静電界7【電験3種 理論】2種類の誘電体を挿入した平行平板コンデンサに蓄えられる電荷!令和6年下期 A問題1 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(静電界) 令和6年度下期 A問題1 2種類の誘電体を並べる!蓄えられる電荷は何C?

今回は令和6年度下期 理論科目 A問題1を解説します。電極面積0.1m2、電極間隔6mmの平行平板コンデンサに、比誘電率ε1=2(厚さ2mm)と比誘電率ε2=4(厚さ4mm)の2種類の誘電体を電極と平行に挿入し、12Vを加えたときに蓄えられる電荷を求める計算問題です。

誘電体が電極と平行に層状に重なっているので、これは2つのコンデンサの直列接続です。各層の静電容量を求めて直列合成し、Q=CVで電荷を計算します。

目次

令和6年度下期 理論科目 A問題1:問題文と選択肢

誘電体が電極と平行に挿入=直列です。各層を別々のコンデンサとして計算し、直列合成してから電荷を求めます。まずは問題文を確認しましょう。

電験3種 理論科目 静電界 令和6年度下期 A問題1 問題文
令和6年度下期 理論科目 A問題1 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度下期 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題1

電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 令和6年度下期 A問題1

 図のように、電極面積0.1m2、電極間隔6mmの平行平板コンデンサに、比誘電率ε1=2、厚さ2mm及び比誘電率ε2=4、厚さ4mmの2種類の誘電体が電極と平行に挿入されている。このコンデンサに12Vの直流電圧を印加したとき、蓄えられる電荷の値〔C〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、真空の誘電率をε0=8.85×10-12F/mとし、コンデンサの端効果は無視するものとする。

(1)5.3×10-9 (2)7.8×10-9 (3)9.4×10-9 (4)2.1×10-8 (5)4.5×10-8〔C〕

図 2種類の誘電体を電極と平行に挿入した平行平板コンデンサ(問題図)
図 2種類の誘電体を電極と平行に挿入した平行平板コンデンサ(問題図)

出題のポイント:電極と平行な層は「直列」

2種類の誘電体が電極と平行に挿入されています。この配置は直列接続です。

配置境界面の向き電気的には共通になる量εが小さい層は
電極と平行に重ねる極板に平行直列電束密度 D電界が強い
横に並べる極板に垂直並列電界 E電荷を受け持たない

直列だと気づけば、あとは2つのコンデンサの合成です。各層を独立したコンデンサと見なして容量を計算し、直列合成してから \(Q=CV\) を使います。

なぜ直列なのか——2つの層を電荷が順番に通り抜けるからです。上の層を通った電束はそのまま下の層へ入ります。「同じ電荷が両方を通る」=直列、という判断です。

比誘電率2で厚さ2mmの層と比誘電率4で厚さ4mmの層を重ねた平行平板コンデンサと直列等価回路
厚さ方向に積層された誘電体は直列接続として扱います。

問題の解説:各層の容量を出して直列合成する

使う公式:平行平板の容量と直列合成
$$C=\frac{\varepsilon_0\varepsilon_rA}{d},\qquad \frac{1}{C}=\frac{1}{C_1}+\frac{1}{C_2},\qquad Q=CV$$

各層のdはその層の厚さ。全体の間隔6 mmではありません。

STEP1 各層の静電容量を求める

$$C_1=\frac{\varepsilon_0\times2\times0.1}{2\times10^{-3}}=8.85\times10^{-10}\;[\mathrm{F}]$$
❶ 上の層(εr=2、厚さ2 mm)
$$C_2=\frac{\varepsilon_0\times4\times0.1}{4\times10^{-3}}=8.85\times10^{-10}\;[\mathrm{F}]$$
❷ 下の層(εr=4、厚さ4 mm)
C₁と同じ値になった

2つの容量が一致するのは偶然ではありません。容量は \(\varepsilon_r/d\) に比例しますが、\(2/2=1\)、\(4/4=1\) と比が等しいので同じ値になります。「誘電率が2倍だが厚さも2倍」なので相殺されるのです。

STEP2 直列合成する

$$C=\frac{C_1C_2}{C_1+C_2}=\frac{C_1}{2}=4.425\times10^{-10}\;[\mathrm{F}]$$
❸ 同じ容量2個の直列は半分
計算が一気に楽になる

