今回は平成25年度 理論科目 A問題8を解説します。8本の抵抗からなる直並列回路に5 Vを加えたときの電源電流Iを求めます。導線で同一節点を統合し、電源を含まない受動網を切り分け、8本すべての電流を確認します。
重要なのは「近くの抵抗を短絡と決めつける」ことではありません。まず抵抗を挟まない導線を一つの節点Gとしてまとめます。次に、右・下側が電源を含まずGにだけ接続された受動網であることから、その内部節点電位と全枝電流が0になると判断します。
平成25年度 理論科目 A問題8:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論・問8、PDF 11ページ、冊子表示-8-)と公式解答PDFを照合して進めます。下の問題文画像と回路図は、電源極性、Iの矢印、8本の抵抗値と配置、導線、選択肢が公式内容と一致しているため保持しています。

電験3種 理論科目 【直流回路・節点統合と直並列合成】 平成25年度 A問題8
図に示すような抵抗の直並列回路がある。この回路に直流電圧5〔V〕を加えたとき、電源から流れ出る電流I〔A〕の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)0.2 (2)0.4 (3)0.6 (4)0.8 (5)1.0〔A〕

出題のポイント:「電源のない網」には電流が流れない
8本もの抵抗が入り組んで見えますが、実際に電流が流れているのはたった3本です。それを見抜く鍵が「電源を含まない受動網」という考え方になります。
まず抵抗を挟まない導線でつながる点は、すべて同じ節点としてまとめます。本問では電源の負極・40 Ωの下端・中央の横線・上側10 Ωの右端が1本の導線でつながっており、これを節点G(0 V)とします。
すると右・下側の5本の抵抗は、電源を持たず、Gにだけ接続された網になります。抵抗だけの網が自分で電位差を作り出すことはできないので、内部の節点もすべて0 V。結果として5本すべてに電流が流れません。個々の抵抗が導線で短絡されているのではなく、網全体が同電位になっている——この区別が本問の本質です。

問題の解説:通電する3本だけに縮約する
STEP1 導線でつながる点を節点Gに統合する
電源負極・40 Ω下端・中央横線・上側10 Ω右端——これらは抵抗を挟まずつながっているので、まとめて1つの節点G(0 V)です。
| 分類 | 本数 | 該当する抵抗 |
| 通電する | 3本 | 電源側5 Ω、縦40 Ω、上側10 Ω |
| 電流0(受動網) | 5本 | 右上20 Ω、右端縦10 Ω、右下20 Ω、下側10 Ω、中央縦50 Ω |
10 Ωが3本あるので、位置まで区別して数えてください。通電するのは上側の10 Ωだけで、右端縦と下側の10 Ωは電流0です。
STEP2 残った3本を直並列合成する
40 Ωと上側10 Ω
電源側の5 Ωを足す

STEP3 電流を求める
最も近い選択肢は0.4 A
枝電流での検算:5 Ωの後の節点電圧は \(5\times8/13=40/13\approx3.077\;\mathrm{V}\)。40 Ω枝は \(0.0769\;\mathrm{A}\)、上側10 Ω枝は \(0.3077\;\mathrm{A}\)、合計 \(0.3846\;\mathrm{A}\) で電源電流と一致します ✓
電力収支での検算:電源は \(5\times5/13=1.923\;\mathrm{W}\)。5 Ωが0.740 W、40 Ωが0.237 W、上側10 Ωが0.947 W、合計 \(1.923\;\mathrm{W}\) ✓ 残る5本は0 Wです。

選択肢との距離を確かめる
厳密値は \(5/13=0.3846\ldots\)。選択肢は0.2刻みなので、どれが「最も近い」かは明白です。
| 選択肢 | 電流 [A] | 厳密値 0.3846 との差 | 判定 |
| (1) | 0.2 | 0.185 | × |
| (2) | 0.4 | 0.015 | ○ |
| (3) | 0.6 | 0.215 | × |
| (4) | 0.8 | 0.415 | × |
| (5) | 1.0 | 0.615 | × |
0.4 Aは丸めた「厳密値」ではなく、設問が言う「最も近いもの」です。答案では \(5/13\) を出したうえで選択肢を選ぶ、という流れを意識してください。
受動網の考え方は他の問題にも効く
「電源を含まない網は電流が流れない」という考え方は、複雑に見える回路を一撃で単純化します。判定の手順は次の2つだけです。
① その網に独立電源が含まれているか——含まれていなければ、自分で電位差を作れません。② 外部との接続点は何箇所か——1箇所(本問のGだけ)なら、電流の行き場がないので全体が同電位になります。2箇所以上あれば電流が通り抜ける可能性があるので、この論法は使えません。
本問では右・下側の5本が「電源なし・接続点はGのみ」に該当するので、まとめて消去できました。「短絡だから0 V」ではなく「電流の行き場がないから0 V」——理由を正しく理解しておくと、似て非なる回路で誤らずに済みます。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① まず抵抗を挟まない導線を探して、同じ節点にまとめる(色を塗るイメージ)
② 電源を含まず・接続点が1箇所だけの網は丸ごと電流0。消してよい
③ 同じ抵抗値が複数あるときは位置で区別する(本問は10 Ωが3本)
④ 「最も近いもの」は厳密値(5/13)を出してから選択肢と照合する
節点統合・回路の簡略化の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 平成25年度 A問題8 | 本問(直流回路51) | 対称性・短絡を見抜いて電流を求める |
| 平成29年度 A問題5 | 直流回路36 | 外周導線が同一ノード→5 Ωが0 A |
| 令和4年度下期 A問題5 | 直流回路21 | 平衡ブリッジを見抜いて電源電圧E |
| 平成19年度 A問題6 | 直流回路65 | スイッチ開閉で電流が不変=平衡ブリッジ |
| 令和4年度上期 A問題7 | 直流回路26 | 6抵抗のブリッジから未知抵抗Rx |
💡 覚え方
導線でつながる点は同一節点にまとめる。電源のない網+接続点1箇所=全体が同電位=電流0。本問は8本中5本が消えて \(5+(40\parallel10)=13\;\Omega\)。
⚠️ よくある間違い
右側の5本はそれぞれが短絡されているのではありません(電源のない受動網なので全体が同電位になる結果、電圧0)。下側10 Ωを数え忘れず、上側10 Ωと区別しましょう。0.4 Aは厳密値ではなく「最も近い」値です。
まとめ
| 同一節点 | 電源負極・40 Ω下端・中央横線・上側10 Ω右端=G |
| 通電3本 | 5 Ω、40 Ω、上側10 Ω |
| 無電流5本 | 右上20 Ω、右端10 Ω、右下20 Ω、下側10 Ω、中央50 Ω |
| 合成抵抗 | 5+(40∥10)=13 Ω |
| 電流・正答 | I=5/13=0.3846 A、最も近い0.4 Aの(2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・対称回路・平衡の関連問題:【理論】平成29年度A問題5

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