静電界42【電験3種 理論】平行板コンデンサの静電容量・電界・静電エネルギー・静電力を求める!平成27年 A問題2 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(静電界) 平成27年度 A問題2 平行板コンデンサ総合問題!容量・電界・静電力を一気に!

今回は平成27年度 理論科目 A問題2を解説します。真空中で面積A・間隔lの平行板コンデンサに電荷Qを充電し、電源を外した状態について、(ア)静電容量、(イ)電界、(ウ)静電エネルギー、(エ)極板間に働く力の向きを求める空欄補充問題です。

電源を外した後は電荷Qが一定です。C=ε0A/l、E=Q/(ε0A)、W=Q2/(2C)=Q2l/(2ε0A)となります。間隔lを広げるには外力の仕事が必要なので、静電力は極板を近づける向き、すなわち引力です。

目次

平成27年度 理論科目 A問題2:問題文と選択肢

空欄が4つありますが、単位を確認するだけで5択が2択になります。残る決め手は「引力か斥力か」——エネルギーの増減から読み取れます。まずは問題文を確認しましょう。

電験3種 理論科目 静電界 平成27年度 A問題2 問題文
平成27年度 理論科目 A問題2 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成27年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題2

電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成27年度 A問題2

 図のように、真空中で2枚の電極を平行に向かい合わせたコンデンサを考える。各電極の面積をA〔m2〕、電極の間隔をl〔m〕とし、端効果を無視すると、静電容量は(ア)〔F〕である。このコンデンサに直流電圧源を接続し、電荷Q〔C〕を充電してから電圧源を外した。このとき、電極間の電界E=(イ)〔V/m〕によって静電エネルギーW=(ウ)〔J〕が蓄えられている。この状態で電極間隔を増大させると静電エネルギーも増大することから、二つの電極間には静電力の(エ)が働くことが分かる。ただし、真空の誘電率をε0〔F/m〕とする。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)ε0A/lQl/(ε0A)Q2l/(ε0A)引力
(2)ε0A/lQ/(ε0A)Q2l/(2ε0A)引力
(3)A/(ε0l)Ql/(ε0A)Q2l/(2ε0A)斥力
(4)A/(ε0l)Q/(ε0A)Q2l/(ε0A)斥力
(5)ε0A/lQ/(ε0A)Q2l/(2ε0A)斥力
図 面積A・間隔lの平行板コンデンサ(+Q・−Q)と電界E(問題図)
図 面積A・間隔lの平行板コンデンサ(+Q・−Q)と電界E(問題図)

出題のポイント:単位を見るだけで5択が2択になる

空欄が4つある問題ですが、(ア)(イ)の単位を確認するだけで3つの選択肢が消えます

空欄求めるもの正しい単位
(ア)静電容量F(ファラド)
(イ)電界V/m
(ウ)静電エネルギーJ(ジュール)
(エ)力の向き—(引力か斥力か)

単位が合わない式は、内容以前に候補から外れます。実際に5つの選択肢を調べた結果です。

選択肢(ア)の単位(イ)の単位(ウ)の単位判定
(1)F ○\(Ql/(\varepsilon_0A)\) → V ×J ○× 電界の欄が電圧
(2)F ○V/m ○J ○単位OK
(3)\(A/(\varepsilon_0l)\) → m²/F ×V ×J ○× 2か所で不一致
(4)m²/F ×V/m ○J ○× 容量の欄が容量でない
(5)F ○V/m ○J ○単位OK

単位だけで(1)(3)(4)が脱落し、残るのは(2)と(5)の2択です。しかもこの2つは(エ)の「引力か斥力か」だけが違います——実質的に2択の問題になりました。

電源を外した平行板コンデンサで電荷Qを一定に保ちながら極板間隔を広げる図
電源切離し後はQ一定となり、極板間隔を広げると静電容量は減少し、静電エネルギーは増加します。

問題の解説:電荷一定という条件を使う

電源を外した後(電荷Q一定)
$$C=\frac{\varepsilon_0A}{l},\qquad E=\frac{Q}{\varepsilon_0A},\qquad W=\frac{Q^2}{2C}=\frac{Q^2l}{2\varepsilon_0A}$$

電源を外したので電荷Qが固定されます。電圧一定の場合とは式が変わります。

STEP1 (ア)静電容量

$$C=\frac{\varepsilon_0A}{l}\;[\mathrm{F}]$$
❶ 平行板の基本式
面積に比例、間隔に反比例

STEP2 (イ)電界

面電荷密度から求めるのが直接的です。

$$\sigma=\frac{Q}{A},\qquad E=\frac{\sigma}{\varepsilon_0}=\frac{Q}{\varepsilon_0A}\;[\mathrm{V/m}]$$
❷ 電荷密度を誘電率で割る
\(l\) が入らない

電界に間隔 \(l\) が入らないのが重要です。電荷が一定なら、極板をどれだけ離しても電界は変わりません。電界を決めるのは極板上の電荷密度だからです。

STEP3 (ウ)静電エネルギー

$$W=\frac{Q^2}{2C}=\frac{Q^2}{2}\cdot\frac{l}{\varepsilon_0A}=\frac{Q^2l}{2\varepsilon_0A}\;[\mathrm{J}]$$
❸ 電荷が分かっているので \(Q^2/2C\)
\(l\) に比例

