直流回路10【電験3種 理論】2電源はしご回路で抵抗Rの消費電力を求める!令和6年度上期 A問題5 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(直流回路) 令和6年度上期 A問題5 はしご形の2電源回路!抵抗Rの消費電力は何W?

今回は令和6年度上期 理論科目 A問題5を解説します。2つの直流電源(60 V・80 V)と5個の抵抗からなる回路で、中央の抵抗R=10 Ωで消費される電力〔W〕を求める問題です。

下側共通線を0 V、中央の2節点をV1・V2とする節点法で解きます。各枝電流を同じ符号規則で表して2本のKCLを連立し、10 Ωの両端電圧から電流の大きさ・実方向・消費電力を順に確認します。

目次

令和6年度上期 理論科目 A問題5:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の問題図で、60 V・80 V電源はいずれも上端が正、中央上側のRは10 Ω、左側の直列・縦抵抗は各40 Ω、右側は各60 Ωであることを確認します。

電験3種 理論科目 直流回路 令和6年度上期 A問題5 問題文
令和6年度上期 理論科目 A問題5 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 令和6年度上期 A問題5

 図の直流回路において、抵抗R=10Ωで消費される電力の値〔W〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)0.28 (2)1.89 (3)3.79 (4)5.36 (5)7.62〔W〕

出題のポイント:電源が2つ以上なら節点電圧法が速い

電源が2個、抵抗が5個——このくらい枝が多くなると、ループを何本も選んで連立するより節点電圧法のほうが速く確実です。やることは3つだけ。①基準点(0 V)を決める ②残った節点に \(V_1,V_2\) と名前を付ける ③各節点で流出する電流の合計=0 と書く。

節点電圧法の強みは符号で悩まなくてよいことです。枝電流をすべて「自分の電位 − 相手の電位」÷抵抗という同じ形で書けば、向きを仮定する必要すらありません。実際の向きが逆なら計算結果が負になるだけで、式は正しいままです。ループを選ぶときのように「この電源は上昇か下降か」と考える手間が消えます。

60V・80V電源はいずれも上端正、下側共通線0V、中央節点V₁・V₂、40Ω・60Ω・R=10Ωの正確な接続を示すGPT Image 2の出題ポイント図
下側共通線を0 V、中央の2節点をV₁・V₂とします。両電源の上端は正です。

問題の解説:節点方程式を2本立てて解く

使う公式:節点電圧法(キルヒホッフの電流則)
$$\sum_{\text{各枝}}\frac{V_{\text{自分}}-V_{\text{相手}}}{R}=0$$

※注目する節点から流出する電流を全部足して0。電源につながる枝では「相手の電位」がその電源電圧になります。

STEP1 基準を決めて節点方程式を立てる

下側の共通導線を0 Vとします。両電源とも上端が正なので、左上ノードは60 V、右上ノードは80 Vで固定です。

$$\frac{V_1-60}{40}+\frac{V_1-0}{40}+\frac{V_1-V_2}{10}=0$$
❶ V₁の節点
60 V枝・接地枝・R枝の3方向
$$\frac{V_2-V_1}{10}+\frac{V_2-0}{60}+\frac{V_2-80}{60}=0$$
❷ V₂の節点
R枝・接地枝・80 V枝の3方向

STEP2 整理して連立方程式を解く

それぞれ分母を払って整理すると、見通しのよい形になります。

$$3V_1-2V_2=30$$
❸ ❶を整理
両辺に40を掛けて約分
$$-3V_1+4V_2=40$$
❹ ❷を整理
両辺に60を掛けて約分
$$V_1=\frac{100}{3}\approx33.3,\qquad V_2=35\;[\mathrm{V}]$$
❺ 解く
2式を足すと2V₂=70ですぐV₂が出る

❸+❹をそのまま足すと \(2V_2=70\)、つまり \(V_2=35\) が一瞬で出ます。連立方程式は「どちらかの文字が消える組み合わせ」を探すのがコツです。

V₁節点とV₂節点で流出電流の代数和を0とする2本の方程式から、V₁=100/3V、V₂=35Vを求めるGPT Image 2のポイント解説図
各枝電流を同じ符号規則で表すと、2本の節点方程式からV₁とV₂が求まります。

