直流回路39【電験3種 理論】電池4個並列の電源で負荷の消費電力を求める!平成28年度 A問題5 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(直流回路) 平成28年度 A問題5 電池4個を並列にした電源!負荷の消費電力は?

今回は平成28年度 理論科目 A問題5を解説します。内部抵抗r=0.1 Ω、起電力E=9 Vの同一電池4個を並列にし、負荷R=0.5 Ωを接続したときの負荷の消費電力〔W〕を求めます。並列電池の等価化、回路電流、負荷電力の順に整理します。

同じ電池を同じ極性でn個並列にすると、等価起電力はEのまま、等価内部抵抗はr/nです。本問ではEeq=9 V、req=0.025 Ωとなります。内部抵抗を無視せず負荷0.5 Ωと直列に加え、正確な電流と端子電圧から負荷電力を確認します。

目次

平成28年度 理論科目 A問題5:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問5)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文画像・選択肢・回路図は元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 直流回路 平成28年度 A問題5 問題文
平成28年度 理論科目 A問題5 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 平成28年度 A問題5

 図のように、内部抵抗r=0.1Ω、起電力E=9Vの電池4個を並列に接続した電源に抵抗R=0.5Ωの負荷を接続した回路がある。この回路において、抵抗R=0.5Ωで消費される電力の値〔W〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)50 (2)147 (3)253 (4)820 (5)4050〔W〕

図 内部抵抗r=0.1Ω・起電力E=9Vの電池4個並列と負荷R=0.5Ωの回路(問題図)
図 内部抵抗r=0.1Ω・起電力E=9Vの電池4個並列と負荷R=0.5Ωの回路(問題図)

出題のポイント:電池の「直列」と「並列」で増えるものが違う

同じ電池を複数つないだとき、直列と並列で何が変わるかは正反対です。ここを取り違えると答えが桁ごとずれます。

つなぎ方起電力内部抵抗得られるもの
直列 n個nE(n倍)nr(n倍)高い電圧
並列 n個E(そのまま)r/n(1/n)大きな電流を取り出せる

並列では起電力は増えません。同じ電圧の電源を横に並べただけなので、端子電圧は9 Vのまま。増えるのは電流を流す能力——内部抵抗が1/4になるぶん、電圧降下が小さくなって大電流を取り出せます。

そしてもう一点、内部抵抗を無視してはいけません。0.025 Ωと聞くとつい省きたくなりますが、負荷が0.5 Ωと小さいので比率としては無視できず、実際に約0.43 Vも降下します。

起電力9Vと内部抵抗0.1Ωの同一電池4個の並列二端子回路を、起電力9Vと内部抵抗0.025Ωの等価電源へ置き換える図
同一電池4個の並列では起電力は9 Vのまま、内部抵抗だけが0.1/4=0.025 Ωになります。

問題の解説:等価電源にまとめてから計算する

使う公式:電池の並列と負荷電力
$$E_{\text{eq}}=E,\qquad r_{\text{eq}}=\frac{r}{n},\qquad I=\frac{E_{\text{eq}}}{r_{\text{eq}}+R},\qquad P_R=I^2R$$

並列は起電力そのまま・内部抵抗が1/n。直列(nE・nr)と混同しないこと。

STEP1 4個並列を1個の等価電源にまとめる

$$E_{\text{eq}}=9\;[\mathrm{V}]$$
❶ 起電力
並列なので変わらない
$$r_{\text{eq}}=\frac{0.1}{4}=0.025\;[\Omega]$$
❷ 内部抵抗
同じ0.1 Ωが4本並列=1/4

STEP2 回路電流を求める

等価内部抵抗と負荷は直列です。

$$R_{\text{total}}=0.025+0.5=0.525\;[\Omega]$$
❸ 全抵抗
内部抵抗を忘れない
$$I=\frac{9}{0.525}=17.143\;[\mathrm{A}]$$
❹ オームの法則
17 A以上の大電流
起電力9V、内部抵抗0.025Ω、負荷0.5Ωの直列等価回路から全抵抗0.525Ω、電流17.14A、負荷端子電圧8.57Vを求める図
等価電源の内部抵抗0.025 Ωと負荷0.5 Ωは直列です。全抵抗0.525 Ωから電流17.14 A、負荷端子電圧8.57 Vを求めます。

STEP3 負荷の消費電力を2通りで求める

$$V_R=IR=17.143\times0.5=8.571\;[\mathrm{V}]$$
❺ 負荷の端子電圧
9 Vより0.43 V低い
$$P_R=I^2R=(17.143)^2\times0.5=146.94\;[\mathrm{W}]$$
❻ 電流基準
$$P_R=\frac{V_R^2}{R}=\frac{(8.571)^2}{0.5}=146.94\;[\mathrm{W}]$$
❼ 電圧基準で確認
一致 ✓

