今回は平成19年度 理論科目 A問題4を解説します。静電容量Cと2Cのコンデンサを図1(直列・電圧V1)と図2(並列・電圧V2)に接続し、両回路の総静電エネルギーが等しいとき、図1のCの端子電圧VcとV2の比|Vc/V2|を求める問題です。
図1の直列合成容量はCs=2C/3、図2の並列合成容量はCp=3Cです。総エネルギーW=½CeqV2が等しいことから|V1/V2|=3/√2を求め、直列分圧|Vc/V1|=2/3を掛けて最終比を計算します。
平成19年度 理論科目 A問題4:問題文と選択肢
求める比が直接出せないので、間に \(V_1\) を挟んで2つの比を掛け合わせます。エネルギー等価と直列分圧、2つの関係を使います。まずは問題文を確認しましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題4
電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成19年度 A問題4
静電容量がC〔F〕と2C〔F〕の二つのコンデンサを図1、図2のように直列、並列に接続し、それぞれにV1〔V〕、V2〔V〕の直流電圧を加えたところ、両図の回路に蓄えられている総静電エネルギーが等しくなった。この場合、図1のC〔F〕のコンデンサの端子間の電圧をVc〔V〕としたとき、電圧比|Vc/V2|の値として、正しいのは次のうちどれか。
両図の総静電エネルギーが等しいとき、図1のCの端子電圧をVcとして、電圧比|Vc/V2|の値として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)√2/9 (2)2√2/9 (3)1/√2 (4)√2 (5)3.0

出題のポイント:2つの比を掛け合わせる
求めるのは \(|V_c/V_2|\) ですが、直接は出せません。2段階に分けます。
| 段階 | 求める比 | 使う条件 | 結果 |
| ① | \(|V_1/V_2|\) | 総エネルギーが等しい | \(3/\sqrt2\) |
| ② | \(|V_c/V_1|\) | 直列の分圧(容量の逆比) | \(2/3\) |
| ③ | \(|V_c/V_2|\) | ①×② | \(\sqrt2\) |
「間に \(V_1\) を挟んで橋渡しする」——これが本問の構造です。比の連鎖で最終的な答えにたどり着きます。

① エネルギー等価から全電圧の比を求める
Cが約分で消える
直列側のほうが高い電圧が必要
直列のほうが合成容量が小さい(\(2C/3\) 対 \(3C\)、実に4.5倍の差)ので、同じエネルギーを蓄えるには高い電圧が必要です。\(V_1\) が \(V_2\) の約2.12倍——物理的に納得できる方向です。
② 直列の分圧は「容量の逆比」
図1では \(C\) と \(2C\) が直列です。電圧はどう分かれるか——ここが第2の急所です。
容量が小さいほど高い電圧
全体の2/3
「容量が小さいほうに大きい電圧」——抵抗の直列(大きいほうに大きい電圧)とは逆です。\(V=Q/C\) でCが分母にあるのが理由です。
③ 2つの比を掛ける
\(V_1\) を経由
きれいな形になる
分母の3と分子の3が約分されるのが気持ちよいところです。\(2/\sqrt2=\sqrt2\)——有理化すると \(\sqrt2\) になります。


誤答の正体:どちらかの比を間違える
典型的な誤りを実際に計算し、選択肢と照合しました。
| 誤り方 | 計算 | 得られる値 | 選択肢との対応 |
| 分圧を容量比のまま(逆比にしない) | \(\frac13\times\frac{3}{\sqrt2}\) | 0.707 | (3) \(1/\sqrt2\) に一致 |
| エネルギー等価で2乗を忘れる | \(\frac23\times\frac92\) | 3.00 | (5) 3.0 に一致 |
| \(|V_1/V_2|\) をそのまま答える | \(3/\sqrt2\) | 2.12 | 選択肢になし |
| 正しい計算 | \(\frac23\times\frac{3}{\sqrt2}\) | 1.414 | (4) \(\sqrt2\) に一致 |
(3)の \(1/\sqrt2\) は「直列の分圧を逆比にしなかった」ケースです。\(C\) と \(2C\) なら、Cのほうが小さいので電圧は大きい——\(1/3\) ではなく \(2/3\) です。
(5)の3.0 は「エネルギー等価で2乗を忘れた」ケースです。\(W=\frac12CV^2\) の \(V\) は2乗なので、比を取ったら平方根が必要——\(9/2\) ではなく \(\sqrt{9/2}\) です。
2つの誤りがそれぞれ別の選択肢に対応している——「どちらの比を間違えたか」で着地点が変わる設計になっています。
直列と並列で合成容量が4.5倍違う
\(C_s=2C/3\) と \(C_p=3C\)——同じ2つのコンデンサでも、つなぎ方で4.5倍の差が出ます。
| 直列 | 並列 | 比 | |
| 合成容量 | \(2C/3\approx0.67C\) | \(3C\) | 4.5倍 |
| 同じ電圧でのエネルギー | 小さい | 大きい | 4.5倍 |
| 同じエネルギーに必要な電圧 | 高い | 低い | \(\sqrt{4.5}\approx2.12\) 倍 |
エネルギーは電圧の2乗で効くので、容量が4.5倍違っても必要な電圧の差は \(\sqrt{4.5}\approx2.12\) 倍にとどまります。平方根で緩和される——これがエネルギー比較の特徴です。
実務では、耐圧を稼ぎたいときに直列、容量を稼ぎたいときに並列を使います。直列では各コンデンサにかかる電圧が分散されるので、低耐圧のコンデンサを複数直列にして高電圧に対応できます。ただし容量のばらつきが電圧の偏りを生むため、均圧抵抗を並列に入れるのが定石です。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 求める比が直接出せないときは間に別の量を挟んで比の連鎖にする
② 全エネルギーは合成容量で \(\frac12C_{\text{eq}}V^2\)(個別に計算しなくてよい)
③ エネルギー等価から比を出すときは平方根を忘れない
④ 直列の分圧は容量の逆比——小さいほうに大きい電圧(抵抗とは逆)
⑤ 直列は積÷和、並列は和
💡 覚え方
「比の橋渡し」。\(V_c/V_2\) が直接出せないなら、\(V_c/V_1\) と \(V_1/V_2\) を掛ける——間に共通の量を挟むと道が開けます。エネルギー等価は平方根、直列分圧は逆比です。
⚠️ よくある間違い
直列の分圧を逆比にしないのが最頻出で、選択肢(3)に着地します。Cのほうが小さいので電圧は2/3です。次に多いのがエネルギー等価で平方根を取り忘れるミスで、こちらは選択肢(5)の3.0になります。
まとめ
| 図1:直列合成容量 | Cs=2C/3 |
| 図2:並列合成容量 | Cp=3C |
| エネルギー等価 | |V1/V2|=3/√2 |
| 直列分圧 | |Vc/V1|=2/3 |
| 求める比 | |Vc/V2|=√2、答え(4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・直並列コンデンサの関連問題:【理論】平成21年度A問題5

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