今回は平成22年度 理論科目 A問題1を解説します。点Aに+4Q、点Bに−Qの点電荷があるとき、2点を通る直線上で電位が0Vになる点Pが、a領域(Aより左)・ab領域(A-B間)・b領域(Bより右)のどこに、どの位置にあるかを求める問題です。
電位はスカラー量なので、+4Qによる正の電位と−Qによる負の電位を符号付きで加えます。電位0の条件からrA=4rBとなり、各領域で絶対値を外して方程式を解くと、ab領域にx=4l/5、b領域にx=4l/3、すなわちBより右l/3の2点が求まります。a領域には有限の零電位点はありません。なお、V=0はE=0を意味しません。
平成22年度 理論科目 A問題1:問題文と選択肢
絶対値を含む方程式を領域ごとに解きます。本当の急所は「解が仮定した領域内にあるか」の確認——ここを飛ばすと誤った答えを拾います。まずは問題文を確認しましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題1
電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 平成22年度 A問題1
真空中において、図のように点Aに正電荷+4Q〔C〕、点Bに負電荷−Q〔C〕の点電荷が配置されている。この2点を通る直線上で電位が0〔V〕になる点を点Pとする。点Pの位置を示すものとして、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。なお、無限遠の点は除く。ただし、点Aと点B間の距離をl〔m〕とする。また、点Aより左側の領域をa領域、点Aと点Bの間の領域をab領域、点Bより右側の領域をb領域とし、真空の誘電率をε0〔F/m〕とする。
点Pの位置を示すものとして、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか(点A-B間の距離をl〔m〕とする)。
a領域 ab領域 b領域 (1) 点Aより左 l/3 の点 この領域には存在しない 点Bより右 l の点 (2) この領域には存在しない 点Aより右 4l/5 の点 点Bより右 l/3 の点 (3) この領域には存在しない この領域には存在しない 点Bより右 l の点 (4) 点Aより左 l/3 の点 点Aより右 4l/5 の点 点Bより右 l/3 の点 (5) この領域には存在しない 点Aより右 4l/5 の点 点Bより右 l の点

出題のポイント:解いたあと「領域内にあるか」を必ず確認する
直線上で電位が0になる点を探す問題です。絶対値を含む方程式になるので、領域ごとに場合分けして解きます。
そして本問の本当の急所は、解いた後の確認作業にあります。得られた解が、仮定した領域の中にあるか——これを見ないと誤った答えを拾います。
負電荷の項はマイナス
距離の比だけが残る
\(r_A=4r_B\)——「\(+4Q\) から4倍遠く、\(-Q\) から1倍の距離」という条件です。電荷が4倍なら、それを打ち消すには4倍離れる必要があります。

問題の解説:3つの領域で絶対値を外す
点Aを \(x=0\)、点Bを \(x=l\) として、\(|x|=4|x-l|\) を解きます。
| 領域 | 仮定 | 方程式 | 解 | 領域内か | 判定 |
| a領域 | \(x<0\) | \(-x=4(l-x)\) | \(x=4l/3\) | \(4l/3>0\) で条件を満たさない | 解なし |
| ab領域 | \(0<x<l\) | \(x=4(l-x)\) | \(x=4l/5\) | \(0<4l/5<l\) ◎ | 有効 |
| b領域 | \(x>l\) | \(x=4(x-l)\) | \(x=4l/3\) | \(4l/3>l\) ◎ | 有効 |
a領域とb領域で同じ \(x=4l/3\) が出るのが面白いところです。a領域では仮定(\(x<0\))に反するので棄却、b領域では仮定(\(x>l\))を満たすので採用——同じ数値でも領域によって扱いが変わります。
a領域の \(x=4l/3\) は計算ミスではありません。「\(x<0\) と仮定したのに正の解が出た=その仮定では解が存在しない」という正しい結論です。この理由を説明できることが大事です。
b領域の位置をBからの距離に直す
Bより右 \(l/3\)

検算:\(x=0.8l\) では \(4/0.8-1/0.2=5-5=0\) ✓ \(x=4l/3\) では \(4/(4/3)-1/(1/3)=3-3=0\) ✓——どちらも正確に0になります。

なぜa領域には零電位点がないのか
計算せずに見抜く方法もあります。a領域(Aより左)では、常にAのほうが近いからです。
\(r_A<r_B\)
矛盾
「大きい電荷 \(+4Q\) から遠ざかる必要があるのに、a領域ではむしろ近い」——だから解が存在しません。b領域では逆に \(-Q\) のほうが近いので、\(+4Q\) から十分離れた位置に零電位点ができます。
この見通しは他の配置でも使えます。零電位点は「絶対値の小さい電荷の側」に寄る——ab領域の \(4l/5\) も b領域の \(l/3\) も、どちらもB側(\(-Q\) 側)に近い位置です。
V=0 と E=0 は別物
電位が0の点で電界も0とは限りません。混同しやすいので確認しておきます。
| 電位 V | 電界 E | |
| 性質 | スカラー(符号付きで足すだけ) | ベクトル(向きを考えて合成) |
| 点電荷からの寄与 | \(kQ/r\)(\(1/r\)) | \(kQ/r^2\)(\(1/r^2\)) |
| 本問での零点 | 2か所(\(4l/5\) と \(4l/3\)) | 別の位置にある |
電界が0になる点は、\(4Q/r_A^2=Q/r_B^2\) すなわち \(r_A=2r_B\) から求まります——電位の \(r_A=4r_B\) とは違う条件です。
2乗か1乗かの違いが、比を4から2へ変えています。「電位は1乗、電界は2乗」という基本を、この対比で確認できます。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 電位はスカラー——符号付きで足すだけ。ベクトル合成は不要
② \(V=0\) の条件は距離の比 \(r_A:r_B=|q_A|:|q_B|\)
③ 領域を仮定して絶対値を外し、解が領域内にあるか必ず確認
④ 零電位点は絶対値の小さい電荷の側に寄る
⑤ V=0 と E=0 は別の点(電位は1乗、電界は2乗の条件)
💡 覚え方
「電位ゼロは距離の比、電荷の比と同じ」。\(+4Q\) と \(-Q\) なら \(r_A:r_B=4:1\)。大きい電荷から4倍離れる——だから小さい電荷の近くに解が集まります。
⚠️ よくある間違い
領域の確認を飛ばすのが最頻出のミスです。a領域の式から \(x=4l/3\) が出ても、\(x<0\) という仮定に反するので不適。またV=0とE=0を混同しないでください。電界が0になる点は \(r_A=2r_B\) の位置で、別の場所です。
まとめ
| 条件 | rA=4rB |
| ab領域 | x=4l/5(Aより右) |
| b領域 | x=4l/3(Bより右l/3) |
| a領域/答 | 解なし、答(2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・点電荷の電位の関連問題:【理論】平成28年度A問題1

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