静電界14【電験3種 理論】並列接続した2つの誘電体コンデンサの電界・電束密度・電荷!令和5年上期 A問題1 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(静電界) 令和5年度上期 A問題1 並列の誘電体コンデンサ!電界と電荷はどう分かれる?

今回は令和5年度上期 理論科目 A問題1を解説します。面積S・間隔dが等しく比誘電率がεr1、εr2と異なる2つの平行平板コンデンサC1、C2並列接続し、電圧V0を加えたときの電界E・電束密度D・電荷Qを求める空欄補充問題です。

並列なので両コンデンサの電圧はV0で共通、間隔も等しいので電界E=V0/dは両者で等しくなります。電束密度D=εEと電荷Q=DSは比誘電率に比例します。

目次

令和5年度上期 理論科目 A問題1:問題文と選択肢

空欄が3つある組合せ問題ですが、単位を見るだけで5択が2択になります。残る決め手は「電界が比誘電率に依存するか」です。まずは問題文を確認しましょう。

電験3種 理論科目 静電界 令和5年度上期 A問題1 問題文
令和5年度上期 理論科目 A問題1 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題1

電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 令和5年度上期 A問題1

 電極板面積と電極板間隔が共にS〔m2〕とd〔m〕で、一方は比誘電率がεr1の誘電体からなる平行平板コンデンサC1と、他方は比誘電率がεr2の誘電体からなる平行平板コンデンサC2がある。今、これらを図のように並列に接続し、端子A、B間に直流電圧V0〔V〕を加えた。このとき、コンデンサC1の電極板間の電界の強さをE1、電束密度をD1、また、コンデンサC2の電極板間の電界の強さをE2、電束密度をD2とする。両コンデンサの電界の強さE1とE2はそれぞれ(ア)であり、電束密度D1とD2はそれぞれ(イ)である。したがって、コンデンサC1に蓄えられる電荷をQ1、コンデンサC2に蓄えられる電荷をQ2とすると、それらはそれぞれ(ウ)となる。ただし、真空の誘電率をε0〔F/m〕とする。

(ア)電界(イ)電束密度(ウ)電荷
(1)E1=εr1V0/d、E2=εr2V0/dD=εrSV0/dQ=ε0εrSV0/d
(2)E1=εr1V0/d、E2=εr2V0/dD=ε0εrV0/dQ=ε0εrSV0/d
(3)E1=E2=V0/dD=ε0εrSV0/dQ=ε0εrV0/d
(4)E1=E2=V0/dD=ε0εrV0/dQ=ε0εrSV0/d
(5)E1=ε0εr1SV0/d、E2=ε0εr2SV0/dD=ε0εrV0/dQ=ε0SV0/d
図 比誘電率の異なる2つの平行平板コンデンサの並列接続(問題図)
図 比誘電率の異なる2つの平行平板コンデンサの並列接続(問題図)

出題のポイント:並列なら電界は誘電体によらず同じ

比誘電率の異なる2つのコンデンサを並列につなぎます。この配置では、両方の電界が完全に等しくなります

$$\text{並列}\;\Rightarrow\;V_1=V_2=V_0$$
❶ 電圧が共通
並列接続の定義
$$E_1=\frac{V_0}{d},\qquad E_2=\frac{V_0}{d}\;\Rightarrow\;E_1=E_2$$
❷ 間隔dも共通
比誘電率はどこにも現れない

電圧が同じ・間隔が同じなら、電界は同じ——誘電体が何であろうと関係ありません。誘電率が効いてくるのは電束密度Dと電荷Qのほうです。

\(\varepsilon_r\) への依存面積Sを含むか
電界 E\(V_0/d\)依存しない含まない
電束密度 D\(\varepsilon_0\varepsilon_rV_0/d\)比例含まない
電荷 Q\(\varepsilon_0\varepsilon_rSV_0/d\)比例含む

DとQの違いは「面積Sを含むかどうか」だけです。\(Q=DS\) の関係——Dは単位面積あたりの電束、Qは全体の電荷。この一段階を飛ばすと選択肢を取り違えます。

比誘電率の異なる2つの平行平板コンデンサを並列接続したとき電界が共通になることを示す図
並列接続では電圧が共通で、間隔も同じため、E₁=E₂=V₀/dとなります。

答えを絞り込む最速の方法——単位を見る

空欄が3つある組合せ問題ですが、単位を確認するだけで選択肢の過半数が消えます

正しい単位覚え方
電界 EV/m電圧を距離で割ったもの
電束密度 DC/m²電荷を面積で割ったもの
電荷 QCそのまま

この基準で5つの選択肢を調べた結果です(\(\varepsilon_r\) は無次元なので単位に影響しません)。

選択肢(ア)電界の単位(イ)電束密度の単位(ウ)電荷の単位判定
(1)V/m ○V·m ×(\(\varepsilon_0\) がない)C ○× 単位が合わない
(2)V/m ○C/m² ○C ○単位はOK
(3)V/m ○C ×(Sが余計)C/m² ×(Sが足りない)× 単位が合わない
(4)V/m ○C/m² ○C ○単位はOK
(5)C ×(電界の欄が電荷)C/m² ○C ○× 単位が合わない

単位だけで(1)(3)(5)が脱落し、残るのは(2)と(4)の2択になります。

(3)はDとQを入れ替えたものです。Dの欄に面積Sが入り、Qの欄からSが抜けています。「Dは面積で割る、Qは面積を掛ける」という関係を押さえていれば、この入れ替えに気づけます。

