磁気・電磁力20【電験3種 理論】一様磁界中を斜めに動く導体に生じる誘導起電力を求める!令和4年上期 A問題4 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(磁気・電磁力) 令和4年度上期 A問題4 斜めに横切る導体棒!生じる起電力は何V?

今回は令和4年度上期 理論科目 A問題4を解説します。磁束密度B=0.02Tの一様磁界中で、長さ0.5mの直線導体が磁界と直角を保ちつつ、磁界に対して60°の方向に0.5m/sで移動するときの誘導起電力e〔mV〕を求める問題です。

運動起電力の一般式はe=∫(v×B)・dℓです。本問では導体方向がv×Bと平行になる配置なので、e=Blv sinθを使えます。θは速度vと磁束密度Bのなす角です。

目次

令和4年度上期 理論科目 A問題4:問題文と選択肢

まずは、令和4年度上期に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

電験3種 理論科目 磁気・電磁力 令和4年度上期 A問題4 問題文
令和4年度上期 理論科目 A問題4 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題4

電験3種 理論科目 【電磁気(磁気・電磁力)】 令和4年度上期 A問題4

 図1のように、磁束密度B=0.02Tの一様な磁界の中に長さ0.5mの直線状導体が磁界の方向と直角に置かれている。図2のようにこの導体が磁界と直角を維持しつつ磁界に対して60°の角度で、二重線の矢印の方向に0.5m/sの速さで移動しているとき、導体に生じる誘導起電力eの値〔mV〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、静止した座標系から見て、ローレンツ力による起電力が発生しているものとする。

(1)2.5 (2)3.0 (3)4.3 (4)5.0 (5)8.6

図1・図2 磁束密度Bの一様磁界中を磁界に対して60°の方向に動く導体(問題図)
図1・図2 磁束密度Bの一様磁界中を磁界に対して60°の方向に動く導体(問題図)

出題のポイント:\(\sin\theta\) を忘れない。角度は「速度と磁界の間」

公式 \(e=Blv\) は覚えている人が多いですが、斜めに動くときは \(\sin\theta\) が付きます。この1文字を落とすと選択肢(4)に着地します。

運動起電力
$$e=Blv\sin\theta$$

\(\theta\) は速度 \(v\) と磁束密度 \(B\) のなす角です。導体の向きではありません——ここが取り違えのポイントです。

磁界に対して60度で動く速度を平行成分と垂直成分に分解し垂直成分だけが運動起電力を生むことを示す図
磁界を横切る速度成分はv⊥=v sin60°です。磁界に平行な成分は運動起電力に寄与しません。

なぜ \(\sin\theta\) が付くのか

起電力を生むのは「磁界を横切る動き」だけです。磁界に沿って動く成分は、磁束を切らないので何も生みません

$$v_{\perp}=v\sin\theta$$
❶ 磁界に垂直な速度成分
これだけが有効
$$v_{\parallel}=v\cos\theta$$
❷ 磁界に平行な速度成分
磁束を切らないので寄与しない
$$e=Blv_{\perp}=Blv\sin\theta$$
❸ 有効成分だけを使う

速度を「磁界に平行な成分」と「垂直な成分」に分解する——これが本質です。磁界に沿って動いても磁束は切れませんから、その成分は捨てます。

💡 覚え方
「磁力線を何本切ったか」で考えると直感的です。磁力線に沿って動けば1本も切りませんし、直角に横切れば最も多く切ります。切った本数の割合が \(\sin\theta\) です。

解説:数値を代入する

$$e=B\,l\,v\sin\theta$$
❶ 公式
$$e=0.02\times0.5\times0.5\times\sin60^\circ$$
❷ 代入
\(B=0.02\;\mathrm{T}\)、\(l=0.5\;\mathrm{m}\)、\(v=0.5\;\mathrm{m/s}\)
$$e=0.005\times0.866=4.33\times10^{-3}\;\mathrm{V}$$
❸ 計算
\(\sin60^\circ=\dfrac{\sqrt3}{2}=0.866\)
$$e=4.33\;\mathrm{mV}$$
❹ mV に直す
設問がmVを聞いている

