今回は平成19年度 理論科目 A問題3を解説します。真空中の2電荷A・Bの周囲に描かれた電気力線の図から、A=16ε0〔C〕のときの電荷B〔C〕を求める問題です。
本問では、真空中の電荷Qに対する電気力線の本数をN=|Q|/ε0と数えます。Aから出る16本に対してBには8本が入るので、Bの電気量の大きさはAの1/2です。さらに、力線がBへ入ることからBは負電荷であり、B=−8ε0 Cとなります。
平成19年度 理論科目 A問題3:問題文と選択肢
電気力線の図から電荷を読み取ります。本数で大きさ、矢印で符号——2段階に分けるのがコツです。まずは問題文を確認しましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題3
電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成19年度 A問題3
図に示すように、誘電率ε0〔F/m〕の真空中に置かれた静止した二つの電荷A〔C〕及びB〔C〕があり、図中にその周囲の電気力線が描かれている。電荷A=16ε0〔C〕であるとき、電荷B〔C〕の値として、正しいのは次のうちどれか。
電荷A=16ε0〔C〕であるとき、電荷B〔C〕の値として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)16ε0 (2)8ε0 (3)−4ε0 (4)−8ε0 (5)−16ε0

出題のポイント:本数で大きさ、矢印で符号を決める
電気力線の図から電荷を読み取る問題です。「大きさ」と「符号」を別々に決めるのがコツです。
| 読み取るもの | 図のどこを見るか | 根拠 |
| 電荷の大きさ | 力線の本数 | \(N=|Q|/\varepsilon_0\)(本数は常に0以上) |
| 電荷の符号 | 矢印の向き | 出る=正、入る=負 |
本数を負の値にしないこと——ここが混乱しやすい点です。本数は必ず0以上で、符号は矢印から後で付けると考えてください。

問題の解説:16本と8本を読み分ける
STEP1 Aから出る本数を確認する
矢印が外向き=Aは正電荷
STEP2 Bへ入る本数から大きさを求める
まず大きさだけ
STEP3 矢印の向きから符号を付ける
最後に符号を付ける
本数比からも確認できます。\(16:8=2:1\) なので \(|B|=|A|/2\)——計算せずに比だけで大きさが分かります。


誤答の正体:仮定して図と照合する
各選択肢が正しいとしたら、Bへ入る本数と無限遠へ向かう本数がいくつになるかを計算しました。図はBへ8本なので、それ以外は矛盾します。
| 選択肢 | B | Bへ入る本数 | 無限遠へ向かう本数 | 図との矛盾 |
| (1) | \(16\varepsilon_0\) | 0本 | 32本 | 正電荷には力線が入らない × |
| (2) | \(8\varepsilon_0\) | 0本 | 24本 | 正電荷には力線が入らない × |
| (3) | \(-4\varepsilon_0\) | 4本 | 12本 | 図の8本と合わない × |
| (4) | \(-8\varepsilon_0\) | 8本 | 8本 | 図と一致 ○ |
| (5) | \(-16\varepsilon_0\) | 16本 | 0本 | 外向きの力線が消えてしまう × |
(1)(2)は符号の時点で消せます。正電荷なら力線は出るだけで、入ってきません。図でBに矢印が入っているのを見た瞬間に、正の選択肢は排除できます。
(5)は「Aから出た16本が全部Bへ入る」場合です。そうすると無限遠へ抜ける力線が1本もなくなります。図に外へ向かう力線が描かれていれば矛盾します。
正味電荷での検算:\(A+B=16\varepsilon_0-8\varepsilon_0=8\varepsilon_0\)。これを \(\varepsilon_0\) で割ると8——無限遠へ向かう本数と一致します ✓
この問題は令和4年度下期にも出題されています
本問とまったく同じ数値・同じ選択肢の問題が、令和4年度下期 理論科目A問題1として再出題されています。
| 平成19年度 A問題3(本問) | 令和4年度下期 A問題1 | |
| 対象 | 「二つの電荷A、B」 | 「二つの静止導体球A、B」 |
| 与えられる値 | \(A=16\varepsilon_0\) | \(Q_A=16\varepsilon_0\) |
| 選択肢 | \(16\varepsilon_0,\;8\varepsilon_0,\;-4\varepsilon_0,\;-8\varepsilon_0,\;-16\varepsilon_0\) | まったく同じ |
| 正答 | (4) | (4) |
約15年ぶりの再出題です。表現が「電荷」から「導体球」に変わっているだけで、解き方も答えも同一。電気力線の本数を数えるテーマは繰り返し問われます。
あわせて解いておきたい記事:令和4年度下期 理論科目 A問題1(電気力線の本数から電荷を求める)
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 本数は \(|Q|/\varepsilon_0\)——常に0以上。負の本数は存在しない
② 大きさは本数、符号は矢印——別々に決める
③ 力線が入っている=負電荷。正の選択肢は即消去できる
④ 本数比がそのまま電荷の絶対値の比
⑤ 検算は正味電荷 ÷ \(\varepsilon_0\) = 無限遠へ向かう本数
💡 覚え方
「本数で大きさ、矢印で符号」。2段階に分けると迷いません。本数は必ず正の数——マイナスの本数はないので、最後に矢印を見て符号を付けます。
⚠️ よくある間違い
本数を負の値として扱うのが混乱のもとです。\(N=|Q|/\varepsilon_0\) で絶対値を使います。またBへ入る8本だけを見て \(8\varepsilon_0\)(正)と答えるのも誤りで、入っているのだから負です。
まとめ
| 本問の規格 | N=|Q|/ε0 |
| Aから出る本数 | |16ε0|/ε0=16本 |
| Bへ入る本数 | 8本 → |B|=8ε0 C |
| Bの符号 | 力線が入るため負 |
| 検算 | A+B=+8ε0 C、残る8本は無限遠へ向かう |
| 答え | B=−8ε0 C → (4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・電気力線と電荷の関連問題:【理論】令和4年度下期A問題1

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