今回は平成25年度 理論科目 A問題2を解説します。真空中の直線上に間隔rで点A・B・Cが並び、QA=4×10-6Cのとき、3つの点電荷に働く力がすべて零になるQB・QCの組合せを求める問題です。
各点電荷について、ほかの2電荷から受ける力の向きと大きさを整理します。中央Bのつり合いから外側の電荷はQC=QA、端Aのつり合いから中央の電荷はQB=−QC/4となります。A-C間は2rなので、クーロン力の距離係数が1/4になることが要点です。
平成25年度 理論科目 A問題2:問題文と選択肢
3つの点電荷すべてを釣り合わせる問題ですが、立てる式は2本で足ります。しかも1本だけでは候補が3つ残る——両方使うことが必須です。まずは問題文を確認しましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成25年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題2
電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成25年度 A問題2
図のように、真空中の直線上に間隔r〔m〕を隔てて、点A、B、Cがあり、各点に電気量QA=4×10-6〔C〕、QB〔C〕、QC〔C〕の点電荷を置いた。これら三つの点電荷に働く力がそれぞれ零になった。このとき、QB〔C〕及びQC〔C〕の値の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、真空の誘電率をε0〔F/m〕とする。
QB QC (1) 1×10-6 −4×10-6 (2) −2×10-6 8×10-6 (3) −1×10-6 4×10-6 (4) 0 −1×10-6 (5) −4×10-6 1×10-6

出題のポイント:3つのつり合いのうち、独立なのは2つだけ
「3つの点電荷すべてに働く力が零」という条件ですが、実際に立てる式は2本で足ります。対称性から3本目は自動的に満たされるからです。
| 注目する点 | 受ける力 | つり合いの式 | 分かること |
| 中央 B | AとCから(どちらも距離r) | \(Q_B(Q_A-Q_C)=0\) | \(Q_C=Q_A\) |
| 端 A | Bから距離r、Cから距離2r | \(Q_B+\dfrac{Q_C}{4}=0\) | \(Q_B=-Q_C/4\) |
| 端 C | Bから距離r、Aから距離2r | Aと同じ形 | 自動的に成立 |
A-C間が2rなので、力の係数が1/4になる——これが本問の急所です。クーロン力は距離の2乗に反比例するので、距離が2倍なら力は1/4です。

問題の解説:2本の式を順に解く
STEP1 中央Bのつり合いから \(Q_C\) を決める
BはAからもCからも距離r——同じ距離なので、式が単純になります。
Aから離れる向きを正
対称な配置になる
\(Q_B=0\) も数学的には解ですが、その場合はAとCが互いに反発したままで釣り合いません。選択肢(4)がまさにその形で、後で確認します。
STEP2 端Aのつり合いから \(Q_B\) を決める
Aから見るとBは距離r、Cは距離2rです。距離が違うので係数に差が出ます。
\((2r)^2=4r^2\)
中央は負電荷
中央が負になるのは必然です。両端が正なら互いに反発するので、それを引き止めるには中央に引力を生む負電荷が必要になります。


誤答の正体:Aのつり合いだけでは3つに絞れない
全選択肢を実際に代入し、3点それぞれに働く合力を計算しました。興味深い結果が出ています。
| 選択肢 | \(Q_B\) | \(Q_C\) | Aの合力 | Bの合力 | Cの合力 | 判定 |
| (1) | \(+1\times10^{-6}\) | \(-4\times10^{-6}\) | 0 ○ | 0でない × | 0でない × | × |
| (2) | \(-2\times10^{-6}\) | \(+8\times10^{-6}\) | 0 ○ | 0でない × | 0でない × | × |
| (3) | \(-1\times10^{-6}\) | \(+4\times10^{-6}\) | 0 ○ | 0 ○ | 0 ○ | ○ |
| (4) | 0 | \(-1\times10^{-6}\) | 0でない × | 0 ○ | 0でない × | × |
| (5) | \(-4\times10^{-6}\) | \(+1\times10^{-6}\) | 0でない × | 0でない × | 0でない × | × |
(1)(2)(3)はどれもAの力が0になります。つまり「Aのつり合い」だけを使って解くと、3つの候補が残ってしまうのです。
実際、(1)は \(Q_B+Q_C/4=1\times10^{-6}+(-1\times10^{-6})=0\)、(2)は \(-2\times10^{-6}+2\times10^{-6}=0\)——どちらもAの条件を満たしています。
決め手はBのつり合いです。\(Q_C=Q_A\) という条件を満たすのは(3)だけ。(1)は \(Q_C=-Q_A\)、(2)は \(Q_C=2Q_A\) となり、Bに力が残ってしまいます。
(4)は \(Q_B=0\) のケースです。Bには電荷がないので力を受けませんが、AとCが互いに引き合ったまま(異符号なので)で釣り合いません。「Bが0なら3つとも0」ではないことが数値で確認できます。
なぜ3本目の式が不要なのか
Cのつり合いを立てなくてよい理由を確認しておきます。
AとCが同じ電荷・同じ距離
\(Q_A=Q_C\) で、Bが中央にある——この時点で配置は左右対称です。だからAが釣り合えばCも自動的に釣り合います。3本目の式は独立ではありません。
一般に、n個の電荷がすべて釣り合う条件は独立な式が n−1 本になります(全体の合力が0であることから1本が従属になるため)。本問はさらに対称性が加わるので、実質2本で決まります。
この見通しがあると、どの式から立てるかを選べます。本問ではBのつり合いが最も単純(距離が同じで係数が揃う)なので、そこから始めるのが効率的です。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 最も単純なつり合いから立てる(本問は距離が等しい中央B)
② A-C間は2r → 力の係数は1/4。距離の2乗に反比例
③ 両端が同符号なら中央は逆符号——引き止める役が必要
④ 対称配置なら3本目の式は不要(自動的に成立)
⑤ 検算は選択肢を代入して3点すべての合力を確認
💡 覚え方
「外側は同じ、中央は逆符号で1/4」。\(Q_C=Q_A\)、\(Q_B=-Q_A/4\)——この形は3電荷が一直線に等間隔で並ぶ配置の定番です。1/4は距離2倍の効果から来ています。
⚠️ よくある間違い
Aのつり合いだけで答えを決めるのが最大の落とし穴です。(1)(2)もAの条件は満たすので、Bのつり合いまで確認しなければ絞れません。またA-C間の距離を r と誤ると1/4の係数が消え、答えが変わります。
まとめ
| Bのつり合い | QC=QA |
| Aのつり合い | QB=−QC/4 |
| QB | −1×10−6 C |
| QC | 4×10−6 C |
| 答え | (3) |
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