直流回路64【電験3種 理論】可変抵抗のジュール熱が最大になる条件は?平成19年度 A問題5 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(直流回路) 平成19年度 A問題5 最大の熱を出す抵抗値は?整合条件を導く

今回は平成19年度 理論科目 A問題5を解説します。起電力E・内部抵抗rの電池に、固定抵抗R1と可変抵抗R2を並列接続したとき、R2のジュール熱を最大にするR2の値を求めます。同じ問題が令和6年度上期A問題7にも再出題されていますが、正しい式の選択肢番号は異なります。

一定時間tに発生するジュール熱はQ2=P2tなので、時間が一定ならジュール熱を最大にする条件と消費電力を最大にする条件は同じです。R2だけを負荷として外し、残りの回路のテブナン抵抗Rthと開放電圧Vthを求めます。

目次

平成19年度 理論科目 A問題5:問題文と選択肢

発熱を最大にしたいのはどの抵抗かを意識しながら問題文を読みましょう。

電験3種 理論科目 直流回路 平成19年度 A問題5 問題文
平成19年度 理論科目 A問題5 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題5

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 平成19年度 A問題5

 起電力がE〔V〕で内部抵抗がr〔Ω〕の電池がある。この電池に抵抗R1〔Ω〕と可変抵抗R2〔Ω〕を並列につないだとき、抵抗R2〔Ω〕から発生するジュール熱が最大となるときの抵抗R2の値〔Ω〕を表す式として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)R2=r (2)R2=R1 (3)R2=rR1/(r−R1) (4)R2=rR1/(R1−r) (5)R2=rR1/(r+R1)

出題のポイント:R₂だけを負荷として切り出し、残りを等価電源にまとめる

一定時間tのあいだに発生するジュール熱は \(Q=Pt\)。tが共通ならジュール熱を最大にする=消費電力を最大にすると読み替えられます。そこで使うのが最大電力の定理——負荷抵抗が、負荷から見た電源側の等価抵抗(テブナン抵抗)と等しいとき、負荷が受け取る電力が最大になります。

肝心なのは「電源側の等価抵抗」をどう求めるかです。R₂を負荷として一度取り外し、空いた端子から電源側を覗き込みます。このとき独立な理想電圧源Eは短絡(0 V)に置き換えるのがルール。ここで消すのは起電力Eだけで、内部抵抗rはそのまま残ります

元の動作回路でr・R₁・R₂の3つが並列なのではありません。rは理想電源Eと直列です。「R₂を外してEを短絡した後に限って」rとR₁が端子間の並列に見える——この順序を守ることが正解への鍵です。

理想電源Eと内部抵抗rを直列にし、その端子a-b間へ固定抵抗R1と可変抵抗R2を並列接続した回路と、R2のジュール熱を最大にするための攻略手順を示す出題のポイント図
R₂を負荷として扱い、R₂から見た残りの回路を等価化します。この画像では最大条件や正解を示していません。

問題の解説:テブナン等価に置き換えて最大条件を当てはめる

使う公式:最大電力の定理(テブナンの定理)
$$R_{\text{負荷}}=R_{\mathrm{th}}\;\text{のとき}\;P_{\text{負荷}}\text{が最大},\qquad P_{\max}=\frac{V_{\mathrm{th}}^{\,2}}{4R_{\mathrm{th}}}$$

※\(R_{\mathrm{th}}\)=負荷を外した端子から見た抵抗。求めるときは理想電圧源は短絡・理想電流源は開放に置き換え、内部抵抗は残す

STEP1 R₂を外してテブナン等価回路を作る

$$R_{\mathrm{th}}=r\parallel R_1=\frac{rR_1}{r+R_1}$$
❶ 電圧源を短絡して合成
内部抵抗rは残す
$$V_{\mathrm{th}}=E\,\frac{R_1}{r+R_1}$$
❷ 開放電圧
rとR₁の分圧

STEP2 微分して最大条件を確かめる

公式を暗記で済ませず、実際に微分して確認しておきます。

$$P_2=\frac{V_{\mathrm{th}}^{\,2}R_2}{(R_{\mathrm{th}}+R_2)^2}$$
❸ 負荷電力
R₂の関数として書く
$$\frac{dP_2}{dR_2}=\frac{V_{\mathrm{th}}^{\,2}\,(R_{\mathrm{th}}-R_2)}{(R_{\mathrm{th}}+R_2)^3}$$
❹ 微分
符号は \(R_{\mathrm{th}}-R_2\) で決まる
$$R_2<R_{\mathrm{th}}\;\text{で正},\quad R_2=R_{\mathrm{th}}\;\text{で}0,\quad R_2>R_{\mathrm{th}}\;\text{で負}$$
❺ 増減
唯一の最大点
R2を取り外して開放端子a-bとし、理想電源Eだけを短絡して内部抵抗rとR1の並列からRthを求め、開放電圧Vthも求めるポイント解説図
R₂を外した後、独立理想電源Eだけを0 Vにします。内部抵抗rは残り、Rth=r∥R₁、Vth=ER₁/(r+R₁)です。

