直流回路21【電験3種 理論】平衡ブリッジを見抜いて電源電圧Eを求める!令和4年度下期 A問題5 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(直流回路) 令和4年度下期 A問題5 ブリッジの平衡を見抜けば簡単!電源電圧Eは?

今回は令和4年度下期 理論科目 A問題5を解説します。上枝が4 Ωと5 Ω、下枝が8 Ωと10 Ω、中央枝が12 Ωのブリッジ回路に、3 Ωが直列接続されています。3 Ωの端子電圧の大きさが1.8 Vのときの電源電圧E [V]を求めます。

左端から各中点までの抵抗比は4/8=1/2、各中点から右端までの抵抗比も5/10=1/2です。したがってブリッジは平衡し、中央12 Ωの両端は等電位になります。中央電流が0 Aと確認してから、上の9 Ω枝と下の18 Ω枝の並列に簡単化します。

目次

令和4年度下期 理論科目 A問題5:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の公式問題では、1.8 Vの両矢印は右側の3 Ωの両端だけを示しています。3 Ωはブリッジ内部ではなく、ブリッジ全体と直列です。選択肢は1.8、3.6、5.4、7.2、10.4 Vです。

電験3種 理論科目 直流回路 令和4年度下期 A問題5 問題文
令和4年度下期 理論科目 A問題5 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 令和4年度下期 A問題5

 図のような直流回路において、抵抗3Ωの端子間の電圧が1.8Vであった。このとき、電源電圧E〔V〕の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)1.8 (2)3.6 (3)5.4 (4)7.2 (5)10.4〔V〕

図 ブリッジ回路(4Ω・5Ω・8Ω・10Ω・12Ω)と直列3Ω、電源Eの回路(問題図)
図 ブリッジ回路(4Ω・5Ω・8Ω・10Ω・12Ω)と直列3Ω、電源Eの回路(問題図)

出題のポイント:平衡ブリッジは「開放」であって「短絡」ではない

ブリッジ回路を見たら、まず平衡しているかを確かめます。向かい合う抵抗の積が等しければ平衡です。$$\frac{4}{8}=\frac{5}{10}=\frac{1}{2}\qquad\text{(交差積でも }4\times10=5\times8=40\text{)}$$平衡していると中央の枝の両端が同じ電位になるので、電位差が0、したがって電流も0になります。

ここで絶対に間違えたくないのが、電流0の枝は「開放」として扱うという点です。「無視する」という言葉から短絡(0 Ωの導線)と勘違いすると、上下の枝がつながって全く別の回路になってしまいます。電流が流れないのだからそこに何も無いのと同じ——中央の12 Ωをハサミで切り取ったと考えてください。

もう一点、右側の3 Ωはブリッジの中ではなく、ブリッジ全体と直列です。問題文の1.8 Vはこの3 Ωだけの端子電圧なので、電源電圧Eそのものではありません。

上枝4Ωと5Ω、下枝8Ωと10Ω、中央12Ω、右側直列3Ωからなる平衡ブリッジ回路と、4対8イコール5対10、中央電流0を示すGPT Image 2の出題ポイント図
4/8=5/10なのでブリッジは平衡し、中央12 Ωの電流は0 Aです。1.8 Vは右側の直列3 Ωだけに加わっています。

問題の解説:平衡を確認 → 合成 → 電流 → 電圧

使う公式:ブリッジの平衡条件と直並列合成
$$\frac{R_1}{R_3}=\frac{R_2}{R_4}\quad\Longleftrightarrow\quad R_1R_4=R_2R_3\qquad\text{(平衡=中央枝の電流が0)}$$

※平衡が成り立てば中央枝は開放として除去できる。ホイートストンブリッジで未知抵抗を測る原理も同じです。

STEP1 平衡を確認してブリッジを合成する

平衡が確認できたら中央の12 Ωを取り除き、上の枝と下の枝をそれぞれ直列でまとめ、その2本を並列合成します。

$$4\times10=5\times8=40\;\Rightarrow\;\text{平衡}$$
❶ 平衡条件
中央12 Ωの電流は0 A
$$R_{\text{上}}=4+5=9,\quad R_{\text{下}}=8+10=18\;[\Omega]$$
❷ 各枝を直列合成
中央枝を開放して切り離したので直列
$$R_{\text{bridge}}=\frac{9\times18}{9+18}=\frac{162}{27}=6\;[\Omega]$$
❸ 2枝を並列合成
ブリッジ部分は6 Ω
4掛ける10イコール5掛ける8で平衡を証明し、上枝9Ωと下枝18Ωの並列合成が6Ωになる過程を示すGPT Image 2のポイント解説図
平衡を証明してから中央12 Ωを開放として扱い、9 Ω∥18 Ω=6 Ωへ簡単化します。短絡として扱ったり12 Ωを加算したりしません。

