今回は平成22年度 理論科目 A問題2を解説します。電極板面積と間隔が同一で、一方が空気(コンデンサA)、他方が固体誘電体εr=4(コンデンサB)のコンデンサに同じ電圧Vを加えたとき、Bの内部電界と電荷がAの何倍になるかを求める問題です。
端効果を無視し、極板間全体を均一な媒質が満たす本問では、電界E=V/dなのでAとBの内部電界は同じ(1倍)です。一方、D=εEより、比誘電率4のBでは電束密度Dが4倍になります。極板面積をSとするとQ=DSなので、Bの極板電荷は4倍です。
平成22年度 理論科目 A問題2:問題文と選択肢
面積も間隔も電圧も同じ、違うのは誘電体だけ。このとき電界は変わらず、電荷だけが4倍になります。誘電体の役割が見えてくる問題です。まずは問題文を確認しましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題2
電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成22年度 A問題2
図に示すように、電極板面積と電極板間隔がそれぞれ同一の2種類の平行平板コンデンサがあり、一方を空気コンデンサA、他方を固体誘電体(比誘電率εr=4)が満たされたコンデンサBとする。両コンデンサにおいて、それぞれ一方の電極に直流電圧V〔V〕を加え、他方の電極を接地したとき、コンデンサBの内部電界〔V/m〕及び電極板上に蓄えられた電荷〔C〕はコンデンサAのそれぞれ何倍となるか。その倍率として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。ただし、空気の比誘電率を1とし、コンデンサの端効果は無視できるものとする。
内部電界の倍率と電荷の倍率について、正しい組合せを次の表から選びます。
内部電界 電荷 (1) 1 4 (2) 4 4 (3) 1/4 4 (4) 4 1 (5) 1 1

出題のポイント:電圧が同じなら電界も同じ、変わるのは電荷
空気コンデンサAと誘電体コンデンサBを比べます。面積も間隔も電圧も同じ——違うのは誘電体だけです。
| 量 | 式 | A(空気) | B(\(\varepsilon_r=4\)) | 倍率 |
| 電界 E | \(V/d\) | \(V/d\) | \(V/d\) | 1倍 |
| 電束密度 D | \(\varepsilon_0\varepsilon_rE\) | \(\varepsilon_0E\) | \(4\varepsilon_0E\) | 4倍 |
| 静電容量 C | \(\varepsilon_0\varepsilon_rS/d\) | \(\varepsilon_0S/d\) | \(4\varepsilon_0S/d\) | 4倍 |
| 電荷 Q | \(CV=DS\) | — | — | 4倍 |
電界だけが1倍で、他はすべて4倍——この非対称が答えになります。
誘電率がどこにも入らない
電界は「電圧を距離で割ったもの」にすぎません。電圧が同じで距離が同じなら、間に何が詰まっていても電界は同じです。

では誘電体は何をしているのか
電界が同じなら誘電体の意味がないように思えますが、そうではありません。誘電体は「同じ電界でより多くの電荷を蓄える」働きをします。
同じEでもDが4倍
面積Sは同じ
誘電体が分極することで、極板により多くの電荷を引き寄せられる——これが誘電体の役割です。分極した誘電体の表面に現れる電荷が、極板の電荷を部分的に打ち消すため、電源はさらに電荷を送り込めます。
容量から見ても同じ結論です。\(C=\varepsilon_0\varepsilon_rS/d\) が4倍、\(Q=CV\) でVが同じなので、Qも4倍——2つの道すじが一致します ✓
問題の解説:2つの倍率を別々に出す
STEP1 内部電界の倍率
1倍
STEP2 電荷の倍率
4倍


誤答の正体:4通りの取り違え方が並んでいる
| 選択肢 | 電界 | 電荷 | 何を間違えたか | 判定 |
| (1) | 1倍 | 4倍 | 正解 | ○ |
| (2) | 4倍 | 4倍 | 電界も4倍と誤解(\(E=V/d\) に \(\varepsilon_r\) は入らない) | × |
| (3) | 1/4倍 | 4倍 | 電界が1/4と誤解(\(E=D/\varepsilon\) の関係を電圧一定に誤用) | × |
| (4) | 4倍 | 1倍 | 電界と電荷を入れ替えた | × |
| (5) | 1倍 | 1倍 | 誘電体の効果を無視した | × |
(3)の「電界1/4倍」が最も紛らわしいです。\(E=D/\varepsilon\) という関係から「誘電率が4倍なら電界は1/4」と考えたくなります。しかしその考え方が成り立つのはDが一定のとき、つまり電荷一定の場合です。
| 条件 | 何が一定か | 電界の倍率 | 電荷の倍率 |
| 電圧一定(本問) | V、したがって E | 1倍 | 4倍 |
| 電荷一定 | Q、したがって D | 1/4倍 | 1倍 |
2つの条件で答えがきれいに入れ替わります。本問は「同じ電圧Vを加える」と明記されているので電圧一定——(1)が正解です。(3)は電荷一定の問題の答えと言えます。
(2)は「誘電体を入れたら全部4倍」という大雑把な理解の結果です。電界だけは変わらない——ここに例外があることを押さえてください。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 電圧一定 → \(E=V/d\) は媒質によらない(1倍)
② D・C・Q はすべて \(\varepsilon_r\) に比例(本問では4倍)
③ \(E\to D\to Q\) の順に \(\varepsilon_0\varepsilon_r\)、\(S\) を掛ける
④ 電荷一定なら結論が逆(Eが1/4、Qが1倍)——条件を必ず確認
⑤ 組合せ問題は2つとも合っている行を探す
💡 覚え方
「電圧が同じなら電界も同じ、増えるのは電荷」。誘電体の役目は電界を変えることではなく、同じ電界でより多くの電荷を蓄えることです。だから容量が増えます。
⚠️ よくある間違い
「誘電率が4倍だから電界は1/4」と考えるのが最頻出の誤りです(選択肢(3))。それは電荷一定の場合。電圧一定では \(E=V/d\) で変わりません。問題文が「同じ電圧を加える」と言っているかを必ず確認してください。
まとめ
| 内部電界 | EB/EA=1 |
| 電束密度 | D=εEよりDB/DA=4 |
| 静電容量 | CB/CA=4 |
| 極板電荷 | Q=DS=CVよりQB/QA=4 |
| 答え | (1) 内部電界1倍・電荷4倍 |
▼あわせて解きたい関連問題
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