STEP3 元の記号へ戻す

$$R_2=R_{\mathrm{th}}=\frac{rR_1}{r+R_1}\;[\Omega]$$
❻ 代入
「積÷和」=並列合成の形

求めた式はrとR₁の並列合成そのものです。選択肢(3)(4)は分母が引き算になっており、rとR₁の大小によっては負の抵抗という物理的にあり得ない値になるため、その時点で候補から外せます。

答え\(R_2=\dfrac{rR_1}{r+R_1}\;[\Omega]\) → 平成19年度では選択肢(5)
テブナン等価回路でR2の電力式を微分し、R2がRthに等しいとき最大となること、平成19年度の正解5と令和6年度上期の正解3を示す詳細解説図
P₂をR₂で微分すると、R₂<Rthで増加、R₂>Rthで減少します。したがってR₂=rR₁/(r+R₁)で最大です。
元回路からR2の電力式を直接導き、相加相乗平均で分母を最小にして最大条件と最大電力を求め、R2が0と無限大へ近づく境界でも検算する詳細解説図
直接法でもR₂=rR₁/(r+R₁)です。書き換えた分母は等号成立時に4rR₁(r+R₁)となり、P₂,max=E²R₁/[4r(r+R₁)]です。

具体的な数値で検算する

文字式のままでは不安なので、\(r=2\;\Omega\)、\(R_1=3\;\Omega\)、\(E=10\;\mathrm{V}\) と決めて確かめます。このとき \(R_{\mathrm{th}}=2\times3/5=1.2\;\Omega\)、\(V_{\mathrm{th}}=10\times3/5=6\;\mathrm{V}\)。R₂を0.001 Ω刻みで変えながら消費電力を計算すると、R₂=1.200 Ωのときに最大値7.500 Wとなり、理論値 \(V_{\mathrm{th}}^2/(4R_{\mathrm{th}})=36/4.8=7.5\;\mathrm{W}\) と完全に一致しました。

選択肢r=2, R₁=3 での値 [Ω]判定
(1)R₂ = r2.000×(R₁が並列にあることを無視)
(2)R₂ = R₁3.000×
(3)R₂ = rR₁/(r−R₁)−6.000(負の抵抗)×
(4)R₂ = rR₁/(R₁−r)6.000×
(5)R₂ = rR₁/(r+R₁)1.200○(数値探索の最大点と一致)

(1) R₂=r は「負荷=内部抵抗」という公式をそのまま当てはめた誤りです。R₁が並列に入っている分だけ電源側の抵抗は小さくなるので、正しくは \(r\parallel R_1\)。この問題は「公式を暗記しているか」ではなく「電源側の等価抵抗を正しく求められるか」を問うています。

この問題は令和6年度上期の再出題です

本問(平成19年度 A問題5)とまったく同じ問題が、令和6年度上期 A問題7として出題されています(直流回路12)。約17年ぶりの再登場です。

ただし選択肢の並び順が違います。平成19年度では正しい式が(5)、令和6年度上期では(3)。「あの問題は(5)だった」と番号で覚えていると間違えます。過去問を復習するときは正解番号ではなく式そのものを記憶に残してください。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① 「最大」「最も大きくなる」と来たら最大電力の定理を疑う
② Rth負荷を外してから求める。理想電圧源は短絡内部抵抗は残す
③ 答えが「積÷和」なら並列合成、「積÷差」なら負の抵抗になり得る=誤り
④ 文字式はr=2, R₁=3のような小さい数を入れて検算すると10秒で確信が持てる

最大電力・テブナンの定理の出題履歴

同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。

年度記事問われ方
平成19年度 A問題5本問(直流回路64)可変抵抗のジュール熱が最大になる条件
令和6年度上期 A問題7直流回路12同一問題(選択肢の並びのみ異なる)
令和3年度 A問題7直流回路28電池n個で消費電力最大のときの電流
令和2年度 A問題7直流回路31ブリッジ回路にテブナンの定理
令和7年度上期 A問題6直流回路63状態から短絡電流を求める

💡 覚え方
最大電力は「負荷=負荷から見た電源側の抵抗」。Rth電圧源を短絡して求め、内部抵抗は残す。本問はr∥R₁なので「積÷和」の形。

⚠️ よくある間違い
R₂=rと即答しない(R₁が並列にあるので \(r\parallel R_1\) が正解)。テブナン抵抗を求めるとき内部抵抗rまで消さないこと。再出題では選択肢の番号が変わるので式で覚えましょう。

まとめ

負荷可変抵抗R2
テブナン抵抗Rth=r∥R1=rR1/(r+R1)
開放電圧Vth=ER1/(r+R1)
最大条件R2=Rth
平成19年度の答え(5)

平成19年度の公式問題・標準解答PDFは現在の公式公開範囲外です。そこで、保存されている平成19年度問題画像の問題文と選択肢を確認したうえで、同じ問題が掲載された令和6年度上期の公式問題PDF公式解答PDFを照合しました。公式再出題では正しい式が(3)、平成19年度の選択肢では同じ式が(5)です。

▼あわせて解きたい関連問題
・同じ問題が再出題された令和6年度上期の解説:【理論】令和6年度上期A問題7

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次