電力収支での検算:電池が供給するのは \(9\times17.143=154.29\;\mathrm{W}\)。内訳は負荷が146.94 W、内部抵抗での損失が \(17.143^2\times0.025=7.35\;\mathrm{W}\)。合計154.29 Wでぴったり一致します ✓

答え\(P_R\approx146.9\;[\mathrm{W}]\) → 最も近い選択肢(2) 147 W
負荷電力をI二乗RとV二乗割るRの2通りで146.94Wと計算し、電源154.29Wと負荷146.94Wおよび内部損失7.35Wの収支、正答2を示す図
負荷電力は146.94 Wで、最も近い選択肢は147 Wの(2)です。電圧による別解と電力収支でも一致します。

誤答はどんな勘違いから生まれるか

選択肢の値を逆算すると、それぞれが典型的な誤解に対応していることが分かります。

選択肢P [W]その値が出る考え方判定
(1)50×
(2)147正解:\(I=9/0.525=17.14\;\mathrm{A}\)、\(P=I^2R\)
(3)253×
(4)8204個直列と誤解:\(36/(0.4+0.5)=40\;\mathrm{A}\)、\(P=800\;\mathrm{W}\) に近い×
(5)4050内部抵抗0.025 Ωだけで計算:\(9^2/0.025=3240\;\mathrm{W}\) 相当×

特に(4) 820 Wは「並列を直列と読み違えた」場合の値に近く、意図的に用意された誤答です。「電池を4個つないだから電圧も4倍」——この直感が最大の罠になっています。

なお、内部抵抗を無視して \(9^2/0.5=162\;\mathrm{W}\) とすると選択肢のどれとも一致しません。「近い値がない=どこかが間違っている」というサインなので、その場で見直せます。

なぜ電池を並列にするのか

実用面での意味を考えると、並列接続の役割がはっきりします。電池1個だけで0.5 Ωの負荷をつなぐと、\(I=9/(0.1+0.5)=15\;\mathrm{A}\)、負荷電力は \(15^2\times0.5=112.5\;\mathrm{W}\)。4個並列にすると146.9 W——約30%増えます。

さらに1個あたりの負担が軽くなるのも重要です。電池1個なら15 Aが1本に集中しますが、4個並列なら \(17.14/4=4.29\;\mathrm{A}\) ずつ。電池内部での発熱は電流の2乗に比例するので、1個あたりの発熱は \(15^2\times0.1=22.5\;\mathrm{W}\) から \(4.29^2\times0.1=1.84\;\mathrm{W}\) へと大幅に減ります。寿命の観点でも並列化は有利です。

ただし起電力の異なる電池を並列にしてはいけません。電圧の高い電池から低い電池へ循環電流が流れ、発熱・劣化の原因になります。実務では同一型式・同一ロットで揃えるのが鉄則です。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① 電池は直列でnE・nr、並列でE・r/n。増えるものが正反対
② 内部抵抗は小さくても無視しない。負荷が小さいと比率で効いてくる
③ 電力は\(I^2R\) と \(V^2/R\) の2通りで出して照合
選択肢に近い値がない=どこか間違っているサイン。その場で見直す

電池・内部抵抗の出題履歴

同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。

年度記事問われ方
平成28年度 A問題5本問(直流回路39)電池4個並列で負荷の消費電力
令和3年度 A問題7直流回路28電池n個直列で消費電力最大のときの電流
平成18年度 A問題5直流回路67内部抵抗を含む電池の起電力
令和7年度下期 A問題6直流回路22条件から起電力Eを求める
令和6年度上期 A問題7直流回路12最大電力の条件(テブナン抵抗)

💡 覚え方
電池の並列は起電力そのまま・内部抵抗1/n(直列はnE・nr)。等価電源にしてから \(I=E/(r_{\text{eq}}+R)\)、\(P=I^2R\)。本問は 9 V・0.025 Ω → 17.14 A → 147 W。

⚠️ よくある間違い
並列の起電力を4E=36 Vとしないこと(誤答(4)の正体)。内部抵抗0.025 Ωを無視しない(負荷電圧は9 Vではなく8.57 V)。電力は電流の2乗に比例するので、小さな電圧差でも結果に効きます。

まとめ

確認項目計算結果
等価起電力Eeq=9 V
等価内部抵抗req=0.1/4=0.025 Ω
全抵抗0.025+0.5=0.525 Ω
回路電流I=9/0.525=17.1429 A
負荷端子電圧VR=8.5714 V
負荷電力PR=146.94 W
内部損失I²req=7.35 W
正答147 W、(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・電池の直列・並列の関連問題:【理論】令和3年度A問題7

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