STEP2 3 Ωの端子電圧から全電流を求める

3 Ωはブリッジ全体と直列なので、ここを流れる電流が回路の全電流です。

$$I=\frac{1.8}{3}=0.6\;[\mathrm{A}]$$
❹ オームの法則
既知の電圧÷既知の抵抗

STEP3 電源電圧を求める

$$V_{\text{bridge}}=0.6\times6=3.6\;[\mathrm{V}]$$
❺ ブリッジ部の電圧
全電流×6 Ω
$$E=3.6+1.8=5.4\;[\mathrm{V}]$$
❻ 電圧則
直列した2つの電圧を足す

別ルートでの確認:全抵抗は \(6+3=9\;\Omega\) なので \(E=0.6\times9=5.4\;\mathrm{V}\)。枝電流での確認:ブリッジ部の3.6 Vが上下の枝に加わるので \(3.6/9=0.4\;\mathrm{A}\)、\(3.6/18=0.2\;\mathrm{A}\)、合計0.6 Aで全電流と一致します。

答え\(E=5.4\;[\mathrm{V}]\) → 選択肢(3) (検算:0.4+0.2=0.6 A ✓)
3Ωの端子電圧1.8Vから全電流0.6A、ブリッジ電圧3.6V、電源電圧5.4Vと正答3を求め、枝電流でも検算するGPT Image 2の問題解説図
全電流は1.8/3=0.6 A、ブリッジ電圧は0.6×6=3.6 V。したがってE=3.6+1.8=5.4 Vで正答は(3)です。

選択肢を回路に戻して検算する

全抵抗が9 Ωと分かっているので、各選択肢のEから3 Ωの端子電圧を計算し、1.8 Vになるかを確かめます。

選択肢E [V]全電流 E/9 [A]3 Ωの電圧 [V]判定
(1)1.80.2000.60×
(2)3.60.4001.20×
(3)5.40.6001.80
(4)7.20.8002.40×
(5)10.41.1563.47×

選択肢の作られ方も見えてきます。(1) 1.8 Vは「1.8 Vをそのまま電源電圧と答えた」もの、(2) 3.6 Vはブリッジ部の電圧だけを答えたものです。1.8 Vが3 Ωだけの電圧だと読めていれば、この2つは即座に消せます。

なぜ平衡すると中央に電流が流れないのか

上の枝では電源電圧が4 Ωと5 Ωで分圧され、中点Aの電位は全体の \(5/(4+5)=5/9\) の位置になります。下の枝では8 Ωと10 Ωで分圧され、中点Bは \(10/(8+10)=10/18=5/9\)。分圧比が同じだから、AとBは同じ電位になるわけです。

電位差が0なら、間に何をつないでも電流は流れません——12 Ωでも、100 Ωでも、導線でも同じです。この性質を利用して未知抵抗を精密に測るのがホイートストンブリッジで、電気及び電子計測の分野でも繰り返し出題されます。「平衡=分圧比が等しい」と理解しておくと、公式を忘れても導けます。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① ブリッジを見たらまず交差積(たすき掛け)を計算。等しければ平衡で、中央枝は消せる
② 平衡した中央枝は開放(切り離す)。短絡と間違えない
③ ブリッジと直列に入っている素子をブリッジの中に入れない
④ 与えられた電圧がどの素子のものかを図で指差し確認する

ブリッジ回路の出題履歴

同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。

年度記事問われ方
令和4年度下期 A問題5本問(直流回路21)平衡ブリッジを見抜いて電源電圧E
平成27年度 A問題6直流回路43スイッチ開閉で電流が不変=平衡から抵抗R₄
平成19年度 A問題6直流回路65スイッチ開閉で電流が不変=平衡ブリッジ
令和4年度上期 A問題7直流回路266抵抗のブリッジから未知抵抗Rx
令和2年度 A問題7直流回路31非平衡ブリッジをテブナンの定理で解く

💡 覚え方
たすき掛けが等しければ平衡→中央枝は開放して除去→上下を直列合成→2枝を並列合成。平衡の本質は分圧比が等しいこと。

⚠️ よくある間違い
平衡した中央枝を短絡と勘違いしない(電流0なので開放)。1.8 Vは電源電圧ではなく3 Ωだけの端子電圧。3 Ωをブリッジの並列枝に含めないこと。

まとめ

平衡条件4/8=5/10=1/2、中央12 Ωは0 A
ブリッジ合成(4+5)∥(8+10)=9∥18=6 Ω
全電流1.8/3=0.6 A
ブリッジ電圧0.6×6=3.6 V
枝電流の検算3.6/9+3.6/18=0.4+0.2=0.6 A
答えE=3.6+1.8=5.4 V …(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・ブリッジ回路の関連問題:【理論】令和2年度A問題7

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