単相交流6【電験3種 理論】周波数が変わったときRC回路に流れる電流を求める!令和6年度下期 A問題9 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 令和6年度下期 A問題9 周波数が2倍になったら?RC回路の電流は?

今回は令和6年度下期 理論科目 A問題9を解説します。4 Ω抵抗とコンデンサの直列RC回路で、50 Hz・100 Vのとき20 Aが流れました。同じ回路へ60 Hz・100 Vを加えたときの電流を求めます。

50 Hzの電圧・電流からインピーダンスの大きさを求め、抵抗4 Ωとの二乗差から容量性リアクタンスXCを逆算します。XC∝1/fで60 Hzへ換算し、厳密値・電圧成分・全選択肢・力率・電力まで検算します。

目次

令和6年度下期 理論科目 A問題9:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 理論科目 単相交流 令和6年度下期 A問題9 問題文
令和6年度下期 理論科目 A問題9 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度下期 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題9

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 令和6年度下期 A問題9

 4Ωの抵抗と静電容量がC〔F〕のコンデンサを直列に接続したRC回路がある。このRC回路に、周波数50Hzの交流電圧100Vの電源を接続したところ、20Aの電流が流れた。では、このRC回路に、周波数60Hzの交流電圧100Vの電源を接続したとき、RC回路に流れる電流の値〔A〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)16.7 (2)18.6 (3)21.2 (4)24.0 (5)25.6〔A〕

出題のポイント:周波数が変わっても \(R\) と \(C\) は変わらない

同じ回路に周波数だけ違う電源をつなぐ——という設定です。変わるのは \(X_C\) だけで、抵抗 \(4\ \Omega\) と静電容量 \(C\) は最初から最後まで同じです。

\(C\) の値は与えられていませんが、50 Hzでの測定結果(100 V・20 A)から \(X_C\) を逆算できるので困りません。「測定値から素子の性質を読み取る」タイプの問題です。

容量性リアクタンスと周波数
$$X_C=\frac{1}{2\pi fC}\ \propto\ \frac{1}{f},\qquad |\dot Z|=\sqrt{R^{2}+X_C^{2}}$$

\(X_C\) は周波数に反比例します。\(f\) が \(50\to60\) と1.2倍なら、\(X_C\) は \(1/1.2\) 倍です。

ここで大事なのは「反比例」であって「比例」ではないことです。コイルなら \(X_L=2\pi fL\) で比例——コンデンサとコイルで向きが逆だという点が、そのまま誤答の分かれ道になります。

100V交流電源、4Ω抵抗、同じコンデンサからなる閉じた直列RC回路と、50Hzで20A、60Hzで未知電流という条件、周波数上昇で容量性リアクタンスが下がる関係を示す出題のポイント図
R・C・電圧は同じで、周波数だけが50 Hzから60 Hzへ上がります。X_C、|Z|、電流がどう変わるかを整理し、この図では正答を示していません。

解説:50 Hzの測定値から \(X_C\) を取り出す

$$|\dot Z|_{50}=\frac{V}{I}=\frac{100}{20}=5\ \Omega$$
❶ 50 Hzのインピーダンス
オームの法則
$$X_{C50}=\sqrt{|\dot Z|^{2}-R^{2}}=\sqrt{5^{2}-4^{2}}=3\ \Omega$$
❷ 三平方で分解
3:4:5 の直角三角形
$$X_{C60}=3\times\frac{50}{60}=2.5\ \Omega$$
❸ 反比例で換算
\(f\) が上がると \(X_C\) は下がる
$$|\dot Z|_{60}=\sqrt{4^{2}+2.5^{2}}=\sqrt{22.25}\fallingdotseq4.72\ \Omega$$
❹ 合成し直す
$$I_{60}=\frac{100}{4.72}\fallingdotseq21.2\ \mathrm{A}$$
❺ 電流
50 Hzより増える

❷でおなじみの3:4:5が出てきます単相交流では \(3^{2}+4^{2}=5^{2}\) の組合せが繰り返し登場するので、\(|\dot Z|=5\)、\(R=4\) と来たら \(X=3\) と即答できるようにしておきましょう。

❸の向きを間違えないでください周波数が上がる=コンデンサが電流を通しやすくなる=リアクタンスが下がるので、\(3\times50/60=2.5\)小さくなるのが正しい向きです。

