直流回路8【電験3種 理論】2電源回路の各抵抗を流れる電流I₁・I₂・I₃を求める!令和6年度下期 A問題6 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(直流回路) 令和6年度下期 A問題6 電源が2つある回路!3つの電流を一気に求める

今回は令和6年度下期 理論科目 A問題6を解説します。2つの直流電源(4 V・2 V)と3つの抵抗(4 Ω・2 Ω・5 Ω)からなる回路で、問題図の矢印を正方向とした電流I1・I2・I3〔A〕の組合せを求める問題です。

解法の軸は、中央上ノードの電位をVとする節点法です。各電流をVで表してキルヒホッフの第1法則を適用するとV=0 Vとなり、I3=0 Aが分かります。ミルマンの定理は同じ節点式を短く書く方法として、後から検算にも使えます。

目次

令和6年度下期 理論科目 A問題6:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の問題図で、左電源は上端が+、右電源は下端が+であること、I1・I2は右向き、I3は下向きであることを確認してから解きます。

電験3種 理論科目 直流回路 令和6年度下期 A問題6 問題文
令和6年度下期 理論科目 A問題6 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 令和6年度下期 A問題6

 図のように、二つの直流電源と三つの抵抗からなる回路がある。各抵抗に流れる電流を図に示す向きに定義するとき、電流I1、I2、I3の値〔A〕の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

I1I2I3
(1)−1−10
(2)−11−2
(3)211
(4)110
(5)1−12

出題のポイント:電源の向きと矢印の向き、2つを図に書き込む

組合せを選ぶ問題では、符号を1つ間違えるだけで別の選択肢に着地してしまいます。そこで最初にやるべきは、図に2種類の情報を書き込むことです。ひとつは電源の極性——左の電源は上端が正なので左上ノードは+4 V、右の電源は下端が正なので右上ノードは−2 Vになります(下側の導線を0 Vとした場合)。もうひとつは問題図の矢印の向きで、これが「正の電流」の定義です。

この2つさえ固定できれば、あとは節点電圧法が機械的に処理してくれます。中央上のノードの電位を \(V\) と置き、各枝の電流を「(矢印の始点の電位)−(終点の電位)」÷抵抗で書けば、符号を考える場面がなくなります。

4V電源、2V電源、4Ω・2Ω・5Ω抵抗の回路で、左上+4V、中央V、右上−2Vの節点電位とI₁・I₂・I₃の矢印方向を示す出題ポイント図
下側を0 Vとすると左上は+4 V、右上は−2 Vです。問題図の矢印方向を電流の正方向として立式します。

問題の解説:中央ノードの電位を1つ求めれば全部決まる

使う公式:節点電圧法(キルヒホッフの電流則)
$$I=\frac{V_{\text{始点}}-V_{\text{終点}}}{R}\qquad\text{各節点で}\;\sum I_{\text{流入}}=\sum I_{\text{流出}}$$

※未知数は節点電位1つだけ。3本の電流を別々の未知数にしてループを2本立てるより、はるかに短くて安全です。

STEP1 3本の電流を節点電位Vで表す

下側の共通導線を0 Vとします。左上は+4 V、右上は−2 Vです。矢印の向きに合わせて式を作ります。

$$I_1=\frac{4-V}{4},\quad I_2=\frac{V-(-2)}{2}=\frac{V+2}{2},\quad I_3=\frac{V-0}{5}=\frac{V}{5}$$
❶ 各枝を V で表す
右側が −2 V なので分子が V+2 になる

STEP2 中央ノードで電流則を立てて V を求める

矢印の向きから、I₁が中央に流れ込み、I₂とI₃が出ていきます。

$$\frac{4-V}{4}=\frac{V+2}{2}+\frac{V}{5}$$
❷ 電流則
流入=流出
$$20-5V=10V+20+4V$$
❸ 両辺を20倍
分母を払う
$$-19V=0\;\Rightarrow\;V=0\;[\mathrm{V}]$$
❹ 解く
中央ノードは基準と同電位
中央節点の電流I₁=(4−V)/4、I₂=(V+2)/2、I₃=V/5とKCLの式I₁=I₂+I₃からV=0Vを求める節点法の解説図
中央節点で流入=流出を立てるとV=0 Vです。5 Ω枝を無視できるのはI₃=0を確認した後です。

STEP3 V=0 を戻して3つの電流を確定する

$$I_1=\frac{4-0}{4}=1,\quad I_2=\frac{0+2}{2}=1,\quad I_3=\frac{0}{5}=0\;[\mathrm{A}]$$
❺ 代入するだけ
V が出た時点で勝負あり

