今回は令和2年度 理論科目 A問題2を解説します。互いに平行な4本の導体円柱①〜④が+Q又は-Qで帯電しているとき、周囲の電気力線の図から各円柱の電荷の符号を読み取る問題です。①は正電荷と与えられています。
ポイントは、電気力線が正電荷から出て負電荷へ入ることです。同じ電気力線で直接結ばれた2本の円柱は異符号です。ただし、結ばれていないことだけから同符号とは一般には断定せず、本問では実際に結ばれているペアを順にたどります。
令和2年度 理論科目 A問題2:問題文と選択肢
図には力線の向きが描かれていません。それでも符号が決まるのは、「つながった2本は必ず異符号」という性質が向きによらないからです。まずは問題文を確認しましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和2年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題2
電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 令和2年度 A問題2
四本の十分に長い導体円柱①〜④が互いに平行に保持されている。①〜④は等しい直径を持ち、図の紙面を貫く方向に単位長さあたりの電気量+Q〔C/m〕又は-Q〔C/m〕で均一に帯電している。ただし、Q>0とし、①の帯電電荷は正電荷とする。円柱の中心軸と垂直な面内の電気力線の様子を図に示す。ただし、電気力線の向きは示していない。このとき、①〜④が帯びている単位長さあたりの電気量の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
① ② ③ ④ (1) +Q +Q +Q +Q (2) +Q +Q -Q -Q (3) +Q -Q +Q +Q (4) +Q -Q -Q -Q (5) +Q +Q +Q -Q

出題のポイント:力線でつながった2本は、必ず異符号
4本の導体円柱の符号を、電気力線の図だけから読み取る問題です。図には力線の向きが描かれていませんが、それでも符号が決まります。
使う性質はただ一つ。電気力線は正電荷から出て負電荷へ入る——だから、
向きが分からなくても使える
向きが描かれていなくてよい理由がここにあります。力線が「①から③へ」なのか「③から①へ」なのかは分かりませんが、どちらにせよ2本は異符号だからです。①が正と与えられているので、そこを起点に芋づる式に決まります。

問題の解説:①を起点に接続をたどる
STEP1 どのペアがつながっているかを図から読む
| ペア | 力線でつながっているか | そこから分かること |
| ①-③ | つながっている | 異符号 |
| ①-④ | つながっている | 異符号 |
| ②-③ | つながっている | 異符号 |
| ②-④ | つながっている | 異符号 |
| ①-② | つながっていない | (同符号の可能性が高い) |
| ③-④ | つながっていない | (同符号の可能性が高い) |
「密な力線の束があるか」を見ます。力線が2本の円柱の間を橋渡しするように描かれていれば、そのペアはつながっています。
STEP2 ①=+Qから順に決める
②-④からも同じ結論
②は2通りの経路から確認できます。②-③(③が−Qなので②は+Q)と②-④(④が−Qなので②は+Q)——どちらからも+Qで一致します。矛盾がないことの確認になります。
STEP3 整合性を確認する
つながっていないペアが同符号になっているかを最後に見ます。
| つながっていないペア | 求めた符号 | 整合性 |
| ①-② | +Q と +Q | 同符号 ◎ |
| ③-④ | −Q と −Q | 同符号 ◎ |
同符号どうしの間には力線が引けません(正から正へは入らない)。図でつながっていないことと矛盾しません ✓


誤答の正体:図の接続と矛盾するかを確かめる
| 選択肢 | ①②③④ | 図との矛盾 | 判定 |
| (1) | + + + + | 全部同符号なら力線でつながるペアが存在できない。図に束があることと矛盾 | × |
| (2) | + + − − | 矛盾なし | ○ |
| (3) | + − + + | ①-③が同符号になり、つながっている図と矛盾 | × |
| (4) | + − − − | ②-③、②-④が同符号になり、つながっている図と矛盾 | × |
| (5) | + + + − | ①-③が同符号になり、つながっている図と矛盾 | × |
(1)の「全部+Q」が最も分かりやすい誤りです。すべて同符号なら、どの2本の間にも力線は引けません。図に力線の束が描かれている時点で、(1)は即座に消せます。
「電荷の総和が0だから(2)」という理由づけは弱い点にも注意してください。総和が0になるのは結果であって根拠ではありません。実際、無限遠へ抜ける力線が図にあれば総和は0になりません。符号を決める直接の根拠は、あくまで「つながったペアは異符号」です。
なぜ同符号どうしは力線でつながれないのか
この性質は力線の向きの一意性から出てきます。
| 状況 | 力線の向き | 成立するか |
| 正 → 負 | 正から出て負へ入る | 成立 |
| 正 → 正 | 両端から出ようとする | 不成立(線が途中で衝突する) |
| 負 → 負 | 両端へ入ろうとする | 不成立(線の出発点がない) |
力線には必ず出発点(正電荷)と終着点(負電荷、または無限遠)が必要です。正と正の間に線を引こうとすると、両端が「出発点」になってしまい、線として成立しません。
実際に同符号の電荷を2つ並べると、力線は互いを避けるように外側へ膨らみます。その中間には力線が0になる点(中和点)が生じ、そこで電界が消えます。「線が途切れる」のではなく「そもそも間を通らない」のです。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 「つながったペアは異符号」——これ1つで全部決まる
② 力線の向きが描かれていなくても解ける(異符号であることは向きによらない)
③ 与えられた符号(本問は①)を起点に芋づる式にたどる
④ 最後につながっていないペアが同符号になっているかを確認
⑤ 全部同符号の選択肢は即消去(力線が引けなくなる)
💡 覚え方
「線でつながる=異符号」。電気力線は正から負へしか流れないので、線で結ばれた2本は必ず反対の符号です。向きが分からなくても判定できるのがこの性質の強みです。
⚠️ よくある間違い
力線の本数だけを数えて判断するのが典型的なミスです。大事なのは「どの円柱どうしが結ばれているか」という接続関係です。また「総和が0になるから」という理由で選ぶのも根拠として不十分——総和が0なのは結果にすぎません。
まとめ
| つながるペア | ①③・①④・②③・②④(異符号) |
| つながらないペア | ①②・③④(同符号) |
| 符号 | ①②=+Q、③④=−Q |
| 答え | (2) |
▼あわせて解きたい関連問題
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