今回は平成20年度 理論科目 B問題17を解説します。導体球A(+2×10-8C)とB(+3×10-8C)が0.3m離れて6×10-5Nの反発力で働くとき、(a)クーロンの比例定数、(b)帯電していない導体球Cを順に接触させた後にCが受ける力が釣り合う位置を求める問題です。
(a)は、両球の大きさが中心間距離に比べて極めて小さいという条件から各球を点電荷として扱い、F=kqAqB/r2をkについて解きます。(b)は接触順に注意して電荷を追跡し、最終的な電荷A=1×10-8C、B=C=2×10-8Cを用いて、A・BからCへの反発力が釣り合う位置を求めます。
平成20年度 理論科目 B問題17:問題文と選択肢
まずは、平成20年度に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成20年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 B問題17
電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成20年度 B問題17
大きさが等しい二つの導体球A、Bがある。両導体球に電荷が蓄えられている場合、両球の間に働く力は電荷の積に比例し、中心間距離の2乗に反比例する。Aに+2×10-8〔C〕、Bに+3×10-8〔C〕の電荷を与え、中心間距離0.3〔m〕を隔てて置いたところ、6×10-5〔N〕の反発力が働いた。ただし、A、Bの初期電荷は零で、両球の大きさは0.3〔m〕に比べて極めて小さいものとする。
(a)クーロンの法則における比例定数〔N·m2/C2〕の値として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)3×109 (2)6×109 (3)8×109 (4)9×109 (5)15×109
(b)A、Bを電荷を保持したまま中心間距離0.3〔m〕で固定する。A、Bと大きさが等しく電荷を持たない導体球Cを、まずAに接触させ、次にBに接触させる。このCをAとBの間の直線上に置いたとき、Cが受ける力が釣り合う位置をAとの中心間距離〔m〕で表した値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)0.095 (2)0.105 (3)0.115 (4)0.124 (5)0.135

出題のポイント:クーロンの法則を「逆算」で使い、接触で電荷を分配する
(a)は公式を変形して比例定数を求めるだけ、(b)は接触した導体球は電荷を等分するという一点に尽きます。どちらも計算量は少なく、B問題の中では取りやすい部類です。

(a) の解説:測定値を代入して比例定数を逆算する
力・距離・電荷が分かっているので、割り算1回で出ます
\(r^2=0.09\)、分母 \(=6\times10^{-16}\)
おなじみの \(9\times10^9\) が出ます
指数計算だけ落ち着いてやれば確実です。分子は \(6\times0.09=0.54\)、\(10^{-5}\) を掛けて \(5.4\times10^{-6}\)。分母は \(2\times3=6\)、\(10^{-8}\times10^{-8}=10^{-16}\) で \(6\times10^{-16}\) です。
💡 覚え方
真空中のクーロン定数は \(9\times10^9\)。「実測値から比例定数を求めよ」と言われても、答えは必ず \(9\times10^9\) 付近になります。計算結果がこれから大きく外れたら、指数の桁を間違えています。

(b) の解説:接触のたびに電荷を等分する
大きさの等しい導体球どうしを接触させると、電荷は必ず半分ずつに分かれます。この問題は接触が2回あるので、順を追って表にすると間違えません。
| 段階 | \(q_A\)〔C〕 | \(q_B\)〔C〕 | \(q_C\)〔C〕 | 何が起きたか |
| 最初 | \(2\times10^{-8}\) | \(3\times10^{-8}\) | 0 | Cは帯電していない |
| CをAに接触 | \(1\times10^{-8}\) | \(3\times10^{-8}\) | \(1\times10^{-8}\) | \(2\times10^{-8}\) を A と C で等分 |
| CをBに接触 | \(1\times10^{-8}\) | \(2\times10^{-8}\) | \(2\times10^{-8}\) | \((3+1)\times10^{-8}\) を B と C で等分 |
2回目の接触ではCがすでに \(1\times10^{-8}\) を持っていることに注意してください。Bの \(3\times10^{-8}\) と足して \(4\times10^{-8}\)、これを半分にしてそれぞれ \(2\times10^{-8}\) です。
⚠️ よくある間違い
Cの電荷を0のままBに接触させてしまうミスが多発します。そうすると \(q_B=q_C=1.5\times10^{-8}\) となり、比 \(q_B/q_A\) が変わって答えがずれます。接触は「持ち込んだ電荷ごと合算して山分け」です。
釣り合いの式を立てる
Cを A から距離 \(x\) の位置に置きます。A から受ける斥力(右向き)と B から受ける斥力(左向き)が等しくなる条件です。
\(k\) も \(q_C\) も両辺で消えるのがポイント
2乗の式は必ず√で開く
比だけで決まるので \(10^{-8}\) は不要
検算:\(x=0.124\) のとき A からの力は \(1/0.124^2=65.0\)(相対値)、B からの力は \(2/0.176^2=64.6\)。ほぼ一致します ✓

