静電界65【電験3種 理論】直列と並列のコンデンサで総静電エネルギーが等しいときの電圧比!平成19年 A問題4 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(静電界) 平成19年度 A問題4 直列と並列でエネルギーが同じ!電圧の比はいくつ?

今回は平成19年度 理論科目 A問題4を解説します。静電容量Cと2Cのコンデンサを図1(直列・電圧V1)と図2(並列・電圧V2)に接続し、両回路の総静電エネルギーが等しいとき、図1のCの端子電圧VcとV2の比|Vc/V2|を求める問題です。

図1の直列合成容量はCs=2C/3、図2の並列合成容量はCp=3Cです。総エネルギーW=½CeqV2が等しいことから|V1/V2|=3/√2を求め、直列分圧|Vc/V1|=2/3を掛けて最終比を計算します。

目次

平成19年度 理論科目 A問題4:問題文と選択肢

求める比が直接出せないので、間に \(V_1\) を挟んで2つの比を掛け合わせます。エネルギー等価と直列分圧、2つの関係を使います。まずは問題文を確認しましょう。

電験3種 理論科目 静電界 平成19年度 A問題4 問題文
平成19年度 理論科目 A問題4 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題4

電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成19年度 A問題4

 静電容量がC〔F〕と2C〔F〕の二つのコンデンサを図1、図2のように直列、並列に接続し、それぞれにV1〔V〕、V2〔V〕の直流電圧を加えたところ、両図の回路に蓄えられている総静電エネルギーが等しくなった。この場合、図1のC〔F〕のコンデンサの端子間の電圧をVc〔V〕としたとき、電圧比|Vc/V2|の値として、正しいのは次のうちどれか。

両図の総静電エネルギーが等しいとき、図1のCの端子電圧をVcとして、電圧比|Vc/V2|の値として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)√2/9 (2)2√2/9 (3)1/√2 (4)√2 (5)3.0

図 Cと2Cのコンデンサの直列接続(図1)と並列接続(図2)(自作図)
図 Cと2Cのコンデンサの直列接続(図1)と並列接続(図2)(自作図)

出題のポイント:2つの比を掛け合わせる

求めるのは \(|V_c/V_2|\) ですが、直接は出せません。2段階に分けます。

段階求める比使う条件結果
\(|V_1/V_2|\)総エネルギーが等しい\(3/\sqrt2\)
\(|V_c/V_1|\)直列の分圧(容量の逆比)\(2/3\)
\(|V_c/V_2|\)①×②\(\sqrt2\)

「間に \(V_1\) を挟んで橋渡しする」——これが本問の構造です。比の連鎖で最終的な答えにたどり着きます。

Cと2Cの直列回路と並列回路について合成容量と総静電エネルギーを比較する図
直列は2C/3、並列は3Cで、エネルギー等価から|V₁/V₂|=3/√2を求めます。

① エネルギー等価から全電圧の比を求める

合成容量と全静電エネルギー
$$C_s=\frac{C\cdot2C}{C+2C}=\frac{2C}{3},\qquad C_p=C+2C=3C,\qquad W=\frac12C_{\text{eq}}V^2$$

直列は積÷和、並列は和。全体のエネルギーは合成容量で計算できます。

$$\frac12C_sV_1^2=\frac12C_pV_2^2$$
❶ エネルギーが等しい
$$\frac{V_1^2}{V_2^2}=\frac{C_p}{C_s}=\frac{3C}{2C/3}=\frac92$$
❷ 比を作る
Cが約分で消える
$$\left|\frac{V_1}{V_2}\right|=\sqrt{\frac92}=\frac{3}{\sqrt2}\approx2.12$$
❸ 平方根を取る
直列側のほうが高い電圧が必要

直列のほうが合成容量が小さい(\(2C/3\) 対 \(3C\)、実に4.5倍の差)ので、同じエネルギーを蓄えるには高い電圧が必要です。\(V_1\) が \(V_2\) の約2.12倍——物理的に納得できる方向です。

② 直列の分圧は「容量の逆比」

図1では \(C\) と \(2C\) が直列です。電圧はどう分かれるか——ここが第2の急所です。

$$Q_1=Q_2\;(\text{直列は電荷が共通})$$
❹ 直列の性質
$$V=\frac{Q}{C}\;\Rightarrow\;V_C:V_{2C}=\frac1C:\frac1{2C}=2:1$$
❺ 電圧は容量の逆比
容量が小さいほど高い電圧
$$V_c=\frac{2}{2+1}V_1=\frac23V_1$$
❻ C側の分担
全体の2/3

