磁気・電磁力44【電験3種 理論】磁界中の導体に働く電磁力(フレミング左手)の性質!平成23年 A問題3 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(磁気・電磁力) 平成23年度 A問題3 フレミング左手の法則!電磁力はどこを向く?

今回は平成23年度 理論科目 A問題3を解説します。磁界中に置かれた直線導体に働く電磁力について、フレミングの法則・力が最大/零になる条件・電流との比例関係を答える空欄補充問題です。

直線導体に働く電磁力はフレミング左手で向きを判定し、ベクトル式ではF=Iℓ×Bです。大きさF=BIℓsinθより、電流と磁束密度が同方向なら、直角なら最大となり、B・ℓ・θが一定なら電流Iの1乗に比例します。

目次

平成23年度 理論科目 A問題3:問題文と選択肢

まずは、平成23年度に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

電験3種 理論科目 磁気・電磁力 平成23年度 A問題3 問題文
平成23年度 理論科目 A問題3 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成23年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題3

電験3種 理論科目 【電磁気(磁気・電磁力)】 平成23年度 A問題3

 次の文章は、磁界中に置かれた導体に働く電磁力に関する記述である。電流が流れている長さL〔m〕の直線導体を磁束密度が一様な磁界中に置くと、フレミングの(ア)の法則に従い、導体には電流の向きにも磁界の向きにも直角な電磁力が働く。直線導体の方向を変化させて、電流の方向が磁界の方向と同じになれば、導体に働く力の大きさは(イ)となり、直角になれば、(ウ)となる。力の大きさは、電流の(エ)に比例する。

上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)左手最大2乗
(2)左手最大2乗
(3)右手最大1乗
(4)右手最大2乗
(5)左手最大1乗

出題のポイント:\(F=BIL\sin\theta\) の1本ですべて埋まる

4つの空欄は、公式 \(F=BIL\sin\theta\) を書き出すだけで全部決まります\(\sin\theta\) を見れば(イ)(ウ)が、\(I\) の次数を見れば(エ)が——迷う要素はほとんどありません。

唯一注意が必要なのは(ア)の左手・右手です。力を求めるのだから左手——ここを間違えると、他が全部合っていても不正解になります。問題文に「電磁力」と書いてあるのが手がかりです。

磁界中の導体に働く力
$$F=BIL\sin\theta\qquad(\boldsymbol{F}=I\boldsymbol{L}\times\boldsymbol{B})$$

\(\theta\) は電流の向きと磁界の向きのなす角です。ベクトルの外積なので、平行なら0、直角なら最大という性質が自然に出てきます。

フレミング左手の電流・磁束密度・力の直交関係と、平行および直角の場合、電流への比例を示す図
電流Iが右、磁束密度Bが紙面奥なら力Fは上向きです。F=BIℓsinθから、左手・零・最大・1乗を判定できます。

空欄を1つずつ埋める

(ア)フレミングの 左手 の法則

力を求めるので左手です。右手は発電機(起電力を求める)用——問題文が「導体には……電磁力が働く」と言っているので、求めるのは力です。

左手の指の対応は、親指=力、人差し指=磁界、中指=電流「電・磁・力」の順に中指・人差し指・親指と覚えるのが定番です。

(イ)電流と磁界が同じ向きなら力は

\(\theta=0^\circ\) なので \(\sin0^\circ=0\)——力はまったく働きません

これは直感に反するので、よく狙われます。「電流も磁界もあるのだから力が働きそう」と思ってしまうのですが、電流が磁力線に沿って流れているときは、磁力線を1本も切らないので力が生じないのです。

(ウ)直角なら力は 最大

\(\theta=90^\circ\) で \(\sin90^\circ=1\)——\(F=BIL\) が最大値です。最も多く磁力線を切る配置にあたります。

電流と磁界のなす角\(\sin\theta\)力 \(F\)
0°(平行)00(零)
30°0.500\(0.50\,BIL\)
45°0.707\(0.71\,BIL\)
60°0.866\(0.87\,BIL\)
90°(直角)1\(BIL\)(最大)

角度を変えると力は連続的に変化します0°でゼロ、90°で最大——その間は \(\sin\theta\) に従って滑らかにつながります。電動機のトルクが回転角によって変わるのも、この関係が背景にあります。