誤答の正体:Cの電荷の追跡ミスと、√の取り忘れ
| 誤り方 | 電荷の比 \(q_B/q_A\) | 得られる \(x\) | 選択肢との対応 |
| 2回目の接触でCの持ち分を忘れる | \(1.5\) | 0.135 | (5) に一致 |
| 接触前の電荷で計算(\(2:3\)) | \(1.5\) | 0.135 | (5) に一致 |
| √を取らずに \((0.3-x)/x=2\) とする | \(2\) | 0.100 | (2) 0.105 に近い |
| \(0.3-x\) のほうを答える | \(2\) | 0.176 | 選択肢になし |
| 正しい計算 | \(2\) | 0.124 | (4) に一致 |
選択肢(5) 0.135 は「Cの電荷の追跡を1回分さぼった」答え、(2) 0.105 は「√を取り忘れた」答えにほぼ一致します。この2つが本問の主要な罠です。
★重要:この問題は3回出題され、答えは同じなのに選択肢番号が変わる
同じ設定の問題が平成20年度・令和4年度下期・令和7年度上期の3回、B問題17として出題されています。平成20年度と令和4年度下期は数値も選択肢も完全に同一、令和7年度上期は電荷が2倍になっただけです。
| 平成20年度 B17 | 令和4年度下期 B17 | 令和7年度上期 B17 | |
| 初期電荷 \(q_A,\;q_B\) | \(2\times10^{-8},\;3\times10^{-8}\) | 同左(完全に同一) | \(4\times10^{-8},\;6\times10^{-8}\)(2倍) |
| 測定した力 \(F\) | \(6\times10^{-5}\,\mathrm{N}\) | 同左 | \(2.4\times10^{-4}\,\mathrm{N}\)(4倍) |
| 接触後 \(q_A,\;q_B\) | \(1\times10^{-8},\;2\times10^{-8}\) | 同左 | \(2\times10^{-8},\;4\times10^{-8}\) |
| 電荷の比 \(q_B/q_A\) | 2 | 2 | 2(すべて同じ) |
| (a) の答えの値 | \(9\times10^9\) | \(9\times10^9\) | \(9\times10^9\)(同じ) |
| (a) の選択肢番号 | (4) | (4) | (3) ←違う |
| (b) の答えの値 | \(0.124\,\mathrm{m}\) | \(0.124\,\mathrm{m}\) | \(0.124\,\mathrm{m}\)(同じ) |
| (b) の選択肢番号 | (4) | (4) | (5) ←違う |
電荷を2倍にすると力は \(2\times2=4\) 倍になりますが、\(k=Fr^2/(q_Aq_B)\) は分子分母がともに4倍になるので\(k\) は変わりません。(b)も電荷の「比」だけで決まるので、両方を2倍しても釣り合い位置は同一です。
⚠️ よくある間違い
3回とも答えの数値は (a) \(9\times10^9\)、(b) 0.124 m でまったく同じです。それなのに令和7年度上期だけ番号が (4)(4) から (3)(5) に変わっています。「番号で覚える」勉強法が破綻する、これ以上ないほど明確な実例です。
あわせて解いておきたい記事:【理論】令和4年度下期B問題17/【理論】令和7年度上期B問題17
⏱️ 本番での進め方
❶ (a)は答えを先に見る:選択肢に \(9\times10^9\) があれば、それが答えである可能性が非常に高い。計算はその確認として使う。
❷ (b)は必ず表を書く:接触のたびに3つの電荷を書き出す。頭の中だけでやると2回目でCの持ち分を落とす。
❸ 比だけ求める:\(q_B/q_A=2\) と分かった時点で \(x=0.3/(1+\sqrt2)\)。\(10^{-8}\) を書き続ける必要はない。
❹ \(1+\sqrt2=2.414\) は覚えておくと速い。\(0.3\div2.414\approx0.124\)。
この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。
まとめ
| (a)比例定数 | k=9×109N·m2/C2 → (4) |
| CとAの接触後 | A=C=1×10-8C |
| 続いてCとBの接触後 | A=1×10-8C、B=C=2×10-8C |
| 釣り合い条件 | (0.3−d)/d=√2 |
| (b)Aからの距離 | d=0.3/(1+√2)≒0.124m → (4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・導体球間の力の関連問題:【理論】令和7年度上期B問題17

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