検算その1(電流則):\(1=1+0\) ✓。検算その2(外周ループ):5 Ωに電流が流れないので、電流は左電源→4 Ω→2 Ω→右電源という外周だけを回ります。2つの電源は同じ向きに押しているので \(I=(4+2)/(4+2)=1\;\mathrm{A}\)——節点法の答えと一致します。

答え\(I_1=1\;\mathrm{A},\;I_2=1\;\mathrm{A},\;I_3=0\;\mathrm{A}\) → 選択肢(4)
V=0を代入してI₁=1A、I₂=1A、I₃=0Aを求め、KCLと外周ループで検算し公式正答(4)を示す解答図
I₁=1 A、I₂=1 A、I₃=0 A。中央節点のKCLと外周ループの計算が一致し、正答は(4)です。

選択肢を回路に戻して検算する

各選択肢のI₃から中央ノードの電位を \(V=5I_3\) と逆算し、その V が I₁ と I₂ の式にも合うかを確かめました。3つの式すべてを同時に満たす組合せは1つだけです(電流則 \(I_1=I_2+I_3\) だけなら5択すべてが満たしてしまうので、枝の式まで見る必要があります)。

選択肢(I₁, I₂, I₃)I₃から逆算した V [V]I₁=(4−V)/4 は?I₂=(V+2)/2 は?判定
(1)(−1, −1, 0)01 ≠ −1 ×1 ≠ −1 ××
(2)(−1, 1, −2)−103.5 ≠ −1 ×−4 ≠ 1 ××
(3)(2, 1, 1)5−0.25 ≠ 2 ×3.5 ≠ 1 ××
(4)(1, 1, 0)01 ✓1 ✓
(5)(1, −1, 2)10−1.5 ≠ 1 ×6 ≠ −1 ××

注目すべきは(1)と(4)は同じV=0を与えることです。両者の違いは符号だけで、(1)は全部マイナス。これは「電源の向きを両方とも逆に読んでしまった」場合に出る答えで、極性の確認を怠ると引っかかります。

別解:ミルマンの定理で1行にまとめる

複数の電源が1つの節点に集まる回路では、ミルマンの定理を使うと節点電位が一発で出ます。各枝の「起電力÷抵抗」を足して、「1÷抵抗」の和で割るだけです。

$$V=\frac{\dfrac{4}{4}+\dfrac{-2}{2}+\dfrac{0}{5}}{\dfrac{1}{4}+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{5}}=\frac{1-1+0}{19/20}=0\;[\mathrm{V}]$$
ミルマンの定理
分子が 1−1=0 なので即座に V=0

分子が0になることが一目で分かるので、「中央ノードは0 V、つまり5 Ωには電流が流れない」と数秒で見抜けます。ミルマンの定理は節点電圧法を書き換えただけのものですが、電源が並列に並ぶ回路では圧倒的に速いので、検算用に覚えておく価値があります。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① 図に電源の極性(+がどちら側か)矢印の向きを書き込んでから式を立てる
② 節点電圧法なら未知数は電位1つ。3電流を別々の未知数にしない
③ 電源が並列に集まる回路はミルマンの定理が速い。分子が0なら電位も0
④ 組合せ問題は符号違いのペア(本問の(1)と(4))が仕込まれている。極性を再確認する

複数電源・節点電圧法の出題履歴

同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。

年度記事問われ方
令和6年度下期 A問題6本問(直流回路8)2電源回路の3つの電流の組合せ
平成20年度 A問題7直流回路632電源回路の各抵抗の電流(同型)
令和5年度下期 A問題6直流回路152電源回路をミルマンの定理で解く
令和6年度上期 A問題6直流回路113電源回路で抵抗Rを求める
令和6年度上期 A問題5直流回路102電源はしご回路でRの消費電力

💡 覚え方
基準0 Vを決める→電源の極性から各ノードの電位を書く→節点電位Vを1つ置く→電流則。電源が並列に集まるならミルマンが速い。

⚠️ よくある間違い
右の電源は下端が正なので、下側を0 Vとすると右上は−2 Vです(+2 Vにしない)。また5 Ω枝を最初から消してはいけません——V=0、I₃=0を示したあとで初めて「無視できる」と言えます。

まとめ

節点電位V=0 V
各電流I1=1 A、I2=1 A、I3=0 A
KCL検算1=1+0
外周検算(4+2)/(4+2)=1 A
正答(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・2電源回路・ミルマンの定理の関連問題:【理論】令和6年度上期A問題5

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