静電界57【電験3種 理論】並列接続した誘電体コンデンサの電界・電束密度・電荷を求める!平成21年 A問題1 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(静電界) 平成21年度 A問題1 並列の誘電体コンデンサ!電界と電束密度を求めよ

今回は平成21年度 理論科目 A問題1を解説します。比誘電率の異なる2つの平行板コンデンサC1(εr1)・C2(εr2)を並列接続し電圧V0を加えたときの、(ア)電界E、(イ)電束密度D、(ウ)電荷Qを求める空欄補充問題です。

並列なので両方に同じ電圧V0がかかり、極板間隔もともにdであるため、電界の強さはE1=E2=V0/dです。電束密度D=ε0εrEと、電極に蓄えられる自由電荷の大きさQ=DSは、それぞれの比誘電率に比例します。

目次

平成21年度 理論科目 A問題1:問題文と選択肢

空欄が3つある組合せ問題ですが、単位を見るだけで5択が2択になります。残る決め手は「電界が比誘電率に依存するか」です。まずは問題文を確認しましょう。

電験3種 理論科目 静電界 平成21年度 A問題1 問題文
平成21年度 理論科目 A問題1 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成21年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題1

電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成21年度 A問題1

 電極板面積と電極板間隔が共にS〔m2〕とd〔m〕で、一方は比誘電率がεr1の誘電体からなる平行平板コンデンサC1、他方は比誘電率がεr2の誘電体からなる平行平板コンデンサC2がある。いま、これらを図のように並列に接続し、端子A、B間に直流電圧V0〔V〕を加えた。このとき、コンデンサC1の電極板間の電界の強さをE1〔V/m〕、電束密度をD1〔C/m2〕、また、コンデンサC2の電極板間の電界の強さをE2〔V/m〕、電束密度をD2〔C/m2〕とする。両コンデンサに蓄えられる電荷をそれぞれQ1〔C〕、Q2〔C〕とする。ただし、電極板の厚さ及びコンデンサの端効果は無視できるものとし、真空の誘電率をε0〔F/m〕とする。

空白箇所(ア)E1・E2、(イ)D1・D2、(ウ)Q1・Q2に当てはまる式の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)E1・E2(イ)D1・D2(ウ)Q1・Q2
(1)εr1V0/d
εr2V0/d
εr1SV0/d
εr2SV0/d
ε0εr1SV0/d
ε0εr2SV0/d
(2)εr1V0/d
εr2V0/d
ε0εr1V0/d
ε0εr2V0/d
ε0εr1SV0/d
ε0εr2SV0/d
(3)V0/d
V0/d
ε0εr1SV0/d
ε0εr2SV0/d
ε0εr1V0/d
ε0εr2V0/d
(4)V0/d
V0/d
ε0εr1V0/d
ε0εr2V0/d
ε0εr1SV0/d
ε0εr2SV0/d
(5)ε0εr1SV0/d
ε0εr2SV0/d
ε0εr1V0/d
ε0εr2V0/d
ε0SV0/d
ε0SV0/d
図 誘電体の異なる2つの平行板コンデンサC1・C2の並列接続(問題図)
図 誘電体の異なる2つの平行板コンデンサC1・C2の並列接続(問題図)

出題のポイント:単位を見るだけで5択が2択になる

空欄が3つある組合せ問題ですが、単位を確認するだけで3つの選択肢が消えます

空欄求めるもの正しい単位覚え方
(ア)電界 EV/m電圧を距離で割ったもの
(イ)電束密度 DC/m²電荷を面積で割ったもの
(ウ)電荷 QCそのまま

この基準で5つの選択肢を調べた結果です(\(\varepsilon_r\) は無次元なので単位に影響しません)。

選択肢(ア)の単位(イ)の単位(ウ)の単位判定
(1)V/m ○\(\varepsilon_rSV_0/d\) → V·m ×(\(\varepsilon_0\) がない)C ○×
(2)V/m ○C/m² ○C ○単位はOK
(3)V/m ○C ×(Sが余計)C/m² ×(Sが足りない)×
(4)V/m ○C/m² ○C ○単位はOK
(5)C ×(電界の欄が電荷)C/m² ○C ○×

単位だけで(1)(3)(5)が脱落し、残るのは(2)と(4)の2択。この2つは(ア)だけが違います——(2)は \(\varepsilon_r\) を含み、(4)は含みません。

誘電体の異なる二つの平行板コンデンサを同じ電圧源へ並列接続した図
並列接続では電圧V₀が共通で、極板間隔も同じためE₁=E₂=V₀/dです。

並列なら電界は誘電体によらず同じ

(2)と(4)の決着をつけます。並列接続では両方に同じ電圧がかかる——これが決め手です。

$$\text{並列}\;\Rightarrow\;V_1=V_2=V_0$$
❶ 電圧が共通
並列接続の定義
$$E_1=\frac{V_0}{d},\qquad E_2=\frac{V_0}{d}\;\Rightarrow\;E_1=E_2$$
❷ 間隔dも共通
比誘電率はどこにも現れない

電界は「電圧を距離で割ったもの」にすぎません。電圧が同じで距離が同じなら、間に何が詰まっていても電界は同じです。もし(2)が正しいなら、\(E\times d=\varepsilon_rV_0\ne V_0\) となって矛盾します。

誘電率が効いてくるのは電束密度と電荷です。

\(\varepsilon_r\) への依存面積Sを含むか
電界 E\(V_0/d\)依存しない含まない
電束密度 D\(\varepsilon_0\varepsilon_rV_0/d\)比例含まない
電荷 Q\(\varepsilon_0\varepsilon_rSV_0/d\)比例含む

