今回は平成25年度 理論科目 A問題6を解説します。上側が正極の60 V・80 V電源と五つの抵抗からなる回路で、中央のR=10 Ωが消費する電力を求めます。節点法で主解を導き、電流の実方向・テブナン等価・電力収支まで確認します。
下側共通線を0 V、10 Ωの左端をV1、右端をV2と置きます。「各節点から流れ出す電流の和=0」で二式を立て、電位差からIRとP=IR2Rを求めるのが確実です。
平成25年度 理論科目 A問題6:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の平成25年度公式問題PDF(理論・問6、PDF 9ページ、冊子表示-6-)と公式解答PDFを照合して進めます。下の問題文画像と回路図は、電源極性・抵抗値・接続・選択肢とも公式内容と一致しているため保持しています。

電験3種 理論科目 【直流回路・節点法】 平成25年度 A問題6
図の直流回路において、抵抗R=10Ωで消費される電力の値〔W〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)0.28 (2)1.89 (3)3.79 (4)5.36 (5)7.62〔W〕

出題のポイント:はしご回路は節点電圧法で機械的に解く
電源が2個、抵抗が5個の「はしご型」回路です。ループを何本も選んで連立すると符号ミスが起きやすいので、節点電圧法で処理します。手順は3つ——①下側の共通導線を0 Vと決める ②中央の2つの節点に \(V_1,V_2\) と名前を付ける ③各節点で流出電流の合計=0 と書く。
節点電圧法の利点は符号で悩む場面が消えることです。すべての枝電流を「自分の電位 − 相手の電位」÷抵抗という同じ形で書けば、電流の向きを仮定する必要すらありません。実際の向きが逆なら値が負になるだけで、式そのものは正しいままです。

問題の解説:節点方程式2本を連立する
STEP1 2つの節点方程式を立てる
下側の共通導線を0 Vとします。両電源とも上端が正なので、左上ノードは60 V、右上ノードは80 Vで固定です。
60 V枝・接地枝・R枝の3方向
R枝・接地枝・80 V枝の3方向
STEP2 整理して連立を解く
両辺に40を掛けて約分
両辺に60を掛けて約分
❸+❹で 2V₂=70 が即座に出る
❸と❹をそのまま足すと \(V_1\) の項が消えて \(2V_2=70\)。\(V_2=35\;\mathrm{V}\) が一瞬で決まります。連立方程式は「どちらかの文字が消える組み合わせ」を探すのが定石です。

STEP3 Rの電流と消費電力を求める
負号は仮定と逆向きという意味
二乗するので符号は関係ない
負号の読み方:\(V_2=35\;\mathrm{V}\) のほうが \(V_1\approx33.3\;\mathrm{V}\) より高いので、電流はV₂からV₁へ流れます。仮定した向き(V₁→V₂)と逆だから負——物理的に筋が通っています。検算:\(P=(\Delta V)^2/R=(5/3)^2/10=5/18\;\mathrm{W}\) で \(I^2R\) と一致します ✓

選択肢を回路に戻して検算する
Rの両端の電位差は \(|V_1-V_2|=5/3\approx1.67\;\mathrm{V}\) と分かっています。各選択肢の電力を出すのに必要な電流と電位差を逆算すると、実際の回路と整合するのは1つだけです。
| 選択肢 | P [W] | 必要な電流 √(P/10) [A] | 必要な電位差 10I [V] | 判定 |
| (1) | 0.28 | 0.167 | 1.67 | ○ |
| (2) | 1.89 | 0.435 | 4.35 | × |
| (3) | 3.79 | 0.616 | 6.16 | × |
| (4) | 5.36 | 0.732 | 7.32 | × |
| (5) | 7.62 | 0.873 | 8.73 | × |
節点電位を求めた時点で電位差が約1.7 Vと分かるので、4 V以上の電位差を要求する(2)〜(5)は物理的にあり得ません。節点電圧法は「答えの桁が先に見える」のが強みです。
この型は令和にも繰り返し出題されています
本問(平成25年度 A問題6)と同じ「2電源はしご回路+中央の抵抗の消費電力」という型が、令和5年度上期 A問題5(直流回路18)と令和6年度上期 A問題5(直流回路10)でも出題されています。
しかも令和5年度上期と令和6年度上期は数値・選択肢まで完全に同一。2年連続で同じ問題が出たことになります。「2電源+はしご型+中央抵抗の消費電力」は理論の超定番パターンなので、節点電圧法の手順を体に入れておけば確実に得点できる——費用対効果が非常に高い論点です。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 電源が2個以上/節点が2〜3個なら節点電圧法。ループ選びの迷いが消える
② 枝電流はすべて「自分−相手」÷Rで統一。向きを仮定しなくてよい
③ 連立は足すか引くかで1文字消える形を探す(本問は2式を足すだけでV₂が出る)
④ 電力はI²R と (ΔV)²/R の2通りで出して照合。符号ミスがあれば必ず食い違う
2電源はしご回路の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 平成25年度 A問題6 | 本問(直流回路50) | 2電源はしご回路でRの消費電力 |
| 令和5年度上期 A問題5 | 直流回路18 | 同型(令和6年度上期と数値まで同一) |
| 令和6年度上期 A問題5 | 直流回路10 | 同型(令和5年度上期と完全同一) |
| 令和6年度上期 A問題6 | 直流回路11 | 3電源回路で抵抗Rを求める |
| 令和5年度下期 A問題6 | 直流回路15 | 2電源回路をミルマンの定理で解く |
💡 覚え方
基準0 Vを決める → 各節点で「(自分−相手)/R」の総和=0 → 連立。電流の負号は向きが逆という意味だけ。電力は二乗するので符号は無関係。
⚠️ よくある間違い
\(I_R=-1/6\) を「大きさが負」と読まないこと(向きが逆という意味)。節点方程式では電源につながる枝の「相手の電位」を電源電圧にすること。消費電力は必ず正の値になります。
まとめ
| 基準 | 下側共通線0 V、両電源は上側正極 |
| 節点V1 | 3V1-2V2=30 |
| 節点V2 | -3V1+4V2=40 |
| 解・実電流 | V1=100/3 V、V2=35 V、V2→V1へ1/6 A |
| 電力・正答 | P=5/18 W≒0.28 W、(1) |
▼あわせて解きたい関連問題
・同一問題(令和6年度上期)の解説:【理論】令和6年度上期A問題5

コメント