STEP4 (エ)力の向き

問題文が「間隔を増大させると静電エネルギーも増大する」と教えてくれています。ここから力の向きが決まります。

$$W\propto l\;\Rightarrow\;l\;\text{を増やすと}\;W\;\text{が増える}$$
❹ エネルギーが増える
$$\text{エネルギーが増えた}=\text{外力が仕事をした}$$
❺ エネルギー保存
引き離すのに力が要った
$$\Rightarrow\;\text{静電力は極板を近づける向き}=\text{引力}$$
❻ 結論
電荷一定の平行板コンデンサについて静電容量・電界・静電エネルギーの関係を示す図
Cはlに反比例、Eはlによらず一定、Wはlに比例します。
答え(ア)\(\varepsilon_0A/l\)、(イ)\(Q/(\varepsilon_0A)\)、(ウ)\(Q^2l/(2\varepsilon_0A)\)、(エ)引力 → 選択肢(2)
平行板コンデンサの四つの空欄を計算し選択肢2と引力を導く解説図
(ア)ε₀A/l、(イ)Q/(ε₀A)、(ウ)Q²l/(2ε₀A)、(エ)引力です。

引力であることを2つの別ルートで確かめる

「エネルギーが増えるから引力」という論法は正しいのですが、直接計算でも確かめられます

ルート1:エネルギーを距離で微分する

$$F=\frac{dW}{dl}=\frac{d}{dl}\left(\frac{Q^2l}{2\varepsilon_0A}\right)=\frac{Q^2}{2\varepsilon_0A}$$
❼ 微分すると \(l\) が消える
力の大きさは間隔によらない

ルート2:電荷×電界で求める

$$F=\frac12QE=\frac12Q\cdot\frac{Q}{\varepsilon_0A}=\frac{Q^2}{2\varepsilon_0A}$$
❽ ルート1と一致 ◎
係数 \(\frac12\) が付く理由に注意

なぜ \(\frac12\) が付くのか——片方の極板が感じるのは相手の極板がつくる電界だけだからです。極板間の電界 \(E\) は両方の極板がつくる電界の合計なので、相手が作る分は \(E/2\)。自分自身の電界からは力を受けません。

2つのルートが同じ答えになることで、計算の正しさが裏づけられます ✓ そして力の大きさが \(l\) によらない——極板をどれだけ離しても引力の大きさは同じです(電界が変わらないので当然です)。

電圧一定だったら結論はどう変わるか

本問は電源を外した=電荷一定でした。電源につないだままなら、各量の振る舞いが変わります

電荷一定(本問)電圧一定
電界 E\(Q/(\varepsilon_0A)\):\(l\) によらず一定\(V/l\):\(l\) に反比例して減る
エネルギー W\(Q^2l/(2\varepsilon_0A)\):\(l\) に比例して増える\(\frac12CV^2\):Cが減るので減る
極板間の力引力引力(向きは同じ)

エネルギーの増減は逆になりますが、力は両方とも引力です。正と負の電荷が引き合うのは条件によらない事実——「エネルギーが減るから斥力」ではありません

電圧一定でエネルギーが減る理由は、電荷が電源へ戻るからです。外力の仕事と電源への回収が同時に起きるため、エネルギー収支を追うには電源も含めて考える必要があります。「エネルギーの増減だけで力の向きを判定する」論法は、電荷一定のときだけ安全です。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① 空欄補充はまず単位でふるいにかける(本問は5択→2択)
電源を外した=電荷一定。\(W=Q^2/(2C)\) を使う
電荷一定なら電界は \(l\) によらない(\(E=Q/(\varepsilon_0A)\))
エネルギーが増える=外力が仕事をした=引力
⑤ 極板間力は\(F=\frac12QE=Q^2/(2\varepsilon_0A)\)——\(\frac12\) を忘れない

💡 覚え方
「離すのに力が要るなら引力」。エネルギーが増えたということは、外から仕事をしたということ。引き離すのに力が要ったのだから、静電力は引き寄せる向きです。

⚠️ よくある間違い
電界の式に \(l\) を入れてしまうのが典型的な誤りです(選択肢(1)(3)の \(Ql/(\varepsilon_0A)\))。これは電圧であって電界ではありません——単位を確認すれば防げます。また「エネルギーが増えたから斥力」と考えるのも逆で、外力が仕事をした=引力に逆らったと読みます。

まとめ

(ア)容量C=ε0A/l
(イ)電界E=Q/(ε0A)
(ウ)エネルギーW=Q2l/(2ε0A)
(エ)力/答引力、答(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・コンデンサのエネルギーの関連問題:【理論】令和7年度上期A問題1

📚 次に解くべき関連問題
【理論】平成29年度A問題2(静電界37)
【理論】平成23年度A問題2(静電界53)
【理論】平成26年度A問題2(静電界44)
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