静電界54【電験3種 理論】正負2点電荷(+4Q・−Q)で電位0になる点の位置を求める!平成22年 A問題1 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(静電界) 平成22年度 A問題1 +4Qと−Qの間で電位が0!その位置はどこ?

今回は平成22年度 理論科目 A問題1を解説します。点Aに+4Q、点Bに−Qの点電荷があるとき、2点を通る直線上で電位が0Vになる点Pが、a領域(Aより左)・ab領域(A-B間)・b領域(Bより右)のどこに、どの位置にあるかを求める問題です。

電位はスカラー量なので、+4Qによる正の電位と−Qによる負の電位を符号付きで加えます。電位0の条件からrA=4rBとなり、各領域で絶対値を外して方程式を解くと、ab領域にx=4l/5、b領域にx=4l/3、すなわちBより右l/3の2点が求まります。a領域には有限の零電位点はありません。なお、V=0はE=0を意味しません。

目次

平成22年度 理論科目 A問題1:問題文と選択肢

絶対値を含む方程式を領域ごとに解きます。本当の急所は「解が仮定した領域内にあるか」の確認——ここを飛ばすと誤った答えを拾います。まずは問題文を確認しましょう。

電験3種 理論科目 静電界 平成22年度 A問題1 問題文
平成22年度 理論科目 A問題1 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題1

電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成22年度 A問題1

 真空中において、図のように点Aに正電荷+4Q〔C〕、点Bに負電荷−Q〔C〕の点電荷が配置されている。この2点を通る直線上で電位が0〔V〕になる点を点Pとする。点Pの位置を示すものとして、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。なお、無限遠の点は除く。ただし、点Aと点B間の距離をl〔m〕とする。また、点Aより左側の領域をa領域、点Aと点Bの間の領域をab領域、点Bより右側の領域をb領域とし、真空の誘電率をε0〔F/m〕とする。

点Pの位置を示すものとして、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか(点A-B間の距離をl〔m〕とする)。

a領域ab領域b領域
(1)点Aより左 l/3 の点この領域には存在しない点Bより右 l の点
(2)この領域には存在しない点Aより右 4l/5 の点点Bより右 l/3 の点
(3)この領域には存在しないこの領域には存在しない点Bより右 l の点
(4)点Aより左 l/3 の点点Aより右 4l/5 の点点Bより右 l/3 の点
(5)この領域には存在しない点Aより右 4l/5 の点点Bより右 l の点
図 直線上の点電荷 +4Q(点A)と −Q(点B)と各領域(問題図)
図 直線上の点電荷 +4Q(点A)と −Q(点B)と各領域(問題図)

出題のポイント:解いたあと「領域内にあるか」を必ず確認する

直線上で電位が0になる点を探す問題です。絶対値を含む方程式になるので、領域ごとに場合分けして解きます。

そして本問の本当の急所は、解いた後の確認作業にあります。得られた解が、仮定した領域の中にあるか——これを見ないと誤った答えを拾います。

$$V=\frac{1}{4\pi\varepsilon_0}\left(\frac{4Q}{r_A}-\frac{Q}{r_B}\right)=0$$
❶ 電位はスカラーなので符号付きで足す
負電荷の項はマイナス
$$\frac{4}{r_A}=\frac{1}{r_B}\;\Rightarrow\;r_A=4r_B$$
❷ 係数とQが消える
距離の比だけが残る

\(r_A=4r_B\)——「\(+4Q\) から4倍遠く、\(-Q\) から1倍の距離」という条件です。電荷が4倍なら、それを打ち消すには4倍離れる必要があります。

正電荷プラス4Qと負電荷マイナスQの間および右側にある二つの零電位点
零電位点はAから右へ4l/5と、Bから右へl/3の2点です。

問題の解説:3つの領域で絶対値を外す

点Aを \(x=0\)、点Bを \(x=l\) として、\(|x|=4|x-l|\) を解きます。

領域ごとの絶対値の外し方
$$|x|=\begin{cases}x&(x\ge0)\\-x&(x<0)\end{cases},\qquad |x-l|=\begin{cases}x-l&(x\ge l)\\l-x&(x<l)\end{cases}$$

