今回は平成27年度 理論科目 A問題6を解説します。100 V電源に接続された抵抗ブリッジで、中央スイッチSを開閉しても全電流が30 Aから変化しない条件を使い、抵抗R4を求めます。
Sが開いている間は当然S電流は0です。本問の要点は、Sを閉じても全電流が変わらず、中点間に新しい電流が流れないことです。したがって中点は同電位で、平衡条件R1/R2=R3/R4が成立します。これとE/I=100/30 Ωを組み合わせます。
平成27年度 理論科目 A問題6:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問6)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文・選択肢・回路図は公式内容を再構成した既存画像で、元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 平成27年度 A問題6
図のように、抵抗とスイッチSを接続した直流回路がある。いま、スイッチSを開閉しても回路を流れる電流I〔A〕は、I=30Aで一定であった。このとき、抵抗R4の値〔Ω〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)0.5 (2)1.0 (3)1.5 (4)2.0 (5)2.5〔Ω〕

出題のポイント:「開閉しても電流が変わらない」が平衡の証拠
ブリッジの中央に導線(スイッチ)を足せば、普通は電流の通り道が増えて合成抵抗が下がり、全電流が増えます。ところが本問ではSを開閉しても電流が30 Aのまま。これはSを閉じても何も変わらなかった——つまり閉じる前からSの両端が同じ電位だったことを意味します。
ここで注意したいのは、「Sが開いているときS電流が0」は当たり前で、平衡の証拠にはならないということです。証拠になるのは「閉じても全電流が変わらない」ほう。実際、正の抵抗からなる理想ブリッジでは$$R_{\text{開}}-R_{\text{閉}}=\frac{(R_1R_4-R_2R_3)^2}{(R_1+R_2)(R_3+R_4)(R_1+R_2+R_3+R_4)}\ \ge 0$$と必ず0以上で、等号成立は \(R_1R_4=R_2R_3\) のときだけ。だから「開閉で同じ」=平衡条件そのものなのです。

問題の解説:平衡条件 → 合成抵抗 → R₄
STEP1 平衡条件から抵抗の関係を出す
R₁=8 Ω、R₂=4 Ωを代入
R₃はR₄の2倍
STEP2 合成抵抗の式を立てる
\(x=R_4\) と置くと \(R_3=2x\)。上枝は \(8+2x=2(4+x)\)、下枝は \(4+x\) ——ちょうど2倍の関係になるので、並列合成が一気に簡単になります。
2倍と1倍の並列は2/3倍
30 Aという条件を使う

STEP3 解いて両方の状態で検算する
S開での検算:上枝 \(8+2=10\;\Omega\) に \(100/10=10\;\mathrm{A}\)、下枝 \(4+1=5\;\Omega\) に \(100/5=20\;\mathrm{A}\)。合計30 A ✓ 中点の電位は右端基準でどちらも20 Vとなり、確かに等電位です。
S閉での検算:\(8\parallel4=8/3\)、\(2\parallel1=2/3\)、直列で \(8/3+2/3=10/3\;\Omega\)。やはり30 A ✓ 開でも閉でも同じという条件がきちんと再現されました。

選択肢を回路に戻して検算する
各選択肢のR₄について \(R_3=2R_4\) とし、S開・S閉それぞれの合成抵抗を計算してともに10/3 Ω(電流30 A)になるかを確かめます。
| 選択肢 | R₄ [Ω] | R₃=2R₄ [Ω] | S開の合成 [Ω] | S閉の合成 [Ω] | 全電流 [A] | 判定 |
| (1) | 0.5 | 1.0 | 3.000 | 3.000 | 33.3 | × |
| (2) | 1.0 | 2.0 | 3.333 | 3.333 | 30.0 | ○ |
| (3) | 1.5 | 3.0 | 3.667 | 3.667 | 27.3 | × |
| (4) | 2.0 | 4.0 | 4.000 | 4.000 | 25.0 | × |
| (5) | 2.5 | 5.0 | 4.333 | 4.333 | 23.1 | × |
興味深いのは、どの選択肢でも「S開の合成=S閉の合成」になっていることです。これは \(R_3=2R_4\) という平衡条件を先に使っているから当然で、平衡はどのR₄でも成り立ちます。答えを決めるのは「全電流が30 Aになるか」のほう——2つの条件を混同しないことが大切です。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 「開閉しても電流が変わらない」=平衡と即断する。これが問題文の合図
② 平衡なら中央枝は開放して除去(短絡ではない)
③ 文字が2つ出たら置き換えを狙う(x=R₄ とすれば上枝が下枝の2倍になる)
④ 平衡条件と全電流の条件は別物。両方を使って初めて値が決まる
平衡ブリッジの出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 平成27年度 A問題6 | 本問(直流回路43) | 開閉で電流不変=平衡から抵抗R₄ |
| 平成19年度 A問題6 | 直流回路65 | 開閉で電流不変=平衡から抵抗(同型) |
| 令和4年度下期 A問題5 | 直流回路21 | 平衡ブリッジを見抜いて電源電圧E |
| 令和4年度上期 A問題7 | 直流回路26 | 6抵抗のブリッジから未知抵抗Rx |
| 令和2年度 A問題7 | 直流回路31 | 非平衡ブリッジをテブナンで解く |
💡 覚え方
「開いても閉じても同じ電流」=平衡。平衡条件 \(R_1/R_2=R_3/R_4\) で抵抗比を出し、\(E/I=10/3\;\Omega\) と組み合わせる。x=R₄ と置けば上枝が下枝の2倍で計算が軽い。
⚠️ よくある間違い
S開放中にS電流が0なのは当たり前で平衡の証拠になりません(閉じても変わらないことが証拠)。平衡した中央枝は短絡ではなく開放。S開の枝は上側R₁+R₃・下側R₂+R₄で、添字の順を取り違えないこと。
まとめ
| 確認項目 | 結果 |
| 平衡条件 | R1/R2=R3/R4、R3=2R4 |
| 全体の合成抵抗 | E/I=100/30=10/3 Ω |
| S開放 | 上枝10 A、下枝20 A、合計30 A、中点はいずれも20 V |
| S閉路 | 8∥4+2∥1=8/3+2/3=10/3 Ω |
| 抵抗値・正答 | R4=1.0 Ω、R3=2.0 Ω、(2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・平衡ブリッジの関連問題:【理論】令和4年度上期A問題7

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