静電界30【電験3種 理論】点電荷がつくる電位差が最小・最大となる配置を求める!令和元年 A問題1 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(静電界) 令和元年度 A問題1 電位差が最大になる配置は?5つの図から選ぶ

今回は令和元年度 理論科目 A問題1を解説します。点電荷Qを置いた点Pと、直線上の点A・点Bについて、A-B間の電位差の絶対値|VAB|が、4つの実験(a)〜(d)のうち最小・最大となる組合せを求める計算問題です。

点電荷がつくる電位はV=kQ/r(rは点電荷からの距離)です。|VAB|=k|Q||1/rA−1/rB|を各実験で計算し、大小を比べます。

目次

令和元年度 理論科目 A問題1:問題文と選択肢

4つの配置を比べますが、計算すべき量は\(|1/r_A-1/r_B|\) ひとつだけ。「A-B間が長いほど電位差が大きい」という直感が通用しない問題です。まずは問題文を確認しましょう。

電験3種 理論科目 静電界 令和元年度 A問題1 問題文
令和元年度 理論科目 A問題1 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和元年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題1

電験3種 理論科目 【電磁気(静電界)】 令和元年度 A問題1

 図のように、真空中に点P、点A、点Bが直線上に配置されている。点PはQ〔C〕の点電荷を置いた点とし、A-B間に生じる電位差の絶対値を|VAB|〔V〕とする。次の(a)〜(d)の四つの実験を個別に行ったとき、|VAB|〔V〕の値が最小となるものと最大となるものの実験の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

次の(a)〜(d)の四つの実験を個別に行ったとき、|VAB|の値が最小となるものと最大となるものの実験の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。(実験内容:(a) P-A間2m・A-B間1m、(b) P-A間1m・A-B間2m、(c) P-A間0.5m・A-B間1m、(d) P-A間1m・A-B間0.5m)

(1)(a)と(b) (2)(a)と(c) (3)(a)と(d) (4)(b)と(c) (5)(c)と(d)

図 点電荷P(点P)と点A・点Bの配置(問題図)
図 点電荷P(点P)と点A・点Bの配置(問題図)

出題のポイント:電位差を決めるのは「1/rの差」

4つの配置を比べる問題ですが、計算すべき量は1つだけです。

点電荷がつくる電位と電位差
$$V=\frac{Q}{4\pi\varepsilon_0r},\qquad |V_{AB}|=\frac{|Q|}{4\pi\varepsilon_0}\left|\frac{1}{r_A}-\frac{1}{r_B}\right|$$

共通の係数は比較に影響しません。\(|1/r_A-1/r_B|\) だけを4通り計算すれば大小が決まります。

電位は距離に反比例します。だから点電荷に近い場所ほど電位が急激に変化し、遠ざかるとほとんど変わらなくなります。

この性質から、「Pに近い配置ほど電位差が大きい」という見通しが立ちます。実際に計算して確かめましょう。

点電荷Pから点Aと点Bまでの距離rAとrBを用いて電位差の絶対値を表す図
A-B間の電位差は、ABの長さだけでなくPからA・Bまでの各距離で決まります。

問題の解説:4通りを同じ土俵で計算する

STEP1 各実験の \(r_A\) と \(r_B\) を整理する

\(r_B\) は「P-A間+A-B間」です。A-B間の距離をそのまま \(r_B\) にしないよう注意してください。

実験P-A間A-B間\(r_A\)\(r_B=r_A+\)A-B間
(a)2 m1 m2 m3 m
(b)1 m2 m1 m3 m
(c)0.5 m1 m0.5 m1.5 m
(d)1 m0.5 m1 m1.5 m

STEP2 \(|1/r_A-1/r_B|\) を計算する

実験\(1/r_A\)\(1/r_B\)差の絶対値順位
(a)0.5000.3331/6 ≒ 0.167最小
(d)1.0000.6671/3 ≒ 0.3332番目
(b)1.0000.3332/3 ≒ 0.6673番目
(c)2.0000.6674/3 ≒ 1.333最大

