今回は令和7年度下期 理論科目 A問題2を解説します。3m離れた2点A、Bにそれぞれ3×10-7Cの正電荷があり、A点から1m離れたP点に正電荷Q〔C〕を置いたとき、その電荷にB点の方向へ5×10-3Nの力が働きました。このときの電荷Qを求める、クーロンの法則の計算問題です。
P点の電荷QにはA点の電荷から受ける力(B向き)と、B点の電荷から受ける力(A向き)が働きます。両者は逆向きなので差し引きし、その合力が5×10-3Nになるという式からQを求めます。
令和7年度下期 理論科目 A問題2:問題文と選択肢
P点の電荷はAとBの両方から反発力を受けますが、向きが逆です。合力は足し算ではなく引き算——ここを間違えると答えが合いません。まずは問題文を確認しましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題2
電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 令和7年度下期 A問題2
図のように、真空中の3m離れた2点A、Bにそれぞれ3×10-7Cの正の点電荷がある。A点とB点とを結ぶ線分上のA点から1m離れたP点にQ〔C〕の正の点電荷を置いたとき、その点電荷にB点の方向に5×10-3Nの力が働いた。この点電荷Qの値〔C〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
ただし、真空中の誘電率をε0=8.85×10-12F/mとする。
(1)1.2×10-9 (2)1.8×10-8 (3)2.5×10-6 (4)4.4×10-5 (5)7.3×10-5

出題のポイント:2つの力は逆向き——足すのではなく引く
P点の電荷Qは、AとBの両方から反発力を受けます。ただし向きが逆なので、合力は差になります。
| 力の出どころ | 距離 | 向き | 大きさの比 |
| A(AP=1 m) | 1 m | B向き(正) | 1 |
| B(PB=2 m) | 2 m | A向き(負) | 1/4 |
| 合力 | — | B向き | 1 − 1/4 = 3/4 |
距離が2倍なら力は1/4——クーロン力は距離の2乗に反比例するからです。だからBからの力はAからの力の1/4しかなく、合力はB向きに残ります。
問題文の「B点の方向に力が働いた」という記述が、この向きを裏づけています。Aのほうが近いので、Aからの反発力が勝つ——計算前に向きが正しいことを確認できます。

問題の解説:合力を1本の式にまとめる
STEP1 定数kを確認する
STEP2 2つの力を式にする
近いので強い
\(F_A\) のちょうど1/4
STEP3 合力からQを求める
\(F_A\) の3/4


誤答の正体:足すか引くか、どの距離を使うか
典型的な誤りをすべて実際に計算しました。
| 誤り方 | 計算 | 得られるQ | 選択肢との対応 |
| 2つの力を足してしまう | 合力 \(=\frac54F_A\) | \(1.48\times10^{-6}\) | どれとも一致せず |
| Aからの力だけで計算 | \(F_A\) のみ | \(1.85\times10^{-6}\) | どれとも一致せず |
| 距離をAB間の3 mにする | \(r=3\) | \(1.67\times10^{-5}\) | どれとも一致せず |
| 正しく差を取る | \(\frac34F_A\) | \(2.47\times10^{-6}\) | (3) に一致 |
誤った計算の結果はどれも選択肢に載っていません。これは「正しく解けば必ず選択肢に近い値が出る」ことの裏返しです。計算結果が選択肢から外れたら、アプローチを見直すサインと考えてください。
選択肢の桁の広がりにも注目してください。\(10^{-9}\) から \(10^{-5}\) まで4桁にわたって散らばっています。桁だけ合わせれば絞り込める設計になっており、細かい係数の精度はさほど問われていません。
もし電荷の符号が違ったら
本問はA・Bとも正電荷でしたが、符号が変わると状況が一変します。理解を確認するために整理しておきます。
| A、Bの符号 | P点の正電荷が受ける力 | 合力の向き |
| 両方とも正(本問) | Aから反発(B向き)、Bから反発(A向き) | 近いA側から押される=B向き |
| 両方とも負 | Aへ引かれ、Bへ引かれる | 近いA向き |
| Aが正、Bが負 | Aから反発(B向き)、Bへ引かれる(B向き) | 両方ともB向き=足し算 |
「Aが正、Bが負」の場合だけ足し算になります。本問のように同符号どうしなら、必ず逆向き=引き算です。
2つの力が打ち消し合ってゼロになる点も存在します。本問の配置(同じ電荷が3 m離れている)なら、中点(AP=1.5 m)がその点です。そこにQを置くと力は働きません——P点が中点でないからこそ、B向きの力が残っているのです。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① \(k=9\times10^9\) を暗記しておく(\(\varepsilon_0\) から毎回計算しない)
② 同符号どうしは反発——2つの力は逆向きになり、合力は差
③ 距離が2倍なら力は1/4。比で考えると計算が速い(合力 = 近いほうの3/4)
④ 問題文の「どちら向きに力が働いた」で向きの検算ができる
⑤ 計算値が選択肢から外れたらアプローチを見直す
💡 覚え方
「近いほうが勝つ、しかも2乗で効く」。距離が2倍なら力は1/4——だから合力は近いほうの力の3/4です。比で考えれば9×10⁹を2回使わずに済みます。
⚠️ よくある間違い
2つの力を足してしまうのが最頻出です。同符号どうしなら逆向きなので引き算。また距離にAB間の3 mを使うのも誤りで、使うのはP点から各電荷までの距離(1 mと2 m)です。
まとめ
| Aからの力(B向き) | kqQ/12 |
| Bからの力(A向き) | kqQ/22 |
| 合力 | (3/4)kqQ=5×10-3N |
| 電荷Q | 2.5×10-6C …(3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・クーロンの法則・静電界の関連問題:【理論】令和7年度下期A問題1

コメント