今回は令和4年度上期 理論科目 A問題7を解説します。6個の抵抗からなる回路で、a–b端子間の合成抵抗が0.6 Ωのときの未知抵抗Rxを求めます。回路の交差部を正しく読み、平衡ブリッジを等電位で説明できるかがポイントです。
a–bを直接結ぶ縦のRxは、外側のブリッジ回路全体と並列です。中央の横2 Ωは縦線を飛び越しており、Rxとは非接続です。外側ブリッジは1/2=1/2で平衡し、左右中点が等電位になるため、中央横2 Ωには電流が流れません。
令和4年度上期 理論科目 A問題7:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の公式問題図を確認します。上側の左右抵抗は各1 Ω、下側は各2 Ω、左右中点間は2 Ωです。縦のRxはa–b間の枝で、横2 Ωとの交差部には接続点がありません。出典:令和4年度上期第三種電気主任技術者試験 理論科目。

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 令和4年度上期 A問題7
図のように、抵抗6個を接続した回路がある。この回路において、ab端子間の合成抵抗の値が0.6Ωであった。このとき、抵抗Rxの値〔Ω〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)1.0 (2)1.2 (3)1.5 (4)1.8 (5)2.0〔Ω〕

出題のポイント:交差している線は「つながっていない」
この問題で最初に確かめるのは、回路図の交差部に黒点があるかどうかです。黒点(接続点)がなければ、2本の線は立体交差していてつながっていません。本問では中央の横2 Ωと、a-bを結ぶ縦のRxが交差していますが接続点はないので、Rxは完全に独立した別の枝です。
したがって回路は「外側のブリッジ」と「Rx」がa-b間で並列という構造になります。あとは外側ブリッジの合成抵抗を求め、Rxとの並列が0.6 Ωになるように逆算するだけです。
外側ブリッジは平衡しています。上側が左右とも1 Ω、下側が左右とも2 Ωなので分圧比が同じ——だから左右の中点は等電位で、中央の横2 Ωには電流が流れません。平衡した中央枝は開放として除去できる(短絡ではありません)というルールが、ここでも効きます。

問題の解説:外側ブリッジ → Rxとの並列 → 逆算
STEP1 外側ブリッジの合成抵抗を求める
左枝も右枝も上1 Ω・下2 Ωなので分圧比は同じ \(1:2\)。中点はどちらも同じ電位になり、中央の横2 Ωは電流0です。
左右の分圧比が等しい
中央枝を除いて左右の枝を合成
STEP2 Rxとの並列の式を立てる
Rxはa-b間を直接結ぶ枝なので、外側ブリッジ全体と並列です。
未知はRxだけ

STEP3 解く
検算:\(1.5\parallel1.0=\dfrac{1.5\times1.0}{2.5}=0.6\;\Omega\) ✓。コンダクタンスで確認してもよく、\(1/0.6=1.667\)、\(1/1.5=0.667\) なので \(1/R_x=1.667-0.667=1.000\)、つまり \(R_x=1.0\;\Omega\) と一致します。

選択肢を回路に戻して検算する
各選択肢のRxを外側ブリッジ1.5 Ωと並列合成し、a-b間が0.6 Ωになるかを確かめます。
| 選択肢 | Rx [Ω] | 1.5 ∥ Rx [Ω] | 判定 |
| (1) | 1.0 | 0.600 | ○ |
| (2) | 1.2 | 0.667 | × |
| (3) | 1.5 | 0.750 | × |
| (4) | 1.8 | 0.857 | × |
| (5) | 2.0 | 0.857 | × |
Rxを大きくすると並列合成も大きくなり、上限は1.5 Ω(Rxを外した=開放した状態)です。0.6 Ωはその半分以下なので、Rxは1.5 Ωよりかなり小さいと見当がつき、(3)(4)(5)は計算前に外せます。
回路図の読み方:交差と接続を見分ける
この問題の得点差は計算力ではなく図の読解で決まります。交差部に黒点があれば接続、なければ非接続——単純なルールですが、試験の緊張下では見落としがちです。
もし仮に交差部が接続されていたら、Rxは中央の横2 Ωと直列になり、それが左右の中点を結ぶ枝となって回路の構造が全く変わってしまいます。合成抵抗を計算し始める前に、まず節点を数えて回路の骨格を確定させる——複雑に見える回路ほど、この一手間が効きます。
なお本問では、平衡ブリッジの中央枝(横2 Ω)が電流0なので結果的に無関係になりますが、これは「非接続だから」ではなく「平衡だから」です。2つの理由を混同せず、それぞれ独立に確認しましょう。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 計算の前に交差部の黒点を確認して、回路の骨格(どの節点がどれとつながるか)を確定する
② ブリッジはたすき掛けで平衡を判定。平衡なら中央枝は開放して除去
③ 「合成抵抗が○Ω」と与えられたら逆算。並列の式に入れて1次方程式を解く
④ 並列合成の上限は各枝の小さいほう未満。選択肢の当たりをつけるのに使える
ブリッジ回路・合成抵抗の逆算の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 令和4年度上期 A問題7 | 本問(直流回路26) | 6抵抗のブリッジから未知抵抗Rx |
| 令和4年度下期 A問題5 | 直流回路21 | 平衡ブリッジを見抜いて電源電圧E |
| 平成27年度 A問題6 | 直流回路43 | スイッチ開閉で電流が不変=平衡から抵抗R₄ |
| 平成19年度 A問題6 | 直流回路65 | スイッチ開閉で電流が不変=平衡ブリッジ |
| 令和6年度下期 A問題7 | 直流回路9 | 合成抵抗が1.8Rになる Rx |
💡 覚え方
交差に黒点がなければ非接続。Rxは外側ブリッジと並列。平衡ブリッジ(たすき掛けが等しい)の中央枝は開放して除去 → 3∥3=1.5 Ω → 1.5∥Rx=0.6 から Rx=1.0 Ω。
⚠️ よくある間違い
交差部を接続と誤読しないこと(Rxと中央2 Ωは別枝)。平衡した中央枝は短絡ではなく開放。並列合成は各枝より小さくなるので、0.6 Ωから Rx が1.5 Ωより小さいと当たりをつけられます。
まとめ
| 回路の交差 | 中央横2 Ωと縦Rxは非接続 |
| 平衡条件 | 1/2=1/2、左右中点はともに2E/3 |
| 中央横2 Ω | 端子電圧0 V、電流0 A |
| 外側ブリッジ | (1+2)∥(1+2)=3∥3=1.5 Ω |
| a–b間 | Rx∥1.5=0.6 Ω |
| 未知抵抗 | Rx=1.0 Ω |
| 正答 | (1) |
▼あわせて解きたい関連問題
・平衡ブリッジの関連問題:【理論】令和4年度下期A問題5

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