静電界29【電験3種 理論】3種類の誘電体コンデンサの電界と絶縁破壊電圧の大小関係!令和2年 B問題17 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(静電界) 令和2年度 B問題17 3つの誘電体コンデンサ!絶縁破壊に強いのはどれ?

今回は令和2年度 理論科目 B問題17を解説します。厚さ・比誘電率・絶縁破壊電界が異なる3つの平行平板コンデンサ①〜③について、(a)同じ電圧を加えたときの電界の強さの大小、(b)絶縁破壊電圧の大小を求める問題です。

各コンデンサのギャップが単一・均一な誘電体で、印加電圧V0が固定される本問では、電界E=V0/dは厚さdに反比例します。比誘電率は静電容量と電荷には影響しますが、この電界比較には直接現れません。絶縁破壊電圧はVBD=EBDdで求めます。

目次

令和2年度 理論科目 B問題17:問題文と選択肢

(a)と(b)で順序が入れ替わります。「同じ電圧での電界の強さ」と「耐えられる電圧」は別の話——最も弱い材料が最も高い電圧に耐えます。まずは問題文を確認しましょう。

電験3種 理論科目 静電界 令和2年度 B問題17 問題文
令和2年度 理論科目 B問題17 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和2年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 B問題17

電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 令和2年度 B問題17

 図のように、誘電体の種類、比誘電率、絶縁破壊電界、厚さがそれぞれ異なる三つの平行板コンデンサ①〜③がある。極板の形状と大きさは同一で、コンデンサの端効果、初期電荷及び漏れ電流は無視できるものとする。上側の極板に電圧V0〔V〕の直流電源を接続し、下側の極板を接地した。①は気体(比誘電率1、絶縁破壊電界10kV/mm、厚さ4.0mm)、②は液体(比誘電率2、絶縁破壊電界20kV/mm、厚さ1.0mm)、③は固体(比誘電率4、絶縁破壊電界50kV/mm、厚さ0.5mm)である。次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a)各平行板コンデンサへの印加電圧の大きさが同一のとき、極板間の電界の強さの大きい順として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)①>②>③ (2)①>③>② (3)②>①>③ (4)③>①>② (5)③>②>①

(b)各平行板コンデンサへの印加電圧を徐々に上昇し、電界が絶縁破壊電界に達したときの印加電圧(絶縁破壊電圧)の大きい順として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)①>②>③ (2)①>③>② (3)②>①>③ (4)③>①>② (5)③>②>①

図 厚さ・誘電体・絶縁破壊電界が異なる3つの平行平板コンデンサ①〜③(問題図)
図 厚さ・誘電体・絶縁破壊電界が異なる3つの平行平板コンデンサ①〜③(問題図)

出題のポイント:「壊れやすさ」と「耐えられる電圧」は別物

(a)と(b)で順序が入れ替わるのが本問の核心です。同じ3つのコンデンサなのに、なぜ逆転するのでしょうか。

問い使う式何で決まるか本問の答え
(a) 同じ電圧での電界\(E=V_0/d\)厚さだけ(薄いほど強い)③>②>①
(b) 絶縁破壊電圧\(V_{BD}=E_{BD}\times d\)材料の強さ×厚さ①>③>②

薄いほど同じ電圧で電界が強くなる(壊れやすい)——しかし耐えられる電圧は材料の強さと厚さの積で決まります。この2つは別の話です。

比誘電率はどちらの式にも現れません。εは静電容量 \(C=\varepsilon_0\varepsilon_rS/d\) と電荷 \(Q=CV\) には効きますが、電界と破壊電圧の比較には無関係です。与えられた情報のうち使わないものがある——これも本問の仕掛けです。

同じ電圧V0を加えた気体・液体・固体コンデンサで厚さによる電界の違いを比較する図
固定電圧ではE=V₀/d、絶縁破壊電圧はVBD=EBDdで比較します。

(a) の解説:電界は厚さだけで決まる

同じ電圧を加えたときの電界
$$E=\frac{V_0}{d}$$

各コンデンサのギャップが単一・均一な媒質なので、この単純な式でよい。複合誘電体なら層ごとの計算が必要です。

$$E_1:E_2:E_3=\frac{1}{4.0}:\frac{1}{1.0}:\frac{1}{0.5}=0.25:1:2$$
❶ 厚さの逆比
③が最も強い
コンデンサ厚さ d\(E\propto1/d\)(相対値)順位
① 気体4.0 mm0.25最小
② 液体1.0 mm1.00中間
③ 固体0.5 mm2.00最大
三つのコンデンサの電界相対値と絶縁破壊電圧を表で比較する図
電界は③>②>①ですが、絶縁破壊電圧は①>③>②です。
答え(a) ③>②>① → 選択肢(5)

