今回は平成26年度 理論科目 A問題6を解説します。10 V電源に「100 Ω―並列部―100 Ω」がつながる直流回路で、全電流I=10 mAと電流比I₁/I₂=1/2から、抵抗R₂〔kΩ〕を求める問題です。
I₁=x、I₂=2xと置いて枝電流を厳密に求め、左右の100 Ωで生じる1 Vずつの電圧降下をKVLで差し引きます。並列部の8 VとI₂=20/3 mAを使えば、丸め誤差なくR₂を決定できます。
平成26年度 理論科目 A問題6:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論・問6)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文・選択肢・回路図は公式内容を再構成した既存画像で、そのまま保持しています。

電験3種 理論科目 【直流回路・直並列抵抗】 平成26年度 A問題6
図のように、抵抗を直並列に接続した直流回路がある。この回路を流れる電流Iの値は、I=10mAであった。このとき、抵抗R₂〔kΩ〕として、最も近いR₂の値を次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、抵抗R₁〔kΩ〕に流れる電流I₁〔mA〕と抵抗R₂〔kΩ〕に流れる電流I₂〔mA〕の電流比I₁/I₂の値は1/2とする。
(1)0.3 (2)0.6 (3)1.2 (4)2.4 (5)4.8〔kΩ〕

出題のポイント:比は「合計との関係」で分ける/外側の抵抗には全電流が流れる
比が与えられたときは、文字1つで置くのが定石です。\(I_1:I_2=1:2\) なら \(I_1=x\)、\(I_2=2x\) と置けば、合計が \(3x=10\;\mathrm{mA}\) となって一発で決まります。$$I_1=\frac{10}{3}\;\mathrm{mA},\qquad I_2=\frac{20}{3}\;\mathrm{mA}$$ここで6.67 mAと丸めないこと。分数のまま持ち歩けば、最後にきれいな値になります。
もう一つの要点が100 Ωの位置です。2本の100 Ωは並列部の外側(分岐前と合流後)にあるので、どちらにも全電流10 mAが流れます。枝電流ではありません。だから電圧降下は各 \(10\;\mathrm{mA}\times100\;\Omega=1\;\mathrm{V}\)、合わせて2 Vが並列部の外で消費されます。

問題の解説:枝電流を分けて、並列部の電圧を出す
STEP1 電流比から枝電流を確定する
合計が全電流
分数のまま保持する
STEP2 外側の100 Ωの電圧降下を引く
分岐前と合流後の100 Ωには、どちらも全電流10 mAが流れます。
2本あるので合計2 V
並列部にかかる電圧

STEP3 R₂を求める
V÷mA=kΩ
検算:並列では電流比が抵抗比の逆になるので \(R_1=2R_2=2.4\;\mathrm{k\Omega}\)。並列合成は \(2.4\parallel1.2=0.8\;\mathrm{k\Omega}\)、全体は \(0.1+0.8+0.1=1.0\;\mathrm{k\Omega}\)。電流は \(10\;\mathrm{V}\div1.0\;\mathrm{k\Omega}=10\;\mathrm{mA}\) で問題の条件を完全に再現します ✓

選択肢を回路に戻して検算する
電流比の条件から \(R_1=2R_2\) は自動的に決まります。各選択肢のR₂について全体の合成抵抗を計算し、電源電流が10 mAになるかを確かめます。
| 選択肢 | R₂ [kΩ] | R₁=2R₂ [kΩ] | 並列部 [kΩ] | 全体 0.1+並列+0.1 [kΩ] | 電流 10/全体 [mA] | 判定 |
| (1) | 0.3 | 0.6 | 0.200 | 0.400 | 25.0 | × |
| (2) | 0.6 | 1.2 | 0.400 | 0.600 | 16.7 | × |
| (3) | 1.2 | 2.4 | 0.800 | 1.000 | 10.0 | ○ |
| (4) | 2.4 | 4.8 | 1.600 | 1.800 | 5.6 | × |
| (5) | 4.8 | 9.6 | 3.200 | 3.400 | 2.9 | × |
選択肢が2倍ずつ並んでいるので、電流も規則的に変化します。R₂を2倍にすると電流はおよそ半分——この単調性を使えば、1つ計算して大小を見るだけで残りを絞り込めます。
丸めが答えを変えてしまう例
この問題は途中で丸めると危険な典型例です。\(I_2=20/3=6.666\ldots\;\mathrm{mA}\) を6.67 mAとして計算すると$$R_2=\frac{8}{6.67}=1.1994\ldots\;\mathrm{k\Omega}$$となり、1.2 kΩにはなりません。選択肢が0.3・0.6・1.2・2.4・4.8と離れているので今回は正解を選べますが、選択肢が接近している問題では丸め誤差がそのまま失点につながります。
対策はシンプルで、割り切れない値は分数のまま持ち歩くこと。\(20/3\) のまま最後まで進めれば \(8\times3/20=24/20=1.2\) ときれいに割り切れます。電験の計算問題は、正しく解けば途中で端数が出ても最後に整数や簡単な小数に収束するよう作られていることが多いので、途中でグチャグチャな数字が続いたら分数に戻すのが得策です。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 比が与えられたら文字1つで置く(I₁=x、I₂=2x)。合計=全電流ですぐ決まる
② 分岐の外側にある抵抗には全電流が流れる。枝電流と取り違えない
③ V ÷ mA = kΩ の換算を使えば単位変換が要らない
④ 途中で丸めない。20/3のような値は分数のまま持ち歩く
電流比・分流の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 平成26年度 A問題6 | 本問(直流回路46) | 電流比の条件から並列抵抗R₂ |
| 平成28年度 A問題6 | 直流回路40 | 直並列(ラダー)回路の電流比 I₂/I₁ |
| 令和7年度下期 A問題7 | 直流回路3 | 2条件で枝電流が等しくなるRx |
| 平成18年度 A問題6 | 直流回路68 | 分流の法則から未知抵抗R₁の式 |
| 令和4年度上期 A問題5 | 直流回路24 | 抵抗を並列追加したときのR₃の電流 |
💡 覚え方
比は文字1つで置いて合計から決める(I₁=10/3、I₂=20/3 mA)。外側の100 Ωには全電流が流れるので各1 V降下、並列部は8 V。あとは R₂=8÷(20/3)=1.2 kΩ。
⚠️ よくある間違い
6.67 mAは近似値です。20/3のまま計算しないと1.2 kΩにきれいに落ちません。左右の100 Ωには枝電流ではなく全電流が流れます。並列部の電圧は電源の10 Vではなく8 Vです。
まとめ
| 枝電流 | I1=10/3 mA、I2=20/3 mA |
| 100 Ωの電圧降下 | 左右それぞれ1 V、合計2 V |
| 並列部電圧 | 10-1-1=8 V |
| 抵抗値 | R2=1.2 kΩ、R1=2.4 kΩ |
| 検算・正答 | 全合成1.0 kΩ → 10 mA、(3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・電流比・分流の関連問題:【理論】平成28年度A問題6

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