通しが立ちます。

コンデンサ全体のエネルギーを端子電圧Vと合成容量Ceqから求める3段階の手順図
VとCeqを求め、W/(CE²)=½(Ceq/C)(V/E)²で係数を比較します。

問題の解説:5回路を同じ基準で並べる

\(CE^2\) を基準にして、各回路の係数を比べます。

回路端子電圧 V合成容量 \(C_{\text{eq}}\)\(W/(CE^2)\)順位
(1)EC1/2 = 0.5002位
(2)2E(電源直列)C/2(C直列)1 = 1.0003位(同点)
(3)2E(電源直列)C(1個だけ)2 = 2.000最大
(4)E(電源並列)C/2(C直列)1/4 = 0.250最小
(5)E2C(C並列)1 = 1.0003位(同点)
$$W_4=\frac12\cdot\frac{C}{2}\cdot E^2=\frac{CE^2}{4}$$
❶ 最小の回路
電圧は上げず、容量は下げる
$$W_3=\frac12\cdot C\cdot(2E)^2=2CE^2$$
❷ 最大の回路
電圧を上げ、容量はそのまま

順位は \(W_4<W_1<W_2=W_5<W_3\)。最小と最大では8倍の差(0.25対2.0)があります。

電源とコンデンサの直列・並列接続を端子電圧Vと合成容量Ceqへ置き換える規則図
電源直列は2E、電源並列はE、コンデンサ直列はC/2、並列は2Cです。
答え最小は回路(4)(\(V=E\)、\(C_{\text{eq}}=C/2\)、\(W=CE^2/4\))
五つの回路の端子電圧・合成容量・エネルギーを比較し回路4を最小と示す表と区画グラフ
W/CE²は順に1/2、1、2、1/4、1となり、最小は回路(4)です。

誤答の正体:回路(3)の読み違えと、電源並列の誤解

回路(3)が最大になる理由を確認しておくと、他の誤りも見えてきます。

ありがちな読み違え誤った値正しい理解
回路(3)のコンデンサを2個並列と読む\(C_{\text{eq}}=2C\) → \(W=4CE^2\)コンデンサは1個だけなので \(C_{\text{eq}}=C\)
電源の並列で \(V=2E\) とする回路(4)が \(W=CE^2\) に同じ電圧の電源を並列にしても電圧は増えない
コンデンサ直列を \(2C\) とする回路(4)が \(W=CE^2\) に直列は \(C/2\)(抵抗とは逆)
電圧の2乗を忘れる回路(2)(3)を過小評価\(V^2\) なので2Eは4倍

「同じ電源を並列にしても電圧は増えない」——これは電池の並列接続と同じです。増えるのは取り出せる電流であって電圧ではありません。

コンデンサの直列が \(C/2\) になるのも要注意です。抵抗の直列は足し算ですが、コンデンサの直列は逆数の和——同じ「直列」でも振る舞いが逆です。

エネルギーを小さくする条件を一般化する

結果を眺めると、どうすればエネルギーが小さくなるかが読み取れます。

$$W=\frac12C_{\text{eq}}V^2$$
❸ 2つの要素
Vは2乗、\(C_{\text{eq}}\)は1乗
やることWへの効果優先度
電圧を半分にする1/4になる最も効く(2乗だから)
合成容量を半分にする1/2になる次に効く
両方やる1/8になる

回路(4)は「電圧を上げず、容量を下げる」を両方満たしています。電源を並列(電圧はEのまま)にし、コンデンサを直列(容量はC/2)にする——2つの選択がどちらもエネルギーを下げる方向です。

逆に回路(3)は「電圧を上げ、容量は下げない」——最悪の組合せです。だから最大の \(2CE^2\) になります。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① 各回路を「端子電圧V」と「合成容量 \(C_{\text{eq}}\)」の2つに還元する
電源は直列で2E、並列でE(並列では増えない)
コンデンサは直列でC/2、並列で2C(抵抗とは逆)
\(CE^2\) を基準に係数だけで比べる
電圧は2乗で効く——2Eになったら4倍と身構える

💡 覚え方
「電源は直列で強く、コンデンサは並列で大きく」。エネルギーは \(\frac12C_{\text{eq}}V^2\) なので、電圧を上げない・容量を増やさない回路が最小になります。

⚠️ よくある間違い
回路(3)のコンデンサを2個と読み違えるのが典型です。1個だけなので \(C_{\text{eq}}=C\)。また電源の並列で電圧が2倍になると考えるのも誤りで、同じ電圧の電源を並列にしてもEのままです。

まとめ

回路端子電圧V合成容量CeqエネルギーW
(1)EC½CE2
(2)2EC/2CE2
(3)2EC2CE2
(4)EC/2CE2/4(最小)
(5)E2CCE2
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・コンデンサのエネルギーの関連問題:【理論】平成27年度A問題2

📚 次に解くべき関連問題
【理論】平成20年度A問題2(静電界62)
【理論】平成23年度A問題2(静電界53)
【理論】平成18年度A問題1(静電界66)
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