静電界67【電験3種 理論】誘電体を挿入した平行板コンデンサ内の等電位線の分布を選ぶ!平成18年 A問題2 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(静電界) 平成18年度 A問題2 誘電体を入れると等電位線が曲がる?正しい図はどれ?

今回は平成18年度 理論科目 A問題2を解説します。空気(比誘電率1)と固体誘電体(比誘電率6)からなる複合平行平板コンデンサで、下部電極を接地し上部電極に電圧を加えたときの等電位線の分布を表す断面図を選ぶ問題です。

空気と固体誘電体の境界に自由表面電荷がないため、法線方向の電束密度Dは連続です。E=D/εより、空気側の電界は比誘電率6の固体誘電体側の6倍になります。同じ電位差ΔVごとの等電位線間隔はΔs=ΔV/Eなので、空気側は密、固体誘電体側は疎になります。

目次

平成18年度 理論科目 A問題2:問題文と選択肢

等電位線は地図の等高線と同じです。電界が強い(急斜面の)ところで線が詰まります。空気と固体、どちらが「急斜面」でしょうか。まずは問題文を確認しましょう。

電験3種 理論科目 静電界 平成18年度 A問題2 問題文
平成18年度 理論科目 A問題2 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成18年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題2

電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成18年度 A問題2

 図1に示すような、空気中における固体誘電体を含む複合誘電体平行平板電極がある。この下部電極を接地し、上部電極に電圧を加えたときの電極間の等電位線の分布を示す断面図として、正しいのは次のうちどれか。ただし、固体誘電体の比誘電率をεr=6とし、誘電体の導電性及び電極と誘電体の端効果は無視できるものとする。参考までに、固体誘電体を取り除いた空気中平行平板電極の場合の等電位線の分布を図2に示す。

電極間の等電位線の分布を示す断面図として、正しいものを図中の(1)〜(5)のうちから一つ選べ(下側を接地電極とする)。

図1 空気(εr=1)と固体誘電体(εr=6)の複合平行平板電極/図2 空気中の等電位線(一様)(自作図)
図1 空気(εr=1)と固体誘電体(εr=6)の複合平行平板電極/図2 空気中の等電位線(一様)(自作図)
等電位線の分布を表す断面図の選択肢(1)〜(5)(自作図)
等電位線の分布を表す断面図の選択肢(1)〜(5)(自作図)

出題のポイント:等電位線の間隔は電界に反比例する

空気(\(\varepsilon_r=1\))と固体誘電体(\(\varepsilon_r=6\))の2層構造で、等電位線の分布を選ぶ問題です。

$$D_{\text{air}}=D_{\text{solid}}$$
❶ 境界で電束密度が連続
自由表面電荷がないから
$$E=\frac{D}{\varepsilon}\;\Rightarrow\;E_{\text{air}}:E_{\text{solid}}=\frac11:\frac16=6:1$$
❷ 電界は誘電率の逆比
空気側が6倍強い
$$\Delta s=\frac{\Delta V}{E}\;\Rightarrow\;\Delta s_{\text{air}}:\Delta s_{\text{solid}}=1:6$$
❸ 間隔は電界に反比例
空気側は1/6の間隔=密

等電位線は地図の等高線と同じです。同じ標高差ごとに線を引くと、急斜面では線が詰まり、なだらかな斜面では広がります——電界が急斜面にあたります。

空気と比誘電率6の固体誘電体を積層した平行板間で電束密度と電界を比較する図
境界でDは連続し、空気側の電界は固体誘電体側の6倍です。

なぜ誘電率が大きい側で電界が弱いのか

直感に反するので、理由を押さえておきます。

電束密度Dは「どれだけの電束が通っているか」を表します。層が重なっている(直列)なら、同じ電束が両方の層を順に通り抜ける——だからDは共通です。

一方電界Eは「その電束を通すのにどれだけの電界が必要か」です。誘電率が大きい材料は電束を通しやすいので、弱い電界で済みます

空気(\(\varepsilon_r=1\))固体誘電体(\(\varepsilon_r=6\))
電束密度 D同じ同じ
電束の通しやすさ低い高い(6倍)
必要な電界 E強い(6倍)弱い(1/6)
等電位線

