今回は令和5年度下期 理論科目 A問題6を解説します。上側が正極の21 V電源と5 Ω、中央の6 Ω、上側が正極の14 V電源と10 Ωからなる直流回路で、6 Ω抵抗の端子間電圧の大きさV〔V〕を求めます。
下側共通線を0 V、6 Ωの上端を節点Vとすると、3本の枝は同じ2節点間に接続されています。ミルマンの定理で直接求められますが、節点Vでキルヒホッフの電流則を立てても同じ式になります。最後に枝電流の和で検算します。
令和5年度下期 理論科目 A問題6:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の問題文・選択肢・回路図を確認します。掲載済みの問題画像と問題図は原資料としてそのまま保持しています。

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 令和5年度下期 A問題6
図のような直流回路において、抵抗6Ωの端子間電圧の大きさVの値〔V〕として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)2 (2)5 (3)7 (4)12 (5)15〔V〕

出題のポイント:3本の枝が同じ2節点を結んでいるならミルマンが最速
この回路は、下側の共通導線と6 Ωの上端というたった2つの節点の間に、3本の枝(21 V+5 Ω/6 Ω/14 V+10 Ω)が並んでいるだけの構造です。この形になったらミルマンの定理が最短ルートになります。
ミルマンの定理は「各枝の起電力÷抵抗」を足して、「1÷抵抗」の和で割るだけ。$$V=\frac{\sum E_k/R_k}{\sum 1/R_k}$$分子は電流の次元(A)、分母はコンダクタンスの次元(S)なので、割ると電圧(V)になります——単位を追うだけで式の形を思い出せます。
注意点は電源のない6 Ω枝の扱いです。起電力が0なので分子には \(0/6\) として寄与しませんが、分母の \(1/6\) は絶対に省略できません。枝そのものは存在して電流を流すからです。ここを落とすのが最も多い失点パターンです。

問題の解説:ミルマンの式に当てはめる
STEP1 基準を決めて3本の枝を整理する
下側の共通導線を0 Vとします。両電源とも上側が正極なので、分子の2項はどちらも正です。
6 Ω枝は分子0・分母1/6
節点電圧法で書けば \(\dfrac{V-21}{5}+\dfrac{V}{6}+\dfrac{V-14}{10}=0\) となり、まったく同じ式です。ミルマンは節点電圧法の答えをあらかじめ整理しておいたものにすぎません。
STEP2 分子と分母を計算する
電流の次元
通分は30が楽

STEP3 割り算して電圧を求める
A ÷ S = V
検算:21 V側から節点へ \((21-12)/5=1.8\;\mathrm{A}\)、14 V側から \((14-12)/10=0.2\;\mathrm{A}\) が流れ込み、6 Ωを通って \(12/6=2.0\;\mathrm{A}\) が流れ出します。\(1.8+0.2=2.0\) で電流則が成立——確定です。

選択肢を回路に戻して検算する
各選択肢のVについて、2つの電源枝から流れ込む電流と、6 Ω枝から流れ出す電流を計算し、電流則が成立するかを確かめます。
| 選択肢 | V [V] | 21 V枝 (21−V)/5 [A] | 14 V枝 (14−V)/10 [A] | 流入合計 [A] | 6 Ω枝 V/6 [A] | 判定 |
| (1) | 2 | 3.80 | 1.20 | 5.00 | 0.33 | × |
| (2) | 5 | 3.20 | 0.90 | 4.10 | 0.83 | × |
| (3) | 7 | 2.80 | 0.70 | 3.50 | 1.17 | × |
| (4) | 12 | 1.80 | 0.20 | 2.00 | 2.00 | ○ |
| (5) | 15 | 1.20 | −0.10 | 1.10 | 2.50 | × |
Vを上げると流入は減り流出は増えるので、両者が交わるのは1か所だけ。(5) 15 Vでは14 V枝の電流が負——つまり14 V電源が電力を受け取る側になってしまいます。節点電圧が両電源の電圧より低い12 Vに落ち着くのは、6 Ωが電流を引き抜いているからです。
ミルマンの定理はどこから来たのか
ミルマンの式は暗記するものではなく、節点電圧法を1回だけ解いた結果です。節点で電流則を書くと$$\sum\frac{V-E_k}{R_k}=0\;\Rightarrow\;V\sum\frac{1}{R_k}=\sum\frac{E_k}{R_k}$$両辺を \(\sum 1/R_k\) で割れば、そのままミルマンの式になります。だから電源のない枝の \(1/R\) も左辺に入っていた——分母から落とせない理由が式の導出から分かります。
使える条件は「すべての枝が同じ2つの節点を結んでいる」ことだけ。逆に、はしご型のように節点が3つ以上ある回路では使えません(その場合は節点電圧法で連立します)。回路の形を見て、2節点ならミルマン・3節点以上なら節点電圧法と切り替えられると強いです。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 枝が全部同じ2節点の間にあるならミルマン。分子はΣ(E/R)、分母はΣ(1/R)
② 電源のない枝も分母には入れる(分子は0)。ここを落とすのが最頻出のミス
③ 電源の向きが逆の枝は分子でその項を負にする
④ 検算は枝電流の合計が0(流入=流出)。10秒で確信が持てる
ミルマン・複数電源の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 令和5年度下期 A問題6 | 本問(直流回路15) | 2電源回路で6 Ωの端子電圧をミルマンで求める |
| 令和6年度下期 A問題6 | 直流回路8 | 2電源回路の3つの電流(ミルマンでも解ける) |
| 平成20年度 A問題7 | 直流回路63 | 2電源回路の各抵抗の電流 |
| 令和6年度上期 A問題6 | 直流回路11 | 3電源回路で抵抗Rを求める |
| 令和5年度上期 A問題5 | 直流回路18 | 2電源はしご回路(3節点なので節点法) |
💡 覚え方
同じ2節点に並ぶ枝ならミルマン:\(V=\dfrac{\sum E/R}{\sum 1/R}\)。電源のない枝も分母に入れる。分子はA、分母はS、割ればV——単位で式を思い出せる。
⚠️ よくある間違い
6 Ω枝の 1/6 を分母から落とさないこと。21 Vと14 Vを単純に足し引きしたり、6 Ωを片方の電源だけと直列にして分圧したりしないこと。図のVの矢印は端子電圧であって電流の向きではありません。
まとめ
| 基準点 | 下側共通線=0 V |
| 電源極性 | 21 V・14 Vとも上側が正極 |
| ミルマンの分子 | 21/5+0/6+14/10=5.6 A |
| ミルマンの分母 | 1/5+1/6+1/10=7/15 S |
| 節点電圧 | V=5.6÷(7/15)=12 V |
| 枝電流の検算 | 1.8+0.2=2.0 A |
| 公式正答 | (4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・ミルマンの定理の関連問題:【理論】令和6年度下期A問題6

コメント