今回は平成18年度 理論科目 B問題17を解説します。同じ形状の金属板11枚を5mm間隔で並べ、1枚おきに接続した空気コンデンサ(板面積0.5m2)について、(a)静電容量、(b)電界1000kV/mのときの蓄積エネルギーを求める問題です。
端子Aには6枚、端子Bには5枚の金属板が交互に接続され、隣接する板の間には10個の空げきができます。各空げきは同じA-B端子間に接続されるため、10個の同一コンデンサの並列接続です。1空げき分の容量C1=ε0A/dを10倍して全体容量を求め、VAB=EdとW=½CVAB2からエネルギーを計算します。
平成18年度 理論科目 B問題17:問題文と選択肢
まずは、平成18年度に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成18年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 B問題17
電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成18年度 B問題17
同一形状の金属板11枚を5〔mm〕の間隔で平行に配置し、1枚おきに接続して空気コンデンサを製作した。板面積は0.5〔m2〕である。真空の誘電率をε0=8.85×10-12〔F/m〕、空気の比誘電率を1.0とし、端効果は無視できるものとして、次の(a)及び(b)に答えよ。
(a)コンデンサの静電容量C〔pF〕の値として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ(ε0=8.85×10-12F/m、空気の比誘電率1.0、端効果は無視)。
(1)88.5 (2)4 430 (3)8 850 (4)17.7×103 (5)177×104
(b)コンデンサ極板間の電界強度を1 000〔kV/m〕とするとき、蓄えられるエネルギーW〔J〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)1.11×10-3 (2)5.54×10-2 (3)1.11×10-1 (4)2.21×10-1 (5)2.21×10

出題のポイント:金属板11枚なら、コンデンサは「10個の並列」
この問題の勝負どころは「空げきが何個できるか」の一点です。板が11枚なら、板と板のすきまは10個。ここを間違えると(a)も(b)も同時に落とします。
金属板を①②③…⑪と番号を振ると、奇数番(①③⑤⑦⑨⑪の6枚)が端子A、偶数番(②④⑥⑧⑩の5枚)が端子Bに接続されます。隣り合う板は必ず A と B の組み合わせになるので、すきま10個すべてが A-B 間のコンデンサとして働きます。
| 枚数・個数 | 備考 | |
| 金属板 | 11枚 | 端子A側6枚、端子B側5枚 |
| すきま(コンデンサ) | 10個 | 板の枚数マイナス1 |
| 接続のしかた | 並列 | 全部が同じ A-B 端子間にある |
💡 覚え方
「多層コンデンサの個数=板の枚数-1」。電柱と電線の関係と同じで、電柱が11本なら電線の区間は10本です。この数え方はコンデンサでも抵抗でも共通で使えます。

(a) の解説:1個分を求めて10倍する
空気なので \(\varepsilon_r=1.0\)、\(\varepsilon_0\) をそのまま使う
\(10^{-12}\div10^{-3}=10^{-9}\)
並列は単純な足し算
単位に注意:間隔は5 mm=\(5\times10^{-3}\) m です。mm のまま代入すると答えが1000倍ずれます。

(b) の解説:電界から電圧に戻してからエネルギーを出す
与えられているのは電界の強さであって電圧ではありません。\(V=Ed\) で電圧に直してから \(W=\frac12CV^2\) に入れます。
1 000 kV/m は \(10^6\) V/m
容量は pF から F に直す(\(8\,850\;\mathrm{pF}=8.85\times10^{-9}\;\mathrm{F}\))
\(8.85\times2.5=22.125\)、\(10^{-9+7}=10^{-2}\)
すきまが10個あっても、各すきまの電界は同じ \(10^6\) V/m です。並列なのですべてのすきまに同じ 5 000 V がかかっている——だから電圧は10倍にはなりません。ここも取り違えやすいポイントです。

誤答の正体:すきまの数え間違いがそのまま選択肢になっている
| 誤り方 | (a) の値 | 選択肢 | (b) の値 | 選択肢 |
| すきまを5個と数える | 4 425 pF | (2) 4 430 | \(5.54\times10^{-2}\) | (2) |
| すきま1個分だけで計算 | 885 pF | — | \(1.11\times10^{-2}\) | — |
| \(\varepsilon_0\) をそのまま容量とする | 88.5 pF | (1) 88.5 | — | — |
| 正しい計算(10個) | 8 850 pF | (3) | \(1.11\times10^{-1}\) | (3) |
(a)(b)ともに選択肢(2)が「すきまを5個と数えた」答えになっています。「端子Bに接続された板が5枚だから5個」という誤解を狙い撃ちにした配置です。
⚠️ よくある間違い
(b)で \(W=\frac12CV^2\) の \(V\) に電界の値 \(10^6\) をそのまま入れると \(4.4\times10^3\) J という桁違いの値になります。電界〔V/m〕と電圧〔V〕は別物——必ず \(V=Ed\) を挟んでください。
別解:エネルギー密度から一気に求める
電界が分かっているなら、単位体積あたりのエネルギー密度から求めることもできます。
すきま10個分
同じ答え ✓
容量を経由しなくても答えが出ます。エネルギー密度の式を覚えていれば、こちらのほうが速いこともあります。
⏱️ 本番での進め方
❶ まず「すきまの数=枚数-1」を書く。11枚→10個。ここが全問題の土台。
❷ 1個分を計算してから個数を掛ける。いきなり全体を求めようとしない。
❸ 単位を SI に統一:5 mm→\(5\times10^{-3}\) m、1 000 kV/m→\(10^6\) V/m、pF→\(10^{-12}\) F。
❹ (b)は \(V=Ed\) を必ず経由する。電界の値を電圧として使うと桁が3つずれる。
この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。
まとめ
| A側・B側の板 | 6枚・5枚を交互に配置 |
| 空げき数 | 10(=11−1)、すべて並列 |
| 1空げきの容量 | C1=885 pF |
| (a)合成容量 | C=8 850 pF、答え(3) |
| 端子間電圧 | VAB=Ed=5 000 V |
| (b)エネルギー | W=0.110625 J≒1.11×10-1 J、答え(3) |
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