「通しにくい材料ほど強い電界が要る」——水道管に例えるなら、細い管(空気)に同じ流量を通すには高い圧力が必要というイメージです。

問題の解説:3つの特徴で図を選ぶ

確認項目正しい姿誤りの図
① 空気側の密度密(間隔が狭い)疎になっている
② 固体側の密度疎(間隔が広い)密になっている
③ 境界での連続性電位は連続、傾きだけ変化電位が飛んでいる
④ 線の向き電極・境界に平行傾いている

①と②はセットです。電界が6:1なら間隔は1:6——空気側で密、固体側で疎という組合せしかありえません。

③の連続性も重要です。電位は境界で飛びません。飛ぶのは電界(傾き)だけ——等電位線が境界で途切れたり段差になったりする図は誤りです。

空気側で密、固体誘電体側で疎となる等電位線と連続した電位分布グラフ
同じΔVに対する間隔はΔs=ΔV/Eで、境界では電位が連続したまま傾きが変わります。
答え空気側で密、固体誘電体側で疎、境界で連続 → 選択肢(3)
複合誘電体平行板電極の電界比と等電位線間隔比から選択肢3を導く解答図
E_air:E_solid=6:1、等電位線間隔は1:6なので、平成18年度版の正解は(3)です。

両層が等厚なら電圧の6/7を空気が負担する

図のように両層が同じ厚さなら、電圧の分担も計算できます。

$$V_{\text{air}}:V_{\text{solid}}=E_{\text{air}}t:E_{\text{solid}}t=6:1$$
❹ 厚さが同じなら電界の比がそのまま
$$V_{\text{air}}=\frac{6}{7}V\approx0.857V$$
❺ 空気の負担
約86%

薄い空気層が電圧の大部分を引き受ける——しかも空気は絶縁耐力が最も低い材料です。

この「弱い材料に強い電界」という組合せが、絶縁破壊の典型的な起点になります。固体絶縁物の中に気泡(ボイド)が残っていると、そこで部分放電が始まり、時間をかけて絶縁を蝕んでいきます。

対策は空気層をなくすこと——真空含浸で気泡を追い出す、油やコンパウンドで隙間を埋める。高圧機器の製造で最も気を使う工程の一つです。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
層が重なる=直列=Dが共通
\(E=D/\varepsilon\)——εが小さい層ほど電界が強い
等電位線の間隔は電界に反比例(\(\Delta s=\Delta V/E\))
電界が強い側で線が密——等高線と同じイメージ
境界で電位は連続。飛ぶ図は即座に消せる

💡 覚え方
「通しにくい空気に強い電界」。同じ電束を通すのに、誘電率の小さい空気は強い電界を必要とします。強い電界=等電位線が密——等高線の急斜面と同じです。

⚠️ よくある間違い
「誘電率が大きい固体側で電界が強い」と考えるのが最頻出の誤りです。\(E=D/\varepsilon\) なので逆——空気側が6倍強いです。また境界で電位が飛ぶ図を選ぶのも誤りで、飛ぶのは傾きだけです。

まとめ

境界条件自由表面電荷なし → Dair=Dsolid
電界比Eair:Esolid=6:1
等電位線間隔Δsair:Δssolid=1:6
電位境界で連続、傾きだけが変化
正しい分布空気側=密、固体側=疎
答え平成18年度版 (3)

▼あわせて解きたい関連問題
・複合誘電体コンデンサの関連問題:【理論】令和6年度上期A問題1

📚 次に解くべき関連問題
【理論】平成19年度A問題3(静電界64)
【理論】平成23年度A問題1(静電界52)
【理論】平成18年度B問題17(静電界68)
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