問題の解説:(2)と(4)の決着をつける

並列接続の平行平板コンデンサ
$$E=\frac{V_0}{d},\qquad D=\varepsilon_0\varepsilon_rE=\frac{\varepsilon_0\varepsilon_rV_0}{d},\qquad Q=DS=\frac{\varepsilon_0\varepsilon_rSV_0}{d}$$

E → D → Q の順に、\(\varepsilon_0\varepsilon_r\) と S を1つずつ掛けていくと覚えると整理できます。

STEP1 (ア)電界を求める

(2)と(4)の違いは(ア)だけです。(2)は \(E_1=\varepsilon_{r1}V_0/d\) と比誘電率を含み、(4)は \(E_1=E_2=V_0/d\) と含みません。

$$E=\frac{V_0}{d}$$
❸ 電圧と間隔だけで決まる
比誘電率は入らない

電界は「電圧を距離で割ったもの」——この定義に誘電率の出る幕はありません。もし(2)が正しいとすると、比誘電率2の誘電体では電界が2倍になることになりますが、それでは \(E\times d=V_0\) が成り立たなくなります。

2つのコンデンサの電界が等しいことも重要な結論です。誘電体が違っても、並列で同じ電圧・同じ間隔なら電界は同じ——だから \(E_1=E_2\) と書けます

STEP2 (イ)電束密度を求める

$$D_1=\varepsilon_0\varepsilon_{r1}E_1=\frac{\varepsilon_0\varepsilon_{r1}V_0}{d}$$
❹ \(D=\varepsilon E\)
面積Sは含まない

電界は同じでも電束密度は異なります。\(\varepsilon_{r1}\ne\varepsilon_{r2}\) なので \(D_1\ne D_2\) です。

STEP3 (ウ)電荷を求める

$$Q_1=D_1S=\frac{\varepsilon_0\varepsilon_{r1}SV_0}{d}$$
❺ \(Q=DS\)
ここで初めて面積Sが入る
電界Eから電束密度Dと電荷Qを順に求める公式の関係図
Dには面積Sを含めず、Q=DSで初めて面積Sを掛ける点が重要です。
答え(ア)\(E_1=E_2=V_0/d\)、(イ)\(D=\varepsilon_0\varepsilon_rV_0/d\)、(ウ)\(Q=\varepsilon_0\varepsilon_rSV_0/d\) → 選択肢(4)
2つの誘電体コンデンサの電界、電束密度、電荷を3段階で導いて正答4を示す解説図
E、D、Qを順に求めると、正しい組合せは(4)です。

並列と直列で何が変わるか

本問は並列でしたが、直列だったらどうなるでしょうか。比較すると理解が定着します。

並列(本問)直列
共通になる量電圧 V電荷 Q(と電束密度 D)
電界 E両方とも \(V_0/d\) で等しい\(E=D/\varepsilon\) なので誘電体ごとに違う
電束密度 D誘電体ごとに違う(\(\varepsilon_r\) に比例)両方とも同じ
εが大きい側は電荷を多く蓄える電界が弱くなる

並列と直列で「共通になる量」が入れ替わります。並列は電圧が共通なのでEが揃い、直列は電荷が共通なのでDが揃う——きれいな対称構造です。

直列の場合、誘電率の小さい層に強い電界がかかります。これは絶縁設計で重要な事実で、空気の層(\(\varepsilon_r\approx1\))が混じると、そこに電界が集中して絶縁破壊の起点になります。ケーブルや変圧器で気泡(ボイド)が嫌われるのはこのためです。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① 空欄補充の組合せ問題は、まず単位で選択肢をふるいにかける
E[V/m]、D[C/m²]、Q[C]——Dだけが「面積で割った」量
\(E\to D\to Q\) の順に \(\varepsilon_0\varepsilon_r\) と S を1つずつ掛ける
並列=電圧共通=電界が等しい(比誘電率に無関係)
直列=電荷共通=電束密度が等しい——並列と対で覚える

💡 覚え方
「並列はEが揃い、直列はDが揃う」。並列は電圧が共通だから \(E=V/d\) が同じ。直列は電荷が共通だから \(D=Q/S\) が同じ。揃うほうを最初に決めるのが解法の第一歩です。

⚠️ よくある間違い
電界の式に比誘電率を入れてしまうのが最頻出のミスです(選択肢(1)(2))。並列で間隔が同じなら \(E=V_0/d\) で共通です。次に多いのがDとQで面積Sの有無を取り違える誤り(選択肢(3))。Dは単位面積あたり、Qは全体と覚えてください。

この問題は過去問と完全に同じ内容で再出題されています

本問は平成21年度 理論科目 A問題1同一の問題です。問題文・5つの選択肢の並び・正答(4)まで、すべて同一です。

電験3種では数年おきに同じ問題がそのまま再出題されます。特に「並列接続でのE・D・Qの区別」という定番テーマは繰り返し問われるため、過去問演習の効果が非常に高い分野です。

ただし選択肢の番号で覚えるのは危険です。再出題の際に並び順が変わることもあります。解き方の手順ごと身につけてください。

あわせて解いておきたい記事:平成21年度 理論科目 A問題1

まとめ

(ア)電界E1=E2=V0/d
(イ)電束密度D=ε0εrV0/d
(ウ)電荷Q=ε0εrSV0/d
組合せ(4)

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