直流回路30【電験3種 理論】直列抵抗と並列抵抗の消費電力の大小を比較する!令和2年度 A問題6 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(直流回路) 令和2年度 A問題6 直列と並列でどちらが熱くなる?消費電力を比較

今回は令和2年度 理論科目 A問題6を解説します。R1=3 Ωが、R2=6 ΩとR3=2 Ωの並列回路に直列接続されています。各抵抗の消費電力P1・P2・P3の大小を、電流と電圧を正しく使い分けて比較します。

R1には全電流Iが流れますが、並列部ではIがI2とI3へ分かれます。一方、R2とR3の端子電圧は共通のVpです。合成抵抗からIとVpを求め、P=I2RまたはP=V2/Rを、同じ条件の量で適用します。

目次

令和2年度 理論科目 A問題6:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の問題図を確認します。回路構成はR1+(R2∥R3)であり、R2とR3は同じ上下2点に接続された並列抵抗です。

電験3種 理論科目 直流回路 令和2年度 A問題6 問題文
令和2年度 理論科目 A問題6 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 令和2年度 A問題6

 図のように、三つの抵抗R1=3Ω、R2=6Ω、R3=2Ωと電圧V〔V〕の直流電源からなる回路がある。抵抗R1、R2、R3の消費電力をそれぞれP1〔W〕、P2〔W〕、P3〔W〕とするとき、その大きさの大きい順として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)P1>P2>P3 (2)P1>P3>P2 (3)P2>P1>P3
(4)P2>P3>P1 (5)P3>P1>P2

図 R₁(直列)と R₂・R₃(並列)からなる直流回路(問題図)
図 R₁(直列)と R₂・R₃(並列)からなる直流回路(問題図)

出題のポイント:並列では「抵抗が小さいほど大電力」

直列でつながった抵抗どうしなら、電流が共通なので \(P=I^2R\)——抵抗が大きいほど大電力です。ところが並列でつながった抵抗どうしは電圧が共通なので \(P=V^2/R\)——抵抗が小さいほど大電力になります。同じ「電力」でも、接続によって大小が逆転するのがこの分野の要注意点です。

本問ではR₂=6 Ω、R₃=2 Ωが並列。抵抗が1/3のR₃には3倍の電流が流れるので、電力も3倍になります。「大きい抵抗のほうがよく発熱する」という思い込みは、並列では通用しません

そしてR₁は直列側なので、R₂・R₃とは電流も電圧も共通ではありません。3者を比べるには、全電流Iという共通の物差しにそろえる必要があります。

R1がR2とR3の並列部に直列接続された回路で、全電流I、枝電流I2とI3、並列電圧Vp、各消費電力式を示すGPT Image 2の出題ポイント図
R₁は全電流IでP₁=I²R₁、並列のR₂・R₃は共通電圧VₚでP=Vₚ²/Rを使います。

問題の解説:全電流Iで3つの電力をそろえる

使う公式:電力の3表現と分流
$$P=I^2R=\frac{V^2}{R},\qquad I_2=I\frac{R_3}{R_2+R_3},\quad I_3=I\frac{R_2}{R_2+R_3}$$

※分流則は相手の抵抗が分子。R₃の電流を求めるならR₂が分子に来ます。

STEP1 合成抵抗と全電流を求める

$$R_{23}=\frac{6\times2}{6+2}=\frac{12}{8}=1.5\;[\Omega]$$
❶ 並列合成
6 Ωと2 Ωで1.5 Ω
$$R_{\text{all}}=3+1.5=4.5\;[\Omega],\qquad I=\frac{V}{4.5}=\frac{2V}{9}$$
❷ 全抵抗と全電流

STEP2 並列部の電圧と枝電流を求める

$$V_p=1.5I=\frac{V}{3}$$
❸ 並列部の電圧
全電流×並列合成抵抗
$$I_2=\frac{V_p}{6}=\frac{I}{4},\qquad I_3=\frac{V_p}{2}=\frac{3I}{4}$$
❹ 分流
R₃には3/4、R₂には1/4

抵抗が1/3のR₃に、3倍の電流が流れていることを確認してください。\(I_2+I_3=I/4+3I/4=I\) で電流則も満たします。

R2とR3の並列合成、全抵抗、全電流、並列電圧、枝電流を3段階で導き、I2とI3の和がIになることを示すGPT Image 2のポイント解説図
R₂∥R₃=1.5 Ω、全抵抗4.5 Ω、I=2V/9、Vₚ=V/3、I₂=I/4、I₃=3I/4です。

