磁気・電磁力9【電験3種 理論】磁気に関する量と単位記号の組合せで誤りはどれ?磁束はV·s!令和6年上期 A問題3 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(磁気・電磁力) 令和6年度上期 A問題3 磁気の量と単位を総点検!誤った組合せはどれ?

今回は令和6年度上期 理論科目 A問題3を解説します。磁気に関する量とその単位記号(SI基本単位及び組立単位による表し方)の組合せのうち、誤っているものを1つ選ぶ問題です。

ポイントは磁束=Wb=V·sで、V/sではないという点です。選択肢(2)が磁束をV/sとしているため誤りです。インダクタンスWb/A、磁気抵抗H-1、透磁率H/mは正しい対応です。

目次

令和6年度上期 理論科目 A問題3:問題文と選択肢

まずは、令和6年度上期に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

電験3種 理論科目 磁気・電磁力 令和6年度上期 A問題3 問題文
令和6年度上期 理論科目 A問題3 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度上期 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題3

電験3種 理論科目 【電磁気(磁気・電磁力)】 令和6年度上期 A問題3

 磁気に関する量とその単位記号(SI基本単位及び組立単位による表し方)の組合せとして、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

単位記号
(1)インダクタンスWb/A
(2)磁束V/s
(3)磁界の強さA/m
(4)磁気抵抗H-1
(5)透磁率H/m

出題のポイント:Wb は「V·s」。割るのではなく掛ける

5つのうち4つは定義式から素直に導けます。ひねってあるのは磁束の単位だけ——\(\mathrm{V/s}\) ではなく \(\mathrm{V\cdot s}\) です。この1文字の違いで正誤が決まります。

単位の問題は暗記科目に見えますが、実際に暗記が必要なのはごくわずかです。その量を定義している式を思い出し、記号を単位に置き換える——この作業を5回くり返すだけで答えが出ます。公式を覚えていれば単位は作れる、という関係になっています。

なぜ Wb = V·s なのか
$$e=-\frac{d\varPhi}{dt}\;\Longrightarrow\;\mathrm{V}=\frac{\mathrm{Wb}}{\mathrm{s}}\;\Longrightarrow\;\mathrm{Wb}=\mathrm{V}\cdot\mathrm{s}$$

「1 Wb の磁束が1秒で消えると1 V」と読みます。Wb を s で割ると V になるのですから、Wb を作るには V に s を掛ける——ごく普通の式変形です。

Faradayの法則から磁束の単位WbがV秒でありV毎秒ではないことを導く図
V=Wb/sを変形するとWb=V·sです。掛け算と割り算を取り違えないことがポイントです。

5つの組合せを1つずつ確かめる

単位記号もとになる式判定
(1)インダクタンスWb/A\(\varPhi=LI\;\Rightarrow\;L=\varPhi/I\)◎ 正しい
(2)磁束V/s正しくは \(\mathrm{Wb}=\mathrm{V}\cdot\mathrm{s}\)× 誤り
(3)磁界の強さA/m\(H=NI/l\)(起磁力÷磁路長)◎ 正しい
(4)磁気抵抗H⁻¹\(R_m=NI/\varPhi=\mathrm{A/Wb}\)◎ 正しい
(5)透磁率H/m\(B=\mu H\;\Rightarrow\;\mu=B/H\)◎ 正しい

(1)(3)(4)は素直に導けます。インダクタンスは \(\varPhi=LI\) を \(L\) について解いた形、磁界の強さは \(H=NI/l\) そのもの、磁気抵抗は \(\mathrm{H}=\mathrm{Wb/A}\) の逆数です。

意外に手が止まるのが(5)の透磁率です。\(\mu=B/H\) から出発して、\(\mathrm{T}\div(\mathrm{A/m})=(\mathrm{Wb/m^2})\times(\mathrm{m/A})=(\mathrm{Wb/A})/\mathrm{m}=\mathrm{H/m}\)——順を追えば確実にたどり着きます。真空の透磁率が \(4\pi\times10^{-7}\;\mathrm{H/m}\) と書かれることを思い出すのが最も速い確認法です。

