静電界55【電験3種 理論】空気コンデンサと誘電体コンデンサで内部電界と電荷は何倍?平成22年 A問題2 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(静電界) 平成22年度 A問題2 空気と誘電体を比べる!内部電界と電荷は何倍?

今回は平成22年度 理論科目 A問題2を解説します。電極板面積と間隔が同一で、一方が空気(コンデンサA)、他方が固体誘電体εr=4(コンデンサB)のコンデンサに同じ電圧Vを加えたとき、Bの内部電界と電荷がAの何倍になるかを求める問題です。

端効果を無視し、極板間全体を均一な媒質が満たす本問では、電界E=V/dなのでAとBの内部電界は同じ(1倍)です。一方、D=εEより、比誘電率4のBでは電束密度Dが4倍になります。極板面積をSとするとQ=DSなので、Bの極板電荷は4倍です。

目次

平成22年度 理論科目 A問題2:問題文と選択肢

面積も間隔も電圧も同じ、違うのは誘電体だけ。このとき電界は変わらず、電荷だけが4倍になります。誘電体の役割が見えてくる問題です。まずは問題文を確認しましょう。

電験3種 理論科目 静電界 平成22年度 A問題2 問題文
平成22年度 理論科目 A問題2 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題2

電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成22年度 A問題2

 図に示すように、電極板面積と電極板間隔がそれぞれ同一の2種類の平行平板コンデンサがあり、一方を空気コンデンサA、他方を固体誘電体(比誘電率εr=4)が満たされたコンデンサBとする。両コンデンサにおいて、それぞれ一方の電極に直流電圧V〔V〕を加え、他方の電極を接地したとき、コンデンサBの内部電界〔V/m〕及び電極板上に蓄えられた電荷〔C〕はコンデンサAのそれぞれ何倍となるか。その倍率として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。ただし、空気の比誘電率を1とし、コンデンサの端効果は無視できるものとする。

内部電界の倍率と電荷の倍率について、正しい組合せを次の表から選びます。

内部電界電荷
(1)14
(2)44
(3)1/44
(4)41
(5)11
図 空気コンデンサAと固体誘電体(εr=4)コンデンサB(問題図)
図 空気コンデンサAと固体誘電体(εr=4)コンデンサB(問題図)

出題のポイント:電圧が同じなら電界も同じ、変わるのは電荷

空気コンデンサAと誘電体コンデンサBを比べます。面積も間隔も電圧も同じ——違うのは誘電体だけです。

A(空気)B(\(\varepsilon_r=4\))倍率
電界 E\(V/d\)\(V/d\)\(V/d\)1倍
電束密度 D\(\varepsilon_0\varepsilon_rE\)\(\varepsilon_0E\)\(4\varepsilon_0E\)4倍
静電容量 C\(\varepsilon_0\varepsilon_rS/d\)\(\varepsilon_0S/d\)\(4\varepsilon_0S/d\)4倍
電荷 Q\(CV=DS\)4倍

電界だけが1倍で、他はすべて4倍——この非対称が答えになります。

$$E=\frac{V}{d}$$
❶ 電界の定義
誘電率がどこにも入らない

電界は「電圧を距離で割ったもの」にすぎません。電圧が同じで距離が同じなら、間に何が詰まっていても電界は同じです。

同じ電圧と極板間隔をもつ空気コンデンサAと比誘電率4の誘電体コンデンサBを比較する図
Eは両方ともV/dで同じですが、BではDと極板電荷Qが4倍になります。

では誘電体は何をしているのか

電界が同じなら誘電体の意味がないように思えますが、そうではありません。誘電体は「同じ電界でより多くの電荷を蓄える」働きをします。

$$D=\varepsilon_0\varepsilon_rE\;\Rightarrow\;D_B=4D_A$$
❷ 電束密度は4倍
同じEでもDが4倍
$$Q=DS\;\Rightarrow\;Q_B=4Q_A$$
❸ 電荷も4倍
面積Sは同じ

誘電体が分極することで、極板により多くの電荷を引き寄せられる——これが誘電体の役割です。分極した誘電体の表面に現れる電荷が、極板の電荷を部分的に打ち消すため、電源はさらに電荷を送り込めます。

