直流回路65【電験3種 理論】スイッチ開閉で電流が不変=平衡ブリッジから抵抗を求める!平成19年度 A問題6 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(直流回路) 平成19年度 A問題6 電流が変わらない=平衡!ブリッジの抵抗を求める

今回は平成19年度 理論科目 A問題6を解説します。ブリッジ回路でスイッチSを開いても閉じても、主回路に直列接続された電流計の指示がE/4 Aで一定となる条件から、R₃・R₄のうち小さい方の抵抗を求めます。

スイッチSを閉じると中点間に0 Ωの枝が加わるため、一般には合成抵抗が下がり、全電流が増えます。それでも全電流が変わらないのは、開放時から両中点が等電位で、S枝に電流が流れない平衡ブリッジだからです。平衡条件と全電流の条件を順に使います。

目次

平成19年度 理論科目 A問題6:問題文と選択肢

問題文と選択肢を確認した後、下の「出題のポイント」に掲載した正しい接続図を参照してください。従来の再構成画像は電流計と電源の位置が原図と異なっていたため、今回の監査で削除し、正しい回路へ差し替えました。

電験3種 理論科目 平成19年度 A問題6 問題文(スイッチ開閉で電流が不変=平衡ブリッジから抵抗を求める)
平成19年度 理論科目 A問題6 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題6

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 平成19年度 A問題6

 図のような直流回路において、スイッチSを閉じても、開いても電流計の指示値は、E/4〔A〕一定である。このとき、抵抗R3〔Ω〕、R4〔Ω〕のうち小さい方の抵抗〔Ω〕の値として、正しいのは次のうちどれか。ただし、直流電圧源はE〔V〕とし、電流計の内部抵抗は無視できるものとする。

(1)1 (2)2 (3)3 (4)4 (5)8〔Ω〕

出題のポイント:「スイッチを閉じても電流が変わらない」=平衡の証拠

普通、回路に導線(0 Ωの枝)を1本足せば、合成抵抗は下がり全電流は増えます。ところが本問ではスイッチSを閉じても電流計の指示がE/4 Aのまま変わりません。これは「Sを閉じても何も起きなかった」ということ——つまりSを閉じる前から、Sの両端はすでに同じ電位だったのです。

同じ電位の2点を導線でつないでも電流は流れません。だから合成抵抗も電流も変化しない。この現象こそがブリッジの平衡です。問題文の「開いても閉じても一定」という一言が、平衡条件を使ってよいという許可証になっています。

もう一つ、電流計の位置にも注意してください。電流計はスイッチの枝ではなく、電源と抵抗網全体に直列に入っています。したがって指示値E/4 Aは回路の全電流です。

電源Eと電流計Aをブリッジ抵抗網全体に直列接続し、上段を2ΩとR3、下段を8ΩとR4、両中点間をスイッチSで結んだ正しい平成19年度理論問6の回路図
電流計は主回路の全電流I=E/4 Aを測定します。上段は2 Ω–R₃、下段は8 Ω–R₄、Sは中点間の枝です。この画像では答えを示していません。

問題の解説:平衡条件 → 抵抗比 → 合成抵抗

使う公式:ブリッジの平衡条件と並列合成
$$\frac{R_{\text{上段前}}}{R_{\text{下段前}}}=\frac{R_{\text{上段後}}}{R_{\text{下段後}}}\quad\Longleftrightarrow\quad\text{中点が等電位}$$

※平衡=左右(上下)の分圧比が等しいこと。成り立てば中央の枝は電流0なので、開放として除去できます。

STEP1 平衡条件から抵抗の関係を出す

上段は 2 Ω→R₃、下段は 8 Ω→R₄ の順に並んでいます。中点が等電位になるのは、両段の分圧比が等しいときです。

$$\frac{2}{R_3}=\frac{8}{R_4}\;\Rightarrow\;2R_4=8R_3$$
❶ 平衡条件
たすき掛けで整理
$$R_4=4R_3$$
❷ 抵抗比
下段の後半は上段の後半の4倍

STEP2 全電流から合成抵抗を決める

S枝に電流が流れないので、回路は上段(2+R₃)と下段(8+R₄)の単純な並列です。ここで \(X=2+R_3\) と置くと、下段は \(8+4R_3=4(2+R_3)=4X\)——きれいに4倍になります。

$$R_{\mathrm{eq}}=X\parallel4X=\frac{X\cdot4X}{X+4X}=\frac{4X}{5}$$
❸ 並列合成
文字を1つに減らせた
$$R_{\mathrm{eq}}=\frac{E}{I}=\frac{E}{E/4}=4\;[\Omega]$$
❹ 全電流から
指示値E/4 Aを使う
S開放時と閉路時のブリッジを比較し、中点電位VAとVBが等しくS枝電流が0Aであることから2R4=8R3、R4=4R3を導くポイント解説図
短絡枝Sを追加しても合成抵抗が変わらないため、開放時からV_A=V_Bです。平衡条件は2R₄=8R₃、したがってR₄=4R₃です。

STEP3 R₃とR₄を求める

$$\frac{4X}{5}=4\;\Rightarrow\;X=5\;[\Omega]$$
❺ 解く
$$R_3=X-2=3\;[\Omega],\qquad R_4=4R_3=12\;[\Omega]$$
❻ 戻す
小さい方はR₃=3 Ω