STEP3 Rの電流と消費電力を求める

$$I_R=\frac{V_1-V_2}{10}=\frac{100/3-35}{10}=-\frac{1}{6}\;[\mathrm{A}]$$
❻ 電位差÷抵抗
負号は仮定と逆向きという意味
$$P=I_R^2R=\left(\frac{1}{6}\right)^2\times10=\frac{5}{18}\approx0.278\;[\mathrm{W}]$$
❼ 電力
二乗するので符号は消える

負号の読み方:\(I_R=-1/6\;\mathrm{A}\) は「電流が負の量」という意味ではありません。V₁→V₂と仮定した向きに対して実際は逆(V₂→V₁)に 1/6 A 流れているということです。V₂=35 V のほうがV₁≒33.3 V より高いのだから、電流が高いほうから低いほうへ流れるのは当然——結果が物理的に筋が通っているかを確かめる良い機会になります。

検算:別の式でも計算しておきます。\(P=(\Delta V)^2/R=(35-100/3)^2/10=(5/3)^2/10=5/18\;\mathrm{W}\)。\(I^2R\) と一致しました。

答え\(P=\dfrac{5}{18}\approx0.28\;[\mathrm{W}]\) → 選択肢(1) (実際の電流は V₂→V₁ へ 1/6 A)
10Ω抵抗の実電流がV₂からV₁へ1/6A流れることを示し、I²Rと電圧差の2通りでP=5/18W≈0.28W、正答1を検算するGPT Image 2の解答図
実電流はV₂からV₁へ1/6 A。消費電力は5/18 W=0.277… Wで、最も近い正答は(1)0.28 Wです。

選択肢を回路に戻して検算する

Rの両端の電位差は \(|V_1-V_2|=5/3\;\mathrm{V}\)。この電圧で10 Ωが消費する電力は \((5/3)^2/10\) の1通りしかありません。各選択肢の電力から逆に電流を求めると、どれが妥当かがはっきりします。

選択肢P [W]その電力に必要な電流 √(P/10) [A]必要な電位差 [V]判定
(1)0.280.1671.67
(2)1.890.4354.35×
(3)3.790.6166.16×
(4)5.360.7327.32×
(5)7.620.8738.73×

節点電位 \(V_1\approx33.3\)、\(V_2=35\) から電位差は約1.7 Vと分かっているので、4 V以上の電位差を要求する(2)〜(5)は物理的にあり得ません。電位を求めた時点で答えの桁は決まっている——これが節点電圧法の見通しの良さです。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① 電源が2個以上/節点が2〜3個なら節点電圧法を選ぶ。ループ選びの迷いが消える
② 枝電流はすべて「自分−相手」÷Rで統一する。向きを仮定しなくてよい
③ 連立は足すか引くかで1文字消える形を探す(本問は2式を足すだけでV₂が出る)
④ 電力はI²RとΔV²/Rの2通りで出して照合。符号ミスがあれば必ず食い違う

節点電圧法・複数電源の出題履歴

同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。

年度記事問われ方
令和6年度上期 A問題5本問(直流回路10)2電源はしご回路でRの消費電力
令和5年度上期 A問題5直流回路182電源はしご回路でRの消費電力(同型)
平成25年度 A問題6直流回路502電源はしご回路でRの消費電力
令和5年度下期 A問題6直流回路152電源回路をミルマンの定理で解く
令和6年度上期 A問題6直流回路113電源回路で抵抗Rを求める

💡 覚え方
基準0 Vを決める → 各節点で「(自分−相手)/R」の総和=0 → 連立。電流の負号は向きが逆という意味だけ。電力は二乗するので符号は関係ありません。

⚠️ よくある間違い
\(I_R=-1/6\) を「大きさが負」と読まないこと(向きが逆という意味)。節点方程式では電源につながる枝の「相手の電位」を電源電圧にすること。消費電力は必ず正の値になります。

まとめ

基準点下側共通線=0 V、電源上端=60 V・80 V
V1節点3V1−2V2=30
V2節点−3V1+4V2=40
節点電位V1=100/3 V、V2=35 V
実電流V2→V1へ1/6 A
消費電力P=5/18 W=0.277… W
正答(1) 0.28 W

▼あわせて解きたい関連問題
・2電源回路・節点方程式の関連問題:【理論】令和6年度下期A問題6

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