「容量が小さいほうに大きい電圧」——抵抗の直列(大きいほうに大きい電圧)とはです。\(V=Q/C\) でCが分母にあるのが理由です。

③ 2つの比を掛ける

$$\left|\frac{V_c}{V_2}\right|=\left|\frac{V_c}{V_1}\right|\times\left|\frac{V_1}{V_2}\right|=\frac23\times\frac{3}{\sqrt2}$$
❼ 比の連鎖
\(V_1\) を経由
$$=\frac{2}{\sqrt2}=\sqrt2\approx1.41$$
❽ 3が約分で消える
きれいな形になる

分母の3と分子の3が約分されるのが気持ちよいところです。\(2/\sqrt2=\sqrt2\)——有理化すると \(\sqrt2\) になります。

Cと2Cの直列接続で電荷が共通になり電圧が2対1に分かれることを示す図
直列では電圧が容量の逆比に分かれるため、C側の電圧は|Vc|=2|V₁|/3です。
答え\(\left|V_c/V_2\right|=\sqrt2\approx1.41\) → 選択肢(4)
全電圧比と直列分圧比を掛けて絶対電圧比ルート2を求める解答フロー
|Vc/V₂|=|Vc/V₁|・|V₁/V₂|=(2/3)(3/√2)=√2なので正解は(4)です。

誤答の正体:どちらかの比を間違える

典型的な誤りを実際に計算し、選択肢と照合しました。

誤り方計算得られる値選択肢との対応
分圧を容量比のまま(逆比にしない)\(\frac13\times\frac{3}{\sqrt2}\)0.707(3) \(1/\sqrt2\) に一致
エネルギー等価で2乗を忘れる\(\frac23\times\frac92\)3.00(5) 3.0 に一致
\(|V_1/V_2|\) をそのまま答える\(3/\sqrt2\)2.12選択肢になし
正しい計算\(\frac23\times\frac{3}{\sqrt2}\)1.414(4) \(\sqrt2\) に一致

(3)の \(1/\sqrt2\) は「直列の分圧を逆比にしなかった」ケースです。\(C\) と \(2C\) なら、Cのほうが小さいので電圧は大きい——\(1/3\) ではなく \(2/3\) です。

(5)の3.0 は「エネルギー等価で2乗を忘れた」ケースです。\(W=\frac12CV^2\) の \(V\) は2乗なので、比を取ったら平方根が必要——\(9/2\) ではなく \(\sqrt{9/2}\) です。

2つの誤りがそれぞれ別の選択肢に対応している——「どちらの比を間違えたか」で着地点が変わる設計になっています。

直列と並列で合成容量が4.5倍違う

\(C_s=2C/3\)\(C_p=3C\)——同じ2つのコンデンサでも、つなぎ方で4.5倍の差が出ます。

直列並列
合成容量\(2C/3\approx0.67C\)\(3C\)4.5倍
同じ電圧でのエネルギー小さい大きい4.5倍
同じエネルギーに必要な電圧高い低い\(\sqrt{4.5}\approx2.12\) 倍

エネルギーは電圧の2乗で効くので、容量が4.5倍違っても必要な電圧の差は \(\sqrt{4.5}\approx2.12\) 倍にとどまります。平方根で緩和される——これがエネルギー比較の特徴です。

実務では、耐圧を稼ぎたいときに直列、容量を稼ぎたいときに並列を使います。直列では各コンデンサにかかる電圧が分散されるので、低耐圧のコンデンサを複数直列にして高電圧に対応できます。ただし容量のばらつきが電圧の偏りを生むため、均圧抵抗を並列に入れるのが定石です。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① 求める比が直接出せないときは間に別の量を挟んで比の連鎖にする
全エネルギーは合成容量で \(\frac12C_{\text{eq}}V^2\)(個別に計算しなくてよい)
③ エネルギー等価から比を出すときは平方根を忘れない
直列の分圧は容量の逆比——小さいほうに大きい電圧(抵抗とは逆)
⑤ 直列は積÷和、並列は

💡 覚え方
「比の橋渡し」。\(V_c/V_2\) が直接出せないなら、\(V_c/V_1\) と \(V_1/V_2\) を掛ける——間に共通の量を挟むと道が開けます。エネルギー等価は平方根、直列分圧は逆比です。

⚠️ よくある間違い
直列の分圧を逆比にしないのが最頻出で、選択肢(3)に着地します。Cのほうが小さいので電圧は2/3です。次に多いのがエネルギー等価で平方根を取り忘れるミスで、こちらは選択肢(5)の3.0になります。

まとめ

図1:直列合成容量Cs=2C/3
図2:並列合成容量Cp=3C
エネルギー等価|V1/V2|=3/√2
直列分圧|Vc/V1|=2/3
求める比|Vc/V2|=√2、答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・直並列コンデンサの関連問題:【理論】平成21年度A問題5

📚 次に解くべき関連問題
【理論】平成20年度A問題2(静電界62)
【理論】平成21年度A問題5(静電界59)
【理論】平成18年度A問題1(静電界66)
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