単相交流23【電験3種 理論】交流電源と直流電源が混在する回路の電流実効値を求める!令和元年度 A問題8 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 令和元年度 A問題8 交流と直流が混ざる回路!電流の実効値は何A?

今回は令和元年度 理論科目 A問題8を解説します。交流電源Eaと直流電源Edが混在する回路で、電源を流れる電流Iの実効値〔A〕を求める問題です。

交流と直流が混在する回路は重ね合わせで解きます。交流分(コンデンサは通す)と直流分(コンデンサは開放)を別々に求め、最後に実効値I=√(I交流²+I直流²)で合成します。

目次

令和元年度 理論科目 A問題8:問題文と選択肢

まずは、令和元年度に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

電験3種 理論科目 単相交流 令和元年度 A問題8 問題文
令和元年度 理論科目 A問題8 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和元年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題8

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 令和元年度 A問題8

 図の回路において、正弦波交流電源と直流電源を流れる電流Iの実効値〔A〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、Eaは交流電圧の実効値〔V〕(=100V)、Edは直流電圧の大きさ〔V〕(=100V)、Xcは正弦波交流電源に対するコンデンサの容量性リアクタンス(=10Ω)、Rは抵抗値(=10Ω)とする。

(1)10.0 (2)14.1 (3)17.3 (4)20.0 (5)40.0〔A〕

図 交流電源Ea・直流電源EdとR・Xcからなる回路(問題図)
図 交流電源Ea・直流電源EdとR・Xcからなる回路(問題図)

出題のポイント:交流と直流は別々に解いて、最後に2乗和で合成

交流電源と直流電源が混ざった回路は、重ね合わせの理で解きます交流だけの回路と直流だけの回路を別々に計算し、最後に合成します。

合成のとき、単純に足してはいけません周波数が違うので直交している——2乗和の平方根で合成します。ひずみ波の実効値と同じ考え方です。

重ね合わせと実効値の合成
$$I=\sqrt{I_{\text{交流}}^2+I_{\text{直流}}^2}$$$$\text{コンデンサ:交流は通す(}X_C\text{)/直流は通さない(開放)}$$

直流では \(f=0\) なので \(X_C=1/(2\pi fC)\to\infty\)——開放と同じになります。

令和元年度理論A問題8の出題ポイント。交流分はR枝10AとXc枝10Aを直角合成して14.1A、直流分はコンデンサ開放で10A、最後に二乗和で17.3Aに合成する流れを示す図。
出題のポイント。交直混在回路は、交流分と直流分を分けて求め、最後に実効値を二乗和で合成します。

交流分を求める

交流に対しては、コンデンサも電流を通します\(R\) と \(X_C\) が並列になっているので、合成インピーダンスを計算します。

$$|\dot Z|=\frac{R\cdot X_C}{\sqrt{R^2+X_C^2}}=\frac{10\times10}{\sqrt{200}}=\frac{100}{14.14}=7.07\;\Omega$$
❶ 並列合成
\(R=X_C=10\;\Omega\)
$$I_{\text{交流}}=\frac{100}{7.07}=14.14\;\mathrm{A}=10\sqrt2$$
❷ 交流電流

\(R=X_C\) のとき、並列合成インピーダンスは \(R/\sqrt2\) になります。2つの経路に同じだけ電流が流れ、90°ずれて合成される——だから \(\sqrt2\) 倍の電流です。

直流分を求める

直流に対しては、コンデンサは開放です。電流の通り道は \(R\) だけになります。

$$I_{\text{直流}}=\frac{E_d}{R}=\frac{100}{10}=10\;\mathrm{A}$$
直流電流
コンデンサは無関係

コンデンサは充電が完了すれば電流を通しません定常状態では開放と同じ——だから直流分は \(R\) だけで決まります

2つを合成する

$$I=\sqrt{(10\sqrt2)^2+10^2}=\sqrt{200+100}=\sqrt{300}=17.32\;\mathrm{A}$$
実効値の合成
\(=10\sqrt3\)

\(\sqrt{300}=10\sqrt3=17.32\)——きれいな値になります。問題の数値が \(R=X_C=10\;\Omega\)、\(E_a=E_d=100\;\mathrm{V}\) とそろえてあるのは、この形にするためです。