領域を仮定して符号を決め、解が本当にその領域にあるかを最後に確認します。

領域仮定方程式領域内か判定
a領域\(x<0\)\(-x=4(l-x)\)\(x=4l/3\)\(4l/3>0\) で条件を満たさない解なし
ab領域\(0<x<l\)\(x=4(l-x)\)\(x=4l/5\)\(0<4l/5<l\) ◎有効
b領域\(x>l\)\(x=4(x-l)\)\(x=4l/3\)\(4l/3>l\) ◎有効

a領域とb領域で同じ \(x=4l/3\) が出るのが面白いところです。a領域では仮定(\(x<0\))に反するので棄却、b領域では仮定(\(x>l\))を満たすので採用——同じ数値でも領域によって扱いが変わります

a領域の \(x=4l/3\) は計算ミスではありません。「\(x<0\) と仮定したのに正の解が出た=その仮定では解が存在しない」という正しい結論です。この理由を説明できることが大事です。

b領域の位置をBからの距離に直す

$$x-l=\frac{4l}{3}-l=\frac{l}{3}$$
❸ Bからの距離
Bより右 \(l/3\)
三つの領域で絶対値方程式を解き零電位点の有効性を判定する表
方程式の解が仮定した領域条件を満たすかまで確認します。
答えa領域:存在しない/ab領域:Aより右 \(4l/5\)/b領域:Bより右 \(l/3\) → 選択肢(2)

検算:\(x=0.8l\) では \(4/0.8-1/0.2=5-5=0\) ✓ \(x=4l/3\) では \(4/(4/3)-1/(1/3)=3-3=0\) ✓——どちらも正確に0になります。

二つの零電位点で正電荷と負電荷の電位が打ち消し合う計算図
ab領域ではx=4l/5、b領域ではx=4l/3となり、選択肢(2)です。

なぜa領域には零電位点がないのか

計算せずに見抜く方法もあります。a領域(Aより左)では、常にAのほうが近いからです。

$$x<0\;\Rightarrow\;r_A=|x|<|x-l|=r_B$$
❹ Aのほうが必ず近い
\(r_A<r_B\)
$$\text{必要な条件は}\;r_A=4r_B>r_B$$
❺ しかし条件は逆
矛盾

「大きい電荷 \(+4Q\) から遠ざかる必要があるのに、a領域ではむしろ近い」——だから解が存在しません。b領域では逆に \(-Q\) のほうが近いので、\(+4Q\) から十分離れた位置に零電位点ができます。

この見通しは他の配置でも使えます零電位点は「絶対値の小さい電荷の側」に寄る——ab領域の \(4l/5\) も b領域の \(l/3\) も、どちらもB側(\(-Q\) 側)に近い位置です。

V=0 と E=0 は別物

電位が0の点で電界も0とは限りません。混同しやすいので確認しておきます。

電位 V電界 E
性質スカラー(符号付きで足すだけ)ベクトル(向きを考えて合成)
点電荷からの寄与\(kQ/r\)(\(1/r\))\(kQ/r^2\)(\(1/r^2\))
本問での零点2か所(\(4l/5\) と \(4l/3\))別の位置にある

電界が0になる点は、\(4Q/r_A^2=Q/r_B^2\) すなわち \(r_A=2r_B\) から求まります——電位の \(r_A=4r_B\) とは違う条件です。

2乗か1乗かの違いが、比を4から2へ変えています。「電位は1乗、電界は2乗」という基本を、この対比で確認できます。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① 電位はスカラー——符号付きで足すだけ。ベクトル合成は不要
② \(V=0\) の条件は距離の比 \(r_A:r_B=|q_A|:|q_B|\)
領域を仮定して絶対値を外し、解が領域内にあるか必ず確認
零電位点は絶対値の小さい電荷の側に寄る
V=0 と E=0 は別の点(電位は1乗、電界は2乗の条件)

💡 覚え方
「電位ゼロは距離の比、電荷の比と同じ」。\(+4Q\) と \(-Q\) なら \(r_A:r_B=4:1\)。大きい電荷から4倍離れる——だから小さい電荷の近くに解が集まります。

⚠️ よくある間違い
領域の確認を飛ばすのが最頻出のミスです。a領域の式から \(x=4l/3\) が出ても、\(x<0\) という仮定に反するので不適。またV=0とE=0を混同しないでください。電界が0になる点は \(r_A=2r_B\) の位置で、別の場所です。

まとめ

条件rA=4rB
ab領域x=4l/5(Aより右)
b領域x=4l/3(Bより右l/3)
a領域/答解なし、答(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・点電荷の電位の関連問題:【理論】平成28年度A問題1

📚 次に解くべき関連問題
【理論】平成22年度B問題17(静電界56)
【理論】平成21年度A問題2(静電界58)
【理論】平成23年度A問題1(静電界52)
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