DとQの違いは「面積Sを含むかどうか」だけです。\(Q=DS\) の関係——Dは単位面積あたりの電束、Qは全体の電荷。この一段階を飛ばすと選択肢(3)のように入れ替わります。

問題の解説:E → D → Q の順に掛けていく

並列接続の平行平板コンデンサ
$$E=\frac{V_0}{d},\qquad D=\varepsilon_0\varepsilon_rE,\qquad Q=DS$$

\(E\to D\to Q\) の順に \(\varepsilon_0\varepsilon_r\) と \(S\) を1つずつ掛けると整理できます。

STEP1 (ア)電界

$$E_1=E_2=\frac{V_0}{d}$$
❸ 電圧・間隔とも共通
比 \(E_1:E_2=1:1\)

STEP2 (イ)電束密度

$$D_1=\frac{\varepsilon_0\varepsilon_{r1}V_0}{d},\qquad D_2=\frac{\varepsilon_0\varepsilon_{r2}V_0}{d}$$
❹ \(D=\varepsilon E\)
比 \(D_1:D_2=\varepsilon_{r1}:\varepsilon_{r2}\)

STEP3 (ウ)電荷

$$Q_1=\frac{\varepsilon_0\varepsilon_{r1}SV_0}{d},\qquad Q_2=\frac{\varepsilon_0\varepsilon_{r2}SV_0}{d}$$
❺ \(Q=DS\)
ここで初めて面積Sが入る

\(C_i=\varepsilon_0\varepsilon_{ri}S/d\) と \(Q_i=C_iV_0\) からも同じ式になります——2つの道すじが一致することで、計算の正しさが裏づけられます ✓

二つのコンデンサについて電界から電束密度と電荷を順に求める関係図
Eは共通ですが、DとQはそれぞれの比誘電率に比例します。
答え(ア)\(E_1=E_2=V_0/d\)、(イ)\(D=\varepsilon_0\varepsilon_rV_0/d\)、(ウ)\(Q=\varepsilon_0\varepsilon_rSV_0/d\) → 選択肢(4)
C1とC2の電界・電束密度・電荷の式を比較した解答表
E₁=E₂、DとQはεrに比例するため、正しい組合せは(4)です。

並列と直列で「共通になる量」が入れ替わる

本問は並列でした。直列だったらどうなるかを比べると、理解が定着します。

並列(本問)直列
共通になる量電圧 V → 電界 E電荷 Q → 電束密度 D
電界 E両方とも \(V_0/d\)\(E=D/\varepsilon\) なので誘電体ごとに違う
電束密度 D\(\varepsilon_r\) に比例して違う両方とも同じ
εが大きい側は電荷を多く蓄える電界が弱くなる

きれいな対称構造です。並列は電圧が共通なのでEが揃い、直列は電荷が共通なのでDが揃う——どちらが共通かを最初に決めれば、あとは芋づる式に決まります。

直列では誘電率の小さい層に強い電界がかかります。これは絶縁設計で重要な事実で、空気層(\(\varepsilon_r\approx1\))が混じると、そこに電界が集中して絶縁破壊の起点になります。

この問題は過去問と完全に同じ内容で再出題されています

本問は令和5年度上期 理論科目 A問題1同一の問題です。問題文・5つの選択肢の並び・正答(4)まで、すべて同一です。

電験3種では数年おきに同じ問題がそのまま再出題されます。特に「並列接続でのE・D・Qの区別」という定番テーマは繰り返し問われるため、過去問演習の効果が非常に高い分野です。

ただし選択肢の番号で覚えるのは危険です。再出題の際に並び順が変わることもあります。解き方の手順ごと身につけてください。

あわせて解いておきたい記事:令和5年度上期 理論科目 A問題1

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① 空欄補充の組合せ問題は、まず単位で選択肢をふるいにかける
E[V/m]、D[C/m²]、Q[C]——Dだけが「面積で割った」量
\(E\to D\to Q\) の順に \(\varepsilon_0\varepsilon_r\) と \(S\) を1つずつ掛ける
並列=電圧共通=電界が等しい(比誘電率に無関係)
直列=電荷共通=電束密度が等しい——並列と対で覚える

💡 覚え方
「並列はEが揃い、直列はDが揃う」。並列は電圧が共通だから \(E=V/d\) が同じ。直列は電荷が共通だから \(D=Q/S\) が同じ。揃うほうを最初に決めるのが解法の第一歩です。

⚠️ よくある間違い
電界の式に比誘電率を入れてしまうのが最頻出のミスです(選択肢(1)(2))。並列で間隔が同じなら \(E=V_0/d\) で共通です。次に多いのがDとQで面積Sの有無を取り違える誤り(選択肢(3))。Dは単位面積あたり、Qは全体と覚えてください。

まとめ

(ア)電界E1=E2=V0/d
(イ)電束密度D1=ε0εr1V0/d、D2=ε0εr2V0/d
(ウ)自由電荷Q1=ε0εr1SV0/d、Q2=ε0εr2SV0/d
比と答えE1:E2=1:1、D1😀2=Q1:Q2=εr1r2、答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・並列コンデンサの電界の関連問題:【理論】令和5年度上期A問題1

📚 次に解くべき関連問題
【理論】平成21年度B問題17(静電界60)
【理論】平成24年度B問題15(静電界51)
【理論】平成22年度A問題2(静電界55)
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