重ね合わせのポイント解説。交流電源だけの場合は直流電源を短絡し、R=10ΩとXc=10Ωの枝電流10Aずつを90度ずれとして合成。直流電源だけの場合は交流電源を短絡し、コンデンサ開放で抵抗電流10Aを求める図。
ポイント解説。交流分は枝電流の直角合成、直流分はコンデンサ開放、最後はI=√(I交流²+I直流²)で求めます。
答え\(I=17.3\;\mathrm{A}\) → 選択肢(3)
問題の解説1枚目。交流電源Eaだけを考え、R枝の電流10A、Xc枝の電流10A、両者の90度ずれからI交流=√(10²+10²)=10√2≒14.1Aを求める図。
問題の解説1/2。交流分では、R枝とXc枝の電流が90°ずれるため、10Aと10Aを直角合成します。
問題の解説2枚目。直流電源Edだけを考え、コンデンサは直流で開放、I直流=100/10=10A。I=√((10√2)²+10²)=√300≒17.3Aより答えは3であることを示す図。
問題の解説2/2。直流分は10A、交流分10√2Aと二乗和で合成し、√300≒17.3A、答えは(3)です。

誤答の正体:合成の仕方と、交流分の計算

誤り方計算値〔A〕選択肢
直流分だけ\(100/10\)10.0(1)
交流分だけ\(100/7.07\)14.1(2)
交流分も10 A として合成\(\sqrt{100+100}\)14.1(2)
単純に足す\(14.14+10\)24.1選択肢になし
正しい計算\(\sqrt{200+100}\)17.3(3) ◎

(2)の14.1 には2通りの到達経路があります。「交流分だけを答えた」場合と、「交流分も10 A と誤って合成した」場合——どちらも同じ値になるのが厄介です。

交流側は \(R\) と \(X_C\) の並列なので、電流は \(R\) だけのときより多く流れます\(10\;\mathrm{A}\) ではなく \(14.14\;\mathrm{A}\)——ここを見落とすと(2)に着地します。

⚠️ よくある間違い
交流分と直流分を単純に足すのは誤りです。周波数が違う成分は直交しているので、2乗和の平方根で合成します。24.1 A という値は選択肢にないので、そこで気づけるはずです。

深掘り①:なぜ2乗和の平方根なのか

実効値の定義に戻ると分かります実効値は「2乗の平均の平方根」です。交流分と直流分を足した波形を2乗して平均してみましょう。

$$i(t)=\sqrt2I_a\sin\omega t+I_d$$
❶ 合成波形
交流+直流
$$i^2=2I_a^2\sin^2\omega t+2\sqrt2I_aI_d\sin\omega t+I_d^2$$
❷ 2乗する
交差項が出る
$$\overline{\sin\omega t}=0\;\Longrightarrow\;\overline{i^2}=I_a^2+I_d^2$$
❸ 平均を取る
交差項は消える

交差項に含まれる \(\sin\omega t\) の平均はゼロです。だから交流分と直流分の2乗だけが残ります——これが2乗和の平方根になる理由です。

同じ理屈がひずみ波にも当てはまります基本波と高調波、直流分——すべて周波数が違えば直交し、実効値は2乗和の平方根になります。

深掘り②:コンデンサの「直流を通さない」性質の使い道

コンデンサが直流を通さない性質は、実務で広く使われています

用途働き
結合コンデンサ(カップリング)直流分を除いて交流信号だけを次段へ渡す
平滑コンデンサ交流分(リプル)をバイパスして直流を残す
直流阻止測定器の入力で直流成分を切る(AC結合)

本問の回路も「直流と交流を分ける」構造になっています。コンデンサ側には交流だけ、抵抗側には両方が流れる——電流の内訳を考えると面白い回路です。

オシロスコープの「AC結合」も同じ原理です。入力に直列にコンデンサを入れて直流成分をカットし、小さな交流変動だけを拡大して観測できるようにしています。

💡 覚え方
「コンデンサは交流を通し、コイルは直流を通す」——正反対の性質です。この2つを組み合わせると、周波数で信号を分けられます

⏱️ 本番での進め方
❶ 交流分と直流分を別々に解く。重ね合わせの理。
❷ 直流ではコンデンサは開放。抵抗だけの回路になる。
❸ 合成は2乗和の平方根。単純に足さない。
❹ 交流側の回路構成を確認する。並列なら電流が増える。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

交流分√(102+102)=14.1A
直流分100/10=10A(C開放)
合成√(14.12+102)
答え√300≒17.3A …(3)

問題文・回路図・選択肢は試験センター公式問題PDF(理論 問8)、正答(3)は公式解答PDFで確認しています。

▼あわせて解きたい関連問題
・重ね合わせ・実効値の関連問題:【理論】令和4年度下期A問題8

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