(b) の解説:耐えられる電圧は「強さ×厚さ」

絶縁破壊電圧
$$V_{BD}=E_{BD}\times d$$

絶縁破壊電界 \(E_{BD}\) はその材料が耐えられる電界の上限。それに厚さを掛けたものが耐えられる電圧です。

$$V_{BD,1}=10\times4.0=40\;[\mathrm{kV}]$$
❷ 気体
強さは弱いが厚い
$$V_{BD,2}=20\times1.0=20\;[\mathrm{kV}]$$
❸ 液体
中程度の強さ・薄い
$$V_{BD,3}=50\times0.5=25\;[\mathrm{kV}]$$
❹ 固体
最も強い材料だが最も薄い
コンデンサ\(E_{BD}\)厚さ\(V_{BD}\)順位
① 気体10 kV/mm(最弱)4.0 mm(最厚)40 kV1位
③ 固体50 kV/mm(最強)0.5 mm(最薄)25 kV2位
② 液体20 kV/mm1.0 mm20 kV3位

最も弱い材料である気体が、最も高い電圧に耐えます。厚さが4 mmと他の4〜8倍あるからです。「材料の強さ」だけでは決まらない——ここが(a)との逆転を生みます。

三つのコンデンサの電界相対値と絶縁破壊電圧を表で比較する図
電界は③>②>①ですが、絶縁破壊電圧は①>③>②です。
答え(b) ①>③>② → 選択肢(2)
コンデンサ①から③の電界比と絶縁破壊電圧40キロボルト20キロボルト25キロボルトを求める計算図
(a)は(5)、(b)は(2)。厚さと絶縁破壊電界を別々に確認します。

なぜ順序が入れ替わるのか

(a)では \(1/d\)、(b)では \(E_{BD}\times d\)——dが分母か分子かで逆向きに効きます。

$$\text{(a)}\;E\propto\frac{1}{d},\qquad \text{(b)}\;V_{BD}\propto E_{BD}\cdot d$$
❺ dの位置が逆
薄いと(a)で不利、(b)でも不利

③(固体)は材料としては最強(50 kV/mm)ですが、薄すぎるため総合的な耐圧では①に負けます。一方②(液体)は材料も中程度・厚さも中途半端で、両方の指標で最下位に近い結果になりました。

材料の強さ厚さ(a) 電界(b) 耐圧
① 気体最弱最厚最も弱い(有利)最も高い(有利)
② 液体最も低い(不利)
③ 固体最強最薄最も強い(不利)2位

実務での含意:絶縁設計では「材料を強くする」と「厚くする」の両方が選択肢になります。固体絶縁は材料として優秀ですが、薄くしすぎると耐圧が確保できません。気中絶縁(がいしの空間距離)が今も使われているのは、厚さ(距離)を稼ぎやすいからです。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
(a)は \(E=V_0/d\)——厚さの逆比。薄いほど電界が強い
(b)は \(V_{BD}=E_{BD}\times d\)——材料の強さと厚さの積
比誘電率は使わない。与えられても無視してよい情報がある
(a)と(b)で順序が逆転する可能性を最初から想定しておく
⑤ 単一媒質なら層分けは不要。複合誘電体との区別を確認する

💡 覚え方
「電界は薄いほど強い、耐圧は厚いほど高い」。dが分母(電界)か分子(耐圧)かで効き方が逆。最も弱い材料でも、十分に厚ければ最も高い電圧に耐えます

⚠️ よくある間違い
(a)と(b)の順序を同じだと思い込むのが最大の落とし穴です。逆転します。また比誘電率を使って計算しようとするのも誤りで、この2つの比較にεは現れません。

まとめ

(a)電界 E=V0/d相対値 ③(2)>②(1)>①(0.25) …(5)
①の破壊電圧10×4.0=40kV
②③の破壊電圧20kV・25kV
(b)破壊電圧の大小①>③>② …(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・平行平板コンデンサの電界の関連問題:【理論】令和元年度A問題2

📚 次に解くべき関連問題
【理論】令和元年度A問題2(静電界31)
【理論】平成30年度A問題2(静電界34)
【理論】令和3年度B問題17(静電界26)
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