STEP3 電荷を求める

$$Q=CV=4.425\times10^{-10}\times12=5.31\times10^{-9}\;[\mathrm{C}]$$
❹ 代入
二つの誘電体層の静電容量を計算し直列合成容量を求める図
二層の容量はともに8.85×10のマイナス10乗Fで、合成容量はその半分です。
答え\(Q\approx5.3\times10^{-9}\;[\mathrm{C}]\) → 選択肢(1)

検算:各層の電圧は \(V_1=Q/C_1=6\;\mathrm{V}\)、\(V_2=Q/C_2=6\;\mathrm{V}\)。合計12 Vで一致します ✓ 容量が等しいので電圧も半分ずつです。

合成容量4.425×10のマイナス10乗Fと電圧12Vから電荷を計算する図
電荷は約5.3×10のマイナス9乗Cで、正解は(1)です。

各層の電界を見ると、誘電率の逆比になっている

電圧は半分ずつでしたが、厚さが違うので電界は異なります

$$E_1=\frac{V_1}{d_1}=\frac{6}{2\times10^{-3}}=3000\;[\mathrm{V/m}]$$
❺ 上の層
$$E_2=\frac{V_2}{d_2}=\frac{6}{4\times10^{-3}}=1500\;[\mathrm{V/m}]$$
❻ 下の層
上の層の半分

\(E_1:E_2=2:1\)——これは比誘電率の逆比 \(1/2:1/4=2:1\) と一致します ✓ 直列では \(E=D/\varepsilon\) なので、誘電率の小さい層ほど電界が強いという原則どおりです。

この確認が計算の妥当性を裏づけます。もし電界の比が誘電率の逆比になっていなければ、どこかで間違えています。

誤答の正体:並列と誤ると4倍になる

各選択肢がどんな計算から出るかを確かめました。

選択肢値 [C]その値が出る計算判定
(1)5.3×10⁻⁹直列合成 \(C_1C_2/(C_1+C_2)\) から ★正解
(2)7.8×10⁻⁹自然な計算では再現できず(散らし)×
(3)9.4×10⁻⁹自然な計算では再現できず(散らし)×
(4)2.1×10⁻⁸並列と誤解して \((C_1+C_2)V\) とした(2.124×10⁻⁸)×
(5)4.5×10⁻⁸自然な計算では再現できず(散らし)×

(4)は正解のちょうど4倍です。直列合成が \(C_1/2\) なのに対し、並列は \(2C_1\)——4倍のずれが生じます。「並列と誤ると4倍」と覚えておくと、桁のずれで気づけます。

もう一つの典型ミスは、全体の厚さ6 mmを使ってしまうことです。「εr=2で6 mm」なら \(3.54\times10^{-9}\)、「εr=4で6 mm」なら \(7.08\times10^{-9}\)——どちらも選択肢にぴったり一致しません。「近い値がない」と気づいた時点で立ち止まれます。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
電極と平行に挿入=直列(電極に垂直な境界なら並列)
各層のdはその層の厚さ。全体の間隔を使わない
\(\varepsilon_r/d\) が等しければ容量も等しい——同じ値なら直列合成は半分で済む
④ 検算は各層の電圧の和が印加電圧になるか(6+6=12 V)
⑤ さらに電界の比が誘電率の逆比になっているかを確認

💡 覚え方
「平行に挿入なら直列、容量は \(\varepsilon_r/d\) 比べ」。本問は \(2/2\) と \(4/4\) でどちらも1——容量が等しいので直列合成は単純に半分です。数値がきれいに揃うよう作られています。

⚠️ よくある間違い
並列と誤解するのが最大のミスで、答えが4倍(選択肢(4))になります。電極と平行な層は直列です。次に多いのが全体の厚さ6 mmを各層の計算に使う誤りで、この場合は選択肢のどれとも一致しません。

まとめ

第1層 C18.85×10-10F
第2層 C28.85×10-10F
直列合成 C4.425×10-10F
電荷 Q=CV5.3×10-9C …(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・誘電体を挿入した平行板コンデンサの関連問題:【理論】令和7年度下期A問題1

📚 次に解くべき関連問題
【理論】令和7年度下期B問題17(静電界3)
【理論】令和7年度下期A問題1(静電界1)
【理論】令和7年度上期A問題1(静電界4)
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