単相交流24【電験3種 理論】RLC並列回路で周波数を変えたときの電流の大小を比較する!令和元年度 A問題9 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 令和元年度 A問題9 周波数で電流が変わる並列回路!大小関係は?

今回は令和元年度 理論科目 A問題9を解説します。RLC並列回路で角周波数ω₁=5・ω₂=10・ω₃=30krad/sの3通りのときの電流I₁・I₂・I₃の大小関係を求める問題です。

並列回路の電流はI=V|Y|、Y=1/R+j(ωC−1/(ωL))。並列共振(ωC=1/(ωL))で虚部が0となり電流最小。共振周波数ω_r=1/√(LC)を求め、各ωのずれを比べます。

目次

令和元年度 理論科目 A問題9:問題文と選択肢

まずは、令和元年度に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

電験3種 理論科目 単相交流 令和元年度 A問題9 問題文
令和元年度 理論科目 A問題9 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和元年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題9

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 令和元年度 A問題9

 図は、実効値が1V、角周波数ω〔krad/s〕が変化する正弦波交流電源を含む回路である。いま、ωの値がω₁=5krad/s、ω₂=10krad/s、ω₃=30krad/sと3通りの場合を考え、ω=ωk(k=1,2,3)のときの電流i〔A〕の実効値をIkと表すとき、I₁、I₂、I₃の大小関係として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、R=100kΩ、C=10μF、L=1mHとする。

(1)I1<I2<I3 (2)I1=I2<I3 (3)I2<I1<I3 (4)I2<I1=I3 (5)I3<I2<I1

図 1V電源とR(100kΩ)・C(10μF)・L(1mH)の並列回路(問題図)
図 1V電源とR(100kΩ)・C(10μF)・L(1mH)の並列回路(問題図)

出題のポイント:共振点はどれか、そこからどれだけ離れているか

まず共振角周波数を計算します\(\omega_r=1/\sqrt{LC}=10\;\mathrm{krad/s}\)——\(\omega_2\) がちょうど共振点です。並列共振なので、ここで電流が最小になります。

残る \(\omega_1\) と \(\omega_3\) は、サセプタンスの絶対値で比べます抵抗が100 kΩ と非常に大きいので、コンダクタンスは無視でき、電流はほぼサセプタンスで決まります

並列回路のアドミタンス
$$\dot Y=\frac1R+j\left(\omega C-\frac{1}{\omega L}\right)\qquad I=E|\dot Y|$$

\(R=100\;\mathrm{k\Omega}\) なら \(1/R=10^{-5}\;\mathrm{S}\)——サセプタンスに比べて桁違いに小さいので無視できます。

令和元年度理論A問題9の出題ポイント。RLC並列回路でY=1/R+jB、B=ωC−1/(ωL)を使い、ωr=10krad/sで電源電流が最小、|B1|=0.15、|B2|=0、|B3|=0.267よりI2<I1<I3、答え3を示す図。
出題のポイント。RLC並列回路は、並列共振点で電源電流が最小になることを使って比較します。

共振点を求める

$$\omega_r=\frac{1}{\sqrt{LC}}=\frac{1}{\sqrt{10^{-3}\times10\times10^{-6}}}=\frac{1}{\sqrt{10^{-8}}}$$
❶ 共振角周波数
\(LC=10^{-8}\)
$$\omega_r=10^4\;\mathrm{rad/s}=10\;\mathrm{krad/s}$$
❷ 単位を合わせる
\(\omega_2\) と一致

\(\omega_2=10\;\mathrm{krad/s}\) がちょうど共振点です。並列共振ではアドミタンスの虚部がゼロになり、電流が最小——\(I_2\) が3つのうち最小だと決まります。

この時点で選択肢が絞れます\(I_2\) が最小なので、\(I_2\) が先頭に来ている(3)(4)が候補になります。

\(\omega_1\) と \(\omega_3\) を比べる

\(\omega\)〔krad/s〕\(\omega C\)〔S〕\(1/(\omega L)\)〔S〕\(B\)〔S〕\(|B|\)
5(\(\omega_1\))0.050.20−0.150.15
10(\(\omega_2\))0.100.1000(最小)
30(\(\omega_3\))0.300.033+0.2670.267(最大)

\(|B_3|=0.267>|B_1|=0.15\) なので、\(I_3>I_1\) です。したがって \(I_2<I_1<I_3\)——選択肢(3)になります。

直感的にも確かめられます共振点10 から \(\omega_1=5\) は5離れ、\(\omega_3=30\) は20離れています離れているほど電流が大きいので、\(\omega_3\) のほうが大きい——筋が通ります。

\(\omega_1\) では容量性が負けて誘導性(\(B<0\))、\(\omega_3\) では容量性が勝つ(\(B>0\))——共振点をはさんで性質が反転しています。