S閉のときも確認:Sを閉じると中点どうしがつながるので、回路は「2 Ω∥8 Ω」と「R₃∥R₄」の直列になります。\(2\parallel8=1.6\)、\(3\parallel12=2.4\)、合計 \(1.6+2.4=4.0\;\Omega\)——S開のときと同じ4 Ωです。開いても閉じても合成抵抗が同じという問題文の条件が、きちんと再現されました。

答え小さい方の抵抗 \(R_3=3\;[\Omega]\) → 選択肢(3) (R₄=12 Ω、S開・S閉とも合成抵抗4 Ω ✓)
R4=4R3を使って上段2+R3と下段8+R4の並列合成を求め、I=E/4からR3=3Ω、R4=12Ω、小さい方3Ω、正解3を導く詳細解説図
下段抵抗は上段抵抗の4倍なので、X=2+R₃と置けばR_eq=X∥4X=4X/5です。R_eq=4 ΩからR₃=3 Ω、R₄=12 Ωを得ます。
R3=3ΩとR4=12Ωを代入し、S開放時は5Ωと20Ωの並列、S閉路時は2Ωと8Ωの並列と3Ωと12Ωの並列の直列となり、いずれも合成4Ωと検算する詳細解説図
S開放時は5∥20=4 Ω、S閉路時は(2∥8)+(3∥12)=4 Ωです。両中点は3E/5 Vで等しく、S枝電流は0 Aです。

選択肢を回路に戻して検算する

各選択肢のR₃について \(R_4=4R_3\) を計算し、上段・下段を並列合成して4 Ωになるかを確かめます(\(R_{\mathrm{eq}}=4\;\Omega\) なら \(I=E/4\))。

選択肢R₃ [Ω]R₄=4R₃ [Ω]上段 2+R₃下段 8+R₄並列合成 [Ω]判定
(1)143122.40×
(2)284163.20×
(3)3125204.00
(4)4166244.80×
(5)83210408.00×

合成抵抗はR₃について単調に増えるので、4 Ωちょうどになるのは1か所だけ。実は \(R_{\mathrm{eq}}=\frac45X=\frac45(2+R_3)\) なので選択肢を代入するだけでも解けます——式変形に自信がないときの保険として覚えておきましょう。

なぜ「分圧比が等しい」と中点が等電位になるのか

上段には電源電圧Eが2 ΩとR₃で分圧されます。中点の電位は下側から測って \(E\cdot R_3/(2+R_3)\)。下段では \(E\cdot R_4/(8+R_4)\)。この2つが等しくなる条件を整理すると、ちょうど \(2R_4=8R_3\)——平衡条件そのものになります。

本問の値で確かめると、上段は \(E\times3/5=0.6E\)、下段は \(E\times12/20=0.6E\)。どちらも0.6Eで確かに等電位です。だから中央のS枝は、閉じようが開こうが電流0。

この性質を測定に応用したのがホイートストンブリッジです。検流計が0を指すように可変抵抗を調整すれば、電源電圧が多少ふらついても未知抵抗を精密に測れます——「0を検出する」測定は絶対値を測るより桁違いに精度が高いという、計測の基本思想がここにあります。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
「スイッチを開閉しても変わらない」=平衡と即断する。これが問題文の合図
② 平衡なら中央枝は開放して除去(短絡ではない)
③ 文字が2つ出てきたら置き換えを狙う(本問は X=2+R₃ で下段が4Xになる)
④ 電流計が主回路か分岐かを必ず確認する

平衡ブリッジの出題履歴

同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。

年度記事問われ方
平成19年度 A問題6本問(直流回路65)開閉で電流不変=平衡から抵抗を求める
平成27年度 A問題6直流回路43スイッチ開閉で電流が不変=平衡から抵抗R₄(同型)
令和4年度下期 A問題5直流回路21平衡ブリッジを見抜いて電源電圧E
令和4年度上期 A問題7直流回路266抵抗のブリッジから未知抵抗Rx
令和2年度 A問題7直流回路31非平衡ブリッジをテブナンの定理で解く

💡 覚え方
「開いても閉じても同じ」=平衡。平衡条件で抵抗比(R₄=4R₃)を出し、X=2+R₃ と置けば下段は4X。あとは \(4X/5=4\) から X=5、R₃=3 Ω。

⚠️ よくある間違い
2 Ωと8 Ωを1本の直列枝と読まないこと(上段が2+R₃、下段が8+R₄)。平衡した中央枝は短絡ではなく開放。電流計はS枝ではなく主回路にあるので指示値は全電流です。

まとめ

正しい経路上段2 Ω+R3、下段8 Ω+R4
平衡条件2R4=8R3、R4=4R3
合成抵抗Req=4 Ω
抵抗値R3=3 Ω、R4=12 Ω
答え小さい方3 Ω …(3)

平成19年度の公式問題・標準解答PDFは現在の公式公開範囲外です。問題文、選択肢、正しい原図と解法は、保存されている2007年理論問6の解説PDFと独立計算で照合しました。従来の再構成画像は、電流計を中点間へ置き、電源を上下端へ置く誤配線だったため、今回削除して正しい回路に差し替えています。

▼あわせて解きたい関連問題
・平衡ブリッジの関連問題:【理論】平成27年度A問題6

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