静電界31【電験3種 理論】直並列した誘電体コンデンサ内部の電界の強さ!令和元年 A問題2 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(静電界) 令和元年度 A問題2 直並列に組んだ誘電体!内部の電界はどこが強い?

今回は令和元年度 理論科目 A問題2を解説します。極板間距離dと比誘電率εrが異なる平行板コンデンサを接続した回路(10kV印加)で、2つのコンデンサ内部の電界の強さEA・EBを求める計算問題です。

ポイントは、本問のように極板面積が同じで、各枝内の比誘電率が一様な直列コンデンサでは、各ギャップの電界が共通となり、E=V/Σdで求められることです。左枝・中枝とも枝電圧10 kV、合計厚さ10 mmなので、電界はどちらも同じ値になります。

目次

令和元年度 理論科目 A問題2:問題文と選択肢

層がいくつも並んでいますが、枝内の比誘電率が同じなら層の境目は無視できます。合計の厚さで割るだけで電界が出ます。まずは問題文を確認しましょう。

電験3種 理論科目 静電界 令和元年度 A問題2 問題文
令和元年度 理論科目 A問題2 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和元年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題2

電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 令和元年度 A問題2

 図のように、極板間距離d〔mm〕と比誘電率εrが異なる平行板コンデンサが接続されている。極板の形状と大きさは全て同一であり、コンデンサの端効果、初期電荷及び漏れ電流は無視できるものとする。印加電圧を10kVとするとき、図中の二つのコンデンサ内部の電界の強さEA及びEBの値〔kV/mm〕の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

EAEB
(1)0.250.67
(2)0.251.5
(3)1.01.0
(4)4.00.67
(5)4.01.5
図 厚さ・比誘電率の異なる平行板コンデンサの接続(問題図)
図 厚さ・比誘電率の異なる平行板コンデンサの接続(問題図)

出題のポイント:同じ誘電体の層が続くなら、厚さを足すだけ

複数の層に分かれたコンデンサですが、各枝の中では比誘電率が同じです。この条件が計算を劇的に簡単にします。

$$\text{直列}\;\Rightarrow\;D\;\text{が共通},\qquad E=\frac{D}{\varepsilon}$$
❶ 直列の性質
$$\varepsilon\;\text{が同じなら}\;E\;\text{も同じ}$$
❷ 層ごとに変わらない
枝全体で一様な電界

層の境目で電界が変わるのは、比誘電率が違うときだけです。同じ誘電体が続いているなら、境目は「線が引いてあるだけ」で電気的には何も起きません。

$$E=\frac{V_{\text{枝}}}{\sum d}$$
❸ 合計厚さで割る
層に分けて考える必要がない
同じ誘電率の直列コンデンサでは各ギャップの電界が等しく厚さを合計できることを示す図
同じ面積・誘電率の直列層では、枝全体の電圧を合計厚さで割ります。

問題の解説:並列の枝ごとに電圧と合計厚さを見る

使う関係
$$\text{並列}\;\Rightarrow\;\text{各枝の電圧}=10\;\mathrm{kV},\qquad E=\frac{V_{\text{枝}}}{\sum d}$$

枝内の比誘電率が一様という条件があって初めて使えます。

STEP1 各枝の合計厚さを確認する

層の厚さ合計比誘電率
左枝(E_A を含む)2+3+5 mm10 mmすべて \(\varepsilon_r=3\)
中枝(E_B を含む)4+6 mm10 mmすべて \(\varepsilon_r=2\)

どちらの枝も合計10 mm——ここに気づけば、答えはほぼ決まりです。

STEP2 各枝の電界を求める

$$E_A=\frac{10\;\mathrm{kV}}{(2+3+5)\;\mathrm{mm}}=\frac{10}{10}=1.0\;[\mathrm{kV/mm}]$$
❹ 左枝
$$E_B=\frac{10\;\mathrm{kV}}{(4+6)\;\mathrm{mm}}=\frac{10}{10}=1.0\;[\mathrm{kV/mm}]$$
❺ 中枝
比誘電率が違っても同じ値

