今回は平成20年度 理論科目 A問題7を解説します。2つの直流電源(4 V・2 V)と3つの抵抗(4 Ω・2 Ω・5 Ω)からなる回路で、図の矢印を正方向とする電流I₁・I₂・I₃を求めます。同じ回路と電流値が令和6年度下期A問題6にも再出題されていますが、選択肢の並びは異なります。
下側の共通線を基準の0 V、中央節点をVと置くのが確実です。右側電源は下側が正極なので、右上の電位は−2 Vです。まず節点法でVを求めてI₃=0を確認し、その後に外周ループと電力収支で電流値を独立に検算します。
平成20年度 理論科目 A問題7:問題文と選択肢
2つの電源の極性と、各電流の矢印の向きを図で確認しながら読みましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成20年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題7
電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 平成20年度 A問題7
図のように、二つの直流電源と三つの抵抗からなる回路がある。各抵抗に流れる電流を図に示す向きに定義するとき、電流I1、I2、I3の値〔A〕の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
I1 I2 I3 (1) −1 −1 0 (2) −1 1 −2 (3) 1 1 0 (4) 2 1 1 (5) 1 −1 2

出題のポイント:電源の極性を読み違えると全部ずれる
組合せを選ぶ問題は、符号を1つ間違えるだけで別の選択肢に着地します。そこで最初にやるべきは、図に2種類の情報を書き込むこと——電源の極性と矢印の向きです。
本問で特に注意したいのが右側の電源です。正極が下側にあるので、下側の導線を0 Vとすると右上の電位は −2 Vになります。「電源が2 Vだから+2 V」と読むと、以降の式が全部ずれてしまいます。左側は上が正極なので左上は+4 Vです。
この2点さえ固定できれば、あとは節点電圧法が機械的に処理してくれます。中央上の節点電位を \(V\) と置き、各枝の電流を「(矢印の始点の電位)−(終点の電位)」÷抵抗で書けば、符号で悩む場面が消えます。

問題の解説:中央節点の電位を1つ求めれば全部決まる
STEP1 3本の電流を節点電位Vで表す
右側が −2 V なので分子が V+2 になる
STEP2 中央節点で電流則を立ててVを求める
I₁が流入、I₂とI₃が流出
分母を払う
中央ノードは基準と同電位

STEP3 V=0 を戻して3つの電流を確定する
Vが出た時点で勝負あり
外周ループでの検算:5 Ωに電流が流れないので、電流は左電源→4 Ω→2 Ω→右電源という外周だけを回ります。2つの電源は同じ向きに押しているので \(I=(4+2)/(4+2)=1\;\mathrm{A}\) ——節点法の答えと一致します ✓
電力収支での検算:供給は \(4\times1+2\times1=6\;\mathrm{W}\)、消費は \(1^2\times4+1^2\times2+0^2\times5=6\;\mathrm{W}\) ✓


選択肢を回路に戻して検算する
各選択肢のI₃から中央節点の電位を \(V=5I_3\) と逆算し、その V が I₁ と I₂ の式にも合うかを確かめます。電流則 \(I_1=I_2+I_3\) だけなら5択すべてが満たしてしまうので、枝の式まで見る必要があります。
| 選択肢 | (I₁, I₂, I₃) | I₃から逆算した V [V] | I₁=(4−V)/4 は? | I₂=(V+2)/2 は? | 判定 |
| (1) | (−1, −1, 0) | 0 | 1 ≠ −1 × | 1 ≠ −1 × | × |
| (2) | (−1, 1, −2) | −10 | 3.5 ≠ −1 × | −4 ≠ 1 × | × |
| (3) | (1, 1, 0) | 0 | 1 ✓ | 1 ✓ | ○ |
| (4) | (2, 1, 1) | 5 | −0.25 ≠ 2 × | 3.5 ≠ 1 × | × |
| (5) | (1, −1, 2) | 10 | −1.5 ≠ 1 × | 6 ≠ −1 × | × |
注目すべきは(1)と(3)が同じV=0を与えることです。両者の違いは符号だけで、(1)は全部マイナス。これは電源の向きを両方とも逆に読んでしまった場合に出る答えで、極性の確認を怠ると引っかかります。
この問題は令和6年度下期の再出題です
本問(平成20年度 A問題7)と同じ回路・同じ電流値の問題が、令和6年度下期 A問題6として出題されています(直流回路8)。約16年ぶりの再登場です。
ただし選択肢の並びが違います。平成20年度では (1,1,0) が(3)、令和6年度下期では(4)。番号で覚えていると間違えますので、電流値そのものを記憶に残してください。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 図に電源の極性(+がどちら側か)と矢印の向きを書き込んでから式を立てる
② 節点電圧法なら未知数は電位1つ。3電流を別々の未知数にしない
③ 組合せ問題は符号違いのペア(本問の(1)と(3))が仕込まれている。極性を再確認する
④ 検算は外周ループと電力収支の2通り。どちらも30秒で済む
複数電源・節点電圧法の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 平成20年度 A問題7 | 本問(直流回路63) | 2電源回路の3つの電流の組合せ |
| 令和6年度下期 A問題6 | 直流回路8 | 同一問題(選択肢の並びのみ異なる) |
| 令和5年度下期 A問題6 | 直流回路15 | 2電源回路をミルマンの定理で解く |
| 令和6年度上期 A問題6 | 直流回路11 | 3電源回路で抵抗Rを求める |
| 令和6年度上期 A問題5 | 直流回路10 | 2電源はしご回路でRの消費電力 |
💡 覚え方
基準0 Vを決める → 電源の極性から各ノードの電位を書く → 節点電位Vを1つ置く → 電流則。ミルマンでも \(V=(4/4-2/2+0/5)/(1/4+1/2+1/5)=0\) と即座に出ます。
⚠️ よくある間違い
右の電源は下端が正なので、下側を0 Vとすると右上は−2 Vです(+2 Vにしない)。5 Ω枝を最初から消さず、V=0、I₃=0を示したあとで「無視できる」と言えます。再出題では選択肢番号が変わります。
まとめ
| 端点電位 | 左上+4 V、右上−2 V、下側0 V |
| 中央節点V | 0 V |
| 各電流 | I1=1 A、I2=1 A、I3=0 A |
| 検算 | KCL:1=1+0、電力:6 W=6 W |
| 平成20年度の答え | (3) |
平成20年度の公式問題PDFは現在の公式公開範囲外ですが、保存された公式標準解答PDFで理論問7の正解が(3)であることを確認しました。また、同じ回路が掲載された令和6年度下期の公式問題PDFと公式解答PDFを照合し、再出題側の正解が(4)であることも確認しました。
▼あわせて解きたい関連問題
・同じ回路が再出題された令和6年度下期の解説:【理論】令和6年度下期A問題6

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