STEP3 3つの電力を求めて比を取る

$$P_1=I^2R_1=3I^2$$
❺ R₁(全電流)
$$P_2=I_2^2R_2=\left(\frac{I}{4}\right)^2\times6=\frac{3}{8}I^2$$
❻ R₂(分流後)
$$P_3=I_3^2R_3=\left(\frac{3I}{4}\right)^2\times2=\frac{9}{8}I^2$$
❼ R₃(分流後)
$$P_1:P_2:P_3=3:\frac{3}{8}:\frac{9}{8}=8:1:3$$
❽ 比
共通因子3I²/8を払う

電力収支での検算:\(P_1+P_2+P_3=\left(3+\frac38+\frac98\right)I^2=\frac{9}{2}I^2\)。一方、電源の供給電力は \(VI=4.5I\times I=4.5I^2\)。一致します。

答え\(P_1>P_3>P_2\)(比は 8 : 1 : 3) → 選択肢(2)
R1、R2、R3の消費電力を計算し、電力比8対1対3、P1、P3、P2の順、正答2、総電力検算を示すGPT Image 2の問題解説図
P₁:P₂:P₃=8:1:3なのでP₁>P₃>P₂。合計は2V²/9=VIとなり、電源供給電力と一致します。

並列側だけを見れば、答えは半分決まる

この問題は選択肢の構造を使うと大幅に短縮できます。R₂とR₃は並列で電圧が共通、抵抗は \(6:2=3:1\)。\(P=V_p^2/R\) より電力は抵抗に反比例するので、P₃はP₂の3倍——つまり必ず \(P_3>P_2\) です。

選択肢順序P₃ > P₂ を満たすか判定
(1)P₁>P₂>P₃×(P₂が上)×
(2)P₁>P₃>P₂
(3)P₂>P₁>P₃×(P₂が上)×
(4)P₂>P₃>P₁×(P₂が上)×
(5)P₃>P₁>P₂候補

これだけで(2)と(5)の2択まで絞れました。あとはP₁とP₃を比べるだけ——\(P_1=3I^2\) 対 \(P_3=1.125I^2\) なのでP₁が上、よって(2)です。「並列側は抵抗の逆比」という1点を使って3つ消す——本番ではこの絞り込みが時間を生みます。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
並列は抵抗が小さいほど大電力(電圧共通で \(V^2/R\))。直列とは逆になる
② 並列側どうしの大小は抵抗の逆比だけで即決できる。それで選択肢を絞る
③ 直列側と並列側を比べるときは全電流Iにそろえる。電源電圧は不要
④ 検算は電力の合計=電源の供給電力

消費電力の大小比較の出題履歴

同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。

年度記事問われ方
令和2年度 A問題6本問(直流回路30)直列抵抗と並列抵抗の消費電力の大小
令和7年度下期 A問題5直流回路13つの抵抗の消費電力の大小(同型)
平成26年度 A問題7直流回路47R₁とR₃の消費電力の比
令和5年度下期 A問題5直流回路14電流計の指示からRの消費電力
平成22年度 A問題5直流回路57消費電力から並列の未知抵抗R

💡 覚え方
直列は \(I^2R\) で大きい抵抗が大電力、並列は \(V^2/R\) で小さい抵抗が大電力。並列側の大小は抵抗の逆比で即決 → 選択肢が一気に絞れる。本問の比は 8:1:3。

⚠️ よくある間違い
「抵抗が大きいほど発熱する」は直列のときだけ。並列のR₃(2 Ω)はR₂(6 Ω)の3倍の電力を消費します。並列部の抵抗に全電流を使わない(R₃には3I/4、R₂にはI/4)ことにも注意しましょう。

まとめ

確認項目結果
回路R1+(R2∥R3)
合成抵抗R23=1.5 Ω、Rall=4.5 Ω
電流・電圧I=2V/9、Vp=V/3、I2=I/4、I3=3I/4
P13I2=4V2/27
P23I2/8=V2/54
P39I2/8=V2/18
電力比P1😛2😛3=8:1:3
正答P1>P3>P2 …(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・消費電力の比較の関連問題:【理論】令和7年度下期A問題5

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