(エ)力は電流の 1乗 に比例

\(F=BIL\sin\theta\) で \(I\) は1乗です。2乗ではありません

「2乗」に引っかかるのは、ジュール熱 \(Q=I^2Rt\) や平行電流間の力 \(F\propto I^2\) の印象が残っているからでしょう。平行電流の力が2乗になるのは、2本の電流の積だからです。本問は外部から与えられた磁界の中に1本の導体を置いているので、電流は1回しか出てきません。

紙面奥向きの一様磁界中の導体に働く力の外積方向と、角度0度から180度までのsinθグラフを示す図
力は電流と磁束密度の両方に直角で、平行・反平行では零、直角では最大BIℓになります。
答え(ア)左手 (イ)零 (ウ)最大 (エ)1乗 → 選択肢(5)
平成23年度理論科目A問題3の四つの空欄を式とフレミング左手の法則で判定し、選択肢5を示す図
空欄は左手・零・最大・1乗となり、公式標準解答は(5)です。

選択肢の消し方:惜しい肢が2つある

(ア)(イ)(ウ)(エ)判定
(1)左手最大 ×零 ×2乗 ×3か所誤り
(2)左手最大2乗 ×(エ)だけ誤り(惜しい)
(3)右手 ×最大1乗(ア)だけ誤り(惜しい)
(4)右手 ×最大 ×零 ×2乗 ×全部誤り
(5)左手最大1乗◎ 正解

(2)と(3)が1か所違いの惜しい肢です。(2)は「2乗」、(3)は「右手」——この2点さえ確実に押さえれば正解にたどり着けます

組合せ問題では、まず自信のある空欄から埋めて肢を絞るのが定石です。この問題なら(イ)(ウ)は \(\sin\theta\) から即決できるので、まずそこで(1)(4)を消し、残る3つを(ア)(エ)で判定します。

⚠️ よくある間違い
「電流と磁界が平行なら力は零」は直感に反するため、本試験で繰り返し狙われます。磁力線に沿って流れる電流は、磁力線を切らない——「切る」というイメージで覚えておくと、平行でゼロになることが腑に落ちます。

深掘り:この力が実際に使われている場面

\(F=BIL\) は、電動機のトルクを決める最も基本的な式です。電動機の設計では、磁束密度 \(B\) を大きくし、導体の長さ \(L\) を稼ぎ、電流 \(I\) を流せるだけ流す——という方向で性能を上げていきます。

大きくしたい量実際の手段限界となる要因
磁束密度 \(B\)強力な磁石、界磁電流を増やす磁気飽和
電流 \(I\)太い導体、冷却を強化発熱(\(I^2R\) 損)
導体長 \(L\)巻数を増やす、機体を長くする大きさ・重さ・コスト

どれも上限があります。磁束密度を上げようとすれば鉄心が飽和し、電流を増やせば発熱で焼損します。電動機の設計は、この3つの妥協点を探す作業だといえます。

スピーカーも同じ原理です。磁石の隙間に置いたボイスコイルに音声電流を流すと、\(F=BIL\) に従って振動板が動きます電流の波形がそのまま力の波形になる(1乗に比例する)からこそ、音が忠実に再現できるのです。もし2乗に比例していたら、音は歪んでしまいます

💡 覚え方
「1乗に比例する」ことには実用上の意味があると理解しておいてください。電流を2倍にすれば力も2倍——この素直な比例関係が、電動機の制御やスピーカーの忠実な再生を可能にしています。

⏱️ 本番での進め方
❶ \(F=BIL\sin\theta\) を余白に書く。(イ)(ウ)(エ)はこれで全部決まる。
❷ 力なら左手、起電力なら右手。(ア)はこれだけ。
❸ 平行なら零。直感に反するので意識して覚える。
❹ \(I\) は1乗。2乗になるのは平行電流間の力やジュール熱。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

向きF=Iℓ×B、フレミング左手(人差し指B・中指I・親指F)
平行・反平行θ=0°・180°、F=0
直角θ=90°、F=BIℓで最大
電流との関係F∝I、1乗に比例
空欄/答え左手・零・最大・1乗、答え(5)

▼あわせて解きたい関連問題
・電磁力・フレミングの関連問題:【理論】令和2年度A問題3

📚 次に解くべき関連問題
【理論】平成24年度A問題4(磁気・電磁力43)
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