50Hzでインピーダンス5Ωと容量性リアクタンス3Ωを逆算し、反比例から60Hzで2.5Ω、インピーダンス√22.25Ωを求めるポイント解説図
50 Hzでは|Z|=5 Ω、4 Ωとの二乗差からX_C=3 Ωです。X_C∝1/fより60 Hzでは2.5 Ωとなります。
50Hzの条件からX_C=3Ω、60Hzで2.5Ω、|Z|=√89/2Ω、電流200/√89=約21.2Aと正答3を導き、電圧成分でも検算する詳細解説図
60 Hzでは|Z|=√89/2≈4.71699 Ω、I=200/√89≈21.19996 Aです。50 Hzの電圧成分80 V・60 VからもX_C=3 Ωを確認できます。
全5選択肢をインピーダンスへ戻し、21.2Aだけが√89/2Ωと一致することを電圧成分、進み位相32.01度、力率0.848、有効無効皮相電力でも検算する詳細解説図
全選択肢、60 Hzの電圧成分、位相・力率・電力で多重検算します。容量性回路なので電流は進み、無効電力Qは負です。
答え\(I\fallingdotseq21.2\ \mathrm{A}\) → 選択肢(3)

誤答の正体:比例と反比例をどこで取り違えるか

選択肢はすべて「ありがちな誤り」に対応しています。どの段階でつまずくとどの値になるかを並べてみましょう。

選択肢値〔A〕どんな誤りか
(1)16.7電流が \(1/f\) に比例と誤る(\(20\times50/60\))
(2)18.6\(X_C\) が \(f\) に比例と誤る(\(X_{C60}=3.6\) として計算)
(3)21.2正解
(4)24.0電流が \(f\) に比例と誤る(\(20\times60/50\))
(5)25.6リアクタンスの減少を過大に見積もる

(2)と(4)が特に紛らわしいです。(2)は「コンデンサをコイルと取り違えた」誤り(4)は「インピーダンスの合成を忘れて電流が周波数に比例すると思った」誤り——どちらも一見もっともらしく見えます

正解の21.2 Aは、20 Aから約6 %しか増えていません周波数は20 %上がったのに電流の増加はわずか——これは抵抗4 Ωが「変わらない壁」として効いているからです。

⚠️ よくある間違い
「\(X_C\) が2割減るから電流は2割増える」とは限りません電流を決めるのは \(|\dot Z|=\sqrt{R^{2}+X_C^{2}}\) であって \(X_C\) 単体ではないからです。\(R\) が大きいほど、\(X_C\) の変化が電流に響きにくくなります

☝️ ひっかけの作り方:「20 Aが与えられているから、それを何倍かすればよい」と考えると必ず外れます20 Aは \(X_C\) を求めるための情報であって、答えを比例計算するための基準ではありませんいったん \(X_C\) に戻すのが正攻法です。

深掘り①:\(C\) の値と各部の電圧を求めておく

答えが出たら、\(C\) と各部の電圧まで押さえておくと理解が定着します。

$$C=\frac{1}{2\pi\times50\times3}\fallingdotseq1.06\times10^{-3}\ \mathrm{F}$$
❶ 50 Hzの \(X_C\) から
約1060 µF
$$X_{C60}=\frac{1}{2\pi\times60\times1.06\times10^{-3}}=2.5\ \Omega$$
❷ 60 Hzで検算
一致 ✓
$$V_R=I R=21.2\times4\fallingdotseq84.8\ \mathrm{V}$$
❸ 抵抗の電圧
$$V_C=I X_C=21.2\times2.5\fallingdotseq53.0\ \mathrm{V}$$
❹ コンデンサの電圧

\(V_R\) と \(V_C\) を単純に足すと137.8 Vになり、電源電圧100 Vを超えます交流では位相が90°ずれているので、足すときは三平方——\(\sqrt{84.8^{2}+53.0^{2}}=100\ \mathrm{V}\) でぴたりと合います。

50 Hz60 Hz変化
\(X_C\)3.0 Ω2.5 Ω減少
\(|\dot Z|\)5.0 Ω4.72 Ωやや減少
電流 \(I\)20.0 A21.2 A約6 %増
力率 \(R/|\dot Z|\)0.800.85改善
消費電力 \(I^{2}R\)1600 W1798 W約12 %増

