今回は令和元年度 理論科目 A問題6を解説します。100 V直流電源に、内部抵抗を無視できる電流計と10 Ωを直列接続し、その先に抵抗Rと50 Ωを並列接続した回路です。電流計が5 Aを示すときの抵抗Rの消費電力〔W〕を求めます。
電流計の5 Aは、分岐前の10 Ωを流れる全電流です。まず10 Ωの電圧降下を求めて並列部の端子電圧を確定します。次に50 Ω枝の電流を求め、節点の電流則からR枝の電流を出し、P=VIで電力を計算します。
令和元年度 理論科目 A問題6:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の問題図を確認します。接続順は100 V源-理想電流計-10 Ω-(R∥50 Ω)です。Rと50 Ωは同じ上下2点に接続された並列抵抗であり、両者の端子電圧は等しくなります。

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 令和元年度 A問題6
図に示す直流回路は、100Vの直流電圧源に直流電流計を介して10Ωの抵抗が接続され、50Ωの抵抗と抵抗R〔Ω〕が接続されている。電流計は5Aを示している。抵抗R〔Ω〕で消費される電力の値〔W〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。なお、電流計の内部抵抗は無視できるものとする。
(1)2 (2)10 (3)20 (4)100 (5)200〔W〕

出題のポイント:電流計の指示は「分岐前の全電流」
回路を左から追うと、100 V電源 → 電流計 → 10 Ω → そこから R と50 Ωへ分岐、という構成です。電流計は分岐より手前にあるので、指示値5 Aは全電流。Rだけの電流ではありません。ここを取り違えて \(P=50\times5=250\;\mathrm{W}\) としてしまうのが最頻出のミスです。
「電流計の内部抵抗は無視できる」という但し書きも意味があります。内部抵抗0=電圧降下0なので、電流計はただの導線として消してよいということ。回路図から電流計を取り除けば、100 V + 10 Ω直列 +(R∥50 Ω)という素直な形が見えます。

問題の解説:直列の降下 → 並列部の電圧 → 既知枝 → 引き算
STEP1 10 Ωの降下から並列部の電圧を求める
10 Ωには全電流5 Aが流れる
電源から直列分を引く
STEP2 既知の50 Ω枝を先に処理し、引き算でR枝へ
並列部にはRにも50 Ωにも同じ50 Vが加わります。抵抗値が分かっている枝から片付けるのが定石です。
電圧÷抵抗
全電流から既知枝を引く

STEP3 電力を求め、電力収支で検算する
Rの値を求めなくても電力は出る
同じ値になる
電力収支での検算:電源が供給するのは \(100\times5=500\;\mathrm{W}\)。内訳は10 Ωが \(5^2\times10=250\;\mathrm{W}\)、50 Ωが \(50^2/50=50\;\mathrm{W}\)、Rが200 W。合計 \(250+50+200=500\;\mathrm{W}\) でぴったり一致します。供給と消費が合うことを確かめれば、途中のどこかで取り違えていないと確信できます。

選択肢を回路に戻して検算する
並列部の電圧は50 Vで確定しているので、各選択肢の電力からR枝の電流を \(I_R=P/50\) と逆算し、50 Ω枝の1 Aと足して電流計の5 Aに戻るかを見ます。
| 選択肢 | PR [W] | R枝の電流 P/50 [A] | 全電流 IR+1 [A] | 判定 |
| (1) | 2 | 0.04 | 1.04 | × |
| (2) | 10 | 0.20 | 1.20 | × |
| (3) | 20 | 0.40 | 1.40 | × |
| (4) | 100 | 2.00 | 3.00 | × |
| (5) | 200 | 4.00 | 5.00 | ○ |
この問題は令和5年度下期 A問題5と完全に同じ内容で出題されています(直流回路14)。数値も選択肢も同一なので、片方を理解すればもう片方は確実に得点できます。過去問がそのまま再出題される好例です。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 計器の但し書きを読む——電流計は内部抵抗0なら導線、電圧計は無限大なら開放として図から消す
② 電流計が分岐の前か後かを確認する(本問は前=全電流)
③ 電力はRを求めなくても \(P=VI\) で出せる。遠回りしない
④ 最後に電力収支(各素子の和=電源の供給)で検算する
電流計・消費電力の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 令和元年度 A問題6 | 本問(直流回路33) | 電流計の指示からRの消費電力 |
| 令和5年度下期 A問題5 | 直流回路14 | 同一問題(数値・選択肢まで同じ) |
| 令和5年度下期 A問題7 | 直流回路16 | スイッチ切換の電流計指示から抵抗r |
| 平成20年度 A問題6 | 直流回路62 | スイッチ切換の電流計指示から抵抗r |
| 令和7年度下期 A問題5 | 直流回路1 | 3つの抵抗の消費電力の大小 |
💡 覚え方
電流計は分岐前なら全電流。直列の降下を引いて並列部の電圧を出し、既知枝から引き算で未知枝へ。電力は \(P=VI\) で直行、検算は電力収支。
⚠️ よくある間違い
5 AをR枝の電流としないこと。Rに100 Vが直接かかるわけでもありません(10 Ωで50 V降下した後の50 V)。並列部の合成抵抗10 ΩとR=12.5 Ωの混同にも注意しましょう。
まとめ
| 確認項目 | 結果 |
| 全電流 | 5 A(電流計の指示値) |
| 10 Ωの電圧降下 | 5×10=50 V |
| 並列部電圧 | 100−50=50 V |
| 50 Ω枝電流 | 50/50=1 A |
| R枝電流 | 5−1=4 A |
| R | 50/4=12.5 Ω |
| Rの消費電力 | 50×4=200 W |
| 電力収支 | 250+50+200=500 W=100×5 W |
| 正答 | (5) |
▼あわせて解きたい関連問題
・同一問題(令和5年度下期)の解説:【理論】令和5年度下期A問題5

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