容量から見ても同じ結論です。\(C=\varepsilon_0\varepsilon_rS/d\) が4倍、\(Q=CV\) でVが同じなので、Qも4倍——2つの道すじが一致します ✓

問題の解説:2つの倍率を別々に出す

電圧一定のときの各量
$$E=\frac{V}{d}\;(\varepsilon\text{に無関係}),\qquad D=\varepsilon_0\varepsilon_rE,\qquad Q=DS=CV$$

E → D → Q の順に \(\varepsilon_0\varepsilon_r\) と \(S\) を掛けていくと整理できます。

STEP1 内部電界の倍率

$$E_A=E_B=\frac{V}{d}\;\Rightarrow\;\frac{E_B}{E_A}=1$$
❹ 同じV・同じd
1倍

STEP2 電荷の倍率

$$\frac{Q_B}{Q_A}=\frac{D_BS}{D_AS}=\frac{4\varepsilon_0E}{\varepsilon_0E}=4$$
❺ 電束密度の比がそのまま
4倍
固定電圧から電界、電束密度、静電容量、極板電荷の倍率を順に導く関係図
同じV・dではEは1倍、εが4倍なのでD・C・Qは4倍です。
答え内部電界 1倍、電荷 4倍 → 選択肢(1)
コンデンサBとAの内部電界比1および電荷比4を計算して選択肢1を示す解説図
EB/EA=1、QB/QA=4より、正しい組合せは選択肢(1)です。

誤答の正体:4通りの取り違え方が並んでいる

選択肢電界電荷何を間違えたか判定
(1)1倍4倍正解
(2)4倍4倍電界も4倍と誤解(\(E=V/d\) に \(\varepsilon_r\) は入らない)×
(3)1/4倍4倍電界が1/4と誤解(\(E=D/\varepsilon\) の関係を電圧一定に誤用)×
(4)4倍1倍電界と電荷を入れ替えた×
(5)1倍1倍誘電体の効果を無視した×

(3)の「電界1/4倍」が最も紛らわしいです。\(E=D/\varepsilon\) という関係から「誘電率が4倍なら電界は1/4」と考えたくなります。しかしその考え方が成り立つのはDが一定のとき、つまり電荷一定の場合です。

条件何が一定か電界の倍率電荷の倍率
電圧一定(本問)V、したがって E1倍4倍
電荷一定Q、したがって D1/4倍1倍

2つの条件で答えがきれいに入れ替わります。本問は「同じ電圧Vを加える」と明記されているので電圧一定——(1)が正解です。(3)は電荷一定の問題の答えと言えます。

(2)は「誘電体を入れたら全部4倍」という大雑把な理解の結果です。電界だけは変わらない——ここに例外があることを押さえてください。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
電圧一定 → \(E=V/d\) は媒質によらない(1倍)
D・C・Q はすべて \(\varepsilon_r\) に比例(本問では4倍)
\(E\to D\to Q\) の順に \(\varepsilon_0\varepsilon_r\)、\(S\) を掛ける
電荷一定なら結論が逆(Eが1/4、Qが1倍)——条件を必ず確認
⑤ 組合せ問題は2つとも合っている行を探す

💡 覚え方
「電圧が同じなら電界も同じ、増えるのは電荷」。誘電体の役目は電界を変えることではなく、同じ電界でより多くの電荷を蓄えることです。だから容量が増えます。

⚠️ よくある間違い
「誘電率が4倍だから電界は1/4」と考えるのが最頻出の誤りです(選択肢(3))。それは電荷一定の場合。電圧一定では \(E=V/d\) で変わりません。問題文が「同じ電圧を加える」と言っているかを必ず確認してください。

まとめ

内部電界EB/EA=1
電束密度D=εEよりDB/DA=4
静電容量CB/CA=4
極板電荷Q=DS=CVよりQB/QA=4
答え(1) 内部電界1倍・電荷4倍

▼あわせて解きたい関連問題
・誘電体コンデンサの関連問題:【理論】令和7年度上期A問題2

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