比誘電率が3と2で違うのに、電界は同じ——ここが本問の意外な結論です。誘電率が影響するのは静電容量と蓄積電荷であって、この条件下の電界ではありません。

比誘電率3で厚さ2・3・5ミリメートルの枝と比誘電率2で厚さ4・6ミリメートルの枝の比較図
両枝とも電圧10 kV、合計厚さ10 mmなので、電界は1.0 kV/mmです。
答え\(E_A=E_B=1.0\;[\mathrm{kV/mm}]\) → 選択肢(3)
EAとEBを枝電圧10キロボルトと合計厚さ10ミリメートルから計算して選択肢3を導く図
EA=EB=10 kV/10 mm=1.0 kV/mmとなり、正答は(3)です。

誤答の正体:単層の厚さで割ってしまう

層を1枚だけ取り出して計算するのが典型的な誤りです。実際に計算してみると、どの値も選択肢と一致しません。

割った厚さ計算値 [kV/mm]選択肢にあるか
2 mm10÷25.00なし
3 mm10÷33.33なし
4 mm10÷42.50なし
5 mm10÷52.00なし
6 mm10÷61.67なし
10 mm(合計)10÷101.00(3) に一致

単層で割った値が1つも選択肢にない——これは「合計厚さで割るのが正しい」という強い傍証になります。本番でも、計算した値が選択肢にないときはアプローチ自体を疑うサインです。

比誘電率を掛けたり割ったりする誤りも試してみました。\(1.0\div3=0.33\)、\(1.0\times3=3.0\)、\(1.0\div2=0.5\)、\(1.0\times2=2.0\)——これらも選択肢にありません。誘電率は電界計算に登場しないという結論と整合します。

選択肢\(E_A\), \(E_B\)判定
(1)0.25, 0.67×
(2)0.25, 1.5×
(3)1.0, 1.0
(4)4.0, 0.67×
(5)4.0, 1.5×

「E_AとE_Bが等しい」のは(3)だけです。他はすべて異なる値の組合せ——「同じになるはずがない」という思い込みを突いた構成になっています。

層で電界が変わるのはどんなときか

本問では層の境目で電界が変わりませんでした。変わるのは比誘電率が違うときです。区別しておきましょう。

状況層の境目で理由
同じ誘電体が続く(本問)電界は変わらない\(D\) 共通・\(\varepsilon\) 同じ → \(E=D/\varepsilon\) も同じ
比誘電率が違う層電界が急変する\(D\) 共通だが \(\varepsilon\) が違う → \(E\) は逆比
導体を挟む導体内は電界0静電平衡

「層に分かれている=電界も分かれる」ではありません。分ける必要があるのは、誘電率が変わる境目だけです。本問はそれを試す問題と言えます。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
枝内の比誘電率が一様なら、層の境目は無視してよい
\(E=V_{\text{枝}}\div\sum d\)——合計厚さで割るだけ
③ 並列の枝はそれぞれ電源電圧がかかる
④ 比誘電率は容量と電荷には効くが、この条件の電界には効かない
⑤ 計算値が選択肢に1つもないときは、アプローチを疑う

💡 覚え方
「同じ誘電体なら境目は無視、厚さを足す」。電界が変わるのは誘電率が変わる境目だけ。同じ材料が続いているなら、線が引いてあっても電気的には一枚と同じです。

⚠️ よくある間違い
層ごとに電界を分けて計算するのが最頻出の誤りです。比誘電率が同じなら分ける必要はありません。また電界に比誘電率を掛けたり割ったりするのも誤りで、この条件では \(E=V/\sum d\) に誘電率は現れません。

まとめ

左枝(EA2+3+5=10mm、εr=3一様
中枝(EB4+6=10mm、εr=2一様
電界どちらも10 kV/10 mm=1.0 kV/mm
答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・誘電体コンデンサの電界の関連問題:【理論】令和7年度下期B問題17

📚 次に解くべき関連問題
【理論】令和2年度B問題17(静電界29)
【理論】平成30年度A問題2(静電界34)
【理論】平成30年度B問題17(静電界35)
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次