インダクタンス磁束磁界の強さ磁気抵抗透磁率の定義式と単位を照合する一覧図
5つの量を定義式から確認すると、磁束をV/sとする(2)だけが誤りです。
答え誤っているのは 選択肢(2) (磁束は Wb = V·s、V/s ではない)
磁束の単位をFaradayの法則からV秒と判定し選択肢2を正答とする解答図
磁束はWb=V·sでありV/sではないため、正答は(2)です。

なぜ \(\mathrm{V/s}\) に引っかかるのか

\(\mathrm{V}=\mathrm{Wb/s}\) という関係が頭に浮かぶところまでは、多くの人が到達します。問題はそこから \(\mathrm{Wb}\) について解く一手です。あわてて「Wb は V と s の組み合わせだ」とだけ覚えていると、割り算と掛け算のどちらだったかが曖昧になります

意味で覚えるのが確実です。磁束は「時間をかけて電圧を生み出す元手」——1 V を1秒間発生させるだけの磁束が 1 Wb です。時間を掛けた量だと理解していれば、\(\mathrm{V\cdot s}\) が自然に出てきます。

⚠️ よくある間違い
\(\mathrm{V/s}\) と \(\mathrm{V\cdot s}\) は見た目がよく似ています。試験本番ではスラッシュ(÷)とドット(×)を指でなぞって確認してください。この問題は記号1文字で正誤が決まります

深掘り:同じ知識が毎年のように問われている

「Wb = V·s」は、電験3種で最も繰り返し問われる単位のひとつです。聞き方だけを変えて、ほぼ毎年どこかの年度に登場しています。

出題形式問われ方誤りの記述
SI組立単位の表し方「同じ内容を表す他の表し方」の組合せWb=V/s
電気及び磁気の量と単位「量と単位記号」の組合せ磁束=T
磁気に関する量と単位(本問)「量と単位記号」の組合せ磁束=V/s

誤りの作り方は2通りしかありません「V·s を V/s にする」か、「Wb を T にすり替える」かです。この2パターンを知っていれば、磁束の行を真っ先に見るだけで答えが出ます

裏を返せば、磁束の単位を確実に押さえておけば、毎年1問を安全に確保できるということです。\(\varPhi\) は Wb(=V·s)、\(B\) は T(=Wb/m²)——この2行を書けるようにしておいてください。

💡 覚え方
「密度がつく量は面積で割る」——磁束密度が \(\mathrm{Wb/m^2}\) になるのも、電束密度が \(\mathrm{C/m^2}\) になるのも同じ理屈です。単位に \(/\mathrm{m^2}\) があるかどうかで、密度かどうかが判別できます

⏱️ 本番での進め方
❶ 磁束の行を真っ先に見る。この形式では磁束が狙われる確率が最も高い。
❷ 5つとも自分で導く。定義式→単位の置き換えで30秒。
❸ 「÷」と「×」を指でなぞる。この問題は記号1文字で正誤が決まる。
❹ 透磁率は \(4\pi\times10^{-7}\;\mathrm{H/m}\) を思い出すのが最速。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

(1) インダクタンスL=λ/IよりWb/A=H:正しい
(2) 磁束Wb=V·sでありV/sではない:誤り
(3) 磁界の強さNI=HℓよりA/m:正しい
(4) 磁気抵抗A/Wb=H−1:正しい
(5) 透磁率Wb/(A·m)=H/m:正しい
答え(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・SI単位・電磁気量の関連問題:【理論】令和7年度上期A問題14

📚 次に解くべき関連問題
【理論】令和6年度下期A問題14(磁気・電磁力8)
【理論】令和7年度上期A問題14(磁気・電磁力5)
【理論】令和6年度上期A問題4(磁気・電磁力10)
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