RLC並列回路のポイント解説。アドミタンスY=G+jB、G=1/R、B=ωC−1/(ωL)、ωr=1/√LC=10krad/s、B=0で電源電流最小、|B2|<|B1|<|B3|からI2<I1<I3を示す図。
ポイント解説。抵抗分Gは一定なので、各角周波数でサセプタンス|B|を比較すれば電源電流の大小が分かります。
答え\(I_2<I_1<I_3\) → 選択肢(3)
問題の解説1枚目。R=100kΩ、C=10μF、L=1mHのRLC並列回路で、Y=1/R+j(ωC−1/(ωL))、共振条件からωr=1/√LC=10krad/s=ω2を求める図。
問題の解説1/2。C=10μF=10^-5F、L=1mH=10^-3Hより、並列共振の角周波数は10krad/sです。
問題の解説2枚目。B=ωC−1/(ωL)でB1=-0.15S、B2=0S、B3≈0.267Sを求め、|B2|<|B1|<|B3|よりI2<I1<I3、答え3と判断する図。
問題の解説2/2。|B|が大きいほど電源電流も大きくなるため、I2<I1<I3、答えは(3)です。

誤答の正体:単調に増えると思い込む

選択肢判定理由
(1)\(I_1<I_2<I_3\)×\(I_2\) が最小なので順序が違う
(2)\(I_1=I_2<I_3\)×\(I_1\) と \(I_2\) は等しくない
(3)\(I_2<I_1<I_3\)正解
(4)\(I_2<I_1=I_3\)×\(|B_1|\ne|B_3|\)
(5)\(I_3<I_2<I_1\)×\(I_2\) が最小でない

(1)の「周波数が高いほど電流が大きい」という単調な関係を想定するのが典型的な誤りです。並列共振回路では、共振点で電流が最小になる谷型の特性——単調ではありません

(4)は「共振点から等距離なら電流が等しい」と考えた場合です。\(\omega_1=5\) と \(\omega_3=30\) は共振点10 から見て「1/2 倍」と「3倍」——対称ではありませんもし \(\omega_3=20\) なら「1/2倍と2倍」でも、\(|B|\) は等しくなりません

⚠️ よくある間違い
共振点からの「距離」で判断するときは注意してください。\(|B|\) は周波数に対して非対称です。\(\omega C\) は比例、\(1/(\omega L)\) は反比例——高周波側のほうが急激に変化します。

深掘り①:数値の設計が絶妙

この問題の数値は、計算がきれいになるよう選ばれています\(L=1\;\mathrm{mH}\)、\(C=10\;\mathrm{\mu F}\)\(LC=10^{-8}\)——平方根が \(10^{-4}\) ときれいに開けます

$$LC=10^{-3}\times10^{-5}=10^{-8}\;\Longrightarrow\;\sqrt{LC}=10^{-4}$$
指数の足し算
\(-3+(-5)=-8\)、その半分が \(-4\)

指数が偶数になるように数値が選ばれている——これは出題者の配慮です。\(\sqrt{}\) がきれいに開けないときは、単位換算を間違えている可能性があります。

\(R=100\;\mathrm{k\Omega}\) と大きいのも意図的です。コンダクタンス \(10^{-5}\;\mathrm{S}\) はサセプタンス(\(0.15\;\mathrm{S}\) など)の1万分の1——完全に無視できるので、\(|B|\) の比較だけで答えが出せます

深掘り②:並列共振回路の周波数特性

周波数回路の性質電流位相
共振点より低い誘導性(\(B<0\))大きい遅れ
共振点純抵抗最小同相
共振点より高い容量性(\(B>0\))大きい進み

直列共振とは正反対です。直列では共振点で電流が最大になり、低周波側が容量性、高周波側が誘導性——すべて逆になります。

並列共振で低周波側が誘導性になる理由は、並列では電流の大きいほうが性質を決めるからです。低周波では \(1/(\omega L)\) が大きい=コイルに多く電流が流れる——だから誘導性になります。

💡 覚え方
「並列共振は谷、直列共振は山」——電流の周波数特性の形です。本問は谷型なので、共振点が最小だとすぐ分かります。

⏱️ 本番での進め方
❶ 共振点を先に計算する。どれかが共振点になっていることが多い。
❷ 並列共振は電流最小。谷型の特性。
❸ \(|B|\) の大小で比べる。\(R\) が大きければコンダクタンスは無視できる。
❹ 共振点からの距離は非対称。高周波側のほうが変化が急。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

共振ω_r=1/√(LC)=10krad/s=ω₂
|B₁|/|B₂|0.15/0
|B₃|0.267
答えI₂<I₁<I₃ …(3)

問題文・回路図・選択肢は試験センター公式問題PDF(理論 問9)、正答(3)は公式解答PDFで確認しています。

▼あわせて解きたい関連問題
・並列共振の関連問題:【理論】令和6年度上期A問題8

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