力率が0.80から0.85へ改善している点に注目してください。容量性リアクタンスが小さくなると、回路は「抵抗寄り」になるためです。力率は \(R/|\dot Z|\) で決まるので、\(X_C\) が小さいほど1に近づきます

深掘り②:50 Hzと60 Hzの違いは実務でも効く

日本は東日本が50 Hz、西日本が60 Hzという世界的にも珍しい国です。同じ機器でも周波数が違えば動作が変わる——本問はまさにその縮図です。

素子リアクタンス50→60 Hzで
抵抗 \(R\)\(R\)(周波数に無関係)変化なし
コイル \(L\)\(X_L=2\pi fL\)1.2倍に増える
コンデンサ \(C\)\(X_C=\dfrac{1}{2\pi fC}\)1/1.2倍に減る

コイルとコンデンサで真逆に動くのが最大のポイントです。誘導電動機は60 Hz地域で回転速度が1.2倍になる変圧器は60 Hz用のほうが鉄心を小さくできる——機械科目や電力科目でも同じ性質が繰り返し問われます

進相コンデンサは60 Hzのほうが多くの無効電力を供給します。\(Q_C=2\pi fCV^{2}\) で周波数に比例するためです。同じ容量のコンデンサでも、地域によって効き目が2割違うわけです。

深掘り③:周波数を変えたときの電流の動きを一般化する

本問は50 Hzと60 Hzの2点だけでしたが、周波数を連続的に変えると電流はどう動くかを考えておくと、共振の問題にもつながります。

周波数\(X_C=\dfrac{1}{2\pi fC}\)\(|\dot Z|\)電流
\(f\to0\)(直流)0(電流が流れない)
50 Hz3.0 Ω5.0 Ω20 A
60 Hz2.5 Ω4.72 Ω21.2 A
\(f\to\infty\)0\(R=4\ \Omega\)25 A(上限)

電流には25 Aという上限がありますどれだけ周波数を上げても \(X_C\) がゼロに近づくだけで、抵抗4 Ωは残るからです。\(100/4=25\ \mathrm{A}\) が到達できない天井になります。

この視点で選択肢(5)25.6 Aを見ると、上限を超えていることが分かります。計算しなくても「物理的にあり得ない」と切れる——極限を考えるのは強力な検算法です。

RC直列回路は「高い周波数ほど通す」=ハイパスフィルタとして働きます。逆にRL直列回路は高い周波数ほど通しにくい——電子回路のフィルタの話と地続きです。

⏱️ 本番での進め方
❶ \(|\dot Z|=V/I\) でインピーダンスを出し、三平方で \(R\) と \(X\) に分解する。
❷ \(X_C\propto1/f\)、\(X_L\propto f\)——向きを間違えないこと。
❸ 3:4:5 が出たらラッキー——単相交流の定番の数値。
❹ \(f\to\infty\) の上限 \(V/R\) を計算しておくと、大きすぎる選択肢を切れる。

💡 覚え方
コンデンサは「速い変化ほど通す」と覚えてください。直流(変化ゼロ)は完全に遮断、周波数が高いほど素通しです。\(X_C=1/(2\pi fC)\) の形も、この直感どおりになっています。

出題履歴:周波数を変える問題は定番

「条件を変えたときの変化」を問う出題は、単相交流の主要パターンのひとつです。周波数を変える/素子を追加する/スイッチを入れる——いずれも変わるものと変わらないものを仕分けることが解法の柱になります。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

あわせて解いておきたい記事:【理論】令和7年度下期A問題9(抵抗を追加したときの電流変化)【理論】令和7年度下期A問題8(周波数で変わるRLC回路の電流比)

まとめ

50 Hz|Z50|=5 Ω、XC50=3 Ω
60 HzXC60=3×50/60=2.5 Ω
|Z60|√89/2=4.71699…Ω
電流200/√89=21.19996…A
令和6年度下期の答え21.2 A …(3)

問題文は試験センター公式問題PDF(理論 問9、印刷ページ-9-)、正答(3)は公式解答PDFで照合しました。

▼あわせて解きたい関連問題
・RC回路・周波数特性の関連問題:【理論】令和7年度下期A問題8

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