\(0.02\times0.5\times0.5=0.005\) まで暗算で出せます。あとは \(0.866\) を掛けるだけです。

磁束密度B速度v導体方向l及びvクロスBの関係から運動起電力の一般式を示すベクトル図
本問では導体方向がv×Bと平行なので、一般式からe=Blv sinθとなります。
答え\(e=4.33\;\mathrm{mV}\) → 選択肢(3) 4.3
0.02テスラ0.5メートル毎秒0.5メートル60度を代入して4.33ミリボルトと選択肢3を得る計算図
e=0.02×0.5×0.5×sin60°=4.33 mVとなるため、公式正答は(3)です。

誤答の正体:選択肢が角度の間違いを網羅している

誤り方掛ける値結果〔mV〕選択肢
\(\sin\theta\) を掛け忘れる1(=90°扱い)5.0(4)
\(\cos60^\circ\) を掛ける0.52.5(1)
角度を30°と取り違える\(\sin30^\circ=0.5\)2.5(1)
2倍してしまう\(2\sin60^\circ\)8.66(5)
正しい計算\(\sin60^\circ=0.866\)4.33(3) ◎

(4)5.0 が最も引っかかりやすい誤りです。\(e=Blv\) だけを覚えていると、\(0.02\times0.5\times0.5=0.005\;\mathrm{V}=5\;\mathrm{mV}\) できれいな数字が出てしまい、疑わずに選んでしまいます。

⚠️ よくある間違い
\(\sin\) と \(\cos\) の取り違えにも注意してください。「磁界と \(60^\circ\) の方向へ動く」なら \(\sin60^\circ\) です。「磁界と垂直な方向から \(30^\circ\) 傾いて」と書かれたら \(\cos30^\circ\)——どちらも同じ0.866ですが、基準がどちらかを必ず確認してください。

深掘り:ローレンツ力から見ると何が起きているか

問題文に「ローレンツ力による起電力が発生している」と書かれています。これは導体中の自由電子が受ける力のことです。

$$\boldsymbol{F}=q\,\boldsymbol{v}\times\boldsymbol{B}$$
❶ ローレンツ力
動く電荷が磁界から受ける力
$$\text{電子が導体の一端に集まる}$$
❷ 電荷の偏り
片側が負、反対側が正に帯電
$$\text{電界ができ、力がつり合ったところで安定}$$
❸ 定常状態
この電位差が起電力

導体を動かすと、中の電子が \(q\boldsymbol{v}\times\boldsymbol{B}\) の力で押しやられます。電子が片側に偏ると電界が生じて逆向きの力が働き、やがてつり合います。そのときの電位差が \(e=Blv\sin\theta\) です。

\(e=-Nd\varPhi/dt\)(ファラデーの法則)と \(e=Blv\)(運動起電力)は同じ現象の2つの見方です。回路の面積変化に注目するか、電子に働く力に注目するかの違いにすぎません。

起電力の向きはフレミングの右手の法則で決まります。親指=運動、人差し指=磁界、中指=起電力——左手(電動機)と右手(発電機)を混同しないことが重要です。

⏱️ 本番での進め方
❶ \(Blv\) を先に計算する。\(0.02\times0.5\times0.5=0.005\)。ここまでは暗算。
❷ \(\sin\theta\) を必ず掛ける。掛け忘れの答えが選択肢に用意されている。
❸ 角度の基準を確認する。「磁界に対して60°」なら \(\sin60^\circ\)。
❹ 単位を合わせる。答えはmV。\(4.33\times10^{-3}\;\mathrm{V}=4.33\;\mathrm{mV}\)。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

一般式e=∫(v×B)・dℓ
有効速度v=0.5×sin60°=0.4330 m/s
本問e=Bℓv
結果4.330×10−3 V=4.330 mV
答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・誘導起電力の関連問題:【理論】平成22年度A問題3

📚 次に解くべき関連問題
【理論】令和3年度A問題4(磁気・電磁力22)
【理論】令和6年度下期A問題3(磁気・電磁力6)
【理論】令和5年度上期A問題10(磁気・電磁力16)
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