最小と最大の比は8倍(1/6と4/3)——配置を変えるだけでこれだけ差がつきます。

STEP3 組合せを選ぶ

点電荷からの距離と電位の大きさの反比例関係を示し近い区間ほど電位差が大きいことを説明する図
点電荷に近いほど1/rの変化が急で、同じ幅の区間でも電位差が大きくなります。
答え最小は(a)、最大は(c) → 選択肢(2)
四つの実験について1割るrA引く1割るrBを厳密な分数で比較する解答図
比較値は(a)1/6、(d)1/3、(b)2/3、(c)4/3の順で、最小(a)・最大(c)です。

なぜ(c)が突出して大きいのか

結果を眺めると、(c)だけが際立っています。理由は \(1/r\) の性質にあります。

$$\frac{1}{r_A}\Big|_{(c)}=\frac{1}{0.5}=2.000$$
❶ (c)の \(1/r_A\)
他の実験の2〜4倍

\(r_A=0.5\;\mathrm{m}\) と最も近いため、\(1/r_A\) が突出します。他の実験の \(1/r_A\) は0.5または1.0なので、(c)だけが2.0と飛び抜けています。

逆に(a)は \(r_A=2\;\mathrm{m}\) と最も遠い。遠い場所では \(1/r\) の変化が緩やかなので、AとBの差も小さくなります。

距離r1/rrが1 m増えたときの1/rの減少
0.5 m2.0002.000 → 0.667(1.333減)
1 m1.0001.000 → 0.500(0.500減)
2 m0.5000.500 → 0.333(0.167減)
4 m0.2500.250 → 0.200(0.050減)

同じ「1 m離れる」でも、近くでは大きく、遠くでは小さくしか変わりません。この非線形性が本問の本質です。

「A-B間の距離が長いほど電位差が大きい」とは限らない点にも注意してください。(b)はA-B間が2 mと最長ですが、電位差は(c)の半分です。大事なのは「どこにあるか」であって「どれだけ離れているか」ではありません

誤答の正体:最小と最大の判定ミス

選択肢組合せ実際の値判定
(1)(a)と(b)(a)は最小○だが、(b) 0.667 は最大ではない((c)が1.333)×
(2)(a)と(c)最小0.167、最大1.333
(3)(a)と(d)(a)は最小○だが、(d) 0.333 は2番目に小さい値×
(4)(b)と(c)(c)は最大○だが、(b)は最小ではない(3番目)×
(5)(c)と(d)(c)は最大だが順序が逆で、(d)も最小ではない×

(a)を含むのは(1)(2)(3)、(c)を含むのは(2)(4)(5)——両方を含むのは(2)だけです。つまり「最小は(a)」と「最大は(c)」のどちらか一方が分かれば、候補が3つに絞れます

時間がないときは最大だけを探すのが効率的です。最も近い \(r_A=0.5\) を持つ(c)が最大だと当たりをつければ、(2)(4)(5)に絞れます。

「A-B間が最も長い(b)が最大だろう」と直感で選ぶと(1)や(4)を掴みます。距離の長さではなく1/rの差で決まることを忘れないでください。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① 電位は距離に反比例(\(V\propto1/r\))。電界の \(1/r^2\) と混同しない
\(r_B\)=P-A間+A-B間。A-B間をそのまま \(r_B\) にしない
③ 共通係数 \(Q/(4\pi\varepsilon_0)\) は無視して\(|1/r_A-1/r_B|\) だけ比較する
点電荷に近いほど電位差が大きい——\(r_A\) の最小を探すのが近道
⑤ 組合せ問題は片方(最大)だけ確定させれば候補が3つに絞れる

💡 覚え方
「近いほど効く、それも急激に」。\(1/r\) は近距離で急変し、遠距離では平坦。だからPに最も近い配置が最大、最も遠い配置が最小——計算前に見当がつきます。

⚠️ よくある間違い
「A-B間の距離が長いほど電位差が大きい」という直感が最大の罠です。(b)はA-B間2 mと最長ですが最大ではありません。また\(r_B\) をA-B間の距離だと勘違いするミスも多いので、Pからの距離であることを図で確認してください。

まとめ

(a)1/2−1/3=0.167(最小)
(b)1−1/3=0.667
(c)2−1/1.5=1.333(最大)
(d)1−1/1.5=0.333、答(2)

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・点電荷・電位の関連問題:【理論】令和2年度A問題1

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【理論】令和3年度A問題2(静電界25)